後遺障害3級の慰謝料ガイド 等級別の慰謝料(1級~7級)

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後遺障害3級の慰謝料ガイド 等級別の慰謝料(1級~7級)

交通事故や弁護士の情報を検索中の方へ。このページでは、「後遺障害3級の慰謝料」について徹底調査した結果を報告しています。

後遺障害3級ってどんな症状?

後遺障害で3級として認定される障害にはどういったものがありますか?

自賠責の後遺障害等級表によれば、単体で3級の後遺障害が認定されるのは、程度や部位ごとに5種類あります。以下で詳しく説明いたしますが、かなり重症の部類に入ります。

なるほど、単に3級といっても、様々な障害が含まれるのですね!

後遺障害の等級14段階

自賠責での後遺障害等級には、最も重い1級から最も軽いとされる14級 までの異なる分類わけがされており、各等級の中に、障害の生じた部位や障害の種類、その程度によってさらに細かく分類されています。そして、認定された場合、「第3級5号」という様に呼ばれます。

後遺障害の認定基準は、各号ごとに定められています。そして、第3級が認定される障害の場合、一般的には、就労が困難になるほど 重症ということがいえます。

なお、後遺障害の認定をする損害料率算出機構が公表するデータによれば、平成26年度に認定された件数のうち、第3級 が認定された割合は0.5%に過ぎず、3級以上を含む障害が認定された割合も、 2.86%にとどまります。

以上のデータには、後遺障害として認定されなかったものは除かれていますので、この数字からもごく限られた、かなりの重症案件でのみ認定される等級ということがお分かりになると思います。

第3級の後遺障害―5分類―

視力障害(第3級1号)

この障害の内容は、いくつか程度ごとに異なる等級がある視力障害のうちで、片方の眼の視力を失い、かつ反対の眼の視力が0.06以下になったものをいいます。

このときの視力の測定は、裸眼ではなく矯正視力 で行います。例えば、コンタクトやメガネをしても0.06以下ということを意味するので、この障害は相当重度の障害ということができます。

咀嚼(そしゃく)機能障害・言語機能障害(第3級2号)

この内容としては、やはりその程度によっていくつか異なる等級がありますが、咀嚼(物を飲み込む機能)又は 言語機能を廃したものというものになります。

こちらは、あごの骨や筋肉、又は周辺の神経に回復不能な損傷や障害を受け、まともに口を動かすものができないことが原因となります。

「又は」となっていることから分かるように、第3級となるのは、咀嚼機能障害、言語機能障害の どちらか一方が生じている場合で、その両方が生じている場合は、より上位の等級である第1級となります。

神経・精神障害(第3級3号)

神経・精神障害としては、いくつか異なる等級があります。その中でも、神経系統、又は精神に「著しい」障害を残し、 終身労務に服することができないものと認められた場合3級として認定されます。

3級3号の場合、脳や神経に障害があるものの、一応日常生活は自身で行うことができる 程度の障害となります。これに対して、同じ脳や神経の障害であっても、要介護の状況であれば、第1級として認定されることになります。

第3級3号の内でも、記憶力・注意力・集中力の障害や性格が変わったといった症状は、客観的な認定に困難を伴うことも多いです。

呼吸器・循環器機能障害(第3級4号)

この3級4号に該当する後遺障害は、脳や神経系統以外の障害で、主に肺などの呼吸器系 や心臓などの循環器系における後遺障害となります。

こちらは、息苦しさ等の症状から単に疲れやすいとの誤解を生じやすいですが、血中の酸素濃度等を検査することである程度客観的に判断できる障害といえるでしょう。

手指の欠損障害(第3級5号)

3級5号は、両手の指をすべて失った場合に認定されます。ここでいうすべて「失う」とは、親指ですと第1関節、その他の指では第2関節よりも先で失った場合も含みます。

(まとめ表)第3級の後遺障害

分類

障害の種類

障害の概要

1号

視力障害

1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの

2号

咀嚼機能障害

言語機能障害

咀嚼又は言語の機能を廃したもの

3号

神経・精神障害

神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの

4号

呼吸器機能障害

循環器機能障害

胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの

5号

手指の欠損障害

両手の手指の全部を失ったもの

後遺障害3級の慰謝料とは?

後遺障害3級と認定された場合、これに対する慰謝料額はどの程度となりますか

後遺障害慰謝料は、認定された等級ごとに相場となる基準額があります。弁護士(裁判所)基準ですと、3級の場合、1990万円が相場となります。

等級ごとに定められているんですね!

後遺障害に関する慰謝料とは

交通事故の被害者や死亡事故の場合の家族が請求できる慰謝料には入通院(傷害)慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料があります。どれも 精神的苦痛に対する賠償金という点では共通ですが、何に対する慰謝料かという点で異なります。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料 とは、後遺障害を負ってしまったことによる慰謝料のことをいいます。実務上、交通事故の後遺障害については、原則として認定された等級にしたがった慰謝料額が認められます。

入通院慰謝料

一方、入通院慰謝料 とは、交通事故でお怪我をされたこと自体に対する慰謝料のことをいいます。そして、この算定には、入通院期間を基礎とした算定表が存在しており、原則としてこれに従った金額となります。

尚、この入通院慰謝料と後遺障害慰謝料は、医師による症状固定の判断時期との前後関係 によってどちらになるか決定され、症状固定前は入通院慰謝料、症状固定後は後遺障害慰謝料の請求ということになります。

死亡慰謝料

以上と別に、死亡事故の場合は、死亡慰謝料 というものが認められます。死亡事故の慰謝料は、被害者自身の慰謝料と被害者の近親者固有の慰謝料を含んだ額の基準が存在しており、死亡した被害者の家計での役割・地位によって異なる金額が設定されています。

(まとめ表)交通事故の慰謝料

慰謝料の分類

内容

後遺障害慰謝料

事故で後遺障害を負ったことによる精神的苦痛に対する賠償金

入通院(傷害)慰謝料

事故で怪我をしたことによる精神的苦痛に対する賠償金

死亡慰謝料

事故で被害者が死亡した場合の精神的苦痛に対する慰謝料

3級の後遺障害慰謝料相場

後遺障害慰謝料の金額は、実務上、等級ごとに相場が定められています。

裁判を起こした場合や弁護士が介入した場合の交渉では、おおむねその相場を基準とし、症状の程度や日常生活への支障の内容などの個別具体的な事情による増減額を経て、最終的な慰謝料額が決定することになります。

慰謝料の等級ごとの基準額は、過去の判例の動向を分析して東京の弁護士会がまとめた「赤い本」に記載があり、これが裁判や弁護士の交渉の際に非常に重視されています。

具体的な金額については以下の表にまとめた通りとなりますので、参考にしてください。尚、3級の場合、 1990万円となります。

(まとめ表)後遺障害慰謝料の弁護士基準

等級

弁護士基準

1級

2800万円

2級

2370万円

3

1990 万円

4級

1670万円

5級

1400万円

判例からみる3級の慰謝料額の傾向

以下では、交通事故で後遺障害3級と認定された場合の裁判例をいくつかまとめてみました。これをみると、おおむね上記の 弁護士基準にしたがった後遺障害慰謝料額が認められていることがお分かり頂けると思います。

金額にばらつきがあるのは、その基準額に個別的な事情を斟酌した増減額がされているためです。

たとえば、個別具体的なケースにおいて、3級で想定される生活への支障等と実際に生じている支障に大きな差がある場合に増減額されたり、生じた障害が事故のみが原因で発生したといえない場合、減額されたりします。

以下の表の実例で、名古屋地判平成11.11.24で認容された慰謝料額が少ないのは、事故以前からあった症状(既往症といいます)が、認定された後遺障害に寄与していると認められ減額されたためです

(まとめ表)

判例年月日

怪我の部位・程度

後遺障害慰謝料

名古屋地判平成11.11.24

頸髄不全損傷

(3級相当)

500万円

札幌地判平成13.8.30

右下腿の欠損障害など(併合3級)

2000万円

東京地判平成18.3.2

高次脳機能障害、嗅覚障害、醜状障害

(併合3級)

2300万円

札幌高判平成18.5.26

高次脳機能障害

(第3級3号)

1990万円

大阪地判平成20.7.31

脊椎不全損傷

(第3級3号)

1900万円

福岡地裁小倉支部判平成25.5.31

左大腿切断、左手指の欠損その他

(併合3級)

2388万円

後遺障害3級で認められる逸失利益とは?

事故による後遺障害で仕事をやめざるを得なかった場合、その後3級が認定されると将来の収入分について賠償を受けることはできますか?

後遺障害3級の場合、労働能力は100%失われたとして、将来の収入分に対応する逸失利益を受け取ることが出来ます。

後遺障害3級だと、かなり重い障害ですものね。

逸失利益の計算方法

後遺障害逸失利益とは、事故による後遺障害が原因となって、事故以前にはあった労働能力の全部又は一部を失った場合の、 将来における収入の減額分の利益のことをいいます。

この計算方法は、以下のように決まっています。

逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応したライプニッツ係数

以下、計算式に用いる用語の説明をいたします。

基礎収入 とは、原則として、事故前に得ていた実際の年間収入のことをいいます。しかし、収入がなかった場合でもその年齢における平均賃金等を基礎収入とすることがあります。

労働能力喪失率 とは、その障害によってどれくらい働く能力・収入が減少したかを示す割合のことをいいます。これは、認定された等級ごとに定められています。

労働能力喪失期間 は、原則として67歳までの年数ですが、高齢者の場合は、平均余命の1/2で計算されることになります。

ライプニッツ係数 とは、将来定期的に得ていくはずだった収入を逸失利益として一括で現在受け取ることになることで得られる利益(中間利息といいます)を控除するために用いる係数となります。

具体的には、一括で受け取ることにより運用等をして得られる利益が本来得られなかったはずの余分な利益として、控除されることになります。

3級の労働能力喪失率とは

上記の通り、労働能力喪失率は、等級ごとに基準が定められていますが、3級の認定を受けた場合、労働能力喪失率は、通常 100%です。つまり、就労が原則として不可能という認定となるわけです。

判例からみる3級の労働能力喪失率認定の傾向

以下、3級として認定された場合の判例における労働能力喪失率の傾向をまとめたのでご参照ください。

通常、3級として認定される障害は、就労が困難とされるため、労働能力喪失率は100%として認定されることが多いですが、各事案によって若干下がることもあります。

(まとめ表)

判例年月日

職業

怪我の部位・程度

労働能力喪失率

札幌地判平成13.8.30

作業員

右下腿の欠損障害など(併合3級)

100%

東京地判平成18.3.2

会社員

高次脳機能障害、嗅覚障害、醜状障害

(併合3級)

92%

札幌高判平成18.5.26

高校生

高次脳機能障害

(第3級3号)

100%

大阪地判平成20.7.31

会社員

脊椎不全損傷

(第3級3号)

100%

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まとめ

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