10代の被害者 膀胱直腸障害等で後遺障害1級認定
認容額 | 4604万6188円 |
---|---|
年齢 | 17歳 |
性別 | 男性 |
職業 | 無職 |
傷病名 | 第一二胸椎圧迫骨折、脊髄損傷、右下腿(右脛骨骨幹部)骨折、坐骨骨折、後頭部挫傷 |
障害名 | 膀胱直腸障害等 |
後遺障害等級 | 1級 |
判決日 | 平成4年5月29日 |
裁判所 | 神戸地方裁判所 |
交通事故の概要
昭和62年9月5日午前0時35分頃、神戸市東灘区の信号機の設置されていない交差点内において、加害者が運転する事業用普通乗用自動車(タクシー)が、本件事故直前、本件交差点の東西道路を西進し右交差点内に進入したところ、折から被害者の自家用自動二輪車が、右交差点のほぼ南北に通じる道路を北進して来て、右両車両が、右交差点内で出合頭に衝突した。
被害者の入通院治療の経過
被害者は、昭和62年9月5日から昭和63年2月2日まで、K病院に入院し、治療を受けた(241日間)。
また、昭和63年5月3日から平成元年3月31日まで、T病院の附属施設に入所した。なお、症状固定日は、 昭和63年7月25日である。
後遺障害の内容
被害者には、両下肢不全麻痺、膀胱・直腸障害の後遺障害が残存する。そのため、日常生活においても、車椅子での移動、又は装具を着用しての歩行(ただし、100メートルが限度)を強いられている。さらに、被害者は身体中膀胱括約筋等が麻痺しているため、腹圧がかかつたりすると尿漏れを生じる等極めて尿漏れを起し易い状態にあり、排尿を自分の意思で制御することは不可能である。被害者には、正常な便意がなく、尿排出の場合と同じく便排出の場合も、自分の意思でこれを制御することができない状態である。
これらを考慮し、裁判所は、障害等級1級8号相当すると判断した。
判決の概要
本件は、事業用普通乗用自動車(タクシー)と衝突した自家用自動二輪車の運転者が、右衝突により負傷したとして、また、右自動二輪車の運転者の父も右運転者の右負傷に基づく損害を被ったとして、右普通乗用自動車の運転者に対し民法七〇九条に基づき、右普通乗用自動車の保有者に対し自賠法三条に基づき、それぞれ損害の賠償を請求した事件である。
無職の被害者(男・症状固定時17歳)の後遺障害(自覚症状 両下肢不全麻痺等、他覚症状 膀胱、直腸障害等、脊柱障害、関節機能障害等)による逸失利益について、49年間にわたり、100パーセントの労働能力喪失率を認めた。
また、深夜、信号機による交通整理の行われていない交差点での、被害車両(自動二輪車)と加害車両(タクシー)との出会い頭の衝突事故において、一時停止義務違反、右前方安全確認義務違反の過失のある被害者に、45%の過失相殺が相当であるとした。
認容された損害額の内訳
治療関係費 | 56万8610円 |
---|---|
入院雑費 | 39万円 |
将来介護費 | 3957万2862円 |
逸失利益 | 4678万5125円 |
慰謝料 | 1300万円 |
装具費金 | 20万 9200円 |
紙おむつ費金 | 354万円 |
家屋改造費 | 300万円 |
損害の填補 | - 1757万 円 |
父親固有の慰謝料 | 260万円 |
弁護士費用 | 330万円 |
過失相殺 | - 4934万9609円 |
※その他、既払い額や損益相殺がなされ、判決認容額となります。