交通事故で内臓破裂|生存率は!?後遺症が残った場合の症状や慰謝料もご紹介!
交通事故で内臓破裂…。
2016年末には、ミュージシャンのVERBALさんらが交通事故に遭い、内臓破裂の怪我を負ったということがニュースになっていましたね。
EXILEのMAKIDAIさんらと函館から札幌に自動車で移動していた人気ミュージシャン、VERBAL(バーバル)さん(42)が2016年末、交通事故に遭い、瀕死(ひんし)の重症を負った。
(略)
移動中にトラックが直撃、肋骨8本骨折で意識不明のまま病院へ
(略)
僕は右側の肩から背中にかけて肋骨が8本折れて、肩を脱臼し、内臓が破裂していた。気を失ったまま病院に運ばれたようです。(以下省略)
出典:https://style.nikkei.com/article/DGXMZO21027490S7A910C1000000?channel=DF280120166607
VERBALさんの場合は幸い回復し、音楽活動にも復帰されていますが、内臓破裂の怪我とは非常に重症のもののはずです。
もしも大切な家族が交通事故で内臓破裂を起こし、後遺症が残ってしまったとしたら…。
そのまま亡くなってしまったら…。
相手側からはどのような補償を受け取れるのでしょうか。
- 内臓破裂で後遺症が残ってしまった場合、保険会社はちゃんと補償してくれるの?
- その場合の補償の内容は?慰謝料はどれくらいもらえるの?
- どのような後遺症の等級が認定されるの?その認定基準は?
など、わからないことばかりのはずです。
そこで今回このページでは、交通事故で内臓破裂の怪我を負った場合の、後遺症や慰謝料の相場などについて、詳しく見ていきたいと思います。
目次
なお、専門的な解説は、テレビや雑誌でお馴染みの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
交通事故で内臓破裂という重症を負われ、心身ともにお辛い日々を送られているとお察しします。
また、内臓破裂による後遺症が残ってしまった場合、以前の生活には戻れないこともあり、ご本人だけでなくご家族への負担も非常に大きいものと考えられます。
それに加え、相手側の保険会社との交渉にストレスを感じてしまう方も多いようです。
今回は、これまでに相談を受けてきた経験を踏まえ、具体的な事例も紹介しながら、わかりやすく解説していきたいと思います。
交通事故による衝撃は凄まじいものです。
その衝撃により内臓破裂の怪我を負ってしまった場合、治療に専念するため、保険会社との交渉のストレスは少しでも減らしたいですよね。
そのためにも、交通事故による内臓破裂の怪我を負ってしまった場合の基本的な知識や、後遺症認定、慰謝料の相場などを一緒に勉強しておきましょう!
交通事故で内臓破裂|後遺症の等級を解説
生きるために非常に重要な「内臓」
内臓とは体内にある臓器の総称で、その通り臓器とも呼ばれています。
臓器は機能ごとに、「消化器系」、「循環器系」、「呼吸器系」、「泌尿器系」、「生殖器系」、「内分泌器系」、「感覚器系」、「神経系」、「運動器系」に分類されています。
具体的には、肺、心臓、肝臓、胃、小腸、大腸、膵臓、胆嚢、腎臓、精巣、卵巣などが挙げられますね。
皆さまご存知の通り、どれも人間の生命活動にとっては非常に重要なものです。
交通事故や転落事故などによる強力な鈍的作用で生じる内臓破裂とは主に、
- 胃、腸、膀胱などの内腔をもった臓器
- 肝臓、脾臓、腎臓などの実質臓器
が破裂してしまった状態のことを言うそうです。
最近は、特に交通事故によるものが増加しているとのことです。
内臓破裂の生存率は?助かる見込みは!?
内臓が破裂してしまった場合には一般的に、腹腔内出血や腹膜炎などを発症し、ショック状態に陥ります。
血圧の低下や意識を失ってしまうこともあるようです。
意識がある場合には、腹痛や嘔吐の症状が現れることもあるでしょう。
しかし、内臓はその名の通り、身体の中にあるものなので、外からは確認できません。
そのため、身体の見えている部分や頭部にも怪我をしている場合には、内臓の損傷は見落されがちです。
また、事故後は興奮状態に陥っているため、アドレナリンの放出により自覚症状もなく、気付いたときには重篤に陥っているケース多いそうなのです…。
では、もしも内臓破裂の重症を負ってしまった場合、生存率、助かる見込みはどれほどのものなのでしょうか?
えっ、交通事故での内臓破裂時の生存率、最速ドクターヘリ到着処置下でも45%で最悪5%なの…
— はせね(旧) (@Love_menonesan) February 2, 2017
結論から言うと、損傷を負った臓器の種類やその程度により変わってくるため、生存率は一概には言えないようです。
ただし、内臓破裂に限らず、「怪我の治療は早ければ早いほど良い」ことは確実です。
交通事故で胸腹部などを強く打った場合、事故直後には自覚症状がなくても、内臓破裂が生じているリスクも考えられます。
たとえ自覚症状がなくても、必ず病院で診断を受けるようにしましょう!!
骨折と内臓破裂の症状の違いは?
ところで、交通事故で胸腹部を強打した場合、肋骨や胸骨などを骨折している場合も考えられます。
どちらも痛みの症状がありそうですが、骨折と内臓破裂を症状の違いで見分けることができるのでしょうか??
調べてみたところ、骨折痛の場合は、
- 咳やくしゃみをしたとき
- 体を動かしたとき
に痛むことが多く、動かなければ痛みはそれほど感じないのが特徴なようです。
一方、内臓痛の場合には、動かなくても痛みがあることが多いようです。
呼吸器 |
---|
・胸全体で咳き込む ・胸が締めつけられる痛み ・息苦しさ ・肩甲骨付近の痛み |
心臓 |
・みぞおちの痛み ・胸の苦しさ ・動悸 ・背中の痛み |
肝臓 |
・右の肋骨付近の痛み ・背中の痛み ・爪の変形や色の黒ずみ ・顔がどす黒くなる |
腎臓 |
・背中から腰の痛み ・トイレが近くなる、もしくは遠くなる ・むくみ、冷え性 |
症状の違いはわかりましたが、骨折であってももちろん病院を受診する必要があります。
繰り返しになりますが、治療を早く受ければ受けるほど、助かる可能性は高くなります!
交通事故に遭った場合には、必ず病院に行くようにしてください。
交通事故で内臓破裂…その後に残る後遺症は!?等級認定についても解説
内臓破裂の大怪我を負った場合、病院での診断結果によっては、治療の一環として内臓の摘出などを行うこともあるようです。
内臓を失えば、様々な弊害が起こるはずです。
摘出まではしなくても、事故以前にはなかった症状が残ってしまう可能性も考えられます。
もしもそうなった場合、後遺症として認定されるのでしょうか…。
ちなみに後遺症の等級とは、1級~14級まで定められており、等級ごとに認定基準が定められているということです。
その認定基準についても知りたいですよね。
交通事故での内臓破裂による症状は後遺症に認定される?
調べてみたところ、胸腹部臓器の外傷と後遺症は、自賠法では、以下の5つに分類されているようです。
- ① 呼吸器
- ② 循環器
- ③ 腹部臓器
- ④ 泌尿器
- ⑤ 生殖器
ということで、交通事故により内臓破裂の大怪我を負い、後遺症が残った場合には、交通事故による後遺症として認定されるということになります。
ところで、内臓破裂を起こすような事故にあった場合、損傷を受ける臓器は1つだけでは収まらないような気がします…。
複数の臓器に障害を残す場合には、併合によって、後遺症の等級が認定されます。
(参考)等級の併合
「等級の併合」という話が出てきたので、ここで解説しておきますね。
実は、2つ以上の後遺症が残った場合、併合して1~3等級繰り上げるというルールが存在しているそうなのです。
たとえば、12級と9級の後遺症を負った場合には、併合して8級と認定されることになります。
詳しいルールは、以下のようになっているそうです。
例
等級併合のルール
ケース | 等級併合の方法 | 具体例 |
---|---|---|
13級以上の後遺症が2つ以上ある場合 | 重い方の後遺症を1級繰り上げる | 11級と12級の後遺症 ⇒併合10級 |
8級以上の後遺症害が2つ以上ある場合 | 重い方の後遺症を2級繰り上げる | 8級と7級の後遺症 ⇒併合5級 |
5級以上の後遺症が2つ以上ある場合 | 重い方の後遺症を3級繰り上げる | 5級と4級の後遺症 ⇒併合1級 |
ちなみに、1つが14級の認定であった場合には、等級は繰り上がらず、重い方の等級のまま認定されるということです。
たとえば、14級と11級の後遺症を負った場合には、併合11級の認定を受けることになります。
もっと詳しく知りたい方は、「後遺障害等級の併合とは|併合14級の慰謝料額は?後遺障害が複数ある方必見」の記事をご覧ください。
では、ここからは胸腹部臓器の後遺症について、詳しく見ていきましょう!
胸部の障害①呼吸器系
まず胸部には、肺、肋膜、横隔膜などの呼吸器系の内臓と、心臓などの循環器系の内臓が存在しています。
そのうち、呼吸器系の後遺症の判定では、3種類の測定結果をもとに判断するそうです。
測定①動脈血ガス分析
まず、肺については、気管を通じて空気を出し入れする換気機能と、酸素と炭酸ガスを血液中でやり取りする呼吸機能の2つ機能を有しています。
そのうち、呼吸機能を検査する場合は、動脈血ガス分析を行うそうです。
具体的には、動脈から採血した血液を10分以内に血液ガス自動分析装置にかけて分析するそうです。
その測定結果によって、以下のような等級認定がなされます。
動脈血炭素ガス分圧 | |||
---|---|---|---|
37~43 Torr |
それ 以外 |
||
動脈血酸素分圧 | 50Torr 以下 |
3級※ | |
50~60 Torr |
5級 | 3級※ | |
60~70 Torr |
9級 | 7級 | |
70Torr 以上 |
- | 11級 |
※ 要介護の場合は1、2級
原則動脈血ガス分析で判定をしますが、その結果が肺機能検査および運動負荷試験の判定結果よりも低い等級となる場合は、肺機能検査および運動負荷試験の判定結果により認定が行われます。
肺機能検査と運動負荷試験については、次に説明したいと思います。
測定②肺機能検査
次に、換気機能を検査する場合は、肺機能検査を行うそうです。
具体的には、スパイロメーターという計測器で決められた数値を測定します。
その測定結果によって、以下のような等級認定がなされます。
呼吸困難の程度 | スパイロメトリー測定値 | 等級 |
---|---|---|
高度 | 1秒率≦35%または%肺活量≦40% | 3級※ |
中等度 | 35%<1秒率≦55% または 40%<%肺活量≦60% |
7級 |
軽度 | 55%<1秒率≦70% または 60<%肺活量≦80% |
11級 |
※ 要介護の場合は1、2級
ちなみに、呼吸困難の程度を具体的に表すと、以下の通りになるそうです。
呼吸困難の程度
- 高度:呼吸困難のため、連続して概ね100m以上歩けないもの
- 中等度:呼吸困難のため、平地でさえ健常者と同様には歩けないが、自身のペースでなら1km程度の歩行が可能であるもの
- 軽度:呼吸困難のため、健常者と同様には階段の昇降ができないもの
測定③運動負荷試験
最後、上記2つの検査で立証できないものの、呼吸機能の低下による呼吸困難が認められる場合には、運動負荷試験が行われるそうです。
具体的には、心肺機能の異常とその程度を把握し、どの程度の運動までであれば安全に行えるのかを評価するための試験となります。
その測定結果によって、以下のような等級認定がなされます。
試験結果 | 等級 |
---|---|
明らかな呼吸機能の障害があると認められる場合 | 11級 |
胸部の障害②循環器系
続いて、循環器系の後遺症について詳しく見ていきましょう。
心臓機能の低下
まず、心臓機能の低下が考えられます。
心臓機能は、METsという身体活動や身体運動の強度の単位を用いて表されます。
具体的には、安静にしているときを1とし、その何倍のエネルギーを消費するかで強度が示されるそうです。
一般的に、
- 軽い散歩や階段の昇降:3METs
- 家財道具の移動や10分以内のジョギング:6METs
- 重い荷物の運搬、ランニング、水泳:8METs
と言われているそうです。
測定結果によって、以下のような等級認定がなされます。
測定結果 | 等級 |
---|---|
約6METsを超える強度の身体活動が制限された場合 | 9級 |
約8METsを超える強度の身体活動が制限された場合 | 11級 |
その他の後遺症
その他、循環器系について認定される等級の認定基準には、以下のようなものがあるそうです。
認定基準 | 等級 |
---|---|
除細動器を植え込んだ場合 | 7級 |
ペースメーカを植え込んだ場合 | 9級 |
房室弁または大動脈弁を置換し、継続的に抗凝血薬療法を行う場合 | 9級 |
房室弁または大動脈弁を置換し、抗凝血薬療法を行わない場合 | 11級 |
大動脈に偽腔開存型の解離を残す場合 | 11級 |
腹部の障害①消化器系
次に、腹部についてです。
腹部の内臓には、食道、胃、小腸、大腸や肝臓などの消化器系と、腎臓、尿管、膀胱や尿道などの泌尿器系、そして卵巣や精巣などの生殖器系があります。
腹部臓器の障害については、症状固定後に症状が悪化する可能性も高くなっています。
また、治癒した場合でも再発の可能性が高いため、注意が必要です。
後遺症認定に向けては、その点を考慮したうえで検査結果を残しておく必要があるでしょう。
食道の後遺症
まず、食道については、以下のような後遺症等級が認定される可能性があるそうです。
認定基準 | 等級 |
---|---|
食道の狭窄による通過障害を残すもの | 9級 |
「食道の狭窄による通過障害を残す」とは、以下のいずれにも該当する場合のことだそうです。
- 通過障害の自覚症状がある
- 消化管造影検査により、食道の狭窄による造影剤のうっ滞が認められる
胃の後遺症
続いて胃についてです。
交通事故で胃が破裂してしまった場合など、胃の一部もしくは全部を切除した場合には、少なくとも13級が認定されます。
また、特定の症状に該当する個数によって、13級以上の等級が認定されることもあります。
対象となる症状とは、以下の3つになるそうです。
①消化吸収障害 |
---|
胃の一部又は全部を切除したことにより、食べたものがうまく消化吸収されない状態。 胃の一部を切除した場合、BMIの数値が20以下の場合がこれに該当。 |
②ダンピング症候群 |
食後30分以内に眩暈や起立不能などの症状、もしくは食後2~3時間後に眩暈、全身の脱力感など等の症状が見られる状態。 |
③胃切除術後逆流性食道炎 |
胃の入り口の部分を切除したことにより、胃液が食道に逆流し、胸やけ、食道の潰瘍やびらんなどの症状が見られる状態。 |
以上も踏まえ、以下のような基準で等級が認定されるそうです。
認定基準 | 等級 |
---|---|
3つの症状すべてに該当する場合 | 7級 |
3つの症状のうち、いずれか2つ(※)が認められる場合 | 9級 |
3つの症状のうち、いずれか1つが認められる場合 | 11級 |
3つの症状は見られないが、胃の入口部分もしくは出口部分を含む胃の一部を亡失した場合 | 13級 |
※ ②と③の2つの場合には認定されない。
小腸・大腸の後遺症
次に、大腸や小腸については、以下の場合について等級が認定されるそうです。
小腸及び大腸を大量に切除したもの
以下のような等級認定の可能性があります。
認定基準 | 等級 |
---|---|
残存する空腸及び回腸の長さが100cm以下になった場合 | 9級 |
残存する空腸及び回腸の長さが100cmを超え300cm未満となったものであって、消化吸収障害が認められる場合 | 11級 |
大腸のすべてを切除するなど、大腸のほとんどを切除したもの |
人工肛門を増設したもの
大腸や小腸の損傷の程度によっては、ストマを設置することがあるそうです。
「ストマ」とは、腹部に便や尿を排泄するために増設された人工排泄口のことになります。
そのストマの状態により、以下のような等級認定の可能性があります。
認定基準 | 等級 |
---|---|
小腸又は大腸の内容が漏出することによりストマ周辺又は皮膚瘻周辺に著しいびらんを生じ、パウチなどの装着ができない場合 | 5級 |
人工肛門を装着したもののうち、5級に該当するもの以外の場合 | 7級 |
小腸又は大腸の皮膚瘻を残すもの
皮膚瘻(ひふろう)とは、尿管の断端をそのまま腹部皮膚面に出して、人工排泄口とした物で、人工膀胱の一種となっています。
その皮膚瘻の状態により、以下のような等級認定の可能性があります。
認定基準 | 等級 |
---|---|
瘻孔から小腸又は大腸の内容の全部又は大部分が漏出するもののうち、皮膚瘻周辺に漏出による著しいびらんを生じ、パウチなどの装着ができない場合 | 5級 |
①瘻孔から小腸又は大腸の内容の全部又は大部分が漏出する場合 ②瘻孔から漏出する小腸又は大腸の内容が100ml/日以上のもののうち、パウチなどによる維持管理が困難な場合 |
7級 |
瘻孔から漏出する小腸又は大腸の内容が100ml/日以上の場合 | 9級 |
瘻孔から少量ではあるが、明らかに小腸又は大腸の内容が漏出する程度の場合 | 11級 |
小腸又は大腸に狭窄を残すもの
以下のような等級認定の可能性があります。
認定基準 | 等級 |
---|---|
小腸又は大腸に狭窄を残す場合 | 11級 |
「狭窄を残すもの」とは、次のいずれにも該当する場合です。
- 1ヶ月に1回程度、腹痛、腹部膨満感、吐き気、嘔吐などの症状がある
- レントゲン像においてケルクリングひだ像が認められる
便秘を残すもの
以下のような等級認定の可能性があります。
認定基準 | 等級 |
---|---|
用手摘便要すると認められる場合 | 9級 |
それ以外 | 11級 |
ところで、便秘に関しては、交通事故に遭う前から症状がある方もいらっしゃると思います。
どのようにして交通事故後により便秘が発症したと示すのでしょうか。
後遺症の等級認定における便秘とは、次のいずれにも該当する場合に限定されています。
- 排便反射を支配する神経の損傷がMRI画像又はCT画像等により確認できる場合
- 排便回数が週2回以下の頻度であって、恒常的に硬便である場合
画像診断の結果と、排便の頻度や便の程度が基準に該当する場合には、交通事故が原因の便秘であると認定されるのですね。
便失禁を残すもの
以下のような等級認定の可能性があります。
認定基準 | 等級 |
---|---|
完全便失禁 | 7級 |
常時おむつの装着が必要な場合 | 9級 |
常時おむつの装着は必要ないものの、明らかに便失禁があると認められる場合 | 11級 |
肝臓・胆のうの後遺症
次に、肝臓や胆のうについては、以下の場合について等級が認定されるそうです。
認定基準 | 等級 |
---|---|
肝硬変であり、ウイルスの持続感染が認められ、かつGOT・GPTが持続的に低値である場合 | 9級 |
慢性肝炎であり、ウイルスの持続感染が認められ、かつGOT・GPTが持続的に低値である場合 | 11級 |
胆のうを失った場合 | 13級 |
認定基準に出てくるGOT(アスパラギン酸アミノトランスフェラーセ)とは、体の重要な構成要素であるアミノ酸を作り出す酵素の1つです。
身体のさまざまな臓器に含まれているようですが、特に肝臓や心筋、腎臓の細胞に多く含まれているそうです。
もう1つのGPT(アラニン・アミノトランスフェラーゼ)も酵素の1つになります。
GOTと同じく、肝臓や腎臓、心筋などの細胞に含まれているようですが、特に肝臓に多いそうです。
急性肝炎や慢性肝炎、肝硬変などの肝疾患を診断するうえで重要な数値となります。
膵臓の後遺症
次に、膵臓については、以下の場合について等級が認定されるそうです。
認定基準 | 等級 |
---|---|
外分泌機能の障害と内分泌機能の障害の両方が認められる場合 | 9級 |
外分泌機能の障害又は内分泌機能の障害のいずれかが認められる場合 | 11級 |
脾臓の後遺症
最後、脾臓については、以下の場合について等級が認定されるそうです。
認定基準 | 等級 |
---|---|
脾臓を失った場合 | 13級 |
(参考)腹壁瘢痕ヘルニアなど
交通事故の後遺症認定ではなく、労災では、
- 腹壁瘢痕ヘルニア
- 腹壁ヘルニア
- 鼠径ヘルニア
- 内ヘルニア
のいずれかが残った場合は、次のように認定されるそうです。
認定基準 | 等級 |
---|---|
常時ヘルニア内容の脱出・膨隆が認められるもの、または立位をしたときへるにあ内容の脱出・膨隆が認められる場合 | 9級 |
重激な業務に従事した場合など腹圧が強くかかるときにヘルニア内容の脱出・膨隆が認められる場合 | 11級 |
腹部の障害②泌尿器系
次に、泌尿器については、腎臓、尿管、膀胱、尿道で構成されています。
腎臓の後遺症
腎臓の障害は、以下の2つの程度により判定されるそうです。
- 腎臓の亡失の有無
- 糸球体濾過値(GFR)
GFRとは、老廃物を尿へ排泄する腎臓の能力の程度で、この値が低いほど腎臓の働きが悪いということになります。
GFR | ||||
---|---|---|---|---|
31~50ml/分 | 51~70ml/分 | 71~90ml/分 | 91ml/分 | |
腎臓の亡失 | 7級 | 9級 | 11級 | 13級 |
腎臓あり | 9級 | 11級 | 13級 | - |
尿管・膀胱・尿道の後遺症
尿管、膀胱、尿道については、以下の場合について等級が認定されるそうです。
尿路変更術を行ったもの
以下のような等級認定の可能性があります。
認定基準 | 等級 |
---|---|
非尿禁制型尿路変更術を行ったもののうち、尿の漏出によりストマ周辺に著しいびらんを生じ、パッドなどの装着ができない場合 | 5級 |
①非尿禁制型尿路変更術を行った場合 ②禁制型尿リザボアの術式を行った場合 |
7級 |
尿禁制型尿路変更術を行ったもののうち、禁制型尿リザボア及び外尿道口形成術を除く場合 | 9級 |
外尿道口形成術を行ったもの又は尿道カテーテルを留置した場合 | 11級 |
排尿障害を残すもの
以下のような等級認定の可能性があります。
認定基準 | 等級 |
---|---|
膀胱の機能障害により、残尿が100ml以上である場合 | 9級 |
①膀胱の機能障害により、残尿が50ml以上100ml未満である場合 ②尿道狭窄のため、糸状ブジーを必要とする場合 |
11級 |
尿道狭窄のため、糸状ブジー第20番がかろうじて通り、時々拡張術を行う必要のある場合 | 14級 |
蓄尿障害を残すもの
以下のような等級認定の可能性があります。
認定基準 | 等級 |
---|---|
①持続性尿失禁を残す場合 ②切迫性尿失禁及び腹圧性尿失禁のため、終日パッド等を装着し、且つパッドをしばしば交換する場合 |
7級 |
切迫性尿失禁又は腹圧性尿失禁のため、常時パッド等を装着しているが、パッドの交換を要しない場合 | 9級 |
切迫性尿失禁又は腹圧性尿失禁のため、パッドの装着は要しないが、下着が少し濡れる場合 | 11級 |
切迫性尿失禁とは、前触れもなく突然強い尿意が起こり失禁してしまう場合です。
一方、腹圧性尿失禁とは、日常動作の中で腹部に力が加わった時に失禁してしまう場合になります。
また、頻尿とは次のいずれにも該当する場合のことになります。
- 器質的病変による膀胱容量の器質的な減少又は膀胱若しくは尿道の支配神経の損傷が認められる
- 日中8回以上の排尿が認められる
- 多飲などの他の原因が認められない
腹部の障害③生殖器系
最後、生殖器系の後遺症についてです。
生殖器については、男女で違うものになりますが、どのような差があるのでしょうか?
詳しく見ていきましょう。
男性の場合
男性の生殖器外傷に伴う後遺症については、以下の3つに分類されているそうです。
生殖機能を完全に喪失したもの
以下のような等級認定の可能性があります。
認定基準 | 等級 |
---|---|
両側の睾丸を失った場合 | 7級13号 |
常態として精液中に精子が存在しない場合※ | 7級相当 |
※ 男性で3.5グレイ以上の大量の放射線被爆を前提としたもので、交通事故では通常想定されない。
生殖機能に著しい障害を残すもの
生殖機能は残存しているものの、通常の性交では、生殖を行うことができない場合になるそうです。
陰茎の欠損、勃起障害、射精障害の3つに分類され、それぞれ9級17号が認定されるとのことです。
認定基準 | 等級 |
---|---|
陰茎の大部分を欠損したもの=陰茎を膣に挿入できないと認められる場合 | 9級 17号 |
勃起障害を残す場合 | |
①尿道または射精管が断裂している ②両側の下腹神経の断裂により当該神経の機能が失われている ③膀胱頚部の機能が失われている |
勃起障害については、「夜間睡眠時に十分な勃起が認められないこと」がリジスキャンRによる夜間陰茎勃起検査により証明されます。
支配神経の損傷など勃起障害の原因となる所見が、
- 会陰部の知覚
- 肛門括約筋の筋緊張
- 球海綿反射筋反射による神経系検査プロスタグランジンE1海綿体注射による各種の血管系検査
のいずれかにより立証されていることが認定の要件です。
生殖機能に軽微な障害を残すもの
以下のような等級認定の可能性があります。
認定基準 | 等級 |
---|---|
通常の性交を行えるが、生殖機能に僅かな障害を残す場合※ | 13級 相当 |
※ 一側の睾丸を失ったもの、亡失に準じる程度の萎縮を含む。
女性の場合
続いて女性の場合はどうでしょう。
男性と女性の生殖器には、性差が大きいものの、発生的には同じ原基から作られています。
よって、男女生殖器の各部の間には相同関係が認められています。
相同関係とは、生物の器官で、相異なる形態と働きを示していますが、発生起源が同一であるときの相互の関係のことです。
つまり、卵巣と精巣は相同関係にあるということですね。
そこで、男性と同じく、生殖器外傷に伴う後遺症については、以下の4つに分類されているそうです。
生殖機能を完全に喪失したもの
以下のような等級認定の可能性があります。
認定基準 | 等級 |
---|---|
両側の卵巣を失った場合 | 7級相当 |
常態として卵子が形成されない場合※ |
※ 女性で2.5グレイ以上の大量の放射線被爆を前提としたもので、交通事故では想定されていない。
生殖機能に著しい障害を残すもの
以下のような等級認定の可能性があります。
認定基準 | 等級 |
---|---|
膣口狭窄で男性器の挿入が困難であると医師が認める場合 | 9級 17号 |
両側の卵管の閉塞、頚管の閉塞、または子宮の亡失を画像所見で立証可能な場合 |
生殖機能に障害を残すもの
比較的狭骨盤とは、次のいずれかの要件を満たすものを言うそうです。
- 産科的真結合線が10.5cm未満9.5cm以上
- 入口部横径が11.5cm未満10.5cm以上
一方、狭骨盤とは、以下のいずれかの場合です。
- 産科的真結合線が9.5cm未満
- 入口部横径が10.5cm未満
認定基準 | 等級 |
---|---|
比較的狭骨盤、または狭骨盤であると医師により認められる場合 | 11級 10号 |
交通事故により骨盤骨折などの怪我を負った場合、骨盤が変形し、産道が狭くなってしまうことが予想されます。
そこで、上記のような認定があるのですね。
妊娠の機能には問題がないものの、産道が一定程度以下に狭窄した場合、経膣分娩=正常分娩が困難となり、帝王切開などの対応が必要となります。
交通事故により、骨盤骨が変形してしまった場合には、「体幹骨の著しい変形障害」で12級5号が認定されることがあります。
「生殖器障害」と「体幹骨の障害」は、同一の原因によるため、いずれか上位の等級の等級が認定されることになります。
よって、本件では11級10号が認定されます。
生殖機能に軽微な障害を残すもの
通常の性交は行えるが、生殖機能に僅かな障害を残す場合に、13級相当が認定されるそうです。
認定基準 | 等級 |
---|---|
一側の卵巣を失った場合 | 13級 11号 |
外性器の外傷後の瘢痕による膣口狭窄により、男性器の挿入が困難ではないものの、膣口に残る瘢痕により性交時に疼痛が生じる場合 | 12級 13号 |
14級 9号 |
以上、胸腹部の後遺症等級の認定においては、「治療に必要な検査」と「後遺症の等級認定に必要な検査」が必ずしも一致していない場合があります。
担当の医師に後遺症等級の認定に必要な検査の必要性を理解してもらい、協力をお願いすることが必要となります。
よって、被害者の方ご自身も、後遺症の等級認定の申請にどのような検査が必要なのかを把握しておくことが望ましいでしょう。
とはいえ、現実にはなかなか難しいですよね…。
少しでも不明、不安な点がある場合には、必ず弁護士などの専門家に相談してください!
その他、内臓破裂に関する後遺症等級は?
その他に、内臓破裂に関連して認定される後遺症はあるのでしょうか?
あるのであれば、事前に知っておきたいところです。
内臓が破裂する程度の衝撃がある場合、臓器を守る役目を果たしている骨の骨折を伴う場合が多いと考えられます。
そして、骨折した部位に残存した痛みについて、局部の神経系統の障害として12級13号又は14級9号の認定の可能性があります。
【注目】後遺症に対する慰謝料や示談金の相場について弁護士が解説
以上、内臓破裂に関する後遺症の等級認定について見てきました。
では、後遺症が残ってしまったことに対する補償や賠償はどのようになっているのでしょうか?
後遺症に対する「後遺症慰謝料」の相場
まず、後遺症が残ってしまったことによる精神的苦痛に対し、後遺症慰謝料が支払われるそうです。
その金額は、認定される等級に応じて決まっているそうなのです。
その前に、慰謝料には3つの基準があるってご存知でしたか?
慰謝料増額に向けて知っておきたい基礎知識~3つの慰謝料相場の基準~
慰謝料には、
- 自賠責保険に請求する場合
- 任意保険会社が提示する場合
- 弁護士が相手側や保険会社に請求する場合
の3つの基準が存在しているそうなのです。
自賠責基準
自賠責保険会社の慰謝料とは、自賠法に基づく省令により設定されているものです。
自賠法は、交通事故の被害者が最低限の補償を受けるためのものであり、その金額は低く設定されています。
任意保険基準
保険会社でも、任意保険会社による慰謝料基準も存在しています。
ただし、任意保険会社は営利企業のため、もちろん少ない金額で済ませたいと考えているハズですよね。
よって、自賠責の基準よりは高いものの、慰謝料の金額は少ないことが多いということです。
弁護士基準
保険会社の基準と比較して、最も高い基準となっているのが、裁判所や弁護士の基準です。
これは、裁判を行った場合や相手側と示談をする場合に用いられる基準のこと。
ただし、自分ひとりで裁判を起こし、相手側と争うのは、どう考えても難しいですよね…。
よって、高額の慰謝料を獲得するためには、弁護士に依頼をして示談や裁判を行うことが必要ということになるのです。
自賠責基準 | 任意保険基準 | 弁護士基準 | |
---|---|---|---|
内容 | 交通事故被害者が最低限の補償を受けるためのもの | 営利企業の保険会社が支払うもの | 弁護士を付けて裁判や相手側との示談をする場合に用いられるもの |
金額 | 金額は低め | 自賠責基準よりは高いが、金額は低め | 自賠責基準や任意保険基準よりも高い |
では、それぞれの基準ごとの後遺症慰謝料の相場について、以下の表に示しました。
後遺症等級 | 自賠責基準※2 | 任意保険基準※3 | 弁護士基準 |
---|---|---|---|
1級 | 1100 (1600) |
1300 | 2800 |
2級 | 958 (1163) |
1120 | 2370 |
3級 | 829 | 950 | 1990 |
4級 | 712 | 800 | 1670 |
5級 | 599 | 700 | 1400 |
6級 | 498 | 600 | 1180 |
7級 | 409 | 500 | 1000 |
8級 | 324 | 400 | 830 |
9級 | 245 | 300 | 690 |
10級 | 187 | 200 | 550 |
11級 | 135 | 150 | 420 |
12級 | 93 | 100 | 290 |
13級 | 57 | 60 | 180 |
14級 | 32 | 40 | 110 |
※1 単位:万円
※2 被扶養者がいる場合や要介護の場合には金額が異なるケースがある。
()内は要介護の場合の金額。
※3 旧任意保険支払基準による。
一目瞭然ですが、しっかりとした補償を受けるためには、弁護士基準での慰謝料を受け取るべきですよね。
ただし、被害者ご本人だけで保険会社と交渉しても、低い示談金しか提示してもらえないことがほとんどということです。
加害者が任意保険に入っている場合には、弁護士に依頼して交渉してもらうと、弁護士基準の慰謝料を回収できることがほとんどだということです。
弁護士基準の慰謝料を獲得するためにも、ぜひ弁護士に相談いただければと思います!
内臓破裂の重体により死亡してしまった場合の「死亡慰謝料」の相場
一方、もしも心臓破裂などの重症を負ってしまったら…。
非常に残念ですが、亡くなられてしまう可能性が高いと言えるかもしれません。
もしも被害者の方が死亡された場合には、どのような補償がされるのでしょうか?
被害者の方が亡くなられた場合には、死亡慰謝料を受け取ることができます。
死亡慰謝料についても、3つの基準が存在しているそうです。
以下にまとめてみましたので、ご覧になってみてください。
被害者本人一律 | 遺族※ | 被扶養者がいる場合 | |
---|---|---|---|
350万円+ | 1人 | 550万円 | +200万円 |
2人 | 650万円 | ||
3人以上 | 750万円 |
任意保険基準 | 弁護士基準 | |
---|---|---|
一家の支柱 | 1700 | 2800 |
母親・配偶者 | 1400 | 2500 |
その他 | 1250~1450 | 2000~2500 |
上記の死亡事故の慰謝料の相場を見ておわかりの通り、しっかりとした補償を受けるためには、弁護士基準での慰謝料を受け取るべきですよね。
やはり、弁護士に相談してみた方が良さそうです。
自分で慰謝料を計算してみたい
ここまで読んで、自分の事故ではどれほどの慰謝料が受け取れるものなのか…。
今すぐに知りたいと思った方も多いのではないでしょうか。
このホームページでは、後遺症慰謝料だけでなく入通院慰謝料も含めた賠償金総額がわかる計算機を設置しています。
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また、年齢などの項目を入れれば、死亡慰謝料についても確認することができます。
自分やご家族の事故ではどれくらいの金額が請求できるのか…。
登録などは不要なので、ぜひ一度試してみてください!
失った将来の収入「逸失利益」
また、後遺症が残ったり、被害者の方が死亡してしまった場合、慰謝料の他に逸失利益というものも請求できるそうです。
逸失利益
後遺症や死亡により労働能力が失われてしまった場合に、本来得られるはずだった収入の減額分を補償するための損害賠償。
まず、逸失利益で最初に争いになるのは、現在、現実に収入の減額が発生しているかどうからしいですね。
後遺症認定の時点ですでに減収が発生している場合には、将来的にもその減収の継続が見込まれるため、逸失利益は認められやすいです。
また、交通事故による怪我の後遺症が原因で、
- 会社の部署を異動させられた
- 職業選択の幅が狭くなった
- 積極的な対人関係や対外的な活動が不可能になった
など、労働環境や能力に支障が出ていることが認定されれば、逸失利益が認められることになります。
一方で、実際に後遺症が残っていても、労働能力に与える影響が小さく、逸失利益が十分に得られないこともあるそうです。
たとえば、「生殖機能障害」などは争いになりそうですね…。
しかし、逸失利益が得られなければ、実際に残っている後遺症に対する補償として明らかに不十分になってしまいます。
そのような場合には、後遺症の慰謝料を相場よりも増額させることで、賠償のバランスが取られることもあるそうです。
ただし、そのような証明や交渉を自分ひとりで行うのは難しいですよね。
この場合も、弁護士に相談すれば、適切なアドバイスをもらえると思います!
交通事故による怪我の治療に対する慰謝料や治療費は?
ところで、幸い内臓破裂による後遺症が残らなかったとしても、入院や通院をして治療を受けているはずです。
その場合、生活費や治療費、仕事を休まなければならないことに対して、不安ばかりですよね。
その間の補償はどのようになっているのでしょうか!?
「治療費」の支払いは誰が?
まずは、入通院中の治療費についてです。
交通事故による怪我の治療をする場合であっても、病院との関係では、治療費の支払義務は患者である被害者の方にあることになるそうです。
よって、原則的な治療費の支払い方法としては、被害者の方が病院に治療費を立替え、立替えた治療費を加害者側に請求するという形になります。
ただし、加害者側が任意保険会社に加入している場合、治療費を相手側の保険会社から治療機関に直接支払うという一括対応という手続きがあります。
この場合、被害者の方は病院の窓口で治療費を立て替える必要がなくなります。
交通事故でも健康保険で通院できる!?
また、交通事故の治療に健康保険などの保険を使用するかどうかを決める必要があります。
ところで、交通事故では健康保険を使用できないと誤解されていらっしゃる方も多いようですね。
しかし、厚生労働省は、以下のように交通事故でも健康保険を使えるという通達(通知)を出しています。
犯罪や自動車事故等の被害を受けたことにより生じた傷病は、医療保険各法(健康保険法、船員保険法、国民健康保険法及び高齢者の医療の確保に関する法律)において、一般の保険事故と同様に、医療保険の給付の対象とされています
ただし、健康保険を使用する場合には、病院に対して健康保険証を呈示し、健康保険を使用する意思を伝える必要があるとのことです。
健康保険証の呈示だけではなく、使用の意思をはっきりと伝えるのがポイントということです。
ここで、健康保険を使わない自由診療と、健康保険診療との違いをまとめてみましたので、良ければ参考にしてみてください。
自由診療 | 健康保険診療 | |
---|---|---|
費用 | 高額 | 低額 |
治療方法 | 制限なし | 制限有り |
病院によっては、健康保険の使用を拒否したり、一括対応に応じてくれないところもあります。
そういった場合に、弁護士が介入することにより、病院の対応が変わった事例もあります。
病院での対応にお困りの方は、弁護士に相談だけでもしてみた方が良いかもしれませんね!
支払いが困難な場合には…
しかし、交通事故による怪我の治療が長引いた場合、支払いが困難になってしまうことも考えられます。
そういった場合には、どうすれば良いのでしょうか?
被害者ご本人が傷害保険に加入している場合、過失割合に関係なく契約に応じた保険金が支払われます。
また、加害者が加入している自賠責保険の仮渡金制度を利用するという方法もあります。
仮渡金制度とは、
損害賠償金の確定前に、被害者の方が相手側の自賠責保険会社に前もって治療費を請求できる
という仕組みのことです。
ただし、最終的な賠償額よりも多い金額を受け取ってしまった場合には、差額を返却する必要がある点には注意が必要です。
「入通院慰謝料」の相場
治療費の他に、怪我の痛みや治療による苦痛に対する補償である入通院慰謝料というものも支払われます。
この入通院慰謝料は、治療にかかった期間が、慰謝料のほぼ唯一の基準となっているということです。
以下に、入通院慰謝料の相場を示しましたので、ご覧になってみてください。
表の見方としては、たとえば入院を6ヶ月、通院を3ヶ月した場合には、267万円の入通院慰謝料が支払われることになります。
入通院慰謝料についても、弁護士基準と保険会社の基準には大きな差があります。
ちなみに、自賠責保険からの入通院慰謝料の計算方法は、以下のいずれか短い方に、4200円をかけるという方法になるそうです。
- 入院日数と、実通院日数の2倍の合計
- 総治療期間
自分の慰謝料が適切なものなのか、弁護士に相談だけでもしてみた方が良いかもしれませんね!
また、内臓破裂ほどの重要の場合、通院頻度が極端に短くなるということはないと思いますが、慰謝料の算定には例外ルールなどもあり、被害者ご本人だけではわからないことも多くあると思います。
適正な慰謝料獲得に向けて、少しでも不明点がある場合には、ぜひ弁護士に相談してみてください。
治療中に失った収入「休業損害」
また、治療により仕事を休んだ場合には、休業損害というものも請求できます。
休業損害
交通事故により本来得られるはずであった収入や利益を失うこと。
では、休業損害の計算方法について見ていきたいと思います。
自賠責保険での計算方法
自賠責保険に対して、休業損害を請求する場合の計算方法は、5700円×休業日数ということです。
ただし、1日の休業損害が5700円を超えることを資料などで証明できれば、19000円までは日額の増額が認められています。
上限がありますが、日額が5700円以下の方でも、休業による収入の減収さえあれば、日額5700円で計算されるので、収入の低い人にとっては有利となりますね。
任意保険での計算方法
一方、任意保険や裁判所に対して、休業損害を請求する場合の計算方法は以下の通りということです。
1日あたりの基礎収入×休業日数
1日あたりの基礎収入をどうやって割り出すかは職業別に異なります。
日額5700円未満の人は実際の日額で計算される反面、証明できれば、19000円を超える日額も認められるので、収入の高い人にとって有利となります。
この話の中で誤解されがちですが、休業損害の請求において、日額が最低5700円になるわけでは必ずしもないということは注意しましょう。
よく自賠責保険は最低限の補償をする保険と言われるため、日額が自賠責で定められた5700円以下になるのはおかしいとおっしゃる方がいます。
しかし、自賠責保険の基準が用いられるのは、治療費や慰謝料などを合わせた損害賠償の総額が120万円以内の場合のみとなります。
損害賠償の総額が120万円を超えた場合には自賠責保険の基準は用いられなくなり、任意保険基準や弁護士基準が用いられることになるそうです。
「他の項目では任意保険基準や弁護士基準を用い、休業損害の項目だけ自賠責保険の基準を用いる」というように、良い基準だけ採用することはできないので注意が必要です。
自賠責保険 | 任意保険 | |
---|---|---|
原則 | 5700円 | 1日あたりの基礎収入 |
上限 | 19000円 |
交通事故の休業損害は仕事別で計算方法が異なるなど様々な問題があるので、注意する必要があります。
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以上、交通事故による内臓破裂で後遺症が残ってしまった場合の損害賠償について理解を深めていただけたでしょうか。
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最後に一言アドバイス
それでは、最後になりますが、交通事故による内臓破裂に関してお悩みの方に一言アドバイスをお願いします!
まずは、医師の診断を受け、じっくり療養し、お大事になさってください。
それでも残念なことに内臓破裂による後遺症が残ってしまった場合は、弁護士に相談することをお勧めします。
なぜなら、日常生活に支障が及ぶような後遺症が残るような場合、適正な金額の補償を受けるべきだからです。
しかし、保険会社から示談金を提示され、書類にサインしてしまうと、あらためて慰謝料などを請求することは極めて困難になります。
そうなる前に、ぜひ弁護士無料相談を活用してみてください。
面倒な手続きや交渉などのお力にもなれるはずです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
最後までお読みいただけた方には、
- 交通事故による内臓破裂の症状や種類
- 内臓破裂による後遺症の等級や認定基準
- 内臓破裂に対する慰謝料などの示談金の相場
について、理解を深めていただけたのではないかと思います。
また、内臓破裂の後遺症について、弁護士に相談した方が良いと感じた方もいらっしゃるでしょう。
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また、このホームページでは、交通事故の後遺症に関するその他関連記事も多数掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください!
交通事故で内臓が破裂してしまったときのQ&A
内臓破裂による胸部の後遺障害と等級
内臓破裂による胸部の後遺障害には、呼吸器系のものと循環器系のものがあります。呼吸器系の後遺障害は、後遺障害等級3,7、11級に該当する可能性があります。循環器系の後遺症には、心臓機能の低下などがあります。後遺障害等級は、7、9、11級が該当する可能性があります。 内臓破裂による胸部の後遺障害について
内臓破裂による腹部の後遺障害と等級
内臓破裂による腹部の後遺障害には、消化器系(食道、胃、小腸、大腸や肝臓など)のもの、泌尿器系(腎臓、尿管、膀胱や尿道など)のもの、生殖器系(卵巣や精巣など)のものがあります。それぞれ症状の種類や程度に応じた後遺障害等級が認定されます。 内臓破裂による腹部の後遺障害について
内臓破裂で死亡した場合の慰謝料は?
内臓破裂によって、被害者の方が死亡した場合は死亡慰謝料を受け取ることができます。死亡慰謝料には、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3つの金額基準があります。自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の順に死亡慰謝料が高くなるので、しっかりとした慰謝料を受け取るには、弁護士に相談する方が良いです。また、本来得られるはずだった収入の減額分を補償するための損害賠償である逸失利益も受け取ることができます。 内臓破裂による死亡慰謝料について
内臓破裂による治療費は誰が支払う?
原則的な治療費の支払い方法は、被害者の方が治療費を立替え、立替えた治療費を加害者側に請求するというものです。ただし、加害者側が任意保険会社に加入していれば、治療費を相手側の保険会社から治療機関に直接支払う一括対応という手続きを利用できます。もし、加害者側が任意保険未加入で支払いが困難なときは、損害賠償金の確定前に、被害者が相手側の自賠責保険会社に前もって治療費を請求できる仮渡金制度を利用できます。 内臓破裂の治療費支払いについて
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
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第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。