交通事故による脾臓破裂の後遺症|症状や治療法、慰謝料の相場までを徹底解説!

  • 脾臓破裂,後遺症

交通事故による脾臓破裂の後遺症|症状や治療法、慰謝料の相場までを徹底解説!

ある日突然、交通事故脾臓破裂後遺症が残ってしまったとしたら…。

治療中の生活に関して、

  • 脾臓破裂から回復するために支払う治療費
  • 怪我をしたことや後遺症が残ったことによる精神的苦痛に対する慰謝料
  • 将来の平穏な暮らしを確保するための生活費

の問題を避けて通ることはできません。

さて、ここで問題です。

脾臓破裂の後遺症との関係で、

治療中の生活費や治療費の悩みを解決するためにできることがあるって知っていましたか?

※ 知っている人はみんな利用している方法です!

生活費や治療費の悩みを解決する方法を次の中から選んでください。

選択肢①:

脾臓破裂との関係で、後遺症認定を獲得し、保険会社に慰謝料の増額請求をする。

選択肢②:

脾臓破裂によって失った将来の給与・収入を主張し、賠償金や保険金の再計算を求める。

選択肢③:

脾臓破裂を負う原因となった相手に対して、損害賠償を請求する裁判を起こす。

裁判、増額請求、再計算…。

正解は、この記事の後半で弁護士の先生に詳しく解説してもらいましょう!

それでは、脾臓破裂の後遺症でお悩みの方へ。

脾臓破裂による負担や、相手側の保険会社との交渉によるストレスから解消される方法についてまとめてみました。

ぜひご一読ください。

なお、専門的な解説は、テレビや雑誌でお馴染みの岡野武志弁護士にお願いしています。

よろしくお願いします。

交通事故の被害に遭われ、心身ともにお辛い日々を送られているとお察しします。

また、脾臓破裂の後遺症が残ってしまった場合、日常生活への影響もあり、ご本人への負担は非常に大きいものです。

実際に、後遺症でお悩みの方から、これまでに相談を受けてきた経験があります。

今回はその経験も踏まえ、具体的な事例も紹介しながら、わかりやすく解説していきたいと思います。

まず、脾臓破裂とは、なんとなくどのような状態のことなのかご存知の方もいらっしゃると思います。

体内で最も大きく,血液循環に組み込まれた唯一のリンパ臓器であり,血液中の異物・老化赤血球の除去や,血中抗原に対する全身性免疫応答を司る.

では、その脾臓が破裂してしまった場合、具体的にはどのような症状が現れ、どのような治療法が必要となってくるのでしょうか。

まずは、脾臓破裂についての基礎知識から詳しく見ていきましょう。

脾臓破裂の後遺症|治療や回復に向けた大切なポイント

脾臓破裂の後遺症|治療や回復に向けた大切なポイント

脾臓破裂の症状とは…

脾臓破裂とは、その名の通り脾臓が破裂してしまうことです。

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原因としては、交通事故やスポーツなどで腹部(特に左上腹部)を強打した際に破裂してしまうことが多いようです。

他に、肋骨が骨折し、その折れた肋骨により、脾臓が損傷してしまうこともあるようです。

特に、脾臓が腫れている脾腫の状態にある人は、健康な人よりも破裂しやすくなっているそうです。

では、脾臓破裂を負った場合、どのような症状が現れるのでしょうか。

お伝えの通り、脾臓は血液循環に組み込まれた臓器のため、非常に血管が豊富です。

よって、破裂すると大量の血液が腹腔内に流出するため、押したときに感じる圧痛腹痛が起こるようです。

また、出血により反射的に腹筋が収縮され、腹筋が硬直することもあるようです。

ただし、出血が緩やかな場合には、症状がほとんど現れないこともあるようです。

その場合でも、出血により血圧が下がるため、脳や心臓に十分な酸素が供給されなくなり、突如めまい意識障害などの症状が現れるそうです。

よって、最初に症状が現れなくても注意が必要ということですね…。

それらの症状が出て初めて気付くこともあるようですが、出血多量の場合には、ショックにより危篤状態になる恐れもあるため、すぐに治療する必要があります。

交通事故などで腹部を打った場合には、病院で検査を受けた方が良いかもしれません。

多くの場合、左上腹部の打撲により発症するため、打撲痕や内出血が見られることがあるようです。

その場合は、見た目からもすぐに判断可能なため、すぐに適切な治療を行う必要があります。

診断方法としては、腹部X線検査超音波検査が行われるそうです。

他に、放射性物質を使った画像検査で血流を辿り、出血の有無を確認したり、腹腔内の体液を針で吸引して腹腔内の出血を調べることもあるとのことです。

脾臓破裂の治療法

では、脾臓破裂に対する治療法はどのようになっているのでしょうか??

脾臓が摘出されてしまうって本当でしょうか!?

調べてみたところ、以下の通りということです。

脾臓破裂の治療法

●軽度で腹腔内に出血をしていない場合

〇経過観察により自然治癒を期待

〇受傷直後に出血がなくても時間が立ってから出血する可能性もあるため注意が必要

●重症で腹腔内に出血している場合

〇血管内治療

〇手術による脾臓摘出

脾臓は全身性免疫応答を司る臓器であり、摘出してしまうと免疫力の低下に繋がるリスクがあります。

5歳以下の小児の脾摘(脾臓摘出術)は敗血症を引き起こす危険があり,マラリア感染では脾臓がないと致命的といわれている.

よって、可能であれば血管内治療による止血が望ましいですが、それでも出血が治まらない場合には、手術による脾臓摘出が行われるそうです。

脾臓の機能は、身体の循環器系の一部で代替可能なため(例:大人の造血機能は骨髄が代替している)、脾臓を失っても生きていくことは十分可能なのだそうです。

ただし、先ほどもお伝えした通り、5歳以下の幼児の場合は、脾臓に造血機能があるとされているそうです。

【注目】脾臓破裂に対する後遺症等級認定基準について解説

とはいえ、身体の一部の臓器を失ってしまうのですから、何かしらの後遺症が認定されるのではないかと思います。

交通事故による後遺症は、1級~14級という等級が定められており、等級ごとに認定基準が定められているということです。

残存する症状が重ければ重いほど、数字の低い等級に該当するとも聞きました。

脾臓破裂の場合の等級認定の基準はどのようになっているのでしょうか?

脾臓破裂に伴い、脾臓を摘出した場合には、「脾臓を失ったもの」として13級11号が認定されます。

以上は脾臓を摘出した場合についてだと思うのですが、脾臓を摘出していない場合には、後遺症が認定されることはないのでしょうか?

衝撃を受けた左上腹部や周囲の神経の損傷により、左肩に痛みが残った場合には14級9号が認定される可能性があります。

脾臓を摘出した場合も、しない場合にも、交通事故による後遺症が認定される可能性があるということなんですね。

脾臓破裂での後遺症等級認定基準
傷害の状態 後遺症等級
脾臓を摘出 13級11号
左上腹部や左肩の痛み 14級9号

知らなきゃ損①交通事故による脾臓破裂の治療に対する慰謝料や治療費は?

知らなきゃ損①交通事故による脾臓破裂の治療に対する慰謝料や治療費は?

ここまでで、脾臓破裂の症状や治療法について理解を深めていただけましたでしょうか。

しかし、治療を続けるにあたっては、その間の生活費や治療費、仕事を休まなければならないことに対して、不安ばかりですよね。

最初に、

治療中の生活費や治療費の悩みを解決するためにできることがあるって知っていましたか?

とお聞きしました。

ここからは、その答えを、岡野弁護士に話を聞きながら、詳しく見ていきましょう。

治療費の支払いは誰が?

まずは、入通院中の治療費についてです。

交通事故によるケガの治療をする場合であっても、病院との関係では、治療費の支払義務は患者である被害者の方にあることになるそうです。

よって、原則的な治療費の支払い方法としては、被害者の方が病院に治療費を立替え、立替えた治療費を加害者側に請求するという形になります。

ただし、加害者側が任意保険会社に加入している場合、治療費を相手側の保険会社から治療機関に直接支払うという一括対応という手続きがあります。

この場合、被害者の方は病院の窓口で治療費を立て替える必要がなくなります

交通事故でも健康保険で通院できる!?

また、交通事故の治療に健康保険などの保険を使用するかどうかを決める必要があります。

ところで、交通事故では健康保険を使用できないと誤解されていらっしゃる方も多いようですね。

https://twitter.com/Kagiroi21/status/948741605384642560

しかし、厚生労働省は、以下のように交通事故でも健康保険を使えるという通達(通知)を出しています。

犯罪や自動車事故等の被害を受けたことにより生じた傷病は、医療保険各法(健康保険法、船員保険法、国民健康保険法及び高齢者の医療の確保に関する法律)において、一般の保険事故と同様に、医療保険の給付の対象とされています

ただし、健康保険を使用する場合には、病院に対して健康保険証を呈示し、健康保険を使用する意思を伝える必要があるとのことです。

健康保険証の呈示だけではなく、使用の意思をはっきりと伝えるのがポイントということです。

ここで、健康保険を使わない自由診療と、健康保険診療との違いをまとめてみましたので、良ければ参考にしてみてください。

自由診療と健康保険診療との比較
自由診療 健康保険診療
費用 高額 低額
治療方法 制限なし 制限有り

病院によっては、健康保険の使用を拒否したり、一括対応に応じてくれないところもあります。

そういった場合に、弁護士が介入することにより、病院の対応が変わった事例もあります。

病院での対応にお困りの方は、弁護士に相談だけでもしてみた方が良いかもしれませんね!

支払いが困難な場合には…

しかし、交通事故による怪我の治療が長引いた場合、支払いが困難になってしまうことも考えられます。

そういった場合には、どうすれば良いのでしょうか?

被害者ご本人が傷害保険に加入している場合、過失割合に関係なく契約に応じた保険金が支払われます。

また、加害者が加入している自賠責保険の仮渡金制度を利用するという方法もあります。

仮渡金制度とは、

損害賠償金の確定前に、被害者の方が相手側の自賠責保険会社に前もって治療費を請求できる

という仕組みのことです。

ただし、最終的な賠償額よりも多い金額を受け取ってしまった場合には、差額を返却する必要がある点には注意が必要です。

入通院慰謝料の相場について解説

治療費の他に、ケガの痛みや治療による苦痛に対する補償である入通院慰謝料というものも支払われます。

この入通院慰謝料は、治療にかかった期間が、慰謝料のほぼ唯一の基準となっているということです。

以下に、入通院慰謝料相場を示しましたので、ご覧になってみてください。

重傷の慰謝料算定表

重傷の慰謝料算定表

ちなみに、自賠責保険からの入通院慰謝料の計算方法は、以下のいずれか短い方に、4200円をかけるという方法になるそうです。

  • 入院日数と、実通院日数の2倍の合計
  • 総治療期間

長期間通院すれば良いワケじゃない!?通院頻度と慰謝料の関係をお教えします!

では、治療の日数により慰謝料が決まるということであれば、通院頻度を低く、長い期間通った方が高い慰謝料をもらえるのか!?という疑問があります。

しかし、通院頻度が少ない場合には、慰謝料が減額されてしまうケースもあるということなのです。

通院頻度と慰謝料の関係
  1. ① 通院が1年以上にわたり、通院頻度が1ヶ月あたり2~3回程度にも達しない場合
  2. ② 通院を継続しているものの、治療よりも検査や治癒経過観察の意味合いが強い場合

の場合には、通院期間を限度にして、実治療日数の3.5倍程度の日数を基準として慰謝料を計算する。

もう少し具体的に説明しますね。

たとえば、①のケースを考えてみます。

極端な例ですが、通院期間が半年で、実通院日数が8日しかなかったとしましょう。

通院期間が基準であるならば、半年通院=慰謝料116万円もらえるのかというと違います。

この場合、通院頻度が1ヶ月あたり2回に達していないので、8×3.5=28日(≒1ヶ月)が適用され、慰謝料は28万円ということになってしまうのです。

通院慰謝料の算定ルール
原則 例外
通院期間により算定 通院期間を限度として、実治療日数の3.5倍程度により算定

このように、慰謝料の算定には例外ルールなどもあり、被害者ご本人だけではわからないことも多くあると思います。

適正な慰謝料獲得に向けて、少しでも不明点がある場合には、ぜひ弁護士に相談してみてください。

知らなきゃ損②交通事故による脾臓破裂の後遺症に対する慰謝料・示談金・保険金は?

知らなきゃ損②交通事故による脾臓破裂の後遺症に対する慰謝料・示談金・保険金は?

治療中の費用の補償については、わかってきました。

ではここからは、最初の質問に対する回答について解説してもらおうと思います!

選択肢①:

脾臓破裂との関係で、後遺症認定を獲得し、保険会社に慰謝料の増額請求をする。

選択肢②:

脾臓破裂によって失った将来の給与・収入を主張し、賠償金や保険金の再計算を求める。

選択肢③:

脾臓破裂を負う原因となった相手に対して、損害賠償を請求する裁判を起こす。

費用に関する悩みを解決するための正解は、上記の選択肢のうちのどれなのでしょうか…。

正解は、上記の選択肢①~③のすべてになります。

そうなのですね!?

では、正解の内容について、詳しく解説してもらいましょう。

選択肢①後遺症の等級認定を獲得し、慰謝料を増額請求する

すでにお伝えの通り、脾臓破裂の怪我を負った場合、後遺症が残ってしまう可能性があるということでした。

脾臓破裂に対する後遺症の等級についてはすでにお伝えしましたね。

その等級に応じて、後遺症慰謝料の金額が決まっているそうなのです。

その前に、慰謝料には3つの基準があるってご存知でしたか?

慰謝料増額に向けて知っておきたい基礎知識~3つの慰謝料相場の基準~

慰謝料には、

  • 自賠責保険に請求する場合
  • 任意保険会社が提示する場合
  • 弁護士が相手側や保険会社に請求する場合

の3つの基準が存在しているそうなのです。

自賠責基準

自賠責保険会社の慰謝料とは、自賠法に基づく省令により設定されているものです。

自賠法は、交通事故の被害者が最低限の補償を受けるためのものであり、その金額は低く設定されています。

任意保険基準

保険会社でも、任意保険会社による慰謝料基準も存在しています。

ただし、任意保険会社は営利企業のため、もちろん少ない金額で済ませたいと考えているハズですよね。

よって、自賠責の基準よりは高いものの、慰謝料の金額は少ないことが多いということです。

弁護士基準

保険会社の基準と比較して、最も高い基準となっているのが、裁判所や弁護士の基準です。

これは、裁判を行った場合や相手側と示談をする場合に用いられる基準のこと。

ただし、自分ひとりで裁判を起こし、相手側と争うのは、どう考えても難しいですよね…。

よって、高額の慰謝料を獲得するためには、弁護士に依頼をして示談や裁判を行うことが必要ということになるのです。

慰謝料金額の基準
自賠責基準 任意保険基準 弁護士基準
内容 交通事故被害者が最低限の補償を受けるためのもの 営利企業の保険会社が支払うもの 弁護士を付けて裁判や相手側との示談をする場合に用いられるもの
金額 金額は低め 自賠責基準よりは高いが、金額は低め 自賠責基準や任意保険基準よりも高い

では、それぞれの基準ごとの後遺症慰謝料の相場について、以下の表に示しました。

脾臓破裂の場合の後遺症慰謝料※1
後遺症等級 自賠責基準※2 任意保険基準※3 弁護士基準
13級 57 60 180
14級 32 40 110

一目瞭然ですが、しっかりとした補償を受けるためには、弁護士基準での慰謝料を受け取るべきですよね。

ただし、被害者ご本人だけで保険会社と交渉しても、低い示談金しか提示してもらえないことがほとんどということです。

これは、入通院慰謝料についても同じことが言えるということです。

加害者が任意保険に入っている場合には、弁護士に依頼して交渉してもらうと、弁護士基準の慰謝料を回収できることがほとんどだということです。

弁護士基準の慰謝料を獲得するためにも、ぜひ弁護士に相談いただければと思います!

自分で慰謝料を計算してみたい

ここまで読んで、自分の事故ではどれほどの慰謝料が受け取れるものなのか…。

今すぐに知りたいと思った方も多いのではないでしょうか。

このホームページでは、後遺症慰謝料だけでなく入通院慰謝料も含めた賠償金総額がわかる計算機を設置しています。

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選択肢②失った収入(休業損害・逸失利益)を主張する

治療費や慰謝料以外にも、脾臓破裂によって失った現在・将来の給与・収入を主張し、賠償金や保険金の再計算を求めるという方法もあるのですね。

主には、休業損害逸失利益の主張をするということになるそうです。

治療中に失った収入「休業損害」

まずは、休業損害について見てみましょう。

休業損害

交通事故により本来得られるはずであった収入や利益を失うこと。

では、休業損害の計算方法について見ていきたいと思います。

自賠責保険での計算方法

自賠責保険に対して、休業損害を請求する場合の計算方法は、5700円×休業日数ということです。

ただし、1日の休業損害が5700円を超えることを資料などで証明できれば、19000円までは日額の増額が認められています。

上限がありますが、日額が5700円以下の方でも、休業による収入の減収さえあれば、日額5700円で計算されるので、収入の低い人にとっては有利となりますね。

任意保険での計算方法

一方、任意保険や裁判所に対して、休業損害を請求する場合の計算方法は以下の通りということです。

1日あたりの基礎収入×休業日数

1日あたりの基礎収入をどうやって割り出すかは職業別に異なります。

日額5700円未満の人は実際の日額で計算される反面、証明できれば、19000円を超える日額も認められるので、収入の高い人にとって有利となります。

この話の中で誤解されがちですが、休業損害の請求において、日額が最低5700円になるわけでは必ずしもないということは注意しましょう。

よく自賠責保険は最低限の補償をする保険と言われるため、日額が自賠責で定められた5700円以下になるのはおかしいとおっしゃる方がいます。

しかし、自賠責保険の基準が用いられるのは、治療費や慰謝料などを合わせた損害賠償の総額が120万円以内の場合のみとなります。

損害賠償の総額が120万円を超えた場合には自賠責保険の基準は用いられなくなり、任意保険基準や弁護士基準が用いられることになるそうです。

「他の項目では任意保険基準や弁護士基準を用い、休業損害の項目だけ自賠責保険の基準を用いる」というように、良い基準だけ採用することはできないので注意が必要です。

休業損害の日額
自賠責保険 任意保険
原則 5700円 1日あたりの基礎収入
上限 19000円

職業別の基礎収入など、休業損害についてはこちらの記事で詳しく説明されていますので、良ければご覧ください。

失った将来の収入「逸失利益」

次に、逸失利益とは、以下のようなものになります。

逸失利益

後遺症により労働能力が失われてしまった場合に、本来得られるはずだった収入の減額分を補償するための損害賠償。

まず、逸失利益で最初に争いになるのは、現在、現実に収入の減額が発生しているかどうからしいですね。

後遺症認定の時点ですでに減収が発生している場合には、将来的にもその減収の継続が見込まれるため、逸失利益は認められやすいです。

また、脾臓破裂による後遺症が原因で、

  • 会社の部署を異動させられた
  • 職業選択の幅が狭くなった
  • 積極的な対人関係や対外的な活動が不可能になった

など、労働環境や能力に支障が出ていることが認定されれば、逸失利益が認められることになります。

一方で、実際に後遺症が残っていても、労働能力に与える影響が小さく、逸失利益が十分に得られないこともあるそうです。

すると、被害者の方は逸失利益を得られず、実際に残っている後遺症に対する補償として明らかに不十分になってしまいます。

そのような場合には、後遺症の慰謝料を相場よりも増額させることで、賠償のバランスが取られることもあるそうです。

ただし、そのような証明や交渉を自分ひとりで行うのは難しいですよね。

この場合も、弁護士に相談すれば、適切なアドバイスをもらえると思います!

選択肢③損害賠償請求の裁判を起こす

ここまでで、保険会社との交渉にあたっては、弁護士に入ってもらうことで弁護士基準の賠償が受け取れるということがわかってきました。

しかし、保険会社と争いのある部分については、裁判でしっかり主張立証しなければ、増額が認められない場合があるそうなのです。

実際、示談交渉だけの場合と、裁判を起こした場合で、弁護士基準の賠償額がどれほど受け取れるのかまとめた表があります。

弁護士基準と各ケースの検証
弁護士基準の
賠償額との比較
弁護士が保険会社と交渉 9~10割※1
弁護士をつけて裁判 10割

弁護士費用※2

また、休業損害や逸失利益についても、裁判を起こさなければ、増額を認めてもらえないことも多いようです。

つまり、確実に賠償額を受け取りたい場合には、脾臓破裂を負う原因となった相手に対して、損害賠償を請求する裁判を起こすことも一つの方法となります。

交通事故の流れ

実際の裁判例を見てみよう

ではここで、脾臓破裂の損害賠償について、実際に裁判で争われた事例を見てみましょう。

脾臓破裂(脾臓損傷)の後遺症に関する過去の裁判例
ケース①
職業:無職(32歳男性)
傷害:脾臓破裂その他
後遺症:脾臓摘出(13級11号)その他併合11級
《損害賠償》
傷害慰謝料:400万円
後遺症慰謝料:400万円
休業損害:552万6845円
逸失利益:1098万2695円
付添看護費等:128万2850円
ケース②
職業:公立学校英語教師(56歳女性)
傷害:外傷性脾損傷その他
後遺症:脾臓摘出(13級相当)その他
《損害賠償》
入通院慰謝料:250万円
後遺症慰謝料:1000万円※
休業損害:102万7319円
逸失利益:2002万1242円
付添看護費:36万5408円

もちろん、これ以外に、治療費や治療器具の購入費などの実費も認められています。

その他、付添看護費などが認められているケースもあります。

そして、実際に休業損害や逸失利益も認められていますね。

また、認定された後遺症の等級に対する慰謝料の相場よりも大幅に増額された後遺症慰謝料が認められているケースもあります。

裁判官の判断にもよりますが、裁判で損害賠償請求の根拠をしっかりと主張することができれば、個別の事情をくみ取ってもらえる可能性もあるのです。

しかし、すでにお伝えの通り、被害者ご本人やご家族だけで裁判を起こすのは困難が多いはずです。

最近では、無料相談を行っている弁護士事務所も多いです。

また、被害者の方の自動車保険に弁護士費用特約がついていれば、保険から弁護士費用が支給されます。

弁護士費用特約の内容は、以下の動画で弁護士がわかりやすく解説しています。

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以上、脾臓破裂の症状や治療法、治療費や慰謝料などの損害賠償について理解を深めていただけたでしょうか。

しっかりとした補償を受け取るため、今すぐ弁護士に相談したい!と思われた方もいらっしゃるはずです。

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最後に一言アドバイス

それでは、最後になりますが、脾臓破裂の後遺症や保険金についてお悩みの方に一言アドバイスをお願いします!

まずは、医師の診断を受け、じっくり療養し、お大事になさってください。

それでも残念なことに脾臓破裂の後遺症が残ってしまった場合は、弁護士に相談することをお勧めします。

なぜなら、日常生活に支障が及ぶような後遺症が残るような場合、適正な金額の補償を受けるべきだからです。

しかし、保険会社から示談金を提示され、書類にサインしてしまうと、あらためて慰謝料などを請求することは極めて困難になります。

そうなる前に、ぜひ弁護士無料相談を活用してみてください。

面倒な手続きや交渉などのお力にもなれるはずです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

最後までお読みいただけた方には、

  • 脾臓破裂症状治療法などの基礎知識
  • 脾臓破裂による後遺症の等級や認定基準
  • 脾臓破裂に対する慰謝料などの示談金相場

について、理解を深めていただけたのではないかと思います。

また、脾臓破裂の後遺症について、弁護士に相談した方が良いと感じた方もいらっしゃるでしょう。

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そうではなく、やっぱり直接会って話がしたいという場合は、全国弁護士検索を使って弁護士を探してみてください。

また、このホームページでは、交通事故の後遺症に関するその他関連記事も多数掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください!

交通事故による脾臓破裂の後遺症についてのQ&A

脾臓破裂の場合の等級認定の基準は?

脾臓破裂に伴い、脾臓を摘出した場合には、「脾臓を失ったもの」として13級11号が認定されます。また、摘出をしていなくても、衝撃を受けた左上腹部や周囲の神経の損傷により、左肩に痛みが残った場合には14級9号が認定される可能性があります。交通事故による後遺症は、1級~14級という等級が定められており、残存する症状が重ければ重いほど、数字の低い等級に該当するようです。 膵臓破裂の後遺症等級の認定基準

交通事故でも健康保険を使える?

交通事故の場合でも、健康保険を使うことは可能です。ただし、健康保険を使用する場合には、病院に対して健康保険証を呈示し、健康保険を使用する意思を伝える必要があるとのことです。病院に健康保険の使用を拒否されたなど、お困りの場合は一度弁護士に相談してみると良いでしょう。 健康保険での通院は可能?

しっかりと補償を受けるためにできる対策とは?

生活費や治療費についてしっかり補償を受けるための対策として、①脾臓破裂との関係で、後遺症認定を獲得し、保険会社に慰謝料の増額請求をする②脾臓破裂によって失った将来の給与・収入を主張し、賠償金や保険金の再計算を求める③脾臓破裂を負う原因となった相手に対して、損害賠償を請求する裁判を起こす、の3つが考えられます。いずれにしても、お悩みのことがあれば一度弁護士に相談してみるのが良いでしょう。 脾臓破裂の後遺症に対する賠償金

この記事の監修弁護士

岡野武志弁護士

アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。

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