交通事故の損害賠償|自動車事故によるむちうちの高額慰謝料|1664万円の判例
このページでは、27歳男性の事故によるむちうちの判例についてご紹介します。
むちうちは、交通事故によるケガの中でも比較的軽いものと見られがちですが、なかなか治らない痛みや痺れに悩まれている被害者は多いです。
しかし、むちうちは痛みが残っていたとしても、後遺障害として認められないことがほとんどであるのが現状です。
こちらの被害者は、後遺障害が認められ、また比較的高額な損害賠償金が認められた珍しい例といえます。
この判例のポイントはなんだったのでしょうか。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見ていきましょう。
美容師見習い(男・症状固定時27歳)損害額1664万1429円の判例
こちらは、東京地方裁判所の民事第27部の判決、平成19年(ワ)第23938号事件です。
この事故での主な怪我の内容は、全身打撲や頚椎捻挫となっています。
交通事故の基本情報
事故の内容は「土砂降りの雨の中、傘をさして無灯火で自転車横断帯を通行していた被害自転車に右折の加害車が衝突した。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 美容師見習い |
---|---|
性別 | 男 |
年齢 | 症状固定時27歳 |
事故の内容 | 土砂降りの雨の中、傘をさして無灯火で自転車横断帯を通行していた被害自転車に右折の加害車が衝突した。 |
傷害の内容 | 全身打撲、頚椎捻挫、左股関節捻挫(左股関節痛)、腰部挫傷 |
後遺障害等級 | 14級 |
入院 | 50日 |
被害者は骨折はしなかったものの、比較的重いむちうちによって50日の入院が必要となったようです。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 1664万1429円 |
---|---|
うち慰謝料 | 360万円 |
うち休業損害 | 572万円 |
うち逸失利益 | 465万6094円 |
損害総額は1664万1429円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額1664万1429円になりました。
- 慰謝料としては、入院・通院に対する慰謝料が250万円、後遺障害の慰謝料が110万円認められました。
- 休業損害としては、基礎収入月額を16万5000円とし、572万円が認められました。
- 逸失利益は、基礎収入は男性の全年齢平均賃金である542万7000円、労働能力喪失率は5%、労働能力喪失期間は67歳までの40年として算定されました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの男性は事故によって後遺障害14級が認定されたようですが、この判例のポイントはどのような点になりますか?
本件では、被害者が事故により「前脊髄動脈症候群」を発症したか否かが争点となりました。
なお、被害者側の代理人は、本件事故について3億円を超える損害賠償を請求していました。
裁判所は、むちうちによる局部の神経症状だけを認め、14級を認定しました。
67歳までの40年間にわたって逸失利益を認めましたので、むちうち事案にしては賠償額は高額なものとなりました。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
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むちうちの慰謝料計算の特徴は?
むちうちの慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
むちうちの慰謝料は、通院期間と通院日数によって金額が変わります。
たとえば、通院期間が6か月の場合で、通院日数が60日以上ある場合には、慰謝料の相場は89万円となります。
一方、同じ期間でも通院日数が10日間しかない場合には、約20万円ほどの慰謝料しか請求できない場合もあります。
むちうちは、痛みや違和感といった自覚症状しか認められないことも多いので、客観的な情報として通院日数が重視されているのでしょう。
むちうちの慰謝料相場は、通院にかかった期間だけではなく、通院の頻度も影響する場合があるということを覚えておきましょう。
もっとも、あくまで、通院期間を基礎とするのが原則ですので、保険会社から通院日数が少ないことを理由に慰謝料の減額を主張されたとしても安易に示談には応じない方がいいでしょう。
ただし、今申し上げたポイントは一般的・総論的なお話であり、上に挙げられている裁判例のように、事故に遭われた方のご事情はさまざまです。
もし交通事故によるお悩みがありましたら、まずは一度弁護士等の専門家に相談してみるのがよいでしょう。
まとめ
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。