脳脊髄液減少症とは?症状・治療から後遺障害認定まですべてを網羅

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脳脊髄液減少症とは?症状・治療から後遺障害認定まですべてを網羅

交通事故や弁護士の情報を検索中の方へ。このページでは、「脳脊髄液減少症」について徹底調査した結果を報告しています。

交通事故で脳脊髄液減少症になってしまった方は、激しい頭痛やめまい、倦怠感などに悩まされ、大変な思いをしていることでしょう。また、病名が一般的とはいえないため、周囲の人々に理解されない苦しみもあると思います。

このページでは、脳脊髄液減少症でお困りの方へ向けて、脳脊髄液減少症の症状や慰謝料などについて、紹介していきます。

脳脊髄液減少症の基本

脳脊髄液減少症って聞きなれないですが、どんな症状なんですか?

脊髄が入っている硬膜という袋から、髄液という液体が漏れ出すことで、体に不調が生じることをいいます。

硬膜・・・髄液・・・難しい言葉が続くと良く分からなくなりますね・・・。

脳脊髄液減少症とは

人間の脳と脊髄は、硬膜という袋の中に存在しており、この硬膜の中は、髄液 という半透明の液体で満たされています。

すなわち、脳と脊髄は、この髄液の中で浮いている状態にあるのです。

しかし、何らかの事情により、この髄液が硬膜の外に漏れる ことがあります。そうなると、硬膜内の髄液の量が減り、その圧力が低下することで、脳や脊髄が動きやすくなります。

このように、髄液の減少で、脳や脊髄が動きやすく、不安定になったことにより、様々な体の不調が生じます。これを、脳脊髄液減少症といいます。

人間の髄液

人間の髄液(出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)

脳脊髄液減少症の症状

脳脊髄液減少症の症状には、様々なものがあります。

一番顕著な症状は、横になった状態から立ち上がると生じる、起立性頭痛という症状です。

そのほかの症状としては、全身倦怠感、めまい、耳鳴り、うつ症状などがあります。

これらの症状は、半年程度で回復するむちうちの症状と異なり、 数年間も継続する場合があるという特徴があります。

脳脊髄液減少症の原因

脳脊髄液減少症の原因として、早い時期から認知されていたものとしては、腰椎穿刺(せんし) による髄液の漏出が挙げられます。

腰椎穿刺は、くも膜下出血などの診断に用いられる手技で、腰椎穿刺の後に起立性頭痛が生じる場合があることは、以前から知られていました。

腰椎穿刺の他にも、交通事故によるむちうちなど、硬膜への外部的な衝撃により脳脊髄液減少症の症状が生じる場合 もあります。しかし、このことが認知されてきたのは、最近になってからです。

そのため、実際には脳脊髄液減少症になっている場合でも、ただのむちうちと判断されてしまうケースが少なくないようです。

まとめ表
脳脊髄液減少症とは 脳と脊髄を保護している、硬膜内にある髄液が漏れ出すことにより、脳と脊髄が不安定な状態となり、体に不調が出る症状
脳脊髄液減少症の症状 起立性頭痛、全身倦怠感、頭痛、めまい、耳鳴り、うつ病など
脳脊髄液減少症の原因 腰椎穿刺のほか、交通事故によるむちうちなど

脳脊髄液減少症の診断と後遺障害

脳脊髄液減少症は、後遺障害として認定してもらえるのでしょうか。

認定されることもありますが、その認定には微妙な判断も必要なため、簡単にはされないといっていいでしょう。

現実に症状が出てるのに、認定されないこともあるなんて、辛いですね…。

脳脊髄液減少症の診断基準

脳脊髄液減少症には、現在でも、世界中で採用されている明確な診断基準は存在しません。

実際、交通事故で脳脊髄液減少症の発症が争点となった裁判でも、採用された判断基準は1つではありません。

もっとも、最近の裁判例では、「厚労省中間報告基準」(平成23年、厚労省研究班が発表)及び 「新国際頭痛分類基準」 (平成25年、国際頭痛委員会が従前の基準を改定)という2つの基準が用いられることが多く、信用度が高い基準とされています。

そのうち、新国際頭痛分類基準の詳細は、以下の通りです。

新国際頭痛分類基準
髄液漏出の原因となることが知られている手技が行われている、もしくは外傷が発生している
低髄液圧(60mmH2O未満)またはMRI画像等による低髄液圧や髄液漏出の証拠
頭痛が手技または外傷の時期に一致して発現
他に最適な国際頭痛分類の診断がない

脳脊髄液減少症の治療方法

脳脊髄液減少症の治療方法としては、「ブラッドパッチ」が有効であるとされています。

「ブラッドパッチ」は、正式名称を「硬膜外自家血注入療法(こうまくがいじかけつちゅうにゅうりょうほう)」といいます。患者本人の血液を、髄液が漏出している部分に針で注入し、血液が固まることでその部分を塞ぐという治療法です。

ブラッドパッチにより症状が改善される確率は、大人が75%前後、15歳以下の子供は95%といわれています。

脳脊髄液減少症の後遺障害と等級

脳脊髄液減少症は、その症状に応じて、異なる後遺障害等級認定がなされます。具体的には、以下の表の通りです。

脳脊髄液減少症の後遺障害等級認定基準

9級10号

神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの

12級13号

局部に頑固な神経症状を有し、それが事故によるものと医学的に証明できるもの

14級9号

局部に神経症状を残し、それが事故によるものと医学的に説明可能なもの

弁護士相談のメリット

交通事故による脳脊髄液減少症について、弁護士に相談したほうがいいのでしょうか。

一度相談すると安心だと思います。弁護士であれば、 今後の見通し慰謝料の増額の方法 について、 アドバイス をすることができます。

専門家に相談するのは基本ですしね。

脳脊髄液減少症の後遺障害慰謝料の相場

脳脊髄液減少症の後遺障害慰謝料の相場は、以下の通りです。

まとめ表

9級認定の場合

690万円

12級認定の場合

290万円

14級認定の場合

110万円

このように、認定される等級により、後遺障害慰謝料の相場は大きく変化します。

もっとも、この表はあくまで相場であり、具体的事情により大きく変化することがあります。

弁護士相談のメリット

交通事故による脳脊髄液減少症を弁護士に相談するメリットの1つとして、慰謝料の増額が見込めるという点があります。

脳脊髄液減少症は、その認定基準が明確に定まっているとはいえず、発症の有無が裁判で争われる ことも多いです。また、裁判において認定される可能性は高いものとはいえず 、認定のためにはより具体的かつ適切な主張を要します。

交通事故に詳しい弁護士であれば、脳脊髄液減少症の裁判での認定について、豊富な知識と経験 を持っています。そのため、どの程度の主張をすることが適切かを判断し、 脳脊髄液減少症の認定に向けたベストな主張をすることができます。

この記事の監修弁護士

岡野武志弁護士

アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。

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