後遺障害3級の交通事故慰謝料|1億3671万円の判例を弁護士が解説
このページでは、後遺障害3級の判例についてご紹介します。
ある日突然、交通事故によって重い後遺障害が残ってしまったとしたら、なかなかその現実を受け入れることはできません。
今後のことを考えると、納得のいく慰謝料や示談金は支払われるのか不安になりますよね。
この判例では、総額1億3671万円の損害賠償金が認められたようですが、算定のポイントは何だったのでしょうか?
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見ていきましょう。
障害等級3級(男・症状固定時19歳)損害額1億3671万6624円の判例
こちらは、神戸地方裁判所の判決、平成16年(ワ)第728号事件です。
この事故での主な怪我の内容は、脳挫傷となります。
交通事故の基本情報
事故の内容は「交通誘導員をしていた被害者が道路中央部に歩み出たところ、加害車両が衝突した。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 警備会社アルバイト |
---|---|
性別 | 男 |
年齢 | 症状固定時19歳 |
事故の内容 | 交通誘導員をしていた被害者が道路中央部に歩み出たところ、加害車両が衝突した。 |
傷害の内容 | 脳挫傷(外傷性脳内血腫、急性硬膜下血腫)、頭部打撲・挫創、頭蓋骨骨折、両肺挫傷、右腎損傷、臀部打撲、仙骨部褥瘡 |
後遺障害等級 | 併合3級(神経系統の機能又は精神に著しい障害:3級3号、男子の外貌の醜状障害:14級5号) |
入院 | 274日 |
被害者は集中力・注意力の低下や性格変化などの高次脳機能障害が残ってしまったようです。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 1億3671万6624円 |
---|---|
うち慰謝料 | 2380万円 |
うち付添看護費 | 167万8000円 |
うち逸失利益 | 9950万6691円 |
損害総額は1億3671万6624円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額1億3671万6624円になりました。
- 慰謝料としては、入院・通院に対する慰謝料が380万円、後遺障害の慰謝料が1900万円、両親固有の慰謝料が各50万円認められました。
- 付添看護費としては、入院付添費が150万7000円、自宅付添費等が17万1000円認められました。
- 逸失利益としては、基礎収入は男子の大卒全年齢平均年収額である674万4700円、労働能力喪失率は100%、労働能力喪失期間は22歳から67歳まで45年として算定されました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの男性は3級の後遺障害が残ってしまったようですが、この判例のポイントはどのような点になりますか?
本件では、3級3号の高次脳機能障害に関する損害がメインとなります。
被害者は事故前に大学への進学が決まっていたことから、逸失利益で計算の基礎とする収入は、賃金センサス大卒男性・全年齢の平均賃金が用いられています。
大学生は無収入又はアルバイトということがほとんどですが、基礎とする収入は学生の属性ごとに上記平均賃金で逸失利益を受け取れるということが分かりますね。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
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- 保険会社から提示されている金額が、法律的に正しいかどうか知りたい
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後遺障害3級の慰謝料計算の特徴は?
3級の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
一口に3級と言っても各号ごとに症状は様々ですが、原則として慰謝料は等級に応じて定められ、3級の場合、裁判基準では1,990万円となっております。
また、被害者の症状によっては、被害者の近親者の方の慰謝料請求が認められる余地があります。
さらに、3級3号の高次脳機能障害であっても、上に挙げれらている裁判例のように、症状により、家族等による看視が必要な場合には、看視費用(将来介護費)を請求する余地があります。
ただし、今申し上げたポイントは一般的・総論的なお話であり、事故に遭われた方のご事情は様々ですので、まずは弁護士等の専門家に相談してみるのが良いかと思います。