判例紹介!事例ごとの交通事故の示談金相場とは

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弁護士事務所の掲載順と弁護士の力量とは無関係です。相性を考慮して、ご自身に合った弁護士をお探しください。

判例紹介!事例ごとの交通事故の示談金相場とは

交通事故で怪我をした場合に、よく示談金相場という言葉を聞きますよね?

被害者としては示談金が、今後生活を立て直すよりどころとなることも多いです。

示談金ってイメージしづらいけど一体どういたお金を意味するの?その内訳は?

慰謝料、逸失利益の計算方法と相場はどうなってるの?

軽症・重症ごとの裁判で認められた金額が知りたい

実際のところ、相場といわれてもよく分からないというのが、むしろ通常ではないでしょうか。

しかし、たとえ軽症であっても、相場を知っていると知っていないとでは、適正な示談金を受け取れる可能性が大きく異なることが多いようです。

そこで、ここでは、専門的な解説をテレビや雑誌でお馴染みの岡野武志弁護士にお願いしつつ、示談金の相場について解説していきます。

先生、お願いいたします。

回答者:アトム法律事務所の岡野弁護士

よろしくお願いいたします。

交通事故での被害につき保険会社と示談する場合、示談金額が妥当かわからないといった声は多く聞かれます。

保険会社はプロだから、提示された示談金が妥当な相場のはずと思われていませんか?

しかし、残念ながら被害者と利益が反する保険会社が提示する示談金の金額が、被害者が本来受け取るべき相場の金額であることはあまり多くありません。

そのため、多くの事故被害者の方が、適正な示談金を受け取れるように、示談する前に示談金の相場について把握しておくことが重要です。

交通事故での示談金相場、といわれてもピンときませんよね。

実際にインターネット上でも事故の被害者からの示談金の相場に関するお悩みをみつけました。

特に軽症の場合、これくらいで弁護士に相談するのも躊躇してしまい、相手保険会社に聞きたくなるのもよく分かります。

でも、保険金を支払う側の保険会社に聞いて、本当に妥当な相場を教えてくれるのでしょうか。

このページでは、交通事故の示談金相場を重点的に解説していきます。

軽傷でも要チェック!人身事故被害者の示談金の相場とは?

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示談金の主な内訳

示談金相場についてご説明する前に、示談金に含まれる一般的な損害賠償金の内訳について簡単にチェックしましょう。

治療費(入院・通院費用)

これには、入院費通院費診療費といった医療関係の費用が含まれます。

医師の指示にしたがって必要な治療を継続することが重要です。

なお、このほかにも、入院雑費(入院に必要な衣料品等)や装具費用(義肢など)、付き添い看護費その他様々な出費を請求することになります。

通院交通費

通院するのにかかった交通費のことです。

どこまで保険会社に支払ってもらえるかは交渉次第な部分もありますが、大まかには以下の通りとなります。

基本的に電車やバスといった公共交通機関の往復運賃車のガソリン代

重症、あるいは交通の便が悪く、公共交通機関の利用が困難な事情がある場合、タクシー運賃

つまり車やタクシーを利用する場合は、それらを利用しなければならない必要性があることが前提となります。

なお、実務上ガソリン代は一律1キロ当たり15円として計算されるようです。

また、タクシー運賃に関しては、のちに保険会社へレシートを提出することになりますので捨てずに保管しましょう。

休業損害

交通事故での負傷によって、休業を余儀なくされた場合の減収分に対応する損害です。

会社員や会社役員・自営業者はもちろんパート・アルバイト、さらには現実の収入がない主婦も家事従事者として休業損害が認められます。

入通院慰謝料

事故で怪我をさせられたことによる精神的負担に対する損害が、入通院慰謝料です。

怪我の重さはある程度治療の期間に比例するので、基本的に治療に要した総治療期間実際の入院日数、実際の通院日数をもとに計算することになります。

後遺障害逸失利益

症状固定となって後遺障害が認定された場合、その障害により将来得られたはずの収入が得られなくなったと評価することができます。

この将来における収入の減少部分(本来得べかりし利益)を逸失利益といいます。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、症状が残って治療が終了し後遺障害と認定された場合に、その後遺障害によって受ける精神的負担を金銭に換算したものです。

実務上は、認定された後遺障害の等級に応じて目安となる金額が定められています。

なお、これらの示談金の内訳は、入通院(傷害)に関するものと後遺障害に関するものに分類するとわかりやすいです。

以下、分類ごとに表にまとめてみました。

示談金の内訳
分類 内訳 内容
入通院 治療費(入通院費) 病院に支払う治療費
入通院 通院交通費 通院に必要なの電車・バス等費用
入通院 装具費用 義肢等の代金
入通院 休業損害 治療での休業等による減収部分
入通院 入通院慰謝料 外傷による精神的負担
後遺障害 後遺障害逸失利益 得べかりし将来の減収分
後遺障害 後遺障害慰謝料 後遺障害による精神的負担

以下では、入通院慰謝料後遺障害慰謝料死亡慰謝料それぞれの相場と示談金をみていきましょう。

各慰謝料の3つの基準と計算方法とは

示談金といっても様々な損害を合計したものというのが分かりましたね!

その内訳の中でも、金銭として評価するのが難しそうな慰謝料の計算方法を簡単に見ていきましょう。

今回ご紹介する入通院慰謝料と後遺障害慰謝料・死亡慰謝料には、それぞれ金額の異なる3つの計算基準があるようです。

その金額を比較すると、以下の表のようになっています。

3つの基準を比較
基準 適用場面 比較
自賠責基準 自賠責保険の支払基準 低額
任意保険基準 各任意保険の支払基準
弁護士基準 裁判での認容基準 高額

それでは、計算方法を解説してきます。

入通院慰謝料

怪我をし入通院を余儀なくされたことによる精神的苦痛である入通院慰謝料の計算方法は以下の通りです。

自賠責基準

運転者の強制加入保険である自賠責基準は、基本的に3基準の中でも最も低額です。

必要最小限の補償をするという自賠責保険の目的だからです。

計算方法は、以下の通りで、

1日当たり4200円

総治療期間

入院期間+実通院日数×2

のいずれか日数が少ない方をかけた金額ということになります。

総通院期間が長くても、通院頻度が少ないと慰謝料も少なくなるのが分かりますね!

なお、後遺障害がない場合、支払い限度額は、一律120万円とされています。

入通院慰謝料の自賠責基準での計算方法
自賠責基準
内容 最低限の補償
計算方法 4200円×「総治療期間」or「入院期間+実通院日数×2」の短い日数
任意保険基準

この基準は、あくまで各保険会社内部の基準であり、正確な数字は公開されていません

もっとも、1998年まで使用が強制されており、今でも各保険会社が目安にしていると言われる旧保険支払基準は判明しているので、ご紹介します。

自賠責基準より高額ではありますが、更に下で紹介する弁護士基準より低額に設定されています。

弁護士基準

赤い本(日弁連交通事故相談センター東京支部 編集 発行)に記載された過去の裁判例をもとに算出した賠償金の基準のことを弁護士基準といいます。

裁判例を分析したものであり実際の裁判にも影響が強いため、裁判所基準とも呼ばれます。

本来、この弁護士基準での計算が、被害者が受けるべき妥当な賠償金額を示したものといえ、その意味で相場といえそうです。

当然弁護士が相手の保険会社との示談交渉をする際にも用いられるもので、3つの基準の中で、最も高額となっているんですね!

気になるその計算方法ですが、通常の場合むちうち等の軽症の場合とで分けられ、旧任意保険支払基準と同じような表にまとめられています。

ちなみに軽症の表は、他覚的所見(本人の自覚症状以外に画像等の検査上第三者からも症状の存在を確認できる所見)がない場合に使います。

簡単にいうと、骨折の場合の方が打撲や他覚的所見のないむちうちより、精神的な負担が大きいとされるということです。

まず、重症の場合の弁護士基準での入通院慰謝料の計算方法は以下の通りです。

重傷の慰謝料算定表

重傷の慰謝料算定表

表の見方としては、たとえば入院を5ヶ月、通院を12ヶ月した場合には、280万円の入通院慰謝料が支払われることになります。

次に、軽症の場合の弁護士基準の入通院慰謝料は以下です。

軽症・むちうちの慰謝料算定表

軽症・むちうちの慰謝料算定表

表の見方としては、たとえば入院はせず(入院0ヶ月)、通院を1ヶ月した場合には、19万円の入通院慰謝料が支払われることになります。

弁護士基準も任意保険基準もともに同じような表にまとまっていますね。

ただ、その金額を見ると弁護士基準が高額となるのが分かります。

特に、重症の場合は、入院がなく通院のみでも慰謝料の金額にかなり開きがありますね。

まず、弁護士基準(重症)と任意保険基準の一部を検証してみましょう。

弁護士基準(重症)と任意保険基準の一部を検証
通院月数 弁護士基準(重症) 旧任意保険支払基準
1ヶ月 28 12.6
2ヶ月 52 25.2
3ヶ月 73 37.8
4ヶ月 90 47.9
5ヶ月 105 56.7
6ヶ月 116 64.3
7ヶ月 124 70.6
8ヶ月 132 76.9
9ヶ月 139 81.9
10ヶ月 145 86.9
11ヶ月 150 90.7
12ヶ月 154 93.2

単位:万円

次は、弁護士基準(軽症)との比較の一部をみていきます。

重症ほどではないですが、通院期間が長くなるほど、金額の差が開いていくことが分かりますね!

弁護士基準(軽症)と任意保険基準の一部を検証
通院月数 弁護士基準(軽症) 旧任意保険支払基準
1ヶ月 19 12.6
2ヶ月 36 25.2
3ヶ月 53 37.8
4ヶ月 67 47.9
5ヶ月 79 56.7
6ヶ月 89 64.3
7ヶ月 97 70.6
8ヶ月 103 76.9
9ヶ月 109 81.9
10ヶ月 113 86.9
11ヶ月 117 90.7
12ヶ月 119 93.2

単位:万円

後遺障害慰謝料

治療したものの症状が改善せず、後遺障害と認定された場合には、入通院分の示談金とは別に後遺障害分の示談金が追加で支払われます。

ここでは、そのうちの後遺障害慰謝料の計算方法をみていきましょう。

といっても、設定された金額自体は単純で、認定された後遺障害の等級をもとに具体的な金額が定められています

後遺障害の示談金が提示されたら、以下の相場である弁護士基準と検証してみるとその金額の差が歴然としていることが分かります。

以下、3つの基準をわかりやすい表にまとめました。

後遺障害慰謝料の3基準を検証
等級認定 弁護士基準 任意保険基準 自賠責基準
1級 2800 1300 1100
2級 2370 1120 958
3級 1990 950 829
4級 1670 800 712
5級 1400 700 599
6級 1180 600 498
7級 1000 500 409
8級 830 400 324
9級 690 300 255
10級 550 200 187
11級 420 150 135
12級 290 100 93
13級 180 60 57
14級 110 40 32
非該当

単位:万円

なお、いずれの場合も、後遺障害として等級認定されない場合は、当然、後遺障害慰謝料や逸失利益は支払われません

また、認定が1級上がるだけで、慰謝料金額もかなり上がるのがお分かりいただけると思います。

治療後症状が残る場合、適切な等級を認定してもらうことが非常に重要となるのが分かりますね

後遺障害の慰謝料については、以下のページが参考になります。

死亡慰謝料

交通事故の被害者が死亡してしまった場合、本人の無念に加えて、残された遺族の苦しみは想像を絶しますよね。

これらに対しては、死亡慰謝料が認められています。

死亡した被害者本人の慰謝料の他に、死亡した被害者の近親者固有の慰謝料が認められているというのがポイントです。

死亡慰謝料は、

死亡した本人自身の慰謝料

死亡した本人の近親者固有の慰謝料

双方を含む。

死亡慰謝料についても3基準が存在しているようなので、以下にまとめます。

自賠責基準

自賠責の場合、死亡慰謝料は、以下該当する項目の金額

被害者本人の基本となる金額

遺族の人数に応じた金額(ここでの「遺族」とは、両親配偶者のみ)

被害者に被扶養者がいる場合

合計したものとなります。

計算方法からもわかるように、死亡慰謝料については、実質的に残された家族の生活補償の意味合いが強いといえます。

以下の表にまとめますが、本人分350万円遺族分550万円~950万円までの該当する金額を加えたものが、自賠責の死亡慰謝料ということになります。

自賠責基準での死亡慰謝料
分類 自賠責基準
被害者本人 350
遺族 1人 550
遺族 2人 650
遺族 3人以上 750
被扶養者がいる場合 200

※単位:万円

任意保険基準・弁護士基準

次に、任意保険基準弁護士基準をチェックしていきましょう。

こちらの基準も、死亡した被害者の家計に占める役割によって金額が定まっています。

こちらの2つの基準の関係として、弁護士基準を低額にしたものが任意保険基準ということができます。

それにしても、かなり金額に違いがありますね。

なお、どちらの基準も、死亡した本人自身の慰謝料死亡した本人の近親者固有の慰謝料を含む金額として定められています。

以下、表にまとめ検証します。

任意保険基準・弁護士基準での死亡慰謝料
被害者の家計に占める役割 弁護士基準 任意保険基準
一家の支柱 2800 1700
母親・配偶者 2500 1400
その他 2000~2500 1250~1450

※単位:万円

死亡慰謝料については、以下のページも合わせてみておくといいでしょう。

回答者:アトム法律事務所の岡野弁護士

このように入通院慰謝料後遺障害慰謝料死亡慰謝料ともに、自賠責基準任意保険基準弁護士基準3つの計算方法があります。

これらのうち、最終的に被害者が加害者の保険会社から本来受けるべき示談金は、最も高額となる弁護士基準での示談金といえます。

最低補償を目的とし支払金額が定められている自賠責基準は別にしても、保険会社の内部基準にすぎない任意保険基準での示談金では十分とはいえないのです。

このことをふまえておけば、少なくとも知らないうちに低い金額で示談してしまう事態は避けられるでしょう。

後遺障害や死亡の場合!逸失利益で減収を補償

逸失利益とは

逸失利益とは、後遺障害によって本来得られたはずの将来の収入が得られなくなった場合、その減収分の損失のことをいいます。

後遺障害の損害である後遺障害慰謝料と同じく、前提として後遺障害として等級の認定を受ける必要があります。

この逸失利益は消極損害として、示談金の中でもかなり高額になりやすいため、保険会社とも対立することが多いです。

以下のページも参考になります。

後遺障害逸失利益の計算方法

後遺障害逸失利益の計算方法は、

逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応したライプニッツ係数

です。

用語は、以下で順番に解説していきます。

基礎収入

基礎収入とは、逸失利益を計算をするうえで、基礎とする収入の金額です。

基本的には

実際の収入があった場合は、その金額

現実に無収入でも家事従事者や学生のほか、無職者も賃金センサスの平均賃金を使用することあり

を利用して決定します。

↑厚生労働省が毎年公表する賃金構造基本統計調査のうち、平成29年版はこちらになります。

毎年、労働者の属性ごとに細かく調査結果が発表されているんですね!

労働能力喪失率

実務上労働能力喪失率は、認定された後遺障害の等級ごとに基準が決められています

ただし、後遺障害の内容によっては規定された基準より低い労働能力喪失率しか認められないものもあります。

典型例は、外貌の醜状障害(人目につく顔や手足に残った一定以上傷跡)で、傷自体は労働能力に関係ないとして喪失率を低くされることが多いです。

以下に、喪失率の基準をまとめました。

労働能力喪失率
等級 労働能力喪失率
1級 100%
2級 100%
3級 100%
4級 92%
5級 79%
6級 67%
7級 56%
8級 45%
9級 35%
10級 27%
11級 20%
12級 14%
13級 9%
14級 5%

労働能力喪失期間(就労可能期間)

労働能力喪失期間は、原則、症状固定から就業可能年齢(67歳)までの期間です。

一般的には、67歳までの残り年数

高齢の場合、平均余命 × 1/2(就業可能年齢までの期間が短い又はないため)

そのため、高齢者であっても逸失利益が認められる場合があります。

ライプニッツ係数

逸失利益においては、将来の定期的に得るはずだった収入を現時点で一括の支払いを受けることになります。

そこで、本来得られるはずのない将来の収入分を現時点で余分に受け取ることになるために、将来の収入につき運用利益を受けることが可能になります。

これを中間利息といい、これを控除するための係数が労働能力喪失期間に対応したライプニッツ係数となります。

被害者への賠償は、あくまで事故での損害の穴埋めを目的とする制度であり、必要以上に被害者を利する制度ではないということです。

死亡の場合の逸失利益は?

次に、死亡の場合の逸失利益の計算を簡単に確認していきましょう。

死亡逸失利益の計算方法は、

死亡逸失利益=基礎収入×(1-生活費控除率)×就労可能期間に対応したライプニッツ係数

となるようです。

後遺障害逸失利益と検証して生活費控除率というものがある点、労働能力喪失率がない点が目につく違いでしょうか。

回答者:アトム法律事務所の岡野弁護士

死亡の場合、将来得られたはずの収入が100%失われることが確定しますので、労働能力喪失率は100/100=1となり式に表れません

他方、死亡した場合、本来支出するはずだった将来の生活費がかからなくなるので、この分は逸失利益から差し引かれることになります。

このことからも、損害賠償の制度は、あくまで損害の穴埋めをするにすぎず、余分に被害者を利するものではないということが分かりますね。

なるほど、確かに生活費はかからなくなりますね。

ただそれだと死亡した場合より後遺障害で要介護になった場合の方が、生活費控除をされない分逸失利益が高額になりますよね。

感情的には少しでも死亡被害者の示談金を増やしてあげたい気もしますが・・・

判例を検討!打撲?骨折?交通事故の妥当な示談金の金額とは

判例を検討!打撲?骨折?交通事故の妥当な示談金の金額とは

示談金の相場計算方法のイメージはお分かりいただけたでしょうか。

しかし、自分の怪我や後遺障害の示談金の計算がいくらになるのかは、できるだけ細かく知りたいですよね。

そこでここでは、過去の裁判例をいくつかピックアップして、裁判実務での慰謝料逸失利益計算の特徴をみていきたいと思います。

回答者:アトム法律事務所の岡野弁護士

交通事故の示談金相場を知るために、裁判例で認められた金額を見ることは意味があります。

なぜなら、裁判前の相手保険会社の示談交渉においても、弁護士は裁判例で認められた賠償金額をもとに裁判を前提として交渉することになるからです

その上、個別的な事情が、裁判においてどのように賠償金額を増減させるかは、裁判前の交渉段階であっても同様に参考になるのです。

ここでは実際の裁判例を参照しつつ、各事例の賠償金の内訳のうち、慰謝料・逸失利益に焦点をあて金額をみていきましょう。

ケース1(脳挫傷・後遺障害1級)

東京地判平成22年10月27日・平成21年(ワ)第7310号
属性 タクシー運転手・男性
年齢 症状固定時46歳
事故内容 交差点で赤信号を看過して進入した普通乗用車が右方より青信号で進入した原告自動二輪車に衝突。
負傷の内容 脳挫傷
後遺障害 1級1号:右片麻痺、右感覚障害、高次脳機能障害(脱抑制、記憶障害、失語、遂行機能障害、集中力低下、若年性認知症状態)、尿失禁
入院・通院 入院305日
損害額(抜粋)
損害総額 2億3494万9868円
うち入通院慰謝料 370万円
うち後遺障害慰謝料 3000万円
うち近親者慰謝料 妻固有慰謝料300万円 子固有慰謝料 200万円×2
うち逸失利益 8330万6828円

このケースで、被害者の男性は脳挫傷が原因で、最も重篤な分類に属する後遺障害1級1号が認定されています。

入通院慰謝料後遺障害慰謝料ともに、弁護士基準よりも高額に認定されているのがわかります。

被害者の負傷や障害が重篤であったこと、被害者が家計を担っていたこと相手の一方的過失による事故であったといった事情が増額につながったといえます。

逸失利益については、被害男性の現実の収入を基礎として、計算式通りに認められています。

ケース2(大腿骨骨折・後遺障害8級)

名古屋地判平成18年7月28日・平成15年(ワ)第4794号
属性 専業主婦・女性
年齢 症状固定時61歳
事故内容 被告加害車両(普通乗用自動車)が東西方向の道路を西から東に進行していたところ、北から市道が突き当たるT字路交差点付近を北から南に横断しようとした自転車と衝突。
負傷の内容 右大腿骨頚部内側骨折、腰椎・頸椎捻挫、右上肢しびれ、頭部打撲、右後頭部裂創、右顔面打撲擦過創、右肩甲部痛、右後背部痛
後遺障害 8級7号:膝関節用廃
入院・通院 入院565日
損害額(抜粋)
損害総額 3071万8435円
うち入通院慰謝料 400万円
うち後遺障害慰謝料 830万円
うち逸失利益 1215万5895円

このケースでは、大腿骨顆部骨折に起因して、膝関節が強直したとして8級7号が認定されています。

入院が1年半を超える長期であり入通院慰謝料は、弁護士基準より若干増額後遺障害慰謝料は8級基準通り認定されいるのが分かります。

また、専業主婦で現実の収入がない場合に、女子の全年齢平均賃金を基礎収入として逸失利益を認めている点も確認できます。

ケース3(むちうち・後遺障害14級)

那覇地判平成25年1月16日・平成22年(ワ)209号
属性 会社員・女性
年齢 36歳
事故内容 交通整理の行われていない交差点で被害車両と加害車両が衝突したもの。
負傷の内容 頸椎捻挫の傷害
後遺障害 14級9号:頸椎捻挫を起因とする頸部痛、右肩痛、右上肢及び右肩甲背部の強い疼痛
入院・通院 総治療期間:約1年2ヶ月、通院実日数:182日以上
損害額(抜粋)
損害総額 681万1359円
うち入通院慰謝料 120万円
うち後遺障害慰謝料 110万円
うち逸失利益 109万6447円

こちらは、いわゆる首のむちうちにより後遺障害14級9号が認定された事例になります。

入通院慰謝料後遺障害慰謝料ともに、弁護士基準相当の金額が認められています。

逸失利益の計算について、14級9号の場合に特徴的なのは、労働能力喪失の期間が、症状固定時から5年程度とされることが多いことです。

実際に、本事例でも逸失利益の喪失期間が7年に限定されています。

後遺障害が相対的に軽度だと、このように一般の計算方法よりも減額されることがある点はポイントです。

ケース4(むちうち・後遺障害非該当)

横浜地判平成25年3月26日・平成20年(ワ)580号
属性 高校生・女性
年齢 事故当時17歳
事故内容 本件事故現場の交差点前で、赤信号のため停車していた被害車両に、加害車両が追突。
負傷の内容 頸部挫傷、腰部挫傷、右眼球打撲疑い
後遺障害
入院・通院 総治療期間:約10ヶ月、入院:28日、通院実日数:45日
損害額(抜粋)
損害総額 334万3817円
うち入通院慰謝料 130万円
うち後遺障害慰謝料
うち逸失利益

最後に、後遺障害が非該当と判断された事例です。

非該当なので、後遺障害慰謝料逸失利益は認められてませんね。

入通院慰謝料については、事故の軽微性に照らして治療に必要な期間は入院28日と通院4ヶ月程度と制限されました。

しかし、被害者の年齢や進路への影響、相手の対応が不誠実な部分があったこと等をも考慮して、弁護士基準を上回る入通院慰謝料を認めています

このように、裁判の場合、当事者同士の交渉よりも実質的な判断が金額に反映される傾向があるといえますね。

なお、他覚的所見のないむちうちが後遺障害14級9号に認定されるための条件について、以下のページに詳しい解説があります。

弁護士の示談金交渉で増額する理由とは?

弁護士の示談金交渉で増額する理由とは?

保険会社の提示は低額

慰謝料を計算する基準が3つあって、自賠責保険が一番低額なのは、自賠責保険の目的が最低補償であるから納得できます。

しかし、なんで保険会社が提示してくる任意保険基準での示談金は低額といわれるのでしょう。

ネット上でも、示談金の金額に関して困っているという意見を発見できました。

やはり、保険会社から提示された示談金が低いということは一般的によくあるようですね。

本来、被害者に生じた損失すべてを賠償する必要があるようにも思えますよね。

加害者側の保険会社はあくまで営利企業であるため、保険会社の利益を最大限守るために動くのです。

保険会社も営利企業で利益を追求するのがその性質です。

単純にお客さんに支払ってもらう保険料を増やし、事故被害者に支払う出費が減ればその分保険会社の利益になるというわけです。

特に対人賠償保険の場合、限度額の範囲で生じた損害に対応する保険金を支払うということになっており、あらかじめ明確な金額が決まっていません。

そこで、できるだけ保険会社の負担になる支払いを削ろうとあの手この手で示談金をさげようとするようです。

そのため、被害者に提示される示談金は、一般的な相場である弁護士基準よりも低額となりやすいのですね。

弁護士による交渉で相場まで増額

保険会社がわざわざ低額で提示してきた示談金が、なぜ弁護士が介入し交渉するだけで増額することが多いのでしょうか。

回答者:アトム法律事務所の岡野弁護士

被害者本人が示談交渉しても、なかなか増額が難しいといわれています。

この点、弁護士であれば、保険会社との示談交渉段階で、示談金増額が見込めることが多いです。

なぜなら、通常保険会社は、裁判した場合に、弁護士基準での示談金が認められること以上に、紛争の長期化とそれに伴う遅延損害金等の発生を嫌うからです。

もちろん弁護士が相手の保険会社の金額が不当であることを適切に指摘できるという点もあります。

そのため、弁護士が示談に介入してきた場合に、保険会社は裁判になることを避けるため、比較的容易に弁護士基準付近への増額に応じることが多いのです。

なるほど、保険会社としては裁判した場合のデメリットを避けたいということが大きいのですね。

こうしてみると、やはり示談交渉で増額するにはやはり専門家である弁護士に任せることが一番といえそうです。

保険会社が弁護士の示談交渉で増額に応じる理由は、裁判で負けた場合に余分に時間とお金がかかるリスクを回避するため

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最後に一言アドバイス

岡野弁護士、読者の方に、最後にアドバイスをお願いします。

回答者:アトム法律事務所の岡野弁護士

交通事故の被害について、本来受けるべき水準で示談金を受け取るためには、専門の弁護士に相談することが第一歩といえます。

保険会社が提示してくる金額が、示談金の相場とは限りません

弁護士が入れば裁判することを前提に交渉することができ、裁判することなく交渉段階で示談金の増額を見込めるケースは非常に多いのです

示談金相場に関して少しでも疑問がおありでしたら、迷わず弁護士に相談すべきでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

ここでは、以下の点に力を入れて見てきました。

示談金とその内訳

入通院・後遺障害・死亡の各慰謝料と逸失利益の相場とその計算方法

各事例ごとの裁判例と賠償金

弁護士に依頼することで示談金が増額するワケ

これらについて、少しでもお分かりいただければ幸いです。

また、示談金の相場や計算方法がわかっても、ご自身の示談金が妥当かどうかはやはり不安がおありだと思います。

やはり専門の弁護士に相談するのが安心!

ぜひお手軽なスマホで無料相談全国弁護士検索もご利用ください。

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この記事の監修弁護士

岡野武志弁護士

(アトム法律事務所弁護士法人)

第二東京弁護士会所属弁護士。大阪府生。高校卒業後渡米。ニューヨークから帰国後、司法試験に合格し、アトム東京法律事務所を設立。誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応するために、全国体制の弁護士法人を構築。年中無休24時間体制で活動を続けている。

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