膀胱直腸障害等のため日常生活に支障、後遺障害5級
認容額 | 4440万7912円 |
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年齢 | 49歳 |
性別 | 男性 |
職業 | シェフ(ホテルに勤務)、料理教室の講師 |
傷病名 | 頚髄損傷等 |
障害名 | 膀胱直腸障害 |
後遺障害等級 | 5級 |
判決日 | 平成26年5月14日 |
裁判所 | 大阪地方裁判所 |
交通事故の概要
平成21年8月23日午後6時20分ころ、大阪府大東市の道路において、本件道路を走行していた丙川の普通乗用自動車と、一方通行である本件道路を逆走してきた加害者の普通乗用自動車が衝突した。さらに、丙川の普通乗用自動車に続いて本件道路を走行していた被害者の普通自動二輪車が加害者の普通乗用自動車に衝突した。
被害者の入通院治療の経過
被害者は、本件事故により、頚髄損傷等の傷害を負った。
被害者は、本件事故後、次のとおり、入通院をした。
①A救命救急センター(以下「Aセンター」という。)
入院 平成21年8月23日から同年10月5日まで(44日間)
② B厚生年金病院(以下「B病院」という。)
入院 平成21年10月5日から平成22年2月1日まで(120日間)
③ 医療法人○○会C病院(以下「C病院」という。)
入院 平成22年8月の2日間
通院 平成22年2月3日から平成25年9月ころまで(症状固定日までの実通院日数は152日間)
後遺障害の内容
被害者は、平成23年2月17日に症状固定した。
医師は、被害者には、頚髄損傷、胸腹部臓器・生殖器・泌尿器の障害、四肢体幹の異常知覚および感覚の二-三/一〇程度の低下、上肢の筋力低下、巧緻運動障害、四肢腱反射亢進、歩行困難、膀胱直腸障害等の後遺症が残ると診断されている。
被害者はこれらの後遺障害により、我慢が出来ない便失禁があったり、重いものを持てなくなったり、食事の際に箸を使うことも困難になる等、日常生活に支障をきたしている。
被害者は、損害保険料率算出機構から、自動車損害賠償保障法施行令別表第二(以下「自賠等級」という。)7級4号に該当すると判断された。しかし、異議申立てを行った結果、平成23年10月18日、同機構から、頚髄損傷に伴う脊髄症状について、両手指機能の障害程度や四肢体幹の異常知覚、膀胱直腸障害等を含め脊髄の障害として総合的に勘案した結果、「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの」として、自賠等級5級2号に該当すると判断された。
判決の概要
加害者が運転していた普通乗用自動車が、被害者が運転していた普通自動二輪車と衝突したという交通事故により、被害者が負傷し、後遺障害を負ったとして、被害者が加害者に対し、民法709条に基づき、損害賠償を求めた。
被害者の症状については、両手指機能の障害程度や四肢体幹の異常知覚、膀胱直腸障害等が存在することを含めて脊髄の障害として勘案した上、日常生活はほとんどの時間を一人で過ごしていることなどを踏まえ、自賠等級5級程度と解するのが相当であるとした。本来は、被害者が元妻のところに生涯居住することを予定していたところ、必ずしも被害者の本意ではない経緯で、元妻の下を離れることとになり、現在、被害者は賃貸住宅で生活しているとの事情をも考慮して、元妻宅の改造費用のうち、2割を住宅改造費として認める等して、被害者の請求を一部認容した。
認容された損害額の内訳
治療関係費 | 1157万179円 |
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入院付添費 | 43万5200円 |
入院雑費 | 24万7500円 |
休業損害 | 632万5632円 |
逸失利益 | 4617万3920円 |
慰謝料 | 1735万円 |
通院費 | 31万 9720円 |
後遺障害診断書作成費用 | 1万 500円 |
家族交通費・引越費用・歩行補助具費等 | 22万 7006円 |
料理教室廃業による損害 | 10万円 |
症状固定後の治療費 | 18万 7116円 |
将来の成人用おむつ費用 | 173万 395円 |
将来の自動車買替費用 | 74万 5491円 |
住宅改造費 | 97万 7478円 |
損害の填補 | - 4769万 3438円 |
確定遅延損害金 | 170万 1213円 |
弁護士費用 | 400万円 |
※その他、既払い額や損益相殺がなされ、判決認容額となります。