後遺障害12級の交通事故慰謝料|3597万円の判例を弁護士が解説
このページでは、後遺障害12級の判例についてご紹介します。
もし12級の後遺障害が残ってしまったとしたら、日常生活や仕事などに大きな影響を与えることになってしまいます。
今後のことを考えると、慰謝料や示談金はどのくらい支払ってもらえるのか心配になりますよね。
この判例では、総額3597万円の損害賠償金が認められましたが、金額はどのようにして算定されたのか弁護士の先生の解説とともに見ていきましょう。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見てみましょう。
障害等級12級(男・22歳)損害額3597万5829円の判例
こちらは、東京地方裁判所の民事第27部の判決、平成22年(ワ)44976号事件です。
この事故での主な怪我の内容は、右下肢両骨開放性骨折となります。
交通事故の基本情報
事故の内容は、「交差点を直進していた被害車両に右折しようとした加害車両が衝突した。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | ガソリンスタンド勤務 |
---|---|
性別 | 男 |
年齢 | 22歳 |
事故の内容 | 交差点を直進していた被害車両に右折しようとした加害車両が衝突した。 |
傷害の内容 | 右下肢両骨開放性骨折など |
後遺障害等級 | 12級7号 |
入院 | 145日 |
被害者にも相応の過失があったとして、過失割合は5対5とされたようです。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 3597万5829円 |
---|---|
うち慰謝料 | 590万円 |
うち休業損害 | 837万7618円 |
うち逸失利益 | 1301万4694円 |
損害総額は3597万5829円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額3597万5829円になりました。
- 慰謝料としては、入院・通院に対する慰謝料が300万円、後遺障害の慰謝料は被害者の後遺障害の内容および程度等に照らして290万円が認められました。
- 休業損害としては、837万7618円が認められました。
- 逸失利益としては、基礎収入は男子の学歴計平均賃金である523万0200円、労働能力喪失率は14%、労働能力喪失期間は22歳から67歳までの45年間として算定されました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの22歳の男性は、右足関節の機能障害によって後遺障害12級が認定されたそうですが、この判例のポイントはどのような点になりますか?
被害者は症状固定時22歳であり、事故前はガソリンスタンドで勤務しており、年収は約200万円でした。
しかし、20代の若年者の場合、今後給料が上昇していく可能性が高いため、逸失利益の計算においては平均賃金を利用することが一般的です。
本件においても、裁判所は平均賃金である523万円を基礎にして、47年間の長期間にわたる収入の一部喪失を認めました。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
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後遺障害12級の慰謝料計算の特徴は?
12級の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
一口に12級と言っても各号ごとに症状は様々ですが、原則として慰謝料は等級に応じて定められ、12級の場合、裁判基準では290万円となっております。
特に争いになりやすいのは逸失利益の項目であり、12級13号の神経症状の場合には、一生症状が残るものではないとして、計算の基礎となる労働能力喪失期間が制限されることが多いです。
むち打ち症の場合、裁判では、10年程度とされることが多いですが、保険会社からはより短い期間を主張されることも多いので、安易に示談には応じないほうがいいでしょう。
また、12級13号の神経症状であっても、その症状が骨折等の器質的損傷に基づくものである場合には、むち打ち症の場合よりも労働能力喪失期間を長く考える傾向にある点にも注意が必要です。
さらに、12級3号の歯科補綴、12級5号及び8号の変形障害や12級14号の外貌醜状の場合、仕事には支障がないとして、逸失利益を保険会社が否定してくることも多いです。
そのような場合には、職務内容や職務にどのような支障が出ているかを具体的に主張する必要があることがポイントです。
ただし、今申し上げたポイントは一般的・総論的なお話であり、上に挙げられている裁判例のように、事故に遭われた方々によってさまざまな事情があるかと思います。
もし、ご自身の交通事故についてのお悩みがある場合は、まずは一度弁護士等の専門家に直接相談してみるとよいでしょう。
まとめ
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。