後遺障害14級の交通事故慰謝料|1361万円の判例を弁護士が解説
このページでは、後遺障害14級の判例についてご紹介します。
交通事故により後遺障害が残ってしまった場合、等級にしたがって後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益が支払われることになります。
それぞれの金額は、後遺障害の部位や症状、被害者の状況が考慮されます。
こちらの判例の被害者は、後遺障害14級が認定され、総額1361万円の損害賠償金が認定されたようですが、どのような点がポイントになったのでしょうか。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見ていきましょう。
障害等級14級(女・症状固定時41歳)損害額1361万0470円の判例
こちらは、神戸地方裁判所の判決、平成19年(ワ)第15号事件です。
この事故での主な怪我の内容は、頚椎捻挫となります。
交通事故の基本情報
事故の内容は「信号のない三叉交差点で右折の加害車が直進の被害車に衝突し、被害車は更に駐車中の他車に接触した上沿道建物フェンスに接触した。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 生保外交員 |
---|---|
性別 | 女 |
年齢 | 症状固定時41歳 |
事故の内容 | 信号のない三叉交差点で右折の加害車が直進の被害車に衝突し、被害車は更に駐車中の他車に接触した上沿道建物フェンスに接触した。 |
傷害の内容 | 頚椎捻挫、左肩打撲捻挫 |
後遺障害等級 | 14級 |
入院 | 101日 |
被害者は幸い骨折はしなかったものの、事故のケガによって101日の入院をされたようです。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 1361万0470円 |
---|---|
うち慰謝料 | 320万円 |
うち休業損害 | 522万1755円 |
うち逸失利益 | 333万3270円 |
損害総額は1361万0470円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額1361万0470円になりました。
- 慰謝料としては、傷害慰謝料が210万円、後遺障害の慰謝料が110万円認められました。
- 休業損害としては、基礎収入は463万7562円、休業日数657日のうち最初の165日間は100%、次の164日間は75%、次の164日間は50%、残りの164日間は25%の労働能力を喪失したものとして算出されました。
- 逸失利益は、基礎収入は休業損害と同じく463万7562円、労働能力喪失率は5%、後遺障害の内容・程度、更に症状固定時の年齢が41歳であることを総合的に考慮すると労働能力喪失期間は26年として算定されました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの女性は頚椎捻挫と左肩打撲捻挫によって後遺障害14級相当が認められたようです。
この判例のポイントはどのような点になりますか?
被害者は事故当時、生命保険会社の外交員として勤務していましたが、事故後に2年以上の期間にわたり休業しました。
本件では、2年間の休業損害が、損害として認められるか否かが争点となりました。
裁判所は、休業による減収の全額を損害として認める判断はせず、休業期間に応じて割合的に休業損害を認める折衷的な判断をしました。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
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後遺障害14級の慰謝料計算の特徴は?
14級の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
一口に14級と言っても各号ごとに症状は様々ですが、原則として慰謝料は等級に応じて定められ、14級の場合、裁判基準では110万円となっております。
特に争いになりやすいのは逸失利益の項目であり、14級9号の神経症状の場合には、一生症状が残るものではないとして、計算の基礎となる労働能力喪失期間が制限されることが多いです。
むち打ち症の場合、裁判では、5年程度とされることが多いですが、保険会社からは2〜3年程度と主張されることも多いので、安易に示談には応じないほうがいいでしょう。
また、14級9号の神経症状であっても、その症状が骨折等の器質的損傷に基づくものである場合には、むち打ち症の場合よりも労働能力喪失期間を長く考える傾向にある点にも注意が必要です。
さらに、14級2号の歯科補綴や14級4号や5号の外貌醜状の場合、仕事には支障がないとして、逸失利益を保険会社が否定してくることも多いです。
そのような場合には、職務内容や職務にどのような支障が出ているかを具体的に主張する必要があることがポイントです。
ただし、これらのポイントはあくまで一般論であり、上記の裁判例のように、事故に遭われた方の事情は当然異なります。
交通事故でのお怪我に関しご相談ご希望の場合は、まず弁護士等の専門家に相談してみましょう。
まとめ
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。