後遺障害2級の交通事故慰謝料|1億7363万円の判例を弁護士が解説
このページでは、後遺障害2級の判例についてご紹介します。
こちらの判例の被害者は、全身に重いケガを負い、2級の後遺障害が残ってしまいました。
被害者が受けた精神的・身体的な傷跡は消えることはありません。
重い後遺症を負った被害者にとって、納得できる示談金とはいったいいくらになるのでしょうか。
ここでは、実際の裁判ではどのようにして示談金が算定されたのか、弁護士の先生の解説とともに見ていきましょう。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見てみましょう。
障害等級2級(女・27歳)損害額1億7363万5509円の判例
こちらは、横浜地方裁判所の第6民事部の判決、平成20年(ワ)第887号事件です。
この事故での主な怪我の内容は、脳挫傷や左大腿骨骨幹部骨折となります。
交通事故の基本情報
事故の内容は「片側3車線道路の三差交差点でUターンしようとした加害大型貨物車と後方からの被害普通自動二輪車が衝突した。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 会社員 |
---|---|
性別 | 女 |
年齢 | 27歳 |
事故の内容 | 片側3車線道路の三差交差点でUターンしようとした加害大型貨物車と後方からの被害普通自動二輪車が衝突した。 |
傷害の内容 | 脳挫傷、右大腿骨開放性骨折、左大腿骨骨幹部骨折、骨盤骨折、左下腿コンパートメント症候群、第8胸椎骨折など |
後遺障害等級 | 併合2級相当(神経・精神の障害:7級4号、背部の醜状:14級相当、右下肢の欠損:4級5号、右股関節の機能障害:10級11号、左大腿部の醜状:12級相当) |
入院 | 362日 |
被害者は足の欠損など、重篤な後遺障害が残ってしまいました。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 1億7363万5509円 |
---|---|
うち慰謝料 | 3121万円 |
うち将来の介護費 | 3444万6875円 |
うち逸失利益 | 6404万3419円 |
損害総額は1億7363万5509円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額1億7363万5509円になりました。
- 慰謝料としては、入院・通院に対する慰謝料が321万円、後遺障害の慰謝料が2500万円、父母の慰謝料が各100万円、姉妹の慰謝料が各50万円認められました。
- 将来の介護費は、将来にわたって介護が必要であるとして1日当たり5000円が認められました。
- 逸失利益としては、労働能力喪失率は100%、基礎収入は499万2082円として算定されました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの女性は退院後復職したものの、実態としては会社の好意で勤務を継続しているとのことです。
この判例のポイントはどのような点になりますか?
一般的に、障害を負った後に実際に就労ができている場合であっても、それのみによって労働能力を失っていないとの判断に直結しません。
つまり、就労を維持する上で本人の努力が大きいケースや、もっぱら会社の好意で雇用されているようなケースでは、実際に勤務していても労働能力自体は失われているとの判断がされやすいといえます。
本件でも、被害者の復職後の勤務実態を考慮すると、被害者が勤務を継続できているのは専ら会社の好意によるところが大きいとして、2級基準での労働能力喪失を認めています。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
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- 保険会社から提示されている金額が、法律的に正しいかどうか知りたい
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といった人たちです。
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後遺障害2級の慰謝料計算の特徴は?
2級の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
一口に2級と言っても各号ごとに症状は様々ですが、原則として慰謝料は等級に応じて定められ、2級の場合、裁判基準では2,370万円となっております。
また、2級の場合には、被害者の近親者の方の慰謝料請求が認められる可能性が高いです。
さらに、別表Ⅰ第2級1号の高次脳機能障害の場合には、将来介護費を請求できます。
もっとも、その金額には争いがあり、どこで誰がどのような看護をするか等の具体的看護の状況によって金額が変わってきますので、その点をしっかりと主張する必要があります。
ただし、これらのポイントはあくまで一般論にとどまり、上に挙げられている裁判例のように、事故の被害者の個別の事情が慰謝料等の金額に大きく影響することもあります。
そこで、まずは専門家である弁護士に相談してみるのがおススメです。