鼓膜が破れた!外傷性鼓膜穿孔の後遺症|慰謝料や治療費などの示談金は?
ある日突然、交通事故で耳に怪我を負い、外傷性鼓膜穿孔の後遺症が残ってしまったとしたら…。
これからも長く続く治療の生活では、
- 外傷性鼓膜穿孔から回復するために支払う治療費
- 怪我をしたことや後遺症が残ったことによる精神的苦痛に対する慰謝料
- 将来の平穏な暮らしを確保するための生活費
の問題を避けて通ることはできません。
さて、ここで問題です。
外傷性鼓膜穿孔の後遺症との関係で、
治療中の生活費や治療費の悩みを解決するためにできることがあるって知っていましたか?
※ 知っている人はみんな利用している方法です!
生活費や治療費の悩みを解決する方法を次の中から選んでください。
選択肢①:
外傷性鼓膜穿孔との関係で、後遺症認定を獲得し、保険会社に慰謝料の増額請求をする。
選択肢②:
外傷性鼓膜穿孔によって失った現在・将来の給与・収入を主張し、賠償金や保険金の再計算を求める。
選択肢③:
外傷性鼓膜穿孔を負う原因となった相手に対して、損害賠償を請求する裁判を起こす。
裁判、増額請求、再計算…。
正解は、この記事の後半で弁護士の先生に詳しく解説してもらいましょう!
それでは、外傷性鼓膜穿孔の後遺症でお悩みの方へ。
外傷性鼓膜穿孔による負担や、相手側の保険会社との交渉によるストレスから解消される方法についてまとめてみました。
ぜひご一読ください。
目次
なお、専門的な解説は、テレビや雑誌でお馴染みの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
交通事故の被害に遭われ、心身ともにお辛い日々を送られているとお察しします。
また、外傷性鼓膜穿孔の後遺症が残ってしまった場合、日常生活への影響もあり、ご本人は負担を感じてしまうはずです。
実際に、後遺症でお悩みの方から、これまでに相談を受けてきた経験があります。
今回はその経験も踏まえ、具体的な事例も紹介しながら、わかりやすく解説していきたいと思います。
ところで、外傷性鼓膜穿孔という病名は、「初めて聞いた」という方がほとんどではないでしょうか。
外部からの圧力などによって鼓膜が損傷する外傷で、一般に「鼓膜が破れた」と言われる鼓膜破裂の状態である。
出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%96%E5%82%B7%E6%80%A7%E9%BC%93%E8%86%9C%E7%A9%BF%E5%AD%94
鼓膜が破れてしまうことなんですね。
とはいえ、具体的な症状や治療法にまで詳しいという方は少ないかもしれません。
まずは、外傷性鼓膜穿孔についての基礎知識から詳しく見ていきましょう。
外傷性鼓膜穿孔の後遺症|治療や回復に向けた大切なポイント
外傷性鼓膜穿孔の症状とは
まず、鼓膜穿孔(こまくせんこう)とは、鼓膜が破れてしまうことです。
外傷性とついているのは、病気などが原因ではなく、外部からの力によって鼓膜が破れてしまうことを指しているからです。
出典:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/a9/Cochlear_Implant_1.jpg
原因の多くは、耳かき中の事故や平手打ちだと言われているそうです。
耳かきの場合には、耳に入れている綿棒や耳掻き棒などの棒状のものが、鼓膜を突き破ってしまうことが原因です(直達性穿孔)。
一方の平手打ちの場合では、耳を平手打ちされたときに耳の穴の空気が圧縮され、逃げ場を失った空気の圧力で鼓膜が破れてしまうことが原因です(介達性穿孔)。
他にも、急激な気圧変化が起こる飛行機の急降下やスキューバダビング、大きな爆発でも生じてしまうそうです。
その中の1つに、交通事故で耳に大きな外力が加わることも考えられます。
知人が交通事故。昨日鼓膜が破れたとメール北が、大丈夫なんだろうか?鼓膜って確か再生するんだよな。
— まつげぼうぼう (@wbxzakurero) February 1, 2012
鼓膜が破れたと聞いたら、「耳が聞こえなくなってしまうのではないか…」と、非常に心配になりますよね。
では、外傷性鼓膜穿孔になると、どのような症状が現れるのでしょうか。
調べてみたところ、以下の通りということです。
外傷性鼓膜穿孔の症状
●難聴が最も多い
●直達性穿孔では耳痛、耳出血も見られる
●介達性穿孔は耳鳴り、耳閉塞感も見られる
●重症例:鼓膜の内側にある内耳に音を伝える骨(耳小骨)が損傷することもある
〇重度の難聴
●特殊例:耳小骨がはずれて内耳の中の液が外へ漏れ出す「外リンパ漏」が生じることもある
〇重度の難聴
〇強いめまい
事故などに遭い、耳に異変を感じた場合には、病院の耳鼻科や耳鼻咽喉科を訪ねる方がほとんどでしょう。
近くに総合病院がある場合には、受付で怪我を負った状況や症状を伝えれば、適切な診療科を教えてくれるはずです。
病院では、必ず聴力検査が実施されます。
また、めまいの症状がある場合には、眼振検査が行われることもあるそうです。
耳小骨の損傷が疑われる場合には、側頭骨CT検査を行うとのことです。
外傷性鼓膜穿孔の治療法とは
では、外傷性鼓膜穿孔に対する治療法はどのようになっているのでしょうか??
調べてみたところ、以下の通りということです。
外傷性鼓膜穿孔の治療法
●保存療法
〇耳を乾燥状態に保ち、清潔を保つことが重要
●薬物療法
〇感染の可能性が高い場合には、抗生剤の内服や点耳薬を使った治療が必要
●手術療法
〇長期に経過をみても、穿孔がふさがらない場合あるいは耳小骨の損傷が疑われる場合
一般的に、鼓膜は再生能力が高いと言われているそうです。
特に小さいお子様の場合、鼓膜の損傷が小さければ、1週間程度で自然閉鎖してしまうことがほとんどだということです。
ただし、お風呂やプールなどで、耳に水が入ってしまうと、感染を引き起こすリスクもあるということです。
耳を乾燥状態に保ち、耳の中を清潔に保つことを心がけましょう。
もちろん、病院で診察を受ければ、感染を起こさない対処をしてくれます。
感染の可能性が高い場合には
一方、ダイビング中に外傷性鼓膜穿孔を発症した場合などでは、感染の可能性が高くなります。
その場合は、抗生剤の内服や点耳薬を使った治療が必要になるそうです。
穿孔がふさがらない場合には
また、保存療法を試みても、穿孔が小さくなる傾向が認められない場合には、ベスキチン膜などの薄い膜で穿孔を覆う治療が行われるそうです。
他に、フィブリン糊を使用した鼓膜形成手術が行われることもあります。
一方で、耳小骨の損傷が疑われる場合や、感染が加わり慢性中耳炎となってしまった場合には、入院による鼓室形成術が必要になることもあるそうです。
なお、外リンパ漏によりめまいや難聴を起こしている場合には、ある程度の緊急性をもって、手術による外リンパ漏の閉鎖が必要となります。
【注目】外傷性鼓膜穿孔に対する後遺症等級認定基準について解説
以上のように、適切な治療を受ければ、最終的には治癒するものであり、それほど心配する必要はないそうです。
とはいえ、交通事故による外力は非常に大きなものです。
完治せずに、後遺症が残ってしまうこともあるのでしょうか。
鼓膜穿孔に伴い、中耳炎を発症すると、軽度な難聴、耳鳴り、耳漏や外耳道の狭さくなどの後遺症が残ってしまう場合があります。
耳小骨の損傷を伴う場合は、高度な難聴、内耳の損傷や三半規管の震盪などによるめまいなどの後遺症が残ってしまう場合があります。
ここで、後遺症の等級は1級~14級まで定められており、等級ごとに認定基準が定められているということです。
残存する症状が重ければ重いほど、数字の低い等級に該当するとも聞きました。
外傷性鼓膜穿孔の場合の等級認定の基準はどのようになっているのでしょうか?
難聴については、片耳か両耳か及び障害の程度により4級~14級の認定の可能性があります。
耳鳴りについては、
- 耳鳴りにかかる検査により難聴による著しい耳鳴りが常時あると評価できる場合には12級
- 難聴に伴い常時耳鳴りがあることを合理的に説明できる場合には14級
が認定されます。
そして、鼓膜の外傷性穿孔による耳漏につき、常時ある場合には12級、常時ではない場合には14級の認定の可能性があります。
また、耳漏を伴わない外傷による外耳道の高度の狭さくについても14級の認定の可能性があります。
さらに、内耳の損傷や三半規管の震盪等によるめまいにつき、労務への支障や眼振検査の異常の有無等により9級~14級の認定が考えられます。
上記の内容を下の表にまとめてみましたので、良ければご覧になってみてください。
傷害の状態 | 後遺症等級 |
---|---|
難聴 | 4級~14級 |
耳鳴り | ・12級 ・14級 |
耳漏 | ・12級 ・14級 |
外耳道の高度の狭さく | 14級 |
めまい | ・9級10号 ・12級13号 ・14級9号 |
知らないと損する①外傷性鼓膜穿孔の治療に対する慰謝料や治療費は?
外傷性鼓膜穿孔の症状や治療法について理解を深めていただけましたでしょうか。
しかし、手術や治療を続けるにあたっては、その間の生活費や治療費、仕事を休まなければならないことに対して、不安ばかりですよね。
最初に、
治療中の生活費や治療費の悩みを解決するためにできることがあるって知っていましたか?
とお聞きしました。
ここからは、その答えを、岡野弁護士に話を聞きながら、詳しく見ていきましょう。
治療費の支払いは誰が?
まずは、入通院中の治療費についてです。
交通事故によるケガの治療をする場合であっても、病院との関係では、治療費の支払義務は患者である被害者の方にあることになるそうです。
よって、原則的な治療費の支払い方法としては、被害者の方が病院に治療費を立替え、立替えた治療費を加害者側に請求するという形になります。
ただし、加害者側が任意保険会社に加入している場合、治療費を相手側の保険会社から治療機関に直接支払うという一括対応という手続きがあります。
この場合、被害者の方は病院の窓口で治療費を立て替える必要がなくなります。
交通事故でも健康保険で通院できる!?
また、交通事故の治療に健康保険などの保険を使用するかどうかを決める必要があります。
ところで、交通事故では健康保険を使用できないと誤解されていらっしゃる方も多いようですね。
https://twitter.com/Kagiroi21/status/948741605384642560
しかし、厚生労働省は、以下のように交通事故でも健康保険を使えるという通達(通知)を出しています。
犯罪や自動車事故等の被害を受けたことにより生じた傷病は、医療保険各法(健康保険法、船員保険法、国民健康保険法及び高齢者の医療の確保に関する法律)において、一般の保険事故と同様に、医療保険の給付の対象とされています
ただし、健康保険を使用する場合には、病院に対して健康保険証を呈示し、健康保険を使用する意思を伝える必要があるとのことです。
健康保険証の呈示だけではなく、使用の意思をはっきりと伝えるのがポイントということです。
ここで、健康保険を使わない自由診療と、健康保険診療との違いをまとめてみましたので、良ければ参考にしてみてください。
自由診療 | 健康保険診療 | |
---|---|---|
費用 | 高額 | 低額 |
治療方法 | 制限なし | 制限有り |
病院によっては、健康保険の使用を拒否したり、一括対応に応じてくれないところもあります。
そういった場合に、弁護士が介入することにより、病院の対応が変わった事例もあります。
病院での対応にお困りの方は、弁護士に相談だけでもしてみた方が良いかもしれませんね!
支払いが難しい場合には…
しかし、交通事故による怪我の治療が長引いた場合、支払いが困難になってしまうことも考えられます。
そういった場合には、どうすれば良いのでしょうか?
被害者ご本人が傷害保険に加入している場合、過失割合に関係なく契約に応じた保険金が支払われます。
また、加害者が加入している自賠責保険の仮渡金制度を利用するという方法もあります。
仮渡金制度とは、
損害賠償金の確定前に、被害者の方が相手側の自賠責保険会社に前もって治療費を請求できる
という仕組みのことです。
ただし、最終的な賠償額よりも多い金額を受け取ってしまった場合には、差額を返却する必要がある点には注意が必要です。
入通院慰謝料の相場について解説
治療費の他に、ケガの痛みや治療による苦痛に対する補償である入通院慰謝料というものも支払われます。
この入通院慰謝料は、治療にかかった期間が、慰謝料のほぼ唯一の基準となっているということです。
以下に、入通院慰謝料の相場を示しましたので、ご覧になってみてください。
表の見方としては、たとえば入院を1ヶ月、通院を3ヶ月した場合には、115万円の入通院慰謝料が支払われることになります。
ちなみに、自賠責保険からの入通院慰謝料の計算方法は、以下のいずれか短い方に、4200円をかけるという方法になるそうです。
- 入院日数と、実通院日数の2倍の合計
- 総治療期間
長期間通院すれば良いワケじゃない!?通院頻度と慰謝料の関係をお教えします!
では、治療の日数により慰謝料が決まるということであれば、通院頻度を低く、長い期間通った方が高い慰謝料をもらえるのか!?という疑問があります。
しかし、通院頻度が少ない場合には、慰謝料が減額されてしまうケースもあるということなのです。
通院頻度と慰謝料の関係
- ① 通院が1年以上にわたり、通院頻度が1ヶ月あたり2~3回程度にも達しない場合
- ② 通院を継続しているものの、治療よりも検査や治癒経過観察の意味合いが強い場合
の場合には、通院期間を限度にして、実治療日数の3.5倍程度の日数を基準として慰謝料を計算する。
もう少し具体的に説明しますね。
たとえば、①のケースを考えてみます。
極端な例ですが、通院期間が半年で、実通院日数が8日しかなかったとしましょう。
通院期間が基準であるならば、半年通院=慰謝料116万円もらえるのかというと違います。
この場合、通院頻度が1ヶ月あたり2回に達していないので、8×3.5=28日(≒1ヶ月)が適用され、慰謝料は28万円ということになってしまうのです。
原則 | 例外 |
---|---|
通院期間により算定 | 通院期間を限度として、実治療日数の3.5倍程度により算定 |
このように、慰謝料の算定には例外ルールなどもあり、被害者ご本人だけではわからないことも多くあると思います。
適正な慰謝料獲得に向けて、少しでも不明点がある場合には、ぜひ弁護士に相談してみてください。
知らないと損する②外傷性鼓膜穿孔の後遺症に対する慰謝料・示談金・保険金は?
治療中の費用の補償については、わかってきました。
ではここからは、最初の質問に対する回答について解説してもらおうと思います!
選択肢①:
外傷性鼓膜穿孔との関係で、後遺症認定を獲得し、保険会社に慰謝料の増額請求をする。
選択肢②:
外傷性鼓膜穿孔によって失った現在・将来の給与・収入を主張し、賠償金や保険金の再計算を求める。
選択肢③:
外傷性鼓膜穿孔を負う原因となった相手に対して、損害賠償を請求する裁判を起こす。
費用に関する悩みを解決するための正解は、上記の選択肢のうちのどれなのでしょうか…。
正解は、上記の選択肢①~③のすべてになります。
なるほど!?
では、正解の内容について、詳しく解説してもらいましょう。
選択肢①後遺症の等級認定を獲得し、慰謝料を増額請求する
すでにお伝えの通り、外傷性鼓膜穿孔の怪我を負った場合、後遺症が残ってしまう可能性があるということでしたね。
外傷性鼓膜穿孔に対する後遺症の等級についてはすでにお伝えしました。
その等級に応じて、後遺症慰謝料の金額が決まっているそうなのです。
その前に、慰謝料には3つの基準があるってご存知でしたか?
慰謝料増額に向けて知っておきたい基礎知識~3つの慰謝料相場の基準~
慰謝料には、
- 自賠責保険に請求する場合
- 任意保険会社が提示する場合
- 弁護士が相手側や保険会社に請求する場合
の3つの基準が存在しているそうなのです。
自賠責基準
自賠責保険会社の慰謝料とは、自賠法に基づく省令により設定されているものです。
自賠法は、交通事故の被害者が最低限の補償を受けるためのものであり、その金額は低く設定されています。
任意保険基準
保険会社でも、任意保険会社による慰謝料基準も存在しています。
ただし、任意保険会社は営利企業のため、もちろん少ない金額で済ませたいと考えているハズですよね。
よって、自賠責の基準よりは高いものの、慰謝料の金額は少ないことが多いということです。
弁護士基準
保険会社の基準と比較して、最も高い基準となっているのが、裁判所や弁護士の基準です。
これは、裁判を行った場合や相手側と示談をする場合に用いられる基準のこと。
ただし、自分ひとりで裁判を起こし、相手側と争うのは、どう考えても難しいですよね…。
よって、高額の慰謝料を獲得するためには、弁護士に依頼をして示談や裁判を行うことが必要ということになるのです。
自賠責基準 | 任意保険基準 | 弁護士基準 | |
---|---|---|---|
内容 | 交通事故被害者が最低限の補償を受けるためのもの | 営利企業の保険会社が支払うもの | 弁護士を付けて裁判や相手側との示談をする場合に用いられるもの |
金額 | 金額は低め | 自賠責基準よりは高いが、金額は低め | 自賠責基準や任意保険基準よりも高い |
では、それぞれの基準ごとの後遺症慰謝料の相場について、以下の表に示しました。
後遺症等級 | 自賠責基準※2 | 任意保険基準※3 | 弁護士基準 |
---|---|---|---|
4級 | 712 | 800 | 1670 |
5級 | 599 | 700 | 1400 |
6級 | 498 | 600 | 1180 |
7級 | 409 | 500 | 1000 |
8級 | 324 | 400 | 830 |
9級 | 245 | 300 | 690 |
10級 | 187 | 200 | 550 |
11級 | 135 | 150 | 420 |
12級 | 93 | 100 | 290 |
13級 | 57 | 60 | 180 |
14級 | 32 | 40 | 110 |
※1 単位:万円
※2 被扶養者がいる場合や要介護の場合には金額が異なるケースがある。
※3 旧任意保険支払基準による。
一目瞭然ですが、しっかりとした補償を受けるためには、弁護士基準での慰謝料を受け取るべきですよね。
ただし、被害者ご本人だけで保険会社と交渉しても、低い示談金しか提示してもらえないことがほとんどということです。
これは、入通院慰謝料についても同じことが言えるということです。
加害者が任意保険に入っている場合には、弁護士に依頼して交渉してもらうと、弁護士基準の慰謝料を回収できることがほとんどだということです。
弁護士基準の慰謝料を獲得するためにも、ぜひ弁護士に相談いただければと思います!
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ここまで読んで、自分の事故ではどれほどの慰謝料が受け取れるものなのか…。
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選択肢②失った現在・将来の収入(休業損害・逸失利益)を主張する
治療費や慰謝料以外にも、外傷性鼓膜穿孔によって失った給与・収入を主張し、賠償金や保険金の再計算を求めるという方法もあるのですね。
主には、休業損害と逸失利益の主張をするということになるそうです。
治療中に失った収入「休業損害」
まずは、休業損害について見てみましょう。
休業損害
交通事故により本来得られるはずであった収入や利益を失うこと。
では、休業損害の計算方法について見ていきたいと思います。
自賠責保険での計算方法
自賠責保険に対して、休業損害を請求する場合の計算方法は、5700円×休業日数ということです。
ただし、1日の休業損害が5700円を超えることを資料などで証明できれば、19000円までは日額の増額が認められています。
上限がありますが、日額が5700円以下の方でも、休業による収入の減収さえあれば、日額5700円で計算されるので、収入の低い人にとっては有利となりますね。
任意保険での計算方法
一方、任意保険や裁判所に対して、休業損害を請求する場合の計算方法は以下の通りということです。
1日あたりの基礎収入×休業日数
1日あたりの基礎収入をどうやって割り出すかは職業別に異なります。
日額5700円未満の人は実際の日額で計算される反面、証明できれば、19000円を超える日額も認められるので、収入の高い人にとって有利となります。
この話の中で誤解されがちですが、休業損害の請求において、日額が最低5700円になるわけでは必ずしもないということは注意しましょう。
よく自賠責保険は最低限の補償をする保険と言われるため、日額が自賠責で定められた5700円以下になるのはおかしいとおっしゃる方がいます。
しかし、自賠責保険の基準が用いられるのは、治療費や慰謝料などを合わせた損害賠償の総額が120万円以内の場合のみとなります。
損害賠償の総額が120万円を超えた場合には自賠責保険の基準は用いられなくなり、任意保険基準や弁護士基準が用いられることになるそうです。
「他の項目では任意保険基準や弁護士基準を用い、休業損害の項目だけ自賠責保険の基準を用いる」というように、良い基準だけ採用することはできないので注意が必要です。
自賠責保険 | 任意保険 | |
---|---|---|
原則 | 5700円 | 1日あたりの基礎収入 |
上限 | 19000円 |
職業別の基礎収入など、休業損害についてはこちらの記事で詳しく説明されていますので、良ければご覧ください。
失った将来の収入「逸失利益」
次に、逸失利益とは、以下のようなものになります。
逸失利益
後遺症により労働能力が失われてしまった場合に、本来得られるはずだった収入の減額分を補償するための損害賠償。
まず、逸失利益で最初に争いになるのは、現在、現実に収入の減額が発生しているかどうからしいですね。
後遺症認定の時点ですでに減収が発生している場合には、将来的にもその減収の継続が見込まれるため、逸失利益は認められやすいです。
また、外傷性鼓膜穿孔による後遺症が原因で、
- 会社の部署を異動させられた
- 職業選択の幅が狭くなった
- 積極的な対人関係や対外的な活動が不可能になった
など、労働環境や能力に支障が出ていることが認定されれば、逸失利益が認められることになります。
一方で、実際に後遺症が残っていても、労働能力に与える影響が小さく、逸失利益が十分に得られないこともあるそうです。
すると、被害者の方は逸失利益を得られず、実際に残っている後遺症に対する補償として明らかに不十分になってしまいます。
そのような場合には、後遺症の慰謝料を相場よりも増額させることで、賠償のバランスが取られることもあるそうです。
ただし、そのような証明や交渉を自分ひとりで行うのは難しいですよね。
この場合も、弁護士に相談すれば、適切なアドバイスをもらえると思います!
選択肢③損害賠償請求の裁判を起こす
ここまでで、保険会社との交渉にあたっては、弁護士に入ってもらうことで弁護士基準の賠償が受け取れるということがわかってきました。
しかし、保険会社と争いのある部分については、裁判でしっかり主張立証しなければ、増額が認められない場合があるそうなのです。
実際、示談交渉だけの場合と、裁判を起こした場合で、弁護士基準の賠償額がどれほど受け取れるのかまとめた表があります。
弁護士基準の 賠償額との比較 |
|
---|---|
弁護士が保険会社と交渉 | 9~10割※1 |
弁護士をつけて裁判 | 10割 + 弁護士費用※2 |
※1 保険会社との争いの度合いや、弁護士の方針により異なるケースもある。
※2 交通事故の損害賠償請求においては、その裁判のための弁護士費用も損害として認められる場合がある。
また、休業損害や逸失利益についても、裁判を起こさなければ、増額を認めてもらえないことも多いようです。
つまり、確実に賠償額を受け取りたい場合には、外傷性鼓膜穿孔を負う原因となった相手に対して、損害賠償を請求する裁判を起こすことも一つの方法となります。
実際の裁判例を見てみよう
ではここで、外傷性鼓膜穿孔の損害賠償について、実際に裁判で争われた事例を見てみましょう。
ケース① |
---|
職業:自営の建築業(52歳男性) 傷害:左外傷性鼓膜穿孔その他 後遺症:外傷性耳鳴り、左外傷性難聴(9級9号)その他併合9級 《損害賠償》 後遺症慰謝料:616万円 逸失利益:2055万8718円 |
もちろん、これ以外に、治療費や治療器具の購入費などの実費も認められています。
個別の事情にもよりますが、裁判で損害賠償請求の根拠をしっかりと主張することができれば、逸失利益も認められています。
しかし、すでにお伝えの通り、被害者ご本人やご家族だけで裁判を起こすのは困難が多いはずです。
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まずは、医師の診断を受け、じっくり療養し、お大事になさってください。
それでも残念なことに外傷性鼓膜穿孔の後遺症が残ってしまった場合は、弁護士に相談することをお勧めします。
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しかし、保険会社から示談金を提示され、書類にサインしてしまうと、あらためて慰謝料などを請求することは極めて困難になります。
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まとめ
いかがでしたでしょうか?
最後までお読みいただけた方には、
- 外傷性鼓膜穿孔の症状や治療法などの基礎知識
- 外傷性鼓膜穿孔による後遺症の等級や認定基準
- 外傷性鼓膜穿孔に対する慰謝料などの示談金の相場
について、理解を深めていただけたのではないかと思います。
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外傷性鼓膜穿孔の後遺症に関するQ&A
外傷性鼓膜穿孔(鼓膜が破れる)の症状や原因は?
外傷性鼓膜穿孔の症状は難聴が最も多く、耳痛や耳鳴り、耳出血、耳閉塞感がみれることもあります。原因の多くは、耳かき中の事故や平手打ちだと言われています。他にも、急激な気圧変化が起こる飛行機の急降下やスキューバダビング、大きな爆発でも生じてしまうそうで、その中の1つに交通事故で耳に大きな外力が加わることも考えられます。 外傷性鼓膜穿孔の症状
外傷性鼓膜穿孔の治療に対する治療費は誰が払う?
治療費の支払いは、事故の被害者であっても病院との関係で支払義務は患者である被害者にあります。よって、原則的な治療費の支払い方法としては、被害者が病院に治療費を立替え払いし、立替えた治療費を加害者側に請求するという形になります。もっとも、加害者側が任意保険に加入していれば、保険会社が治療機関に直接支払う一括対応という手続きが受けられることもあります。 治療費の立て替え払いと一括対応
外傷性鼓膜穿孔の後遺症で慰謝料はもらえる?
後遺障害等級に認定されれば、等級に応じた後遺障害慰謝料を請求することができます。金額の算定では自賠責基準/任意保険基準/弁護士基準のいずれかの基準が用いられるのですが、最も高額な慰謝料が得られるのは弁護士基準による算定の場合となります。弁護士基準の算定を実現するには弁護士に示談や裁判を依頼することが必要になります。 等級ごとの後遺障害慰謝料
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
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