後遺障害14級の交通事故慰謝料|2513万円の判例を弁護士が解説
このページでは、後遺障害14級の判例についてご紹介します。
14級は後遺障害の中でもっとも等級が低いものです。
後遺障害慰謝料の相場も、等級によって決められているため、14級の慰謝料はもっとも低い金額となっています。
この判例では、総額2513万円の損害賠償金が認められましたが、後遺障害14級の事故としてはかなり高額となっているようです。
金額算定のポイントは何だったのでしょうか。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見ていきましょう。
障害等級14級(女・45歳)損害額2513万6789円の判例
こちらは、東京地方裁判所の民事第27部の判決、平成21年(ワ)26349号事件です。
この事故での主な怪我の内容は、外傷性頸部症候群になります。
交通事故の基本情報
事故の内容は「加害者がタクシーを運転して走行中、スリップして中央分離帯の側壁に衝突し、加害車の後部座席に客として乗車していた被害者が受傷した。」
交通事故の基本情報は?
属性 | 内科開業医 |
---|---|
性別 | 女 |
年齢 | 45歳 |
事故の内容 | 加害者がタクシーを運転して走行中、スリップして中央分離帯の側壁に衝突し、加害車の後部座席に客として乗車していた被害者が受傷した。 |
傷害の内容 | 外傷性頸部症候群、頭部打撲、両側下腿打撲、右下腿切創、頸部捻挫、腰部挫傷、両下腿挫傷、右腓腹筋不全断裂、両びまん性表層角膜炎、外傷性歯牙打撲(3本)、外傷性歯牙脱臼、(1本)、外傷性歯牙破折(2本)、上下口唇部裂傷、外傷性顎関節症(開口障害を含む) |
後遺障害等級 | 14級 |
入院 | 0日 |
被害者はお客さんとして、タクシーに乗車していたようですが全身にケガを負ってしまったようです。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 2513万6789円 |
---|---|
うち慰謝料 | 270万円 |
うち休業損害 | 949万8803円 |
うち逸失利益 | 1041万8701円 |
損害総額は2513万6789円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額2513万6789円になりました。
- 慰謝料としては、入院・通院に対する慰謝料が150万円、後遺障害の慰謝料が120万円認められました。
- 休業損害としては、代診費用が90万円、休業損害が859万8803円認められました。
- 逸失利益としては、労働能力喪失率は5%、労働能力喪失期間は5年、基礎収入は被害者が主張する申告所得額である4812万8888円として算定されました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの女性は、事故によるヘルニアは認められず後遺障害は14級相当とされたようです。
この判例のポイントはどのような点になりますか?
こちらの女性は、内科開業医として事故当時5000万円弱の年収があったため、14級の後遺症でも高額な賠償が認められました。
裁判所によっては、14級でも労働能力喪失期間を67歳まで認めるケースもあります。
本件では労働能力喪失期間は5年間に制限されていますが、裁判官によっては倍増して金額を判断する場合もあると思われます。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
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後遺障害14級の慰謝料計算の特徴は?
14級の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
一口に14級と言っても各号ごとに症状は様々ですが、原則として慰謝料は等級に応じて定められ、14級の場合、裁判基準では110万円となっています。
特に争いになりやすいのは逸失利益の項目であり、14級9号の神経症状の場合には、一生症状が残るものではないとして、計算の基礎となる労働能力喪失期間が制限されることが多いです。
むち打ち症の場合、裁判では、5年程度とされることが多いですが、保険会社からは2〜3年程度と主張されることも多いので、安易に示談には応じないほうがいいでしょう。
また、14級9号の神経症状であっても、その症状が骨折等の器質的損傷に基づくものである場合には、むち打ち症の場合よりも労働能力喪失期間を長く考える傾向にある点にも注意が必要です。
さらに、14級2号の歯科補綴や14級4号や5号の外貌醜状の場合、仕事には支障がないとして、逸失利益を保険会社が否定してくることも多いです。
そのような場合には、職務内容や職務にどのような支障が出ているかを具体的に主張する必要があることがポイントです。
ただし、今申し上げたポイントは一般的・総論的なお話であるので、事故に遭われた方々のご事情によって異なることがあります。
詳しいアドバイスがお聞きになりたい場合は、まずは一度弁護士等の専門家に相談してみることをおすすめします。
まとめ
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。