肝臓損傷の後遺症|症状や治療法、慰謝料の相場について弁護士が解説!

  • 肝臓損傷,後遺症

肝臓損傷の後遺症|症状や治療法、慰謝料の相場について弁護士が解説!

ある日突然、交通事故肝臓損傷後遺症が残ってしまったとしたら…。

これからも長く続く治療リハビリの生活では、

  • 肝臓損傷から回復するために支払う治療費
  • 怪我をしたことや後遺症が残ったことによる精神的苦痛に対する慰謝料
  • 将来の平穏な暮らしを確保するための生活費

の問題を避けて通ることはできません。

さて、ここで問題です。

肝臓損傷の後遺症との関係で、

リハビリ中の生活費や治療費の悩みを解決するためにできることがあるって知っていましたか?

※ 知っている人はみんな利用している方法です!

生活費や治療費の悩みを解決する方法を次の中から選んでください。

選択肢①:

肝臓損傷との関係で、後遺症認定を獲得し、保険会社に慰謝料の増額請求をする。

選択肢②:

肝臓損傷によって失った将来の給与・収入を主張し、賠償金や保険金の再計算を求める。

選択肢③:

肝臓損傷を負う原因となった相手に対して、損害賠償を請求する裁判を起こす。

裁判、増額請求、再計算…。

正解は、この記事の後半で弁護士先生に詳しく解説してもらいましょう!

それでは、肝臓損傷の後遺症でお悩みの方へ。

肝臓損傷による負担や、相手側の保険会社との交渉によるストレスから解消される方法についてまとめてみました。

ぜひご一読ください。

なお、専門的な解説は、テレビや雑誌でお馴染みの岡野武志弁護士にお願いしています。

よろしくお願いします。

交通事故の被害に遭われ、心身ともにお辛い日々を送られているとお察しします。

また、肝臓損傷の後遺症が残ってしまった場合、日常生活への影響も大きく、大きな負担を感じていらっしゃるはずです。

実際に、後遺症でお悩みの方から、これまでに相談を受けてきた経験があります。

今回はその経験も踏まえ、具体的な事例も紹介しながら、わかりやすく解説していきたいと思います。

まず、肝臓損傷とは、なんとなくどのような状態のことなのかご存知の方もいらっしゃると思います。

しかし、具体的な症状治療法にまで詳しいという方は少ないかもしれません。

まずは、肝臓損傷についての基礎知識から詳しく見ていきましょう。

肝臓損傷の症状や治療法は!?後遺症が残る可能性もあるってホント?

肝臓損傷の症状や治療法は!?後遺症が残る可能性もあるってホント?

非常に危険…肝臓損傷の症状とは!?

まず、肝臓損傷とは、その名の通り、肝臓が外部からの影響により損傷を受けることです。

肝臓は、人間の臓器の中で一番大きなサイズとなっているため、腹部に外傷を負うと、肝臓が損傷してしまうケースが多いようなのです。

Liver 01 anterior view

外部からの影響としては具体的に、交通事故による衝撃などで、

  • 腹部に強い圧迫が加わる
  • 骨折した肋骨が肝臓を傷つける

といったことが考えられます。

では、肝臓損傷を負った場合、どのような症状が現れるのでしょうか。

調べてみたところ、以下の通りということです。

肝臓損傷の症状

●出血性のショック

〇呼吸が早くなる

〇手足が冷たくなる

〇チアノーゼのような症状が現れる

●腹膜刺激の病状

〇腹膜を押すと傷みが強くなる

〇腹壁が緊張して固くなる

肝臓には非常に多くの血液が流れています。

よって、交通事故による外傷などで損傷した場合には、出血性のショックに陥る可能性が高いということです。

たとえ少量の出血であったとしても、それが長時間続けば、時間が経過してからショック症状に陥る可能性も考えられます。

そのため、少しでも肝臓の損傷が疑われた場合には、体に症状が現れていなくても、その後の経過について注意するようにしてください。

肝臓損傷の診断方法としては、まず、前述のような症状の有無が確認されます。

また、血液検査を行い、肝臓逸脱酵素(トランスアミナーゼ)が上昇している場合は、肝臓損傷が疑われ、腹部超音波検査が行われるそうです。

それにより、肝臓が損傷しているかどうか、また、腹腔内への出血がどの程度であるかが確認されます。

その後、輸液で血圧が安定した場合には、CT検査により、より詳しい損傷の状態を確認するということです。

肝臓損傷の治療法について

では、肝臓損傷に対する治療法はどのようになっているのでしょうか?

調べてみたところ、軽い損傷であれば、特に治療を行わなくても回復することがあるようです。

状態によっては、輸血輸液が行われることもあるということです。

とはいえ、いつ重篤な状況に陥るかわからないため、入院し、厳重な監視下に置かれることがほとんどだということです。

損傷が重大な場合には

しかし、輸液などの投与を行っても出血が止まらない場合には、肝臓からの出血を止めるための治療を行う必要があります。

その前に、肝臓を大きく損傷している場合には、被害者の方が低体温凝固異常など不安定な状態に陥っていることも考えられます。

その際には、状態が安定してから根本治療が行われるそうです。

方法としては、鼠径部の欠陥からカテーテルを肝臓まで通し、血管をふさぐための物質を注入するというものがあるそうです。

他には、出血の原因となっている肝臓動脈を、コイルなどで詰めて止血する方法もあるようです。

これでも出血が止まらない場合には、直ちに手術が行われるということです。

【注目】肝臓損傷に対する後遺症等級認定基準について解説

上記のような治療法により、最近では、肝臓に障害が残るケースというのは少なくなってきたようです。

しかし、残念ながら後遺症が残ってしまう可能性もあるそうなのです。

では、交通事故により肝臓損傷を負った場合、どのような後遺症が残ってしまう可能性があるのでしょうか?

交通事故による肝臓損傷の治療で、肝炎ウイルスに汚染された血が輸血された場合に慢性肝炎の後遺症が残る可能性があります。

さらに、その慢性肝炎が原因で肝硬変の後遺症が残る可能性もあります。

ここで、後遺症の等級は1級~14級まで定められており、等級ごとに認定基準が定められているということです。

残存する症状が重ければ重いほど、数字の低い等級に該当するとも聞きました。

肝臓損傷の場合の等級認定の基準はどのようになっているのでしょうか?

まず、ウイルスの持続感染が認められ、血液検査でAST・ALTが持続的に低値である慢性肝炎の場合には11級10号が認定されます。

また、ウイルスの持続感染が認められ、血液検査でAST・ALTが持続的に低値である肝硬変の場合には9級11号が認定されます。

肝臓損傷での後遺症等級認定基準
傷害の状態 後遺症等級
ウイルスの持続感染が認められ、AST・ALTが持続的に低値の慢性肝炎 11級10号
ウイルスの持続感染が認められ、AST・ALTが持続的に低値の肝硬変 9級11号

知らないと損する①肝臓損傷の治療に対する慰謝料や治療費は?

知らないと損する①肝臓損傷の治療に対する慰謝料や治療費は?

肝臓損傷の症状や治療法について理解を深めていただけましたでしょうか。

しかし、手術やリハビリをすることになった場合、その間の生活費や治療費、仕事を休まなければならないことに対して、不安ばかりですよね。

最初に、

リハビリ中の生活費や治療費の悩みを解決するためにできることがあるって知っていましたか?

とお聞きしました。

ここからは、その答えを、岡野弁護士に話を聞きながら、詳しく見ていきましょう。

治療費の支払いは誰が?

まずは、入通院中の治療費についてです。

交通事故によるケガの治療をする場合であっても、病院との関係では、治療費の支払義務は患者である被害者の方にあることになるそうです。

よって、原則的な治療費の支払い方法としては、被害者の方が病院に治療費を立替え、立替えた治療費を加害者側に請求するという形になります。

ただし、加害者側が任意保険会社に加入している場合、治療費を相手側の保険会社から治療機関に直接支払うという一括対応という手続きがあります。

この場合、被害者の方は病院の窓口で治療費を立て替える必要がなくなります

交通事故でも健康保険で通院できる!?

また、交通事故の治療に健康保険などの保険を使用するかどうかを決める必要があります。

ところで、交通事故では健康保険を使用できないと誤解されていらっしゃる方も多いようですね。

https://twitter.com/Kagiroi21/status/948741605384642560

しかし、厚生労働省は、以下のように交通事故でも健康保険を使えるという通達(通知)を出しています。

犯罪や自動車事故等の被害を受けたことにより生じた傷病は、医療保険各法(健康保険法、船員保険法、国民健康保険法及び高齢者の医療の確保に関する法律)において、一般の保険事故と同様に、医療保険の給付の対象とされています

ただし、健康保険を使用する場合には、病院に対して健康保険証を呈示し、健康保険を使用する意思を伝える必要があるとのことです。

健康保険証の呈示だけではなく、使用の意思をはっきりと伝えるのがポイントということです。

ここで、健康保険を使わない自由診療と、健康保険診療との違いをまとめてみましたので、良ければ参考にしてみてください。

自由診療と健康保険診療との比較
自由診療 健康保険診療
費用 高額 低額
治療方法 制限なし 制限有り

病院によっては、健康保険の使用を拒否したり、一括対応に応じてくれないところもあります。

そういった場合に、弁護士が介入することにより、病院の対応が変わった事例もあります。

病院での対応にお困りの方は、弁護士に相談だけでもしてみた方が良いかもしれませんね!

支払いが困難な場合には…

しかし、交通事故による怪我の治療が長引いた場合、支払いが困難になってしまうことも考えられます。

そういった場合には、どうすれば良いのでしょうか?

被害者ご本人が傷害保険に加入している場合、過失割合に関係なく契約に応じた保険金が支払われます。

また、加害者が加入している自賠責保険の仮渡金制度を利用するという方法もあります。

仮渡金制度とは、

損害賠償金の確定前に、被害者の方が相手側の自賠責保険会社に前もって治療費を請求できる

という仕組みのことです。

ただし、最終的な賠償額よりも多い金額を受け取ってしまった場合には、差額を返却する必要がある点には注意が必要です。

入通院慰謝料の相場について解説

治療費の他に、ケガの痛みや治療による苦痛に対する補償である入通院慰謝料というものも支払われます。

この入通院慰謝料は、治療にかかった期間が、慰謝料のほぼ唯一の基準となっているということです。

以下に、入通院慰謝料相場を示しましたので、ご覧になってみてください。

重傷の慰謝料算定表

重傷の慰謝料算定表

表の見方としては、たとえば入院を5ヶ月、通院を12ヶ月した場合には、280万円の入通院慰謝料が支払われることになります。

ちなみに、自賠責保険からの入通院慰謝料の計算方法は、以下のいずれか短い方に、4200円をかけるという方法になるそうです。

  • 入院日数と、実通院日数の2倍の合計
  • 総治療期間

長期間通院すれば良いワケじゃない!?通院頻度と慰謝料の関係をお教えします!

では、治療の日数により慰謝料が決まるということであれば、通院頻度を低く、長い期間通った方が高い慰謝料をもらえるのか!?という疑問があります。

しかし、通院頻度が少ない場合には、慰謝料が減額されてしまうケースもあるということなのです。

通院頻度と慰謝料の関係
  1. ① 通院が1年以上にわたり、通院頻度が1ヶ月あたり2~3回程度にも達しない場合
  2. ② 通院を継続しているものの、治療よりも検査や治癒経過観察の意味合いが強い場合

の場合には、通院期間を限度にして、実治療日数の3.5倍程度の日数を基準として慰謝料を計算する。

もう少し具体的に説明しますね。

たとえば、①のケースを考えてみます。

極端な例ですが、通院期間が半年で、実通院日数が8日しかなかったとしましょう。

通院期間が基準であるならば、半年通院=慰謝料116万円もらえるのかというと違います。

この場合、通院頻度が1ヶ月あたり2回に達していないので、8×3.5=28日(≒1ヶ月)が適用され、慰謝料は28万円ということになってしまうのです。

通院慰謝料の算定ルール
原則 例外
通院期間により算定 通院期間を限度として、実治療日数の3.5倍程度により算定

このように、慰謝料の算定には例外ルールなどもあり、被害者ご本人だけではわからないことも多くあると思います。

適正な慰謝料獲得に向けて、少しでも不明点がある場合には、ぜひ弁護士に相談してみてください。

知らないと損する②肝臓損傷の後遺症に対する慰謝料・示談金・保険金は?

知らないと損する②肝臓損傷の後遺症に対する慰謝料・示談金・保険金は?

治療中の費用の補償については、わかってきました。

ではここからは、最初の質問に対する回答について解説してもらおうと思います!

選択肢①:

肝臓損傷との関係で、後遺症認定を獲得し、保険会社に慰謝料の増額請求をする。

選択肢②:

肝臓損傷によって失った将来の給与・収入を主張し、賠償金や保険金の再計算を求める。

選択肢③:

肝臓損傷を負う原因となった相手に対して、損害賠償を請求する裁判を起こす。

費用に関する悩みを解決するための正解は、上記の選択肢のうちのどれなのでしょうか…。

正解は、上記の選択肢①~③のすべてになります。

そうなのですね!?

では、正解の内容について、詳しく解説してもらいましょう。

選択肢①後遺症の等級認定を獲得し、慰謝料を増額請求する

すでにお伝えの通り、肝臓損傷が原因で、後遺症が残ってしまう可能性があるということでしたね。

肝臓損傷に対する後遺症の等級についてはすでにお伝えしました。

その等級に応じて、後遺症慰謝料の金額が決まっているということです。

その前に、慰謝料には3つの基準があるってご存知でしたか?

慰謝料増額に向けて知っておきたい基礎知識~3つの慰謝料相場の基準~

慰謝料には、

  • 自賠責保険に請求する場合
  • 任意保険会社が提示する場合
  • 弁護士が相手側や保険会社に請求する場合

の3つの基準が存在しているそうなのです。

自賠責基準

自賠責保険会社の慰謝料とは、自賠法に基づく省令により設定されているものです。

自賠法は、交通事故の被害者が最低限の補償を受けるためのものであり、その金額は低く設定されています。

任意保険基準

保険会社でも、任意保険会社による慰謝料基準も存在しています。

ただし、任意保険会社は営利企業のため、もちろん少ない金額で済ませたいと考えているハズですよね。

よって、自賠責の基準よりは高いものの、慰謝料の金額は少ないことが多いということです。

弁護士基準

保険会社の基準と検証して、最も高い基準となっているのが、裁判所や弁護士の基準です。

これは、裁判を行った場合や相手側と示談をする場合に用いられる基準のこと。

ただし、自分ひとりで裁判を起こし、相手側と争うのは、どう考えても難しいですよね…。

よって、高額の慰謝料を獲得するためには、弁護士に依頼をして示談や裁判を行うことが必要ということになるのです。

慰謝料金額の基準
自賠責基準 任意保険基準 弁護士基準
内容 交通事故被害者が最低限の補償を受けるためのもの 営利企業の保険会社が支払うもの 弁護士を付けて裁判や相手側との示談をする場合に用いられるもの
金額 金額は低め 自賠責基準よりは高いが、金額は低め 自賠責基準や任意保険基準よりも高い

では、それぞれの基準ごとの後遺症慰謝料の相場について、以下の表に示しました。

肝臓損傷の場合の後遺症慰謝料※1
後遺症等級 自賠責基準※2 任意保険基準※3 弁護士基準
9級 245 300 690
11級 135 150 420

※1 単位:万円

※2 被扶養者がいる場合や要介護の場合には金額が異なるケースがある。

※3 旧任意保険支払基準による。

一目瞭然ですが、しっかりとした補償を受けるためには、弁護士基準での慰謝料を受け取るべきですよね。

ただし、被害者ご本人だけで保険会社と交渉しても、低い示談金しか提示してもらえないことがほとんどということです。

これは、入通院慰謝料についても同じことが言えるということです。

加害者が任意保険に入っている場合には、弁護士に依頼して交渉してもらうと、弁護士基準の慰謝料を回収できることがほとんどだということです。

弁護士基準の慰謝料を獲得するためにも、ぜひ弁護士に相談いただければと思います!

自分で慰謝料を計算してみたい

ここまで読んで、自分の事故ではどれほどの慰謝料が受け取れるものなのか…。

今すぐに知りたいと思った方も多いのではないでしょうか。

このホームページでは、後遺症慰謝料だけでなく入通院慰謝料も含めた賠償金総額がわかる計算機を設置しています。

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自分やご家族の事故ではどれくらいの金額が請求できるのか…。

登録などは不要なので、ぜひ一度試してみてください!

選択肢②失った将来の収入(休業損害・逸失利益)を主張する

治療費や慰謝料以外にも、肝臓損傷によって失った将来の給与・収入を主張し、賠償金や保険金の再計算を求めるという方法もあるのですね。

主には、休業損害逸失利益の主張をするということになるそうです。

治療中に失った収入「休業損害」

まずは、休業損害について見てみましょう。

休業損害

交通事故により本来得られるはずであった収入や利益を失うこと。

では、休業損害の計算方法について見ていきたいと思います。

自賠責保険での計算方法

自賠責保険に対して、休業損害を請求する場合の計算方法は、5700円×休業日数ということです。

ただし、1日の休業損害が5700円を超えることを資料などで証明できれば、19000円までは日額の増額が認められています。

上限がありますが、日額が5700円以下の方でも、休業による収入の減収さえあれば、日額5700円で計算されるので、収入の低い人にとっては有利となりますね。

任意保険での計算方法

一方、任意保険や裁判所に対して、休業損害を請求する場合の計算方法は以下の通りということです。

1日あたりの基礎収入×休業日数

1日あたりの基礎収入をどうやって割り出すかは職業別に異なります。

日額5700円未満の人は実際の日額で計算される反面、証明できれば、19000円を超える日額も認められるので、収入の高い人にとって有利となります。

この話の中で誤解されがちですが、休業損害の請求において、日額が最低5700円になるわけでは必ずしもないということは注意しましょう。

よく自賠責保険は最低限の補償をする保険と言われるため、日額が自賠責で定められた5700円以下になるのはおかしいとおっしゃる方がいます。

しかし、自賠責保険の基準が用いられるのは、治療費や慰謝料などを合わせた損害賠償の総額が120万円以内の場合のみとなります。

損害賠償の総額が120万円を超えた場合には自賠責保険の基準は用いられなくなり、任意保険基準や弁護士基準が用いられることになるそうです。

「他の項目では任意保険基準や弁護士基準を用い、休業損害の項目だけ自賠責保険の基準を用いる」というように、良い基準だけ採用することはできないので注意が必要です。

休業損害の日額
自賠責保険 任意保険
原則 5700円 1日あたりの基礎収入
上限 19000円

職業別の基礎収入など、休業損害についてはこちらの記事で詳しく説明されていますので、良ければご覧ください。

失った将来の収入「逸失利益」

次に、逸失利益とは、以下のようなものになります。

逸失利益

後遺症により労働能力が失われてしまった場合に、本来得られるはずだった収入の減額分を補償するための損害賠償。

まず、逸失利益で最初に争いになるのは、現在、現実に収入の減額が発生しているかどうからしいですね。

後遺症認定の時点ですでに減収が発生している場合には、将来的にもその減収の継続が見込まれるため、逸失利益は認められやすいです。

また、肝臓損傷による後遺症が原因で、

  • 会社の部署を異動させられた
  • 職業選択の幅が狭くなった
  • 積極的な対人関係や対外的な活動が不可能になった

など、労働環境や能力に支障が出ていることが認定されれば、逸失利益が認められることになります。

一方で、実際に後遺症が残っていても、労働能力に与える影響が小さく、逸失利益が十分に得られないこともあるそうです。

すると、被害者の方は逸失利益を得られず、実際に残っている後遺症に対する補償として明らかに不十分になってしまいます。

そのような場合には、後遺症の慰謝料を相場よりも増額させることで、賠償のバランスが取られることもあるそうです。

ただし、そのような証明や交渉を自分ひとりで行うのは難しいですよね。

この場合も、弁護士に相談すれば、適切なアドバイスをもらえると思います!

選択肢③損害賠償請求の裁判を起こす

ここまでで、保険会社との交渉にあたっては、弁護士に入ってもらうことで弁護士基準の賠償が受け取れるということがわかってきました。

しかし、保険会社と争いのある部分については、裁判でしっかり主張立証しなければ、増額が認められない場合があるそうなのです。

実際、示談交渉だけの場合と、裁判を起こした場合で、弁護士基準の賠償額がどれほど受け取れるのかまとめた表があります。

弁護士基準と各ケースの検証
弁護士基準の
賠償額との比較
弁護士が保険会社と交渉 9~10割※1
弁護士をつけて裁判 10割

弁護士費用※2

※1 保険会社との争いの度合いや、弁護士の方針により異なるケースもある。

※2 交通事故の損害賠償請求においては、その裁判のための弁護士費用も損害として認められる場合がある。

また、休業損害や逸失利益についても、裁判を起こさなければ、増額を認めてもらえないことも多いようです。

つまり、確実に賠償額を受け取りたい場合には、肝臓損傷を負う原因となった相手に対して、損害賠償を請求する裁判を起こすことも一つの方法となります。

交通事故の流れ

実際の裁判例を見てみよう

ではここで、肝臓損傷の損害賠償について、実際に裁判で争われた事例を見てみましょう。

肝臓損傷の後遺症に関する過去の裁判例
ケース①
職業:中学生(14歳男性)
傷害:肝臓損傷その他
後遺症:胸腹部臓器の障害(11級11号)その他
《損害賠償》
傷害慰謝料:500万円
後遺障害慰謝料:3000万円
両親に対する慰謝料:各400万円
逸失利益:9101万6830円
付添介護費:957万2500円
将来治療関係費:1301万5699円
将来看護費:1億1913万1255円
ケース②
職業:潜水士業務(42歳男性)
傷害:肝臓損傷その他
後遺症:胸腹部臓器に障害を残すもの(11級11号)
《損害賠償》
傷害慰謝料:200万円
後遺障害慰謝料:450万円
休業損害:634万5352円
逸失利益:1223万8015円
将来治療費:90万6818円
ケース③
職業:タクシー乗務員(66歳男性)
傷害:肝臓損傷その他
後遺症:胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができない(7級5号)
《損害賠償》
入通院慰謝料:350万円
後遺障害慰謝料:1000万円
休業損害:714万2916円
逸失利益:476万5689円
付添看護費:97万9000円
将来の治療費:28万7689円

もちろん、これ以外に、治療費や治療器具の購入費などの実費も認められています。

個別の事情にもよりますが、裁判で損害賠償請求の根拠をしっかりと主張することができれば、休業損害や逸失利益も認められています。

また、付添費や将来看護費、将来の治療費なども認められているケースもありますね。

将来看護(介護)費用については、こちらの記事で詳しく説明されていますので、良ければご覧になってみてください。

しかし、すでにお伝えの通り、被害者ご本人やご家族だけで裁判を起こすのは困難が多いはずです。

最近では、無料相談を行っている弁護士事務所も多いです。

また、被害者の方の自動車保険に弁護士費用特約がついていれば、保険から弁護士費用が支給されます。

弁護士費用特約の内容は、以下の動画で弁護士がわかりやすく解説しています。

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以上、肝臓損傷の治療法や、リハビリ中の生活費や治療費について理解を深めていただけたでしょうか。

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最後に一言アドバイス

それでは、最後になりますが、肝臓損傷の後遺症や保険金についてお悩みの方に一言アドバイスをお願いします!

まずは、医師の診断を受け、じっくり療養し、お大事になさってください。

それでも残念なことに肝臓損傷の後遺症が残ってしまった場合は、弁護士に相談することをお勧めします。

なぜなら、日常生活に支障が及ぶような後遺症が残るような場合、適正な金額の補償を受けるべきだからです。

しかし、保険会社から示談金を提示され、書類にサインしてしまうと、あらためて慰謝料などを請求することは極めて困難になります。

そうなる前に、ぜひ弁護士無料相談を活用してみてください。

面倒な手続きや交渉などのお力にもなれるはずです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

最後までお読みいただけた方には、

  • 肝臓損傷症状治療法リハビリなどの基礎知識
  • 肝臓損傷による後遺症の等級や認定基準
  • 肝臓損傷に対する慰謝料などの示談金相場

について、理解を深めていただけたのではないかと思います。

また、肝臓損傷の後遺症について、弁護士に相談した方が良いと感じた方もいらっしゃるでしょう。

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また、このホームページでは、交通事故の後遺症に関するその他関連記事も多数掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください!

交通事故での肝臓損傷の後遺症Q&A

肝臓損傷の症状ってどういうものなの?

肝臓損傷は、外部からの衝撃によって肝臓が損傷を受けることです。交通事故などの衝撃によって肝臓が傷つくことで肝臓損傷となります。肝臓には多くの血液が流れているので、損傷した場合は手足が冷たくなるなどの出血性のショックや、内臓の表面を覆っている腹膜を押すと傷むといった腹膜の病状がみられます。 肝臓損傷の原因とその症状

肝臓損傷の治療法は?

肝臓の損傷が軽い場合であれば、治療を行わなくても回復します。損傷状態によっては、輸血などの適切な処理が必要となります。もし、出血が止まらないなどの損傷がひどい場合には、出血を止めるための治療がおこなわれます。それでも出血が止まらない場合には、手術が必要となります。 肝臓損傷の治療法

肝臓損傷が後遺症となる可能性はあるの?

肝臓に障害が残るケースは少ないと言えるでしょう。しかし、肝臓損傷の治療の過程で、肝炎ウイルスに汚染された血が輸血されるなどした場合は、慢性肝炎の後遺症が残る可能性があります。さらに慢性肝炎が原因で肝硬変の後遺症が残る可能性もあります。肝臓損傷自体には後遺症のリスクは少ないですが、それによる合併症の後遺症の可能性は十分にありえるのです。 肝臓損傷による後遺症のリスク

この記事の監修弁護士

岡野武志弁護士

アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。

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