路上で車の修理中に後続車追突 手術の輸血で肝炎に
認容額 | 621万1069円 |
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性別 | 男性 |
職業 | ダンプカー運転手 |
傷病名 | 頭部打撲擦過傷、左下腿開放性骨折、胸部打撲等 |
障害名 | 慢性肝炎 |
後遺障害等級 | 7級 |
判決日 | 昭和59年1月26日 |
裁判所 | 東京地方裁判所 |
交通事故の概要
昭和44年2月6日、埼玉県浦和市の路上において、被害者が自己が運転していたダンプカーのタイヤのパンクを修理中、加害者の運転するダンプカーに追突され、頭部打撲擦過傷、左下腿開放性骨折、胸部打撲等の傷害を受けた。
被害者の入通院治療の経過
被害者は、本件事故により、頭部打撲擦過傷、左下腿開放性骨折、胸部打撲等の傷害を受けた。
被害者は、事故当日、直ちにM病院外科に入院し、間もなく骨折部分の手術を受けたが、その際の輸血により急性の血清肝炎(輸血後肝炎)に罹患し、約3ヶ月後に黄疸症状があらわれた。そのため、被害者は、同年9月12日のM病院退院まで、外科的治療とともに、右肝炎に対する検査・治療を受け、その後も外来治療を続けた。
被害者の肝臓に対する検査等は昭和46年ころまで一応続けられたが、退院後、黄疸等の自覚症状はなくなり、被害者としては、肝炎は完全に治ゆしたものと考えた。ところが、その後長期間、自覚症状のないまま慢性非活動性肝炎として潜行していた被害者の肝炎は、昭和54年偶然的な事情で発覚された。被害者は、勤務先の会社の検診で「要観察」とされたため、同年4月32日K病院で診察を受けたところ、「肝臓が腫れている」と指摘され、同年5月9日同病院に入院して検査を受けた結果、慢性非活動性肝炎であることが判明した。
そのため、被害者は、同年7月11日までK病院で入院治療を受け、引き続き外来の通院治療を続けたものの、再び肝機能が悪化し、昭和56年4月1日から同年6月20日までK病院に再入院して治療を受けた。しかし、このころの被害者の肝炎は、治療しても病状が好転せず、放置すれば肝硬変や肝がんになるおそれのある慢性活動性肝炎に移行していた。
被害者は、再入院の退院後も引き続き同病院で通院治療を受けているが、現在自覚症状として、「体がだるい、すぐ疲れる。仕事に対する意欲がわかない」などの症状が出ており、医師からは入浴、飲酒を禁じられ、勤務時間(特に深夜勤務)を制限され、もし今後治療を中止し放置すれば、肝硬変や肝がんとなり生命を失う危険すらある状況である。
判決の概要
路上で被害者(男性)がダンプカーのタイヤのパンクを修理中、加害者運転のダンプカーに追突され受傷し、入院して手術を受けた際の輸血により血清肝炎にかかりこれが慢性肝炎に移行した場合に、被害者が慢性肝炎による損害を認識したのは、病院で診断を受けた時以降であり、その後3年を経過する前に加害者を相手方として調停を申立、調停不成立の翌日に本訴を提起しているから、本件損害賠償請求権について消滅時効は完成していない、とした。
認容された損害額の内訳
入院付添費 | 26万1000円 |
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入院雑費 | 10万1500円 |
休業損害 | 296万7260円 |
逸失利益 | 108万1309円 |
慰謝料 | 120万円 |
弁護士費用 | 60万円 |
※その他、既払い額や損益相殺がなされ、判決認容額となります。