男子学生の交通事故慰謝料|2億1766万円の判例を弁護士が解説
このページでは、男子大学生の事故の判例についてご紹介します。
もし突然の交通事故によって、身体が動かせなくなり介護が必要な状態となってしまったら、その現実はなかなか受け入れられるものではありません。
この判例の被害者もその1人です。
損害総額としては約2億1766万円となったようですが、算定のポイントや争点について弁護士の先生とともにご説明いたします。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見ていきましょう。
大学生(男・症状固定時21歳)損害額2億1766万5148円の判例
こちらは、さいたま地方裁判所の判決、平成16年(ワ)第547号事件です。
この事故での主な怪我の内容は、第六頸椎破裂骨折となっています。
交通事故の基本情報
事故の内容は「直進する被害者運転の自動二輪車と反対方向から交差点を右折する加害者運転の乗用車が衝突した。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 大学1年生 |
---|---|
性別 | 男 |
年齢 | 症状固定時21歳 |
事故の内容 | 直進する被害者運転の自動二輪車と反対方向から交差点を右折する加害者運転の乗用車が衝突した。 |
傷害の内容 | 第六頸椎破裂骨折、頸髄損傷、骨盤骨折 |
後遺障害等級 | 1級3号 |
入院入所 | 719日 |
被害者は700日以上にわたる入院となり、1級の後遺障害が残ってしまいました。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 2億1766万5148円 |
---|---|
うち慰謝料 | 3160万円 |
うち将来介護費 | 6874万1960円 |
うち逸失利益 | 1億0012万8188円 |
損害総額は2億1766万5148円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額2億1766万5148円になりました。
- 慰謝料としては、入院・入所に対する慰謝料が360万円、後遺障害の慰謝料が2600万円、両親固有の慰謝料が各100万円認められました。
- 将来介護費としては、被害者母が70歳となる22年間は家族による介護として1日当たり8000円、それ以降34年間は職業介護人による介護として1日当たり1万5000円が認められました。
- 逸失利益は、被害者は23歳で大学を卒業した後67歳時まで就労することができたものと認められ、大学卒業後の平成17年4月から9月までの6か月間については、年齢計大卒男子労働者の「きまつて支給する現金給与額」である月42万9400円を基礎とし、平成17年10月からの44年間分については、年齢計の大卒男子労働者の平均年収額674万4700円を基礎とし、1億0012万8188円が認められました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの男子大学生は事故後約2年も入院・入所されているようですが、この判例のポイントはどのような点になりますか?
本件では、加害者側が、被害者の後遺症について、常時介護を要するものではなく、随時介護にとどまるため2級相当であると主張しました。
裁判所は、被害者が全体的にみて、単独では日常生活の動作を行うことができなかったとして、1級相当の後遺症が残っていると認定し、加害者側の主張を認めませんでした。
これにより、被害者は常時介護を前提にして介護費用の補償を受けることができました。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
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- 保険会社から提示されている金額が、法律的に正しいかどうか知りたい
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といった人たちです。
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学生の慰謝料計算の特徴は?
学生の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
学生といっても、活動内容や将来的な就職分野は様々です。
ポイントとしては、活動内容や将来就職する可能性が高い分野等を具体的に主張していくことです。
事故の影響で、留年してしまったり、受験を受けられなかったこと等が証明できれば、賠償額が増額できる余地があります。
また、内定が決まっていたり、予備校生であっても大学に進学できる可能性が高いことを証明できれば、内定先の会社や大卒の平均賃金が将来の収入減をカバーする逸失利益の計算の基礎となり、賠償額が増額する余地があります。
ただし、今申し上げたポイントは一般的・総論的なお話であり、上に挙げられている判例のように、事故に遭われた方のご事情はさまざまです。
もし交通事故の慰謝料でお悩みならば、まずは一度弁護士等の専門家に直接相談してみるのが良いかと思います。