玉突き事故に巻き込まれた原付 肝機能等に後遺障害
認容額 | 691万0721円 |
---|---|
年齢 | 40歳 |
性別 | 男性 |
職業 | 銀行員 |
傷病名 | 右大腿骨骨折、右手第五指脱臼、頭部外傷、腰部挫傷 |
障害名 | 肝機能障害 |
後遺障害等級 | 10級 |
判決日 | 平成2年10月22日 |
裁判所 | 大阪地方裁判所 |
交通事故の概要
昭和58年8月20日午後7時45分ころ、兵庫県川西市の路上において、道路の西行車線を、運転者不明の自動車に続いて、A運転の普通乗用自動車、B運転の普通乗用自動車、C運転の普通乗用自動車の順で走行中、これらの各車両が前方の停滞のために運転者不明の自動車を先頭にして玉突状に追突して急停車した。その際、Cの車両が車体後部を左へ振ったため、Cの車両の左後方を走行していた被害者の原動機付自転車が、Cの車両の左後部に衝突して転倒した。
被害者の入通院治療の経過
被害者は、本件事故により、右大腿骨骨折、右手第五指脱臼、頭部外傷、腰部挫傷の傷害を受けた。
被害者は、本件事故の傷害の治療及びそのために受けた手術の際の輸血によって感染した非A非B型慢性肝炎の治療のため、S病院に入院または、通院して治療を受けた。
(1)昭和58年8月20日から昭和59年4月1日まで入院
(2)昭和59年4月2日から同年11月10日まで通院(実日数53日)
(3)昭和59年11月11日から昭和62年10月三一31日まで入院
(4)昭和62年11月1日から同月7日まで通院(実日数5日)
(5)昭和62年11月8日から同月10日まで入院
(6)昭和62年11月11日から同月27日まで通院(実日数14日)
(7)昭和62年11月28日から昭和63年2月10日まで入院
(8)昭和63年2月11日から同年3月24日まで通院(実日数25日)
(9)昭和63年3月25日から同年6月14日まで入院
(10) 昭和63年6月45日以降通院継続中
後遺障害の内容
被害者は、入通院して治療を受けたが、傷害及び肝炎は完治するに至らず、右下肢短縮、右膝関節の機能障害及び肝機能障害の後遺障害を残したまま、昭和63年10月ころ、その症状が固定した。
なお、後遺障害については、自賠責保険において、昭和59年8月18日にその症状が固定し、右下肢短縮が自賠法施行令二条別表の10級8号に、右膝関節の機能障害が10級11号にそれぞれ該当するものとして、併合9級の認定がなされている。
判決の概要
渋滞のため先行車両が停止しようとしてるのに気づいて急制動停止したA運転のA車両にB運転のB車両が追突し、続いてC運転のC車両がB車両に追突し、そのはずみでA・B車両を押し出して先行車両に追突させ、さらに、後続の被害者の原付自転車がC車両に追突・転倒した事故において、A・B・Cには車間距離不保持ないし前方不注視等の過失があり、この過失は被害車両の追突・転倒と相当因果関係があるから、A・B・Cの免責の抗弁は理由がないとした。
また、被害者には、自車直前の車両だけではなくさらに前方の車両の走行状況にも留意しながら、最高速度時速30kmを遵守し、安全な車間距離を保持すべきであったのにこれを怠り、4ないし5mの車間距離のまま時速40kmでC車両に追尾進行した過失がある。この過失が本件追突・転倒事故の主要な原因となっていると考えられるから、7割の過失相殺が相当であるとした。
認容された損害額の内訳
入院付添費 | 26万8000円 |
---|---|
入院雑費 | 139万7000円 |
休業損害 | 1347万8917円 |
逸失利益 | 2925万1822円 |
慰謝料 | 900万円 |
損害の填補 | - 970万 8000円 |
弁護士費用 | 60万円 |
過失相殺 | - 3737万7018円 |
※その他、既払い額や損益相殺がなされ、判決認容額となります。