事故の衝撃で高速から転落、内臓等に後遺障害が残存

IT 2016年10月11日 | 内臓の機能障害
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認容額 716万5616円
性別 男性
職業 建築業の共同経営者
傷病名

腹部打撲、外傷性小腸穿孔、頭部外傷2型、顔面打撲挫創

障害名 小腸狭窄
後遺障害等級 10級
判決日 平成6年7月19日
裁判所 東京地方裁判所

交通事故の概要

平成元年12月12日午後2時25分ころ、滋賀県坂田郡山東町柏原地先の名神高速道路下り線の路上において、加害者が運転する大型貨物自動車が、被害者が運転する普通貨物自動車に追突し、その結果、被害者の車両は付近のガードワイヤーを破り、約3メートル下の高速道路の法面下に落下した。

被害者の入通院治療の経過

被害者は、腹部打撲、外傷性小腸穿孔、頭部外傷2型、顔面打撲挫創の病名の傷害を受けた。なお、被害者は追突による後方からの強いショックを受けて意識を失い、救急車でS病院に運ばれたときも意識混迷状態であった。

被害者は、事故当日から平成2年1月8日まで合計28日間、S病院において腹部打撲、外傷性小腸穿孔、頭部外傷2型、顔面打撲挫創の傷病名で入院治療を受けた。同病院では、腸管破裂による汎発性腹膜炎の疑いで開腹手術を受けたところ、小腸に穿孔が認められたが、手術後の経過は良好であった。また、被害者は、事故直後から頭痛、めまい、耳なりがあったが、頭痛は脳神経学的に左前頭葉部の硬膜下血腫が原因となっていることが判明した。

被害者は、S病院退院後、平成2年1月19日から同年5月31日まで、及び同年10月1日から平成3年1月18日まで、T赤十字病院の脳神経外科に頭部外傷性愁訴や外傷性小腸穿孔の傷病名で通院した(通院実日数13日)。初診時には頭痛、頸部痛、めまい等の不定愁訴があったが、薬物療法を受け、平成3年1月31日に症状固定と診断された。

被害者は、T赤十字病院の治療終了後の平成3年2月ころから腹部がひどく痛むようになり、いくつかの病院・クリニックで検査や通院治療を受けた。しかし、なおも腹部膨満感、腹痛がするため、平成4年11月13日から同月21日まで、S病院に精密検査目的のため入院した。同日の診断では、小腸造影の結果、小腸の口側(一二指腸側)から15センチメートル程度のところに狭窄所見が認められた。右狭窄は、穿孔性腹膜炎による癒着が原因となったものであつて、本件事故による後遺症であると診断され、また、症状固定の日は同日と診断されてる。
その後も、被害者は腹痛を我慢することができない時があるので、K病院に通院している。

被害者は、治療にかかわらず、耳なりやめまいが治らないため、平成3年6月以降、いくつかの病院・クリニックで診察を受け、投薬治療・通院治療を受けた。被害者は、本件事故前は聴力の減退等の耳の異常を感じたことはなかったが、栃木県から両耳の語音明瞭度50%以下であることを理由に4級の身体障害者と認定され、平成4年8月13日に身体障害者手帳を交付されている。もっとも、普段は補聴器を使用していない。

後遺障害の内容

被害者の腹痛は、本件事故による小腸狭窄が原因である。
そして、被害者の右小腸狭窄は、腸閉塞も誘発し得る程度のものであり、かつ、その部位に照らし、電解質異常、水分異常などが強度でショック状態となり易いものであることに照らすと、それが起因する腹痛が常時生じるものでないとしても、11級11号(胸腹部臓器に障害を残すもの)の後遺障害に該当すると認めるのが相当である。
被害者には、本件事故が原因となった難聴があること(原告には本件事故前には難聴の兆候はなかつたが、本件事故後間もない時点での診断で難聴が判明していることから、難聴と本件事故との間に因果関係があると認められる。もっとも、その程度は比較的軽微なものであるということができる。)を総合すると、これら頭痛、めまい、難聴等を総合して、12級12号(局部に頑固な神経症状を残すもの)の後遺障害を残すと認めるのが相当である。
これらを総合すると、被害者は、本件事故により、併合10級の後遺障害を残したことが認められる。

判決の概要

被害者が高速道路を普通貨物自動車で運転中に、加害者が運転する大型貨物自動車が被害者の車両に追突し、その結果、被害者の車両が、約3メートル下の高速道路の法面下に落下し、被害者が重傷を負った。被害者は、加害車両の運転者とその車両保有者を被告として,それぞれ民法709条に基づく損害賠償請求及び自動車損害賠償保障法3条に基づく損害賠償請求をした。本件事故による傷害とその後の後遺障害についても、本件事故との因果関係を認め、被害者の請求を一部認容し、一部棄却した。

認容された損害額の内訳

治療関係費 4万7536円
入院付添費 9万8000円
入院雑費 3万3600円
通院交通費 6万1200円
慰謝料 640万円
文書料 1万 4980円
器具購入費 1万 0300円
損害の填補 - 15万 円
弁護士費用 65万円

※その他、既払い額や損益相殺がなされ、判決認容額となります。

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