交通事故の被害者が慰謝料請求!相場と計算、通院と保険の関係は?
交通事故の解決に弁護士を依頼するメリットのひとつが、慰謝料の増額です。
なぜ、弁護士が関わることによって慰謝料の増額につながるのでしょうか?
このページでは、慰謝料の相場に加えて、逸失利益などについてもまとめました。
目次
弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- ・そもそも、なんで弁護士が入ると慰謝料が増えるんだろう?
- ・なぜ、保険会社は弁護士がつくと嫌がるんだろう?
こういった素朴な疑問をお持ちの方も多くいらっしゃるようです。確かに、なぜ弁護士が介入しただけで慰謝料が上がるのかは、よく考えると分かりづらい事ではあります。
以下では、裁判を背景に交渉ができるという弁護士の強みを解説したうえで、なぜ保険会社が裁判を嫌がるのかをご紹介します。
裁判を背景にして交渉することができる
一般的に、交渉の当事者が弁護士以外の場合、交渉が決裂してもすぐに裁判ということにはなりません。裁判をするためには新たに弁護士をたてる手間と費用がかかりますし、そもそも裁判が身近ではないため、裁判を行うことを躊躇することが多いからです。
しかし、弁護士であれば、交渉が決裂した場合にはすぐに裁判を開始できるため、裁判を背景にした交渉をすることができます。そして、裁判による負担は加害者側にとっても大きいため、加害者側はなんとか裁判にしないよう、通常よりも高い慰謝料を提示することが多いのです。
加害者側の保険会社が裁判を嫌がる理由は、大きく分けて以下の3つがあります。
- ①被害者側の弁護士費用の負担
- ②加害者側の弁護士費用の負担
- ③遅延損害金の負担
被害者側の弁護士費用の負担
加害者側の保険会社が裁判を嫌がる理由の1つ目は、裁判で負けた場合、被害者側の弁護士費用も支払わなければならないという点です。
裁判では、賠償金の請求が認められた場合、原告側の弁護士費用も一定の割合で支払わなければいけません。その額は、請求が認められた額から既払い分を引いた額の10%とされることが多いようです。
そのため、例えば合計3000万円の請求が認められた場合には、加害者側の保険会社は300万円の弁護士費用を負担しなくてはならないのです。
請求額が大きくなるほど、被害者側の弁護士費用も高額になりますので、加害者側の保険会社は、裁判になって被害者側の弁護士費用を支払うことを避けたいのです。
加害者側の弁護士費用の負担
加害者側の保険会社が裁判を嫌がる理由の2つ目は、裁判になった場合、加害者側の弁護士費用が発生するということです。
民事訴訟では、一部の例外を除いて、弁護士でなければ代理人になることができません。そのため、保険会社が加害者を代理して裁判をすることができず、別途弁護士に依頼をする必要があります。
しかし、高額な請求を受ける場合等には、弁護士費用が100万円を超える場合もあることから、保険会社はできるだけ裁判にしたくないのです。
遅延損害金の負担
加害者側の保険会社が裁判を嫌がる理由の3つ目は、遅延損害金の発生です。
遅延損害金とは、支払いが遅れたことについての損害を補填する金額をいいます。そして、交通事故の請求では、損害を支払うべき日は事故当日とされているため、裁判が長引いてその判決が遅くなるほど、高額の遅延損害金を支払うリスクが高まるのです。
遅延損害金の計算は、年率5%で行います。たとえば、裁判で3000万円の請求をされてその満額が事故日から5年後に判決で認められた場合、750万円もの遅延損害金を支払わなくてはならないのです。
この遅延損害金の存在は、加害者側の保険会社が裁判をやりたくない大きな理由になっています。
(加害者側保険会社が裁判を嫌がる理由)
被害者側の弁護士費用の負担 | 裁判で負けた場合、加害者側の保険会社が被害者側の弁護士費用を負担することになる |
---|---|
加害者側の弁護士費用の負担 | 裁判になった場合、新たに弁護士に依頼する必要があり、弁護士費用が発生する |
遅延損害金の負担 | 裁判で負けた場合、事故当時から判決確定まで、裁判で認められた金額の年率5%の遅延損害金を支払う必要がある |
交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- ・慰謝料の額って、どうやって決まるの?
- ・結局慰謝料の額は裁判所が適当に決めたりするものなの?
慰謝料の額がどれくらいになるかの計算について、疑問に思うことは多いと思います。実は、慰謝料の額には一定の相場があり、多くの事案はその相場通りに支払われているのですが、この事実を知る方はそれほど多くありません。以下では、慰謝料の相場とその計算方法について、簡単に説明いたします。
入通院の慰謝料の決まり方
入通院の慰謝料とは、交通事故により入院や通院、リハビリ等をせざるを得ないことについての精神的苦痛に対する慰謝料のことです。
入通院の慰謝料の計算は、実務上、通称「赤い本」と呼ばれる法律書に記載されている相場にのっとってなされます。
「赤い本」には、入通院の慰謝料の計算方法として、別表Ⅰと別表Ⅱという表が挙げられており、それぞれ入通院期間により額が分かるようになっています。
基本的には別表Ⅰに従って算定されますが、むちうちや軽度の傷害等の場合には、別表Ⅱにより算定されることとなります。別表Ⅱは、記載されている金額が別表Ⅰに比べて低い上、通院期間を実通院日数×3で計算するため(※)、さらに金額が低くなります。
※ 別表Ⅰの通院期間は、基本的には通院期間で計算します。例えば、半年の間に50日通院した場合、別表Ⅰによれば通院期間は6か月になりますが、別表2によれば、通院期間は5カ月になります(実通院日数50日×3=150日=5か月)。
後遺障害の慰謝料の決まり方
後遺障害の慰謝料にも、入通院の慰謝料と同様、「赤い本」記載の一定の相場があります。
「赤い本」によると、後遺障害慰謝料の相場は、後遺障害等級により異なります。例えば、一番軽い14級だと110万円、10級だと550万円、一番重い1級だと2800万円になります。
もっとも、この相場は、通常想定される精神的損害をもとに計算したものですから、個別具体的な事情により増減することはあります。
保険会社が慰謝料を低く提示する理由
加害者側の保険会社が慰謝料を低く提示する理由は明確で、保険会社はあくまで民間の営利を目的とする会社であるからです。
営利を目的とする以上、保険事業により利益を出さなければならないため、支出する金額は低ければ低いほど良いのは当然でしょう。
そして、通常の相場よりも安い金額で示談ができれば、後に被害者から再度慰謝料請求をされることもなく、相場よりも安い慰謝料で解決します。
このように、加害者側の保険会社はあくまで営利企業であるため、保険会社の利益を最大限守るために動くのです。
まとめ表
入通院の慰謝料の決まり方 | 「赤い本」の別表により計算 基本は別表Ⅰ、むち打ちや軽傷の場合は別表Ⅱを使用 |
---|---|
後遺障害の慰藉料の決まり方 | 「赤い本」記載の基準により計算 後遺障害等級により異なる |
保険会社が慰謝料を低く提示する理由 | 保険会社の営利企業という性格 |
慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
- ・逸失利益ってそもそもなに?
- ・休業損害や慰謝料とどう違うの?
このようなことでお悩みの方も多いです。逸失利益も休業損害も慰謝料も、加害者から受け取れるお金という点では同じですが、その意義が全く異なります。
しかし、特に交通事故にかかわったことがある場合でもない限り、分からなくて当然でしょう。以下では、逸失利益の意義や内容について、紹介していきます。
休業損害と逸失利益の違い
休業損害と逸失利益の違いは、その損害や損失が生じるタイミングにあります。
休業損害とは、交通事故被害者の症状が固定するまでに働くことができずに収入を得られなかったことについての損害をいいます。そして、症状固定とは、今後治療を継続しても大幅な回復が見込めず、症状が残ってしまった時点を指します。
要するに、休業損害とは、後遺障害として症状が残る前に得られなかった収入のことです。
一方、逸失利益は、症状固定後に働けないことによる収入の喪失のことです。
このように、症状固定の時期を基準にして、それより前に生じた損失か後に生じた損失かにより、名前が変わってきます。
慰謝料と逸失利益との違い
慰謝料と逸失利益との違いは、その損害が精神的損害か財産的損害かにあります。
慰謝料とは、事故により生じた精神的損害、すなわち悲しみや苦しみに対して支払われるお金です。一方、逸失利益は、交通事故により働けなくなったことによる収入の減少という財産的損害のことをいいます。
弁護士介入で逸失利益が大幅に増額する理由
弁護士の介入により逸失利益が大幅に増額する理由は、裁判において認定される逸失利益と、保険会社が提示する逸失利益の計算方法が大幅に異なるためです。
そもそも、逸失利益は、(年収)×(労働能力喪失率)×(喪失期間のライプニッツ係数)という計算式で計算されます。この計算式の各部分の数字につき、保険会社は裁判所の数字よりも低い数字を提示してくるのです。
年収の部分においては、保険会社は事故の前年度の年収額を基準として、逸失利益を計算します。
しかし、30歳未満の被害者の現実の年収額が平均賃金よりも低い場合、平均賃金に従って年収を計算することが多いため、裁判所が認定する数字の方が高いことがあります。
喪失率の部分については、裁判上は、「赤い本」記載の後遺障害等級による一定の相場を基準として判断します。しかし、保険会社は、その後遺障害では仕事にそこまで差し支えがないなどと主張して、より低い喪失率で計算することがあります。
喪失期間については、裁判上、神経症状(痛み、痺れ等)の後遺障害を除き、67歳までの期間を基準に計算します。しかし、保険会社は、10年間を基準として計算する等、裁判所の基準よりも大幅に短い期間で計算することも多いです。
弁護士に保険会社との交渉を依頼すれば、このような裁判所の基準と保険会社の提示の違いを弁護士が指摘し、裁判を背景に交渉をすることで、より高額な逸失利益を受け取ることができることも少なくありません。
まとめ表
休業損害と逸失利益の違い | 症状固定の時期を基準とし、それより前で生じたか後に生じたかで区別 症状固定日より後に生じた物が逸失利益 |
---|---|
慰謝料と逸失利益の違い | 慰謝料は精神的損害の賠償、逸失利益は財産的損害の賠償 |
弁護士介入で逸失利益が増額する理由 | 逸失利益の計算式の各部分について、裁判で認定される数字と保険会社が提示する数字が異なるため。 |
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いかがだったでしょうか?
この記事をお読みの方には、「交通事故の被害者が慰謝料請求!相場と計算、通院と保険の関係は?」というテーマに関して、理解を深めていただけたのではないでしょうか。
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まとめ
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
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