後遺障害申請期限|時効の起算点はいつになる?期限の延長方法も紹介!

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後遺障害申請期限|時効の起算点はいつになる?期限の延長方法も紹介!

交通事故にあってしばらく経ってから後遺障害申請をしようと思ったのだけど、申請の期限ってあるの?」

「後遺障害の申請の期限があるのであれば、どれくらいになるの?」

「後遺障害の申請の期限を延長する方法はないの?」

交通事故にあわれて後遺症が残ってしまい、後遺障害の申請を検討されている方は後遺障害の申請の期限が気になるのではないでしょうか?

交通事故に巻き込まれるというのは、はじめての方が多いでしょうから、後遺障害の申請の期限について知らなくても当然かと思います。

しかし、後遺障害の申請の期限についてしっかり理解しておかないと、後遺障害の申請ができなくなり損をしてしまう可能性があるんです!

このページでは、そんな方のために

  • 後遺障害の申請の期限の有無
  • 後遺障害の申請の期限はいつまでか
  • 後遺障害の申請の期限を延長する方法

といった事柄について、徹底的に調査してきました!

専門的な部分や実務的な部分は交通事故と刑事事件を数多く取り扱っている岡野弁護士に解説をお願いしております。

弁護士の岡野です。よろしくお願いします。

後遺障害等級が認定されるかどうかによって、受け取れる交通事故の損害賠償額は大きく変わることになります。

しかし、後遺障害の申請期限を理解していないと、後遺障害の申請ができず、後遺障害が認定される可能性がなくなってしまいかねません。

本来受け取れるはずであった損害賠償額を受け取れなくなることがないよう、後遺障害の申請の期限をしっかり理解しておきましょう。

交通事故による治療や手続は何年も長引いてしまう場合もありえますよね・・・。

上のツイートの方のように、事故から時間が経過した方は後遺障害申請期限が気になるという方も多いと思います。

そもそも、後遺障害の申請に期限や時効はあるのでしょうか?

後遺障害の申請の期限は申請方法により異なる!

後遺障害の申請の期限は申請方法により異なる!

後遺障害の申請方法には二つある

まず、後遺障害申請方法には

  • 事前認定
  • 被害者請求

という二つの方法があります。

事前認定とは

事前認定とは、簡単に言うと相手方任意保険会社が窓口となって、被害者の後遺障害の等級認定を事前に確認する方法のことです。

交通事故の加害者が、自賠責保険だけではなく任意保険にも加入している場合、被害者は、任意保険会社から

  • 自賠責保険金分
  • 自賠責保険金分を超える任意保険会社負担分

を一括して支払ってもらうことになります。

この制度のことを一括払制度といいます。

相手方任意保険会社は、被害者に一括払いをした後、自賠責保険から、自賠責保険金分を回収します。

この制度のことを加害者請求といいます。

この制度が自動車損害賠償保障法15条を根拠としていることから15条請求とも呼ばれています。

被保険者は、被害者に対する損害賠償額について自己が支払をした限度においてのみ、保険会社に対して保険金の支払を請求することができる。

この加害者請求の前提として、一括払いをする相手方任意保険会社は、自賠責から支払われる保険金分をあらかじめ確認する必要があります。

その一環として、被害者の後遺障害の等級認定を事前に確認する事前認定という方法があります。

被害者請求とは

それに対し、被害者請求とは、簡単に言うと

被害者が自分で直接相手の自賠責保険に後遺障害の等級認定を請求する

方法のことです。

自動車損害賠償保障法には以下のような条文があります。

第三条の規定による保有者の損害賠償の責任が発生したときは、被害者は、政令で定めるところにより、保険会社に対し、保険金額の限度において、損害賠償額の支払をなすべきことを請求することができる。

被害者保護という自賠責の目的を果たすため、保険契約の当事者ではない、被害者に直接請求する権利を認めたものです。

被害者は保険契約の当事者ではないため、条文上「保険金」ではなく「損害賠償額」の支払を請求することになっています。

上の条文は、その場合の請求方法を規定したものです。

被害者が請求することや根拠条文から

  • 被害者請求
  • 16条請求

などと呼ばれています。

この被害者請求で支払われる損害賠償額を決定するために、被害者請求の手続の中で、後遺障害の等級認定が同時に行われます。

事前認定には申請の期限はない

先ほどお伝えしたとおり、事前認定は、相手方任意保険会社が一括払いをした後、自賠責保険から、自賠責保険金分を回収する前提で行われます。

そのため、事前認定の場合、相手方任意保険会社が賠償金を被害者に支払う前ならいつでも申請でき、特に期限はないことになります。

被害者請求には申請の期限がある

一方、被害者請求は、被害者が自分で自賠責に保険金相当額の損害賠償を請求する手続の中で、同時に後遺障害等級認定が行われます。

そして、自動車損害賠償保障法は、被害者請求につき、以下のような条文を規定しています。

第十六条第一項及び第十七条第一項の規定による請求権は、三年を経過したときは、時効によつて消滅する。

つまり、被害者が自分で自賠責に保険金相当額の損害賠償を請求する手続には時効があるため、その手続の中で同時に行われる

後遺障害の申請にも期限がある

ことになります。

お伝えしたとおり、被害者請求の場合、申請の期限・時効があるため、期限を過ぎると後遺障害の申請の機会が失われる点には注意が必要です。

事前認定と被害者請求の申請主体・期限の検証
事前認定 被害者請求
申請の主体 相手方任意保険会社 被害者自身
申請の期限 なし(賠償金支払前ならいつでも) あり

後遺障害の申請の被害者請求の場合の期限は?

後遺障害の申請の被害者請求の場合の期限は?

後遺障害の申請は症状固定時から3年

では、被害者請求の場合に、申請期限があるとして、具体的にはいつまでに申請しなければいけないのでしょうか?

先ほどご覧頂いた被害者請求の時効の条文には「三年を経過したときは、時効によって消滅」と規定されており。3年ということはわかりました。

もっとも条文からは、いつから3年であるかまではハッキリとしません。

結論から申し上げますと、後遺障害による損害賠償請求権の時効は症状固定時から3年になります。

これは、後遺障害による損害賠償請求ができるのは症状固定になってからであることが理由となります。

そのため、自賠責への保険金相当額の損害賠償を請求する手続と同時に行われる後遺障害の申請の期限症状固定時から3年になります。

このように、後遺障害による損害賠償請求権の時効の起算点になるという意味においても、症状固定時期は重要になります。

傷害や死亡の損害の時効は異なる!

それに対し、

  • 傷害による損害賠償請求権
  • 死亡による損害賠償請求権

の時効はそれぞれ

  • 事故時から3年
  • 死亡時から3年

になります。

これは、

  • 傷害による損害賠償請求権は交通事故時に発生している
  • 死亡による損害賠償請求権は交通事故時に発生している

ことを理由とするものです。

被害者請求は、傷害分の損害賠償と後遺障害分の損害賠償をまとめて請求することもあります。

しかし、ご覧のとおり、傷害分の損害賠償と後遺障害分の損害賠償の時効の起算点は異なり、傷害分の時効が先にくるので注意が必要です。

(参考)加害者請求の申請の期限

なお、相手方任意保険会社が、被害者への一括払後、自賠責保険に自賠責保険金分を請求する加害者請求の場合、

賠償金支払時から3年

時効となります。

加害者請求の場合、被害者請求と異なり、自動車損害賠償保障法には時効の規定はありません

しかし、加害者請求は保険金の請求であることから、保険法が適用されるところ、保険法には以下のような条文が規定されています。

保険給付を請求する権利、保険料の返還を請求する権利及び第六十三条又は第九十二条に規定する保険料積立金の払戻しを請求する権利は、三年間行わないときは、時効によって消滅する。

そして、保険金を請求できるのは、被害者に賠償金を支払ってからになるため、時効は賠償金支払時から3年になります。

なお、全てに共通していえることとして、3年という期間は法律の改正によって定められた期間になります。

そのため、平成22年3月31日以前の事故については、いずれも改正前の2年が時効期間となります。

事故発生がかなり前の交通事故について、後遺障害の申請を検討されている方はこの点にもよく注意しましょう。

自賠責保険に対する請求権の消滅時効
被害者請求 加害者請求
傷害による損害 事故時から3年 賠償金支払時から3年
後遺障害による損害 症状固定時から3年
死亡による損害 死亡時から3年

※平成22年3月31日以前の事故はいずれも2年

後遺障害の申請の期限を延長する方法は?

後遺障害の申請の期限を延長する方法は?

後遺障害申請期限症状固定時から3年だということはわかりました。

もっとも

  • 症状固定してしばらく経った後に後遺障害の申請を決意した
  • 後遺障害の申請の必要書類の収集に時間が掛かってしまった

などの事情により、症状固定時から3年までの間に、後遺障害の申請が間に合わない場合も考えられます。

実は、そのような場合でも、時効を中断し、申請の期限を延長する方法があるんです!

ここからは、後遺障害の申請の期限を延長する具体的な方法をご紹介していきたいと思います。

①自賠責保険に書類を提出する

最も一般的な方法としては、自賠責保険会社に時効中断申請書を提出する方法です。

時効中断申請書には所定の書式があり、以下のページに掲載されているものになります。

②自賠責保険に対し裁判を起こす

先ほどの時効中断申請書は、民法上の時効中断事由の一つである債務の承認を自賠責保険会社にしてもらうものです。

もっとも、民法は、時効中断事由として、債務の承認以外に裁判上の請求というものを定めています。

時効は、次に掲げる事由によって中断する。

一  請求

(略)

三  承認

そのため、自賠責保険会社に対して裁判を起こすという方法でも時効を中断することができます。

ただし、先ほどお伝えした時効中断申請書を提出するというより簡易な方法があるため、実際にこの方法が採られることはほぼないようです。

相手方への賠償請求権の時効に注意!

ここまでは、自賠責保険に対する損害賠償請求権の時効の中断方法についてご紹介してきました。

しかし、自賠責保険に対する損害賠償請求権の時効とは別に相手方に対する損害賠償請求権の時効期間が進行する点に注意する必要があります。

そのため、自賠責保険に対する損害賠償請求権の時効中断とは別に相手方に対する損害賠償請求権の時効を中断する必要があります。

ここからは、相手方に対する損害賠償請求権の時効を中断する具体的な方法をご紹介していきたいと思います。

債務の承認

まず、相手方本人や相手方任意保険会社から

  • 賠償額の提示
  • 賠償金の一部支払い

があった場合には、債務の承認があったものとして時効が中断することになります。

裁判上の請求

また、相手方本人を被告として裁判を起こすという方法でも時効を中断することができます。

自賠責保険の場合と異なり、相手方が債務の承認をしてくれず、示談交渉がまとまらない場合に、時効中断のために裁判を起こす例は比較的多いようです。

自賠責保険に対する損害賠償請求権の時効中断の手続のみを行い、相手方に対する損害賠償請求権の時効中断の手続を忘れた結果

相手方に対する損害賠償請求権が時効消滅してしまい、その結果自賠責保険に対する被害者請求も認められなくなる

事例も存在するので、相手方に対する損害賠償請求権の時効には十分注意しましょう。

自賠責保険及び相手方に対する賠償請求権の時効
自賠責保険 相手方
債務の承認 時効中断書の提出 ・賠償金の提示
・賠償金の一部支払
裁判上の請求 自賠責保険を被告に 相手方を被告に
相互の関係 相手方への請求権の消滅の影響受ける 自賠責保険への請求権の消滅の影響受けない

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最後に一言アドバイス

岡野弁護士、読者の方に、最後にアドバイスをお願いします。

お伝えしたとおり、後遺障害の申請期限を理解していないと、後遺障害の申請ができなくなってしまいかねません。

そして、後遺障害が申請できなければ、後遺障害の認定可能性はなく、本来受け取れるはずであった損害賠償額を受け取れない可能性があります。

このような不利益を防ぐためにも、後遺障害の申請の期限でご不安のある方は、手遅れになる前に一刻も早く弁護士に相談しましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。

このページを最後までお読みの方は、

  • 後遺障害の申請の期限のは申請方法により異なる
  • 後遺障害の申請の被害者請求の場合の期限は症状固定時から3年
  • 後遺障害の申請の期限を延長する方法

という点について、理解が深まったのではないでしょうか。

交通事故に遭って悩み事がある方は、是非、上のスマホで無料相談全国弁護士検索を使ってみてください。

下にまとめてある関連記事も参考になさってください。

皆さまのお悩みが早く解決するよう、お祈りしています。

この記事の監修弁護士

岡野武志弁護士

アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。

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