身体障害者手帳交付における障害程度等級表「脳原性運動機能障害」

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身体障害者手帳交付における障害程度等級表「脳原性運動機能障害」

脳原性運動機能障害には「上肢機能の障害」と「移動機能の障害」があり、どちらも1級~7級まで全ての等級が認定されます。

ただし、7級だけでは障害者福祉法での障害者として認定されず、身体障害者手帳は交付されません。

7級の障害が2つ以上重複してある場合には、6級となり、身体障害者手帳が交付されることになります。

「脳原性運動機能障害」の身体障害者障害程度等級表

「脳原性運動機能障害」の身体障害者障害程度等級表

脳原性運動機能障害の身体障害者の等級認定表は以下の通りになります。

肢体不自由(乳幼児期以前の非進行性の脳病変による運動機能障害)
1
上肢機能:不随意運動・失調等により上肢を使用する日常生活動作がほとんど不可能なもの
移動機能:不随意運動・失調等により歩行が不可能なもの
2
上肢機能:不随意運動・失調等により上肢を使用する日常生活動作が極度に制限されるもの
移動機能:不随意運動・失調等により歩行が極度に制限されるもの
3
上肢機能:不随意運動・失調等により上肢を使用する日常生活動作が著しく制限されるもの
移動機能:不随意運動・失調等により歩行が家庭内での日常生活活動に制限されるもの
4
上肢機能:不随意運動・失調等による上肢の機能障害により社会での日常生活活動が著しく制限されるもの
移動機能:不随意運動・失調等により社会での日常生活活動が著しく制限されるもの
5
上肢機能:不随意運動・失調等による上肢の機能障害により社会での日常生活活動に支障のあるもの
移動機能:不随意運動・失調等により社会での日常生活活動に支障のあるもの
6
上肢機能:不随意運動・失調等により上肢の機能の劣るもの
移動機能:不随意運動・失調等により移動機能の劣るもの
7
上肢機能:上肢に不随意運動・失調等を有するもの
移動機能:下肢に不随意運動・失調等を有するもの

脳原性運動機能障害の等級表の解説

脳原性運動機能障害の等級表の解説

ではここからは、等級表の内容について、より詳しく解説していきたいと思います。

上記の等級が認定されるのは、乳幼児期以前に発現した非進行性脳病変によってもたらされた姿勢および運動の異常についてです。

具体的には、脳性麻痺などが挙げられます。

以下に示す判定方法は、生活関連動作を主体としたものになっています。

よって、乳幼児期の判定に用いることが不適当な場合は、上肢・下肢・体幹不自由障害の方法で判定されることになるそうです。

逆に、乳幼児期に発現した障害によって脳原性運動機能障害と類似の症状が現れているけれど、上肢・下肢・体幹不自由障害の方法で判定することが著しく不利な場合には、この方法で判定することが可能なのだそうです。

上肢機能障害

まず、上肢の機能障害についてです。

両上肢の機能障害がある場合

両上肢の機能障害の程度は、紐むすびテストの結果によって判定されるそうです。

紐むすびテストの結果
等級 紐むすびのできた数
1 19本以下
2 33本以下
3 47本以下
4 56本以下
5 65本以下
6 75本以下
7 76本以上

一上肢の機能に障害がある場合

一上肢の機能障害の程度は、5動作の能力テストの結果によって判定されるそうです。

5動作の能力テスト

次の5動作の可否を検査するもの。

  1. ① 封筒をはさみで切る時に固定する
  2. ② 財布からコインを出す
  3. ③ 傘をさす
  4. ④ 健側の爪を切る
  5. ⑤ 健側の袖口のボタンをとめる

上記の動作のできた個数によって判定されます。

5動作の能力テストの結果
等級 5動作の結果
1 該当なし
2 5動作の全てができないもの
3 5動作のうち1動作しかできないもの
4 5動作のうち2動作しかできないもの
5 5動作のうち3動作しかできないもの
6 5動作のうち4動作しかできないもの
7 5動作の全てができるが、上肢に不随意運動・失調等を有するもの

移動機能障害

続いて、移動機能障害についてです。

移動機能障害の程度は、下肢、体幹機能の評価の結果によって判定されるそうです。

下肢・体幹機能の評価の結果
等級 下肢・体幹機能
1 つたい歩きができないもの
2 つたい歩きのみができるもの
3 支持なしで立位を保持し、その後10m歩行することはできるが、椅子から立ち上がる動作又は椅子に座る動作ができないもの
4 椅子から立ち上がり10m歩行し再び椅子に座る動作に15秒以上かかるもの
5 椅子から立ち上がり、10m歩行し再び椅子に座る動作は15秒未満でできるが、50cm幅の範囲を直線歩行できないもの
6 50cm幅の範囲を直線歩行できるが、足を開き、しゃがみこんで、再び立ち上がる動作ができないもの
7 6級以上には該当しないが、下肢に不随意運動・失調等を有するもの

この記事の監修弁護士

岡野武志弁護士

アトム法律事務所弁護士法人
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