後遺障害等級認定されない場合は?認定通知書を分析し異議申し立て!

  • 後遺障害,認定されない

この記事のポイント
  • 後遺障害等級認定されない場合、後遺症が残っていても、それに対する慰謝料や逸失利益がもらえないというデメリットがある
  • 後遺障害認定されなかった場合、後遺障害認定通知書の理由や後遺障害診断書の記載をよく確認・分析すべき
  • 後遺障害認定されなかったことに対し納得いかない場合、異議申し立てや裁判などの方法で認定結果を争うことができる

後遺障害等級認定されない事態を回避したい被害者や後遺障害等級認定されなかったという被害者の方はぜひご覧ください。

author okano
岡野武志弁護士
交通事故と刑事事件を専門とするアトム法律事務所の代表弁護士。

交通事故では、怪我の症状が残ったまま、治療効果が期待できない状態(症状固定)に達することがあります。

このような後遺症が残った場合は、被害者が後遺障害診断書を医師に作成してもらい

といった方法で、後遺障害等級認定の申請を行う流れになります。

後遺障害等級認定の流れ

もっとも、自賠責保険では、たとえ後遺症が残っていても、後遺障害認定されない場合があります。

本記事ではそのような後遺障害認定されない場合に関する知識をお伝えしていきます。

後遺障害認定されない場合の基本的知識

後遺障害認定されない場合の基本的知識

後遺障害の認定確率はわずか〇〇%!?

交通事故では、後遺障害認定されない場合の方がはるかに多いのが実情です。

損害保険料率算出機構が刊行している「2018年度 自動車保険の概況」によると、2017年度の後遺障害認定件数

5万5229件

であり、警察庁交通局が刊行している「平成29年中の交通事故の発生状況」によると、2017年度の交通事故の負傷者数

58万847人

となっています。

これを単純に計算すると、交通事故被害者の後遺障害認定確率は、

わずか9.5%程度

ということになります。

つまり、交通事故被害者のうち、10人に9人は後遺障害認定されない形になります。

後遺障害認定されないデメリットは?

交通事故被害者が後遺障害認定されない場合は、痛みなどの後遺症が原因とする辛い思いや、収入の減少に対する

  • 慰謝料
  • 逸失利益

といった損害項目を示談の際に請求できないのがデメリットです。

つまり、後遺障害認定されない場合もらえる損害賠償の金額が大きく減ってしまうことになります。

むちうちで後遺症認定は中々難しい!?

特に、交通事故の症状で最も多いと言われているむちうちによる後遺症認定は難しいのが実情です。

後遺障害等級認定を受けるには、その症状が交通事故によるものであることを検査などにより医学的に証明する必要があります。

しかし、むちうちの場合、自覚症状のみで、検査をしても異常所見が見つけられないことが多いからです。

むちうちで後遺障害等級14級が認定される場合と認定されない場合(非該当の場合)では

損害賠償金が100万円以上も変わってくる可能性

があります。

そのため、後遺症に対する損害賠償をしっかり受け取るためには、後遺障害認定されないという事態を回避する必要があります。

むちうちの症状で後遺障害等級14級が認定されるか認定されないかは、

申請の方法や後遺障害診断書の記載方法が大きく左右する

ため、申請前に弁護士に相談してみることをおすすめします。

後遺障害認定されない理由を知るには?

後遺障害認定されない理由を知るには?

冒頭でお伝えしたとおり、交通事故では後遺障害認定されない場合の方が多くなります。

もっとも、認定されなかった被害者としてはその理由を知りたいのではないでしょうか?

交通事故で後遺障害認定されない理由を知るには、以下のポイントを確認する必要があります。

①後遺障害認定通知書の非該当の理由

まず最初に確認すべきなのは、申請結果を知らせる際に送られてくる後遺障害認定通知書です。

後遺障害認定されなかった場合、通知書にはその理由が記載されることになっています。

このことは、自動車損害賠償保障法によって義務付けられています。

保険会社は…保険金等を支払わないこととしたときは、遅滞なく…支払を行わないこととした理由を記載した書面を…交付しなければならない。

もっとも、後遺障害認定通知書に記載されている理由は、抽象的なものが多いため、これだけでは正確な理由の把握は困難です。

そこで、保険会社に対し、より詳細な理由を記載した書面の提出を求めるのが正確な理由を把握するためのポイントです。

この書面の提出を求める権利は、自動車損害賠償保障法で、以下のように認められています。

保険会社は…同条第三項に規定する支払を行わないこととした理由の詳細…について説明を求められたときは…当該説明を求めた者に対し、書面により、当該説明を求められた事項を説明しなければならない。

このような方法で、後遺障害認定されない理由がどこにあるのかを知ることができます。

②後遺障害診断書の記載の不備の有無

後遺障害認定されなかった理由を知ることができたら、続いてはその理由を分析し、原因がどこにあるかを探るのがポイントです。

後遺障害等級認定の審査には、後遺障害診断書の記載内容が大きく影響します。

そのため、後遺障害認定されない理由としては、後遺障害診断書の記載に不備があることがまず考えられます。

よくある不備としては、後遺障害診断書の書式の「障害内容の増悪・緩解の見通し」の欄に

緩解(回復)の見込みあり

等と記載されているものが挙げられます。

交通事故の後遺障害は将来的にも回復が困難な症状であることが要件のため、上記の記載は後遺障害認定されない理由になり得ます。

③必要な検査や十分な通院をしてるか

また、後遺障害認定されなかった場合には

ⅰ必要な検査を受けているかどうか

ⅱ通院期間や日数が十分かどうか

などもチェックする必要があります。

ⅰについては、レントゲンやMRIといった画像検査の結果が正確に記載されているかがポイントになります。

また、画像検査では異常が見つけにくいむちうちの場合は神経学的検査の結果が正確に記載されているかもポイントになります。

ⅱについては、むちうちの場合、後遺障害認定されるには通院期間半年以上、実通院日数100日程度が目安と言われています。

後遺障害認定されなかった場合、その後の対応を決めるには、その理由が何なのかの見極めが必要になります。

もっとも、その理由を正確に分析するには、後遺障害に対する知識が必要であり、被害者の方だけでは中々難しい場合も多いです。

その理由の分析が一人で難しい場合、まずは交通事故に詳しい弁護士に相談だけでもしてみて下さい。

後遺障害等級認定結果を争うための方法

後遺障害等級認定結果を争うための方法

後遺障害等級認定結果が出たら、その結果を踏まえ示談交渉するという流れになります。

もっとも、先ほどお伝えのとおり、後遺障害認定されなかったら、示談において後遺障害慰謝料や逸失利益を請求できません。

そこで、交通事故では、後遺障害等級認定の結果が納得できない場合に、認定結果を争ういくつかの方法が用意されています。

後遺障害の認定結果通知後の流れ

最後に、これらの後遺障害認定結果を争う方法についてご紹介していきたいと思います。

①異議申立

後遺障害認定されなかった場合に認定結果を争う方法として、通常最初に行われる方法が異議申し立てです。

これは、後遺障害等級認定の判断を行った、自賠責保険に対して後遺障害認定の再判断を求める方法になります。

ただし、異議申し立ての場合、具体的審査は初回に審査をした、自賠責損害調査事務所の上部機関であり、外部の専門家で構成される

自賠責保険審査会

という機関でより慎重な審査が行われます。

②紛争処理申請

また、自賠責保険・共済紛争処理機構に紛争処理申請を申立するという方法もあります。

紛争処理機構の調停は、自賠責保険の枠組みの中で最終の不服申立て手段に位置づけられるため、1度だけしか申請できません

具体的な紛争処理の流れなどを知りたい方は以下の公式サイトをご覧ください。

③裁判の提起

上記の方法でも後遺障害認定されない場合、裁判の提起という方法により認定結果を争うことも可能です。

裁判では自賠責保険の認定結果に拘束されずに後遺障害等級認定の判断をすることが可能だからです。

もっとも、裁判所は自賠責保険の認定結果を重視しているものと考えられます。

そのため、あくまでも最終的な方法と考えておくべきでしょう。

お伝えしてきた3つの方法をまとめると、以下の表になります。

後遺障害認定されない場合の3つの方法
異議申立 紛争処理 裁判
判断機関 自賠責保険
(損害保険料率算出機構)
紛争処理委員会 裁判所
費用 無料 無料 有料
被害者の出席 不要※1 不要※1 必要※2
不服申立 何度でも可能 上訴

※1 醜状障害では面談行われる場合あり
※2 弁護士への代理出席の依頼はできる

それぞれの方法のメリット及びデメリットを理解した上でどの方法をとるべきかよく検討する必要があります。

後遺障害認定されない悩みは弁護士相談

後遺障害認定されない悩みは弁護士相談

  • 後遺障害認定されないという事態は避けたい…
  • 後遺障害認定されなかったことが納得できない…

という被害者の方は弁護士相談してみることをおすすめします。

弁護士に相談・依頼するメリットは?

弁護士相談をすることにより

  • 後遺障害認定されない可能性はどの程度か
  • 後遺障害認定されなかった場合に争う余地があるか

などを知ることができ、実際に弁護士に依頼をすれば

  • 適切な後遺障害認定がされないという事態を避けるための申請
  • 後遺障害認定されなかった理由を分析した上での異議申立など

ができるというメリットがあります。

お伝えしたとおり、後遺障害が認定されるか認定されないかで受け取れる損害賠償金は大きく変わります。

さらに、同じ後遺障害等級でも弁護士に示談を依頼するかどうかで受け取れる損害賠償金は大きく変わってきます。

弁護士基準の損害賠償額の相場については、以下の慰謝料計算機で簡単に確認することができます。

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ただし、後遺障害認定されない場合は、金銭的には弁護士に頼むと費用倒れになる可能性があるというデメリットはあります。

しかし、弁護士費用特約が使える場合は、弁護士費用を保険会社が負担してくれるので、費用倒れの心配をせずに依頼できます。

弁護士費用特約の内容を詳しく知りたい方は、以下の動画で弁護士が分かりやすく解説していますので参考にしてみてください。

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また、交通事故による怪我の症状が重く、弁護士事務所への訪問が困難な方を対象に、無料出張相談も行っているそうです。

まずは、電話してみることから始まります。

きっと、被害者の方が取るべき対応について、適切なアドバイスをしてくれるはずです。

交通事故相談を直接弁護士にするなら

直接弁護士と会って相談されたいという方も当然いらっしゃると思います。

また、既に弁護士へのご依頼を決めていて、交通事故に強い地元の弁護士事務所をお探しの方もいらっしゃるかもしれません。

そんなときには、以下の全国弁護士検索サービスがおすすめです。

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最後に一言アドバイス

それでは、最後になりますが、後遺障害認定されないことに関してお困りの方に一言アドバイスをお願いします。

後遺障害が認定されるか認定されないかは、後遺症に対する適切な損害賠償が受けられるかに直結する問題です。

そのため、適切な後遺障害等級が認定されないという事態は避ける必要があります。

後遺障害認定されなかった場合に争う方法もありますが、できれば後遺障害認定の申請前に弁護士相談されることをおすすめします。

まとめ

いかがだったでしょうか。

このページを最後までお読みの方は、

  • 後遺障害の認定確率や認定されない場合のデメリット
  • 後遺障害認定されなかった場合に確認すべきポイント
  • 後遺障害認定されなかったことが納得できない場合に認定結果を争う方法

などについて理解を深めていただけたのではないかと思います。

これを読んで弁護士に相談した方が良いと思った方も多いハズです。

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また、このホームページでは、交通事故に関する関連記事も多数掲載していますので、ぜひ参考にしてください!

皆さまのお悩みが早く解決するよう、お祈りしています。

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