交通死亡事故の裁判|流れや判例の重要性・判決までの期間とは?

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交通死亡事故の裁判|流れや判例の重要性・判決までの期間とは?

交通死亡事故裁判を起こそうと思うのだけれど流れが全然わからない・・・」

「交通死亡事故で裁判を起こすならやっぱり判例を調べたりしなければいけないのだろうか・・・」

「交通死亡事故の裁判は判決までどれ位の期間が掛かるものなのだろうか・・・」

ほとんどの方は、交通死亡事故の裁判に関わりを持ったことはないでしょうから、流れや判決までの期間などについて知らなくて当然かと思います。

このページでは、そんな方のために

  • 交通死亡事故の裁判の流れ
  • 交通死亡事故の裁判における判例の重要性
  • 交通死亡事故の裁判の判決までの期間

といった事柄についてお伝えしていきたいと思います。

専門的な部分や実務的な部分は交通事故と刑事事件を数多く取り扱っている岡野弁護士に解説をお願いしております。

よろしくお願いします。

交通死亡事故で大切なご家族を失われた方に対しましては、心よりお悔やみ申し上げます。

突然ご家族を失われた悲しみは計り知れないものとお察しいたします。

そんな中、示談がまとまらずに裁判を起こさざるを得なくなったものの、よくわからずにお困りのご遺族の方もいらっしゃるかもしれません。

こちらでは、そんな方のお役に立てるかもしれない交通死亡事故の裁判に関する情報をお伝えしていきたいと思います。

交通事故裁判流れは大まかには以下の表のようになり、死亡事故の場合も基本的には同様といえます。

交通事故の裁判の流れ

もっとも、交通死亡事故の場合には、その他の交通事故の場合と異なる点も存在します。

そこで、ここからは大きく

  • 交通死亡事故の民事裁判を提起する際の流れ
  • 交通死亡事故の民事裁判を提起した後の流れ
  • 交通死亡事故の民事裁判が終了する際の流れ

に分けて、交通死亡事故の場合の特色にも触れつつ、説明していきたいと思います。

交通死亡事故の裁判の流れ

交通死亡事故の裁判の流れ

交通死亡事故の民事裁判を提起する際の流れ

原告・被告を誰にするか決定する

裁判を提起する際には、まず原告・被告を誰にするか決定する必要があります。

原告を誰にするか

交通死亡事故の場合には、通常の交通事故で原告となる被害者本人は亡くなられているため、原告になることはできません。

そのため、被害者の損害賠償請求権の相続人が原告になることになります。

被害者の損害賠償請求権の相続人の範囲や相続分については、民法で定められており、亡くなった被害者の配偶者は常に相続人になります。

また、配偶者のほかに、子・直系尊属(父母や祖父母など)・兄妹姉妹の順番で相続人となります。

以下の記事は、被害者の損害賠償請求権の相続人の範囲や相続分につき、より詳しく記載していますので、もっと知りたいという方は是非ご覧ください。

もっとも、民法上の相続人でなくても、固有の慰謝料請求権が認められる近親者がいる場合には、その近親者も原告になることができます。

近親者固有の慰謝料請求権については、民法上、以下のように規定されています。

他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない。

さらに、被害者との関係が深い場合には、民法に規定されていない兄弟姉妹、祖父母、内縁の妻等にも固有の慰謝料請求権が認められる場合もあります。

交通死亡事故の場合、通常の交通事故の場合より、民法上規定されていない親族でも固有の慰謝料請求権が認められる可能性が高いと考えられます。

そのため、交通死亡事故の場合には、通常の交通事故の場合よりも、原告を誰にするか検討する余地が大きいといえます。

被告を誰にするか

交通死亡事故の裁判の被告としてまず考えられるのは加害者である運転者本人であり、当然、加害者を被告とすることができます。

もっとも、交通死亡事故の裁判は加害者である運転者本人以外の者を被告として提起できる場合があります。

具体的には

  • 運行供用者
  • 加害者の使用者
  • 加害者が責任無能力者の場合の監督義務者
  • 加害者の加入する任意保険会社

等を被告とする場合が考えられます。

加害者である運転者本人以外の者を被告として提起できる場合については、以下の記事により詳しく記載されていますので、ぜひご覧ください。

被告を誰にするかどうかで、裁判における立証事項が変わってくる場合があります。

そのため、被告を誰にするかについては慎重に検討する必要があります。

管轄の裁判所宛に訴状を提出する

交通死亡事故の裁判の原告・被告を誰にするか決定したら、次は裁判所訴状を提出する流れになります。

もっとも、どこの裁判所に提出してもいいというわけではなく、請求金額と場所により提出すべき裁判所は決まります。

請求金額による区別

まず、交通事故の民事裁判・訴訟における損害賠償の請求額が140万円以下の場合には簡易裁判所に訴状を提出することになります。

簡易裁判所は、次の事項について第一審の裁判権を有する。

一 訴訟の目的の価額が百四十万円を超えない請求(行政事件訴訟に係る請求を除く。)

一方で、損害賠償の請求額が140万円を超える場合には地方裁判所に訴状を提出することになります。

地方裁判所は、次の事項について裁判権を有する。

一 第三十三条第一項第一号の請求以外の請求に係る訴訟(以下略)

交通事故の裁判の提起先の裁判所
請求金額 裁判所
140万円以下 簡易裁判所
140万円を超える 地方裁判所

※当事者間の合意がある場合などの例外あり

交通死亡事故の場合、損害賠償金は高額になることが多く、請求金額が140万円以下のことはほとんど考えられないといえます。

そのため、交通死亡事故の場合、簡易裁判所で争われることはほぼないという点が、他の交通事故とは異なる特色といえます。

場所による区別

交通事故の民事裁判・訴訟の場合には

  • 原告となる人の住所
  • 被告となる人の住所
  • 交通事故の発生場所

を管轄するいずれかの裁判所に提出することになります。

どこの裁判所が土地管轄を有するかについては以下の裁判所のページで確認が可能です。

なお、当事者間の合意がある場合には、本来管轄のない裁判所に訴訟を提起できる場合があります。

訴状に記載すべき内容や提出資料

訴状に記載すべき内容

交通事故裁判において提出をする訴状には

  • 当事者の住所氏名
  • 請求の趣旨(請求する損害賠償の金額など)
  • 請求原因(事故の内容や請求金額の内訳など)

などを記載する必要があります。

死亡事故の場合には、通常の交通事故の場合の記載に加え、原告が被害者損害賠償請求権を相続したことの記載の必要があります。

その他に、交通死亡事故特有の記載事項はあるのでしょうか?

死亡慰謝料一家の支柱かどうかなど家族における地位により金額に差が出るので、家族における地位を具体的に記載する必要があります。

また、民法上固有の慰謝料請求権が認められていない親族が原告にいる場合、精神的な苦痛の状況を特に詳細に記載する必要があるといえます。

また、訴状と同時に可能な限り自身の主張の裏付けとなる証拠も併せて提出する必要があります。

そして、死亡自己の場合には、相続関係の立証のために

戸籍謄本、除籍謄本、改正原戸籍謄本

といった書類も併せて提出が必要になります。

さらに、訴状を提出する際には、同時に所定の費用の印紙・郵便切手も提出する必要があります。

具体的な金額については、以下のページに詳しく記載されていますので、興味のある方は是非ご覧になってみて下さい。

交通死亡事故の場合、損害賠償金は高額になることが多いため、印紙代もある程度高額になる点には注意が必要です。

交通死亡事故の民事裁判を提起した後の流れ

第1回裁判期日の出廷までの流れ

交通事故の訴状が管轄のある裁判所に提出されると、1〜2ヶ月後に裁判所から第1回口頭弁論期日の指定があります。

原告は指定された期日に裁判所に出廷する必要があります。

一方、被告は、第1回口頭弁論期日は、訴状に対する回答書面である答弁書を裁判所に提出しておけば、出廷する必要はありません。

被告が第1回口頭弁論期日までに争う意思を示さなかった場合、裁判は終了し、請求した内容どおりの判決が出される流れになります。

一方、被告が争う意思を示した場合には、次の手続きに進む流れになります。

第2回以降に行われる裁判の流れ

その後は1月に1回くらいのペース裁判所での期日が開かれ、お互いが主張をし、何が争いになっているのかを整理していきます。

同時に、争いになっている部分を中心にお互いが自分の主張を裏付ける証拠を提出するという流れになります。

証拠の収集は当事者が行わなければ行けませんが、裁判の場合には

送付嘱託

などの方法により、裁判所を通じて

  • 検察庁などに刑事記録の送付を依頼
  • 病院にカルテ開示を依頼

することなどもあります。

なお、交通事故の民事裁判の平均期日回数(第一審)の統計は、以下の表のようになっています。

交通事故の民事裁判の平均期日回数(第一審)
口頭弁論期日 2.4
争点整理期日 5.0

判決前の裁判所での手続きの流れ

本人・証人尋問

交通事故の裁判では争点が整理され、主張・証拠が出揃うと、通常判決の前に本人・証人尋問を行うという流れになっています。

尋問とは、簡単に言うと

法廷の場で、裁判の当事者や裁判官からの質問に回答する

ことをいいます。

また、交通事故の場合、本人尋問以外に、過失割合因果関係などに争いがある場合

  • 事故の目撃者
  • 医師

などに証人尋問をすることがあります。

本人・証人尋問に先立つ陳述書の提出

そして、裁判所は本人尋問や証人尋問に先立ち、陳述書の提出を各尋問予定者に求めるという流れになります。

陳述書

訴訟当事者や証人予定者の言い分や見解を記載し、書証の形式で裁判所に提出する報告文書

こちらの陳述書は

  • 証拠開示機能
  • 主尋問代用補完機能
  • 証拠採否判断機能

などを果たしているものと考えられます。

上記の統計データのとおり、裁判を提起すると平均して7~8回程度裁判所に出廷する必要があります。

交通事故の裁判は平日の日中にしか行われないので、お仕事をされている方などは7~8回も裁判所に出廷する時間を作るのは大変かと思います。

また、特に交通死亡事故の場合,ご遺族だけですと、感情論が先立ち、適切な内容の陳述書の提出・尋問手続きが行えない可能性が高いと考えられます。

出廷の負担を減らし、適切な内容の陳述書の提出・尋問手続きを行いたいのであれば、専門家である弁護士に依頼するのが確実と考えられます。

交通死亡事故の民事裁判が終了する際の流れ

尋問前後の裁判所からの和解勧告

先ほどお伝えした尋問手続きを実施する前に、裁判所双方に和解案を提示し、和解勧告を行うという流れになることが多いです。

この和解案を元に当事者双方が和解できるかどうかを協議します。

訴訟上の和解が成立すれば、和解調書が作成され、裁判は終了という流れになります。

この時点で和解が成立しなければ、先ほどお伝えしたとおり、本人尋問・証人尋問を行う流れになります。

そして、本人尋問・証人尋問の手続きが行われた後、弁論終結前に再び和解勧告がなされ、和解での解決の可能性を探る流れになることも多いです。

交通事故の裁判の判決は3割以下

なお、交通事故の民事裁判・訴訟は、民事訴訟一般と比較して、判決で終了する割合が少ないのが特徴です。

具体的な民事訴訟一般と交通損害賠償訴訟との裁判・訴訟の終局事由の統計は以下の表のようになっています。

民事訴訟一般と交通損害賠償訴訟との裁判終局事由
民事訴訟一般 交通損害賠償訴訟
判決率 41.40% 23.30%
和解率 35.80% 71.50%
取下げ率 16.0 3.40%
それ以外 6.80% 1.80%

※「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書」(最高裁判所・平成29年7月21日)統計データ参照

ご覧のとおり、交通事故の裁判が、判決で終了するのは3割以下であることがわかります。

なお、訴訟上の和解に関しては、以下のページに詳しく記載されていますので、もっと詳しく知りたいという方はぜひご覧になってみて下さい。

和解成立不可なら弁論終結し判決

ここまでの手続きで和解成立に至らなかった場合には弁論が終結し、1〜2ヶ月後の判決期日が指定されます。

そして、判決期日において判決が言い渡されますが、判決期日は当事者が出廷しなくてもよい事になっています。

裁判結果に不服がある場合、判決送達日(判決書を受け取った日)から2週間以内に控訴状という書類を裁判所に提出する必要があります。

控訴状が提出された場合には、次の手続きに進む流れになります。

一方、2週間以内に控訴状が提出されない場合には判決が確定し、裁判は終了となります。

交通死亡事故の場合、賠償金が高額になることから加害者が判決で定められた賠償金を払えない可能性があります。

その場合には、判決に基づいた強制執行の手続きに進み、賠償金の回収を目指す流れになります。

交通死亡事故の裁判における判例の重要性

交通死亡事故の裁判における判例の重要性

交通死亡事故裁判を起こすのに際して、過去に裁判所が下した判断である判例はとても重要になります。

過失割合主張の根拠として重要

交通死亡事故裁判においては、過失割合が通常の交通事故以上に争われやすいといえます。

それは大きく

  • 賠償金総額が高額のため、過失割合が少し違うだけでも、最終的な支払額が大きく変わる
  • 加害者からしか直接話を聞けず、被害者の話を直接聞けない
  • 被害者遺族の被害感情

といった理由が考えられます。

もっとも、裁判所は、大量の同種事案を公平・迅速に処理すべく、事故の類型毎に基本的な過失割合裁判基準を設けています。

その過失割合の基準は、過去の判例をもとに東京地裁で民事交通訴訟を集中して担当する専門部の裁判官が中心となり作成されたものです。

その認定基準は、「別冊判例タイムズ 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」という書籍において公表されています。

このように、交通事故の裁判において、裁判所が過失割合を決める際には一定の裁判基準が存在します。

とはいえ、その基準はあくまで事故の類型毎の基本的な過失割合の基準であり、同じ類型の事故でも細かな部分は交通事故毎に異なります

そこで、実際に裁判になっている事故状況に近い交通事故の判例を調査し、その判例における過失割合の判断を自身の主張の根拠にすることがあります。

その意味において、交通死亡事故の裁判における判例は重要であるといえます。

なお、交通死亡事故で過失割合が争われやすいより具体的な理由や実際の判例については、以下のページに記載されていますので、ぜひご覧ください。

賠償金の主張の根拠として重要

交通死亡事故裁判においては、葬儀費用慰謝料等の損害賠償金金額についても一定の裁判基準が定められています。

そして、多くの事案ではその裁判基準に沿った損害賠償金の金額が認められることになります。

とはいえ、その裁判基準はあくまで「基準」であり、裁判においてその「基準」以上の金額が絶対に認められないわけではありません。

実際に裁判では葬儀費用や死亡慰謝料について、裁判基準の金額以上の損害賠償金が認められた判例も多数あります。

そこで、実際に裁判になっている事案に近い判例を調査し、その判例での判断や金額を自身の慰謝料等の損害賠償の主張の根拠にすることがあります。

また、先ほどお伝えしたとおり、死亡事故では民法711条記載の近親者にも固有の慰謝料請求権を認めている判例があり、そちらも参考になります。

そういった意味において、交通死亡事故の裁判における判例は重要であるといえます。

判例調査は弁護士に依頼すべき

このように、交通死亡事故裁判において、判例の調査は極めて重要であるといえます。

そして、一般人の方でも、裁判所の以下のページなどから判例を検索すること自体は不可能ではありません。

もっとも、こちらにはすべての判例が網羅されているわけではありません。

また、一般の方ですと、判例検索の経験がないため、要領がわからず検索に時間が掛かることに加え、

その判例が裁判になっている事案に近いかどうかの判断や判例と裁判になっている事案との共通点と違う点の区別が難しい

など判例の分析をすることが難しいと考えられます。

一方、弁護士であれば、

判例収録数の多い有料データベースや交通事故専門の判例集などを利用でき、判例検索を数多くしているため短期間で検索できる

ことが多いことに加え、

その判例が裁判になっている事案に近いかどうかの判断や判例と裁判になっている事案との共通点と違う点の区別を的確に行える

など判例の分析を的確に行えることが多いと考えられます。

以上のことからすれば、交通死亡事故の裁判の主張の根拠となる判例調査は専門家である弁護士に依頼することが好ましいといえます。

死亡事故の賠償金は高額であり、判例調査により受け取れる賠償金が大きく変わる可能性があることも考慮して、弁護士への依頼をご検討ください。

弁護士と一般人の判例調査の比較
一般人 弁護士
判例の検索 ・一般公開されているもの以外の利用は困難
・要領がわからず時間が掛かる
・専門のデータベース等利用できること多い
・経験から短期間で検索できること多い
判例の分析 ・事案に近いかの判断が困難
・事案との共通点・相違点の区別が困難
・事案に近いかの判断が可能
・事案との共通点・相違点の区別が可能

交通死亡事故の裁判の判決までの期間は?

交通死亡事故の裁判の判決までの期間は?

交通事故の判決までの期間は?

いざ交通事故裁判を起こそうと思っても、判決までの期間がわからないと、不安が残るのではないでしょうか?

上記のツイートをされている方は、判決までに1年くらいの期間を要したようです。

もちろん、事案によって判決までの期間は異なりますが、交通事故の民事裁判の平均審理期間についての統計データがあります。

統計データによりますと、交通事故の民事裁判・訴訟の第一審の訴えを提起してから終局するまでの平均審理期間12.3か月のようです。

具体的な統計は以下の表のとおりですが、半年から1年以内に終局する事案が最も多い一方、2年を超える長期事案は全体の6%程度になります。

交通事故の民事裁判の審理期間(第一審)
6月以内 20.60%
6月超1年以内 41.10%
1年超2年以内 32.10%
2年超3年以内 5.30%
3年超5年以内 0.90%
5年を超える 0.07%

※「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書」(最高裁判所・平成29年7月21日)統計データ参照

さらに、裁判の各手続段階の平均期間は以下の表のようになります。

交通事故の民事裁判の各手続段階の平均期間(第一審)
訴え提起~第1回口頭弁論 2.4か月
1回口頭弁論~人証調べ開始 11.8か月
人証調べ開始~終了 0.2か月
人証調べ終了~弁論終結 1.7か月
弁論終結~判決 1.8か月

※「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書」(最高裁判所・平成29年7月21日)統計データ参照

先ほどご紹介した終局までの平均審理期間は、和解で終局したような事案も含んだものになります。

そのため、判決までとなると平均して1年半程度の期間を要することになります。

先ほどのツイートをされた方は、平均審理期間と同じくらいの期間でしたが、判決ということを考えるとやや短めの期間であったと考えられます。

死亡事故の期間が長くなる要素

もっとも、先ほどの統計はあくまで交通事故民事裁判全体のものです。

残念ながら交通死亡事故に限定した判決までの期間の統計データは確認できませんでした。

しかしながら、交通死亡事故の場合、平均的な交通事故よりも期間が長くなりやすい要素はいくつか考えられます。

①高額な賠償金

交通死亡事故の場合には、平均的な交通事故よりも、裁判での損害賠償金の請求金額が高額になることが多いと考えられます。

そのため、受け取る方も支払う方が共に裁判において熱心に主張・立証を行い、そのことが期間が長くなる要素になりうるといえます。

②過失割合の点

そして、交通死亡事故の場合、請求金が高額なことから、過失割合が少し違うだけでも、最終的な支払額が大きく変わることになります。

そのため、裁判において過失割合が大きく争われることになり、そのことが期間が長くなる要素になりうると考えられます。

③遺族感情の点

また、交通死亡事故の場合、当然ですが、原告である遺族は家族である被害者を亡くしているという事実が前提になります。

また、先ほどの過失割合の点につき、通常遺族は現場に居合わせず、被害者から事故状況を聞けていないことが多くなります。

そのため、加害者が過失割合を争ってくる場合、加害者が自分に都合の良いことしか言っていないのではないかと疑念を抱くことが多いようです。

かかる事情から、加害者の主張を一部取り入れた和解案を心情的に受け入れがたく、和解が成立しないことが期間が長くなる要素になりうるといえます。

死亡事故の期間が短くなる要素

反対に、交通死亡事故の場合、平均的な交通事故よりも期間が短くなりやすい要素もいくつか考えられます。

①刑事裁判の点

交通死亡事故の場合、平均的な交通事故よりも加害者刑事裁判において罪に問われる可能性が高いといえます。

そして、交通死亡事故では示談が成立しているかどうかが起訴され刑事裁判になるかどうかに影響すると考えられています。

また、刑事裁判になった場合においても、罰金刑か懲役刑かの判断に示談の成否が影響します。

さらに、懲役刑になった場合においても、執行猶予が認められるかいわゆる実刑になるかの判断にも示談の成否が影響します。

このような事情から、交通死亡事故においては加害者が早期の損害賠償の解決を望み、そのことが期間が短くなる要素になりうると考えられます。

②損害項目の点

また、交通死亡事故の場合、主な損害項目は

  • 葬儀費用
  • 逸失利益
  • 死亡慰謝料

のみになります。

それに対し、死亡事故以外の交通事故では、傷害分の損害項目は多岐にわたります。

さらに、後遺障害が残った場合には、後遺障害に関する損害項目も追加されます。

損害項目が多いほど、争点が増える可能性が高く、争点が増えると裁判の審理期間は長くなると考えられます。

そのため、反対に損害項目が少ないということは、裁判の審理期間が短くなる要素になりうるといえます。

③労働能力の点

交通死亡事故の場合、将来的に労働できないことは明らかなので、逸失利益の計算項目である労働能力喪失率が100%であることに争いはありません。

一方、後遺障害の逸失利益については労働能力喪失率がどれ位かについて争われることが多く、その争点の審理で期間が長引くことがあります。

そのため、労働能力喪失率という大きな争点がないということは、交通死亡事故の裁判の審理期間が短くなる要素になりうるといえます。

このように、交通死亡事故においては、期間が長くなる要素と短くなる要素の両方が考えられます。

しかしながら、交通死亡事故の裁判の期間は少なくとも軽微な事故よりは長くなる傾向にあると考えられます。

交通死亡事故の裁判は、1年以上の期間を要する可能性も十分考えられることを踏まえたうえで提起する必要があります。

交通死亡事故の裁判に関し弁護士に相談してみたい方へ

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最後に一言アドバイス

それでは、最後になりますが、死亡事故でご家族を失われた方に一言アドバイスをお願いします。

交通事故による死亡事故で大切なご家族を失われた方に対しましては、改めて心よりお悔やみ申し上げます。

突然ご家族を失われた悲しみは計り知れないものとお察しいたします。

残されたご家族の悲しみは決して癒えないことかと思いますが、今後の生活のためには、適正な損害賠償金を受け取る必要があります。

弁護士に依頼することで、裁判において的確な主張・立証を行うことにより、適正な損害賠償金を受け取る可能性を高めることができます。

また、専門家である弁護士がお力を貸せるお悩みや問題もきっとあるかと思いますので、遠慮することなく弁護士に相談だけでもしてみて下さい。

まとめ

いかがだったでしょうか。

このページを最後までお読みの方は、

  • 交通死亡事故の裁判の流れ
  • 交通死亡事故の裁判における判例の重要性
  • 交通死亡事故の裁判の判決までの期間

について理解を深めていただけたのではないかと思います。

これを読んで弁護士に相談してみたいと思われた方もいらっしゃるかと思います。

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そうではなく、やっぱり直接会ってお話をされたいという場合は、全国弁護士検索を使って弁護士を探してみてください。

また、このホームページでは、交通事故に関する関連記事も多数掲載していますので、ぜひ参考にしてください。

皆さまのお悩みが早く解決するよう、お祈りしています。

交通死亡事故の裁判についてのQ&A

交通死亡事故の民事裁判を提起する際の流れとは?

裁判を提起するにはまず、原告・被告を決定します。交通事故の被害者は死亡している為、被害者の損害賠償請求権の相続人が原告となります。被告は運転者本人とすることもできますが、運転者本人以外も被告とすることができます。その後、管轄の裁判所に訴状を提出する流れになります。管轄の裁判所は、請求金額と場所によって決定します。 交通死亡事故の民事裁判を提起する際の流れ

交通死亡事故の民事裁判を提起した後の流れとは?

交通事故の訴状が裁判所に提出されると、裁判所から第1回口頭弁論期日の指定があります。第1回口頭弁論記述までに、被告が争う意志を示さない場合、裁判は終了し、請求した内容通り判決が出されます。被告が争う意志を示した場合、次の流れに進みます。裁判所での期日が開かれ、主張・証拠が出揃うと、通常判決の前に本人・証人尋問を行います。裁判所は本人尋問や証人尋問に先立ち、陳述書の提出を各尋問予定者に求めます。 交通死亡事故の民事裁判を提起した後の流れ

交通死亡事故の民事裁判が終了する時の流れは?

尋問前後に、裁判所から双方に和解案を提示し、和解勧告を行う流れが一般的です。和解が成立すれば、裁判は終了になりますが、成立しなければ、尋問が行われます。尋問の手続きが行われた後、弁論終結前に再び和解勧告がなされることもあります。ここまでの手続きで和解成立に至らなかった場合には弁論が終結し、判決が言い渡されます。控訴状が提出された場合には、次の手続きに進みます。提出されない場合、裁判は終了します。 交通死亡事故の裁判が終了する時の流れ

交通死亡事故の裁判における判例の重要性は?

過去の判例は、①過失割合主張の根拠として②賠償金の主張の根拠として重要です。過失割合や賠償金額には基準がありますが、必ずしも基準通りになるとは限らないため、似た事故の判例を主張の根拠とすることもあるのです。 交通死亡事故における判例の重要性について

この記事の監修弁護士

岡野武志弁護士

アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。

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