身体障害者手帳交付における障害程度等級表「小腸機能障害」
小腸の機能障害は内部障害であり、1級、3級、4級の等級が認定されます。
「小腸機能障害」の身体障害者障害程度等級表
小腸機能障害の身体障害者の等級認定表は以下の通りになります。
1級 |
---|
小腸の機能の障害により自己の身辺の日常生活活動が極度に制限されるもの |
3級 |
小腸の機能の障害により家庭内での日常生活活動が著しく制限されるもの |
4級 |
小腸の機能の障害により社会での日常生活活動が著しく制限されるもの |
小腸機能障害の等級表の解説
ではここからは、等級表の内容について、より詳しく解説していきたいと思います。
1級に該当する障害
等級表1級に該当する障害は、次のいずれかに該当し、
① | 疾患等により小腸が切除され、残存空・回腸が手術時、75cm未満(ただし乳幼児期は30cm未満)になったもの |
---|---|
② | 小腸疾患により永続的に小腸機能の大部分を喪失しているもの |
※1 手術時の残存腸管の長さ:腸間膜付着部の距離
※2 小腸大量切除を行う疾患:上腸間膜血管閉塞症、小腸軸捻転症、先天性小腸閉鎖症、壊死性腸炎、広汎腸管無神経節症、外傷など
かつ、栄養維持が困難となるため、推定エネルギー必要量の60%以上を常時中心静脈栄養法で行う必要がある場合になるそうです。
小腸大量切除の場合、手術を行った時点で障害が認定されます。
それ以外の小腸機能障害の場合は、6か月の観察期間を経て行われるそうです。
※ 「栄養維持が困難」とは
栄養療法開始前に以下の2項目のうちいずれかが認められる場合ということです。
なお、栄養療法実施中の場合には、中心静脈栄養法又は経腸栄養法によって推定エネルギー必要量を満たし得る場合がこれに相当します。
① | 成人 | 最近3か月間の体重減少率が10%以上であること。 |
---|---|---|
15歳以下 | 身長及び体重増加がみられないこと。 | |
② | 血清アルブミン濃度3.2g/dl以下であること。 |
この場合の体重減少率とは、
- 平常の体重からの減少の割合
- または(身長-100)×0.9の数値によって得られる標準的体重
からの減少割合となっています。
3級に該当する障害
等級表3級に該当する障害は、次のいずれかに該当し、
① | 疾患等により小腸が切除され、残存空・回腸が手術時、75cm以上150cm未満(ただし乳幼児期は30cm以上75cm未満)になったもの |
---|---|
② | 小腸疾患により永続的に小腸機能の一部を喪失しているもの |
※1 手術時の残存腸管の長さ:腸間膜付着部の距離
※2 小腸大量切除を行う疾患:上腸間膜血管閉塞症、小腸軸捻転症、先天性小腸閉鎖症、壊死性腸炎、広汎腸管無神経節症、外傷など
かつ、栄養維持が困難となるため、推定エネルギー必要量の30%以上を常時中心静脈栄養法で行う必要がある場合になるそうです。
4級に該当する障害
等級表4級に該当する障害は、
小腸切除または小腸疾患により永続的に小腸機能の著しい低下がある
かつ、
通常の経口による栄養摂取では栄養維持が困難となるため、随時中心静脈栄養法又は経管により成分栄養を与える方法(経腸栄養法)で行う必要がある
場合になるそうです。
「随時」とは、6か月の観察期間中に4週間程度の頻度になります。
「小腸疾患により永続的に小腸機能に著しい低下を及ぼす可能性があるものとしては、以下の傷病などが挙げられます。
- ① クローン病
- ② 腸管ベーチェット病
- ③ 非特異性小腸潰瘍
- ④ 特発性仮性腸閉塞症
- ⑤ 乳児期難治性下痢症
⑥その他の良性の吸収不良症候群
小腸切除や小腸疾患による小腸機能障害の障害程度については再認定が必要となるそうです。
(参考)日本人の推定エネルギー必要量
参考までに、日本人の推定エネルギー必要量は以下の通りになります。
年齢 | エネルギー(kcal/日) | |
---|---|---|
男性 | 女性 | |
0~5ヶ月 | 550 | 500 |
6~8ヶ月 | 650 | 600 |
9~11ヶ月 | 700 | 650 |
1~2歳 | 950 | 900 |
3~5歳 | 1300 | 1250 |
6~7歳 | 1350 | 1250 |
8~9歳 | 1600 | 1500 |
10~11歳 | 1950 | 1850 |
12~14歳 | 2300 | 2150 |
15~17歳 | 2500 | 2050 |
18~29歳 | 2300 | 1650 |
30~49歳 | 2300 | 1750 |
50~69歳 | 2100 | 1650 |
70歳以上 | 1850 | 1500 |
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
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