交通事故の後遺障害で適切な等級認定と金額を獲得するための3つのポイント

  • 交通事故,後遺障害,等級

この記事のポイントをまとめると
  • 交通事故で後遺障害の適切な等級認定を獲得するには等級表認定基準を把握することが重要
  • 後遺障害の等級認定の申請は、被害者請求の方法で行った方が適切な等級認定を獲得できる可能性が高まる
  • 後遺障害の認定等級により慰謝料などの受け取れる金額は違うが、同じ等級でも弁護士が請求することで受け取れる慰謝料などの金額は増える

交通事故後遺障害等級認定や、認定された等級ごとに受け取れる金額について知りたい方はぜひご一読下さい。

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岡野武志弁護士
交通事故と刑事事件を専門とするアトム法律事務所の代表弁護士。

交通事故被害者の方が後遺症が残った場合、体が元通りにならない以上、せめて十分な補償を受けたいと考えるのは当然のことです。

しかし、交通事故により後遺症が残ったとしても、無条件で十分な補償を受けられるわけでは残念ながらありません。

まず、後遺障害として適切な等級認定を受ける必要があります。

さらに、適切な慰謝料などの金額を受け取るためには、一定の条件が必要となります。

こちらの記事では、そんな交通事故の後遺障害で適切な等級認定と金額を獲得するための3つのポイントをご紹介したいと思います。

①後遺障害の等級表や認定基準を把握する

①後遺障害の等級表や認定基準を把握する

最初のポイントは、交通事故後遺障害等級表認定基準を把握することです。

後遺障害の等級表や認定基準を把握すべき理由

交通事故による後遺障害の症状や程度は人によって全て異なるところ、それらすべてを個別に認定していくことは不可能です。

そこで、後遺障害の種類や程度を類型化した等級表をあらかじめ作成し、等級表記載の後遺障害があるかどうかという形で認定を行っています。

そのため、後遺障害の等級表を把握していなければ、適切な等級認定を受けることは不可能といえます。

なお、後遺障害の等級表は、社会情勢の変化などに伴い、改正が行われることがあります。

直近では、男女の性差別を解消するために、傷跡などの外貌醜状についての等級表が改正されています。

このような等級表の改正を把握していないと、後遺障害が認定される見込みの等級について、正しい見通しが立てられないことになります。

もっとも、交通事故の後遺障害の適切な等級認定を受けるためには、等級表の把握だけでは不十分です。

このあとお伝えする等級表をご覧頂くとわかりますが、等級表の表現は抽象的なものが多く、これだけでは認定されるかどうかの判断が困難です。

そこで、交通事故では、等級表の抽象的な文言を統一的に解釈するための認定基準を定めています。

なお、交通事故の後遺障害の認定基準は、労災保険のものを準用しています。

そして、実際の後遺障害の等級認定は、等級ごとに定められた認定基準に照らし合わせて、どの等級に当たるのかを審査するという形で行われます。

そのため、後遺障害の等級ごとの認定基準を把握していなければ、適切な等級認定を受けることは不可能といえます。

交通事故の後遺障害等級表一覧

ではここで、実際の交通事故後遺障害等級表一覧をご紹介したいと思います。

後遺障害別等級表(自賠責別表第1)
1
1 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
2 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
2
1 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
2 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
後遺障害別等級表(自賠責別表第2)
1
1 両眼が失明したもの
2 咀嚼及び言語の機能を廃したもの
3 両上肢をひじ関節以上で失ったもの
4 両上肢の用を全廃したもの
5 両下肢をひざ関節以上で失ったもの
6 両下肢の用を全廃したもの
2
1 1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの
2 両眼の視力が0.02以下になったもの
3 両上肢を手関節以上で失ったもの
4 両下肢を足関節以上で失ったもの
3
1 1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの
2 咀嚼又は言語の機能を廃したもの
3 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
4 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
5 両手の手指の全部を失ったもの
4
1 両眼の視力が0.06以下になったもの
2 咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの
3 両耳の聴力を全く失ったもの
4 1上肢をひじ関節以上で失ったもの
5 1下肢をひざ関節以上で失ったもの
6 両手の手指の全部の用を廃したもの
7 両足をリスフラン関節以上で失ったもの
5
1 1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの
2 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
3 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
4 1上肢を手関節以上で失ったもの
5 1下肢を足関節以上で失ったもの
6 1上肢の用の全廃したもの
7 1下肢の用を全廃したもの
8 両足の足指の全部を失ったもの
6
1 両眼の視力が0.1以下になったもの
2 咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの
3 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
4 1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通に話声を解することができない程度になったもの
5 脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの
6 1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
7 1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
8 1手の5の手指又は親指を含み4の手指を失ったもの
7
1 1眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの
2 両耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
3 1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
4 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
5 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
6 1手の親指を含み3の手指を失ったもの又は親指以外の4の手指を失ったもの
7 1手の5の手指又は親指を含み4の手指の用を廃したもの
8 1足をリスフラン関節以上で失ったもの
9 1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
10 1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
11 両足の足指の全部の用を廃したもの
12 外貌に著しい醜状を残すもの
13 両側の睾丸を失ったもの
8
1 1眼が失明し、又は1眼の視力が0.02以下になったもの
2 脊柱に運動障害を残すもの
3 1手の親指を含み2の手指を失ったもの又は親指以外の3の手指を失ったもの
4 1手の親指を含み3の手指の用を廃したもの又は親指以外の4の手指の用を廃したもの
5 1下肢を5センチメートル以上短縮したもの
6 1上肢の3大関節中の1関節以上の用を廃したもの
7 1下肢の3大関節中の1関節以上の用を廃したもの
8 1上肢に偽関節を残すもの
9 1下肢に偽関節を残すもの
10 1足の足指の全部を失ったもの
9
1 両眼の視力が0.6以下になったもの
2 1眼の視力が0.06以下になったもの
3 両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
4 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
5 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
6 咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの
7 両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
8 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
9 1耳の聴力を全く失ったもの
10 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
11 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
12 1手の親指又は親指以外の2の手指を失ったもの
13 1手の親指を含み2の手指の用を廃したもの又は親指以外の3の手指の用を廃したもの
14 1足の第1の足指を含み2以上の足指を失ったもの
15 1足の足指の全部の用を廃したもの
16 外貌に相当程度の醜状を残すもの
17 生殖器に著しい障害を残すもの
10
1 1眼の視力が0.1以下になったもの
2 正面を見た場合に複視の状態を残すもの
3 咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの
4 14歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
5 両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難でる程度になったもの
6 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
7 1手の親指又は親指以外の2の手指の用を廃したもの
8 1下肢を3センチメートル以上短縮したもの
9 1足の第1の足指又は他の4の足指を失ったもの
10 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
11 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
11
1 両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
2 両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
3 1眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
4 10歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
5 両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
6 1耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
7 脊柱に変形を残すもの
8 1手の人差指、中指又は薬指を失ったもの
9 1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの
10 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの
12
1 1眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
2 1眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
3 7歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
4 1耳の耳殻の大部分を欠損したもの
5 鎖骨、胸骨、肋骨、肩甲骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
6 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
7 1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
8 長管骨に変形を残すもの
9 1手の小指を失ったもの
10 1手の人差指、中指又は薬指の用を廃したもの
11 1足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失ったもの又は第3の足指以下の3の指を失ったもの
12 1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの
13 局部に頑固な神経症状を残すもの
14 外貌に醜状を残すもの
13
1 1眼の視力が0.6以下になったもの
2 正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの
3 1眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
4 両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
5 5歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
6 1手の小指の用を廃したもの
7 1手の親指の指骨の一部を失ったもの
8 1下肢を1センチメートル以上短縮したもの
9 1足の第3の足指以下の1又は2の足指を失ったもの
10 1足の第2の足指の用を廃したもの、第2の足指を含み2の足指の用を廃したもの又は第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの
11 胸腹部臓器の機能に傷害を残すもの
14
1 1眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
2 3歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
3 1耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
4 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
5 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
6 1手の親指以外の手指の指骨の一部を失ったもの
7 1手の親指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの
8 1足の第3足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの
9 局部に神経症状を残すもの

交通事故においては、上記の等級表記載の後遺障害に該当しなければ、等級認定されないのが原則です。

もっとも、等級表記載の後遺障害に該当しないものであっても、後遺症の内容や程度によっては、等級認定される可能性があります。

このことは、後遺障害の等級表が定められている自動車損害賠償保障法施行令にも以下のように規定されています。

各等級の後遺障害に該当しない後遺障害であつて、各等級の後遺障害に相当するものは、当該等級の後遺障害とする。

たとえば、以下の方のような交通事故による嗅覚障害は、後遺障害の等級表には記載がないものの、12級や14級が認定される可能性があります。

後遺障害の等級表に当てはまりそうな後遺症のない方でも、重い後遺症が残っている場合、すぐ諦めず、まずは弁護士に相談するのがよいでしょう。

後遺障害の認定基準(等級別)

そして、交通事故では、後遺障害の認定基準等級別に定められています。

たとえば、高次脳機能障害がどの等級に認定されるか等級表からは判断が困難ですが、認定基準では等級別に細かく基準が規定されています。

後遺障害の等級別の認定基準の総論については、以下の記事により詳しく記載されていますので、ぜひご覧になってみて下さい!

さらに、後遺障害等級の1級~14級までの具体的な認定基準については、以下のリンク先もぜひご覧になってみて下さい。

↓↓数字をクリックすれば後遺障害の等級別の認定基準が見れます!
1 2 3
4 5 6
7 8 9
10 11 12
13 14

②後遺障害の等級認定の申請は被害者請求の方法で行う

②後遺障害の等級認定の申請は被害者請求の方法で行う

2つ目のポイントは、交通事故後遺障害等級認定申請被害者請求の方法で行うことです。

後遺障害の等級認定の申請方法には二種類ある

交通事故の後遺障害の等級認定の申請には

  • 事前認定
  • 被害者請求

という二つの方法があります。

ここからは、それぞれの方法について、詳しく説明していきたいと思います。

後遺障害等級申請方法①事前認定

後遺障害等級認定の事前認定とは、簡単に言うと相手方任意保険会社が窓口となり、被害者の自賠責保険に事前に確認する方法のことです。

交通事故の加害者が、自賠責保険だけではなく任意保険にも加入している場合、被害者は、任意保険会社から

  • 自賠責保険金分
  • 自賠責保険金分を超える任意保険会社負担分

を一括して支払ってもらうことになります。

この制度のことを一括払制度といいます。

相手方任意保険会社は、被害者に一括払いをした後、自賠責保険から、自賠責保険金分を回収します。

この制度のことを加害者請求といいます。

この制度が自賠法15条を根拠としていることから15条請求とも呼ばれています。

被保険者は、被害者に対する損害賠償額について自己が支払をした限度においてのみ、保険会社に対して保険金の支払を請求することができる。

この加害者請求の前提として、一括払いをする相手方任意保険会社は、自賠責から支払われる保険金分をあらかじめ確認する必要があります。

その一環として、被害者の自賠責保険の後遺障害の等級認定を事前に確認する事前認定という方法があります。

事前認定は、相手方任意保険会社から第三者機関である損害保険料率算出機構に損害調査を委託する方法で行われます。

事前認定の大まかな流れは以下の図のとおりです。

事前認定の流れ

事前認定のメリット

ご覧頂いたとおり、事前認定は相手方任意保険会社が主体となり、相手方任意保険会社のために行われる手続といえます。

そのため、後遺障害認定の申請の必要書類の収集や費用負担は、原則として相手方任意保険会社となるため、被害者からすると

  • 資料収集の負担が少ない
  • 費用負担がない

ことがメリットといえます。

事前認定のデメリット

また、ご覧頂いたとおり、事前認定は相手方任意保険会社が主体となり、加害者請求の前提として行われる手続といえます。

そのため、後遺障害認定の申請の手続きに、原則被害者は関与できず、自賠責保険に対する保険金(相当額)請求手続きに先行して行われるため、

  • 手続き不透明
  • 等級認定されても、すぐには自賠責保険金(相当額)受領できない

ことが被害者にとってのデメリットといえます。

事前認定のメリット・デメリット
メリット デメリット
資料収集の負担が少ない 手続きが不透明
費用負担がない すぐには保険金受領できない

なお、後遺障害の事前認定については、以下の記事に詳しく記載されていますので、興味のある方はぜひご覧になってみて下さい!

後遺障害等級申請方法②被害者請求

一方、後遺障害等級認定の被害者請求とは、被害者自身が申請主体となって、直接相手の自賠責保険に申請をする方法のことをいいます。

自動車損害賠償保障法には以下のような条文があります。

第三条の規定による保有者の損害賠償の責任が発生したときは、被害者は、政令で定めるところにより、保険会社に対し、保険金額の限度において、損害賠償額の支払をなすべきことを請求することができる。

被害者保護という自賠責の目的を果たすため、保険契約の当事者ではない、被害者に直接請求する権利を認めたものです。

被害者は保険契約の当事者ではないため、条文上「保険金」ではなく「損害賠償額」の支払を請求することになっています。

上の条文は、その場合の自賠責保険への損害賠償額の請求方法を規定したものです。

被害者が請求することや根拠条文から、被害者請求や16条請求などと呼ばれています。

この被害者請求で支払われる損害賠償額を決定するために、被害者請求の手続の中で、後遺障害の等級認定が同時に行われます。

つまり、被害者請求には

  • 後遺障害等級認定申請という側面
  • 自賠責保険保険金(相当額)請求という側面

の二つの側面があるということになります。

被害者請求の大まかな流れは以下の図のとおりです。

被害者請求の流れ

被害者請求のメリット

被害者請求のメリットとしては、被害者が申請主体であり、自賠責保険に対する保険金請求を含んでいることから

  • 提出書類時期コントロールできる
  • 相手方との示談前に自賠責保険から保険金受け取れる

ことなどが挙げられます。

被害者請求のデメリット

他方、デメリットとしては、被害者が申請主体であることから

  • 必要書類や画像の収集負担
  • 費用負担

などが挙げられます。

被害者請求のメリット・デメリット
メリット デメリット
意見書等提出書類を決定可能 必要書類や画像の収集負担
示談前の金銭受領 費用の負担

後遺障害の等級認定申請は被害者請求が有利!?

では、交通事故後遺障害の適切な等級認定を受けるには、被害者請求の方法で申請すべきなのはなぜでしょうか?

メリットのところでもお伝えしたとおり、被害者請求では、申請の際に提出する書類を自分でコントロールすることができます。

そのため、認定有利となる医療関係の資料や主治医の意見書などを提出することが可能です。

このことが、後遺障害の適切な等級認定を受けるには、被害者請求のほうが有利といわれる理由の一つです。

もっとも、後遺障害の適切な等級認定を受けるには、被害者請求のほうが有利といわれるのにはもう一つ理由があります。

実は、もう一つの後遺障害の等級認定の申請方法である事前認定の場合、事案によってですが、相手方任意保険会社は

後遺障害が認められにくい方向に働く内容の顧問医の意見書

を付けて被害者の後遺障害の等級認定を損害保険料率算出機構に依頼することがあるようです。

そのため、そういった不利な書類を付けられるおそれがないことも、後遺障害の等級認定の申請には被害者請求のほうが有利といわれる理由となります。

なお、後遺障害の被害者請求や等級認定に有利な書類については、以下の記事もぜひご覧になってみて下さい!

後遺障害の等級認定で慰謝料等の金額が決まる

そもそも、なぜ交通事故による後遺症に対する十分な補償を受けるには、後遺障害の適切な等級認定が必要なのでしょうか?

後遺障害による精神的苦痛や仕事等に対する支障の程度は人によって全て異なるところ、それら全ての金額を個別に計算するのは困難です。

そこで、交通事故では、後遺障害の等級に応じて慰謝料の金額や逸失利益の計算に必要な労働能力喪失率の相場を定めています。

このことが、交通事故による後遺症に対する十分な補償(損害賠償)を受けるために、後遺障害の適切な等級認定が必要な理由となります。

もっとも、個々の後遺障害による精神的苦痛や仕事等に対する支障の程度が賠償金額の計算にあたって絶対に考慮されないわけではありません

等級に応じて定められた慰謝料の金額や労働能力喪失率以上の損害を負っていることを裁判等で証明できれば、損害賠償の金額が増える余地があります。

等級に応じて定められた慰謝料の金額や労働能力喪失率にどうしても納得がいかない方は、まずは弁護士に相談してみるのがよいでしょう。

③後遺障害が等級認定されたら弁護士基準で慰謝料等請求

③後遺障害が等級認定されたら弁護士基準で慰謝料等請求

最後のポイントは、交通事故後遺障害の適切な等級認定を受けたら、弁護士基準で慰謝料などの損害賠償を請求することです。

請求先・請求方法で同じ等級でも金額は変わる

お伝えしたとおり、交通事故では後遺障害等級に応じて慰謝料等の損害賠償金額の相場が決まってきます。

もっとも、同じ後遺障害の等級でも、請求先や請求方法によって受け取れる慰謝料の金額の相場には違いがあります。

交通事故における慰謝料などの損害賠償の請求先や請求方法としては、大きく

  • 自賠責保険保険金を請求する(自賠責基準
  • 被害者任意保険に示談交渉で保険金を請求する(任意保険基準
  • 弁護士が任意保険に示談交渉で保険金を請求する(弁護士基準)又は裁判で損害賠償金を請求する(裁判基準

という3つの方法があり、具体的な後遺障害の等級・基準別の慰謝料の金額の相場は以下の表のとおりです。

後遺障害等級・基準別慰謝料相場
等級 自賠責基準 任意保険基準 弁護士基準
1級(別表第1 1600万(1800万) 1600万(1800万) 2800
2級(別表第1 1163万(1333万) 1163万(1333万) 2370
1級(別表第2 1100万(1300万) 1300 2800
2級(別表第2 958万(1128万) 1120万(1128万) 2370
3 829万(973万) 950万(973万) 1990
4 712 800 1670
5 599 700 1400
6 498 600 1180
7 409 500 1000
8 324 400 830
9 245 300 690
10 187 200 550
11 135 150 420
12 93 100 290
13 57 60 180
14 32 40 110

※(  )内の金額は被害者に被扶養者がいる場合

上記のとおり、交通事故においては、被害者が任意保険に請求するのと弁護士が請求するのとでは、同じ等級でも慰謝料の金額は大きく違います。

弁護士が請求する場合(弁護士基準)の金額は、裁判で請求した場合に認められる金額の相場であり、本来認められるべき適正な金額といえます。

そのため、交通事故の後遺障害に対する適切な慰謝料などの金額を受け取るためには、弁護士基準で請求することが必要になります。

なお、後遺障害慰謝料以外の損害賠償金の金額も弁護士基準で請求することにより、増額する可能性が高いです。

弁護士基準で計算した場合の損害賠償の金額全体の相場は、以下の慰謝料計算機で簡単に確認できますので、ぜひお気軽にご利用ください。

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なお、後遺障害慰謝料の各基準ごとの情報をより詳しく知りたいという方は、以下の記事もぜひご覧になってみて下さい!

弁護士特約使えれば、原則自身の費用負担なし

お伝えしたとおり、交通事故後遺障害慰謝料などの損害賠償について、適切な金額を受け取るには、弁護士基準での請求が必要です。

もっとも、被害者が弁護士基準に基づいて慰謝料などの損害賠償の金額を計算して請求しても、任意保険はまず支払いには応じてくれません。

弁護士基準での請求が認められるためには、弁護士に損害賠償請求を依頼する必要があり、弁護士に依頼するためには、弁護士費用が通常掛かります。

後遺障害の等級認定がされた場合、弁護士に依頼した方が、弁護士費用を差し引いても、手元に残る金額が増える可能性が高いといえます。

ただし、被害者にも過失割合が認められる場合には、その割合の程度や認定された等級によっては、いわゆる費用倒れの可能性もあります。

交通事故に強い弁護士であれば、手元に残る金額が増えるかにつき、見通しが立てられますので、まずは弁護士に相談してみるのがよいでしょう。

なお、交通事故の被害者の方の保険弁護士特約が使える場合には、費用倒れの心配なく、弁護士に依頼することができます。

弁護士特約とは

交通事故に基づく加害者に対する損害賠償請求につき、弁護士に相談・依頼する費用を保険会社が負担する自動車保険の特約の一つ

この場合、弁護士基準で請求することにより、損害賠償が増加した金額がそのまま手元に残ることになります。

そのため、弁護士特約が使える場合には、必ず弁護士に損害賠償請求を依頼すべきといえます。

なお、後遺障害慰謝料の増額と弁護士特約の関係については、以下の記事に詳しく記載されていますので、ぜひご覧になってみて下さい!

弁護士特約使っても保険料や等級は変わらない

保険の弁護士特約を使えば、後遺障害慰謝料などの損害賠償として受け取れる金額が増えることがお分かりいただけたかと思います。

もっとも、弁護士特約を使うことで、受け取れる金額が増えても、それ以上に保険料が値上がりするのであれば、結果的には損になりますよね…。

しかし、そういった心配は不要です。

弁護士特約を使っても、保険等級ダウンする(下がる)ことはないからです。

このように、弁護士特約を使っても大きなデメリットはありませんので、弁護士特約が使える場合には積極的に使うべきといえます。

もっとも、弁護士特約と同時に車両保険も使用した場合には、等級ダウンすることになります。

交通事故の物損において、被害者にも過失割合が認められる場合、

相手方に請求できない過失割合分の損害を車両保険を使って受け取るかどうか

の判断を迫られる場合があります。

その場合には、車両保険を使って受け取れる金額と車両保険を使うことによる保険料の値上がり金額を比較して、使用すべきかを決める必要があります。

交通事故の後遺障害の等級を弁護士に相談されたい方へ

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ここまで、交通事故の後遺障害の等級認定についてお伝えしてきましたが、読んだだけではわからないことがあった方もいるのではないでしょうか?

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最後に一言アドバイス

それでは、最後になりますが、交通事故の後遺障害の等級認定についてお悩みの方に一言アドバイスをお願いします。

交通事故で後遺障害の適切な等級認定を獲得するには、まず等級表や認定基準を把握することが重要になります。

そして、後遺障害の等級認定の申請は被害者請求の方法で行った方が適切な等級認定を獲得できる可能性が高まると考えられます。

さらに、同じ後遺障害の等級でも弁護士が請求することで慰謝料等の金額は増える見込みが高いので、まずは弁護士に相談してみて下さい。

まとめ

いかがだったでしょうか。

このページを最後までお読みの方は、

交通事故後遺障害等級認定や、認定された等級ごとに受け取れる金額

について理解を深めていただけたのではないかと思います。

これを読んで弁護士に相談した方が良いと思った方も多いハズです。

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そうではなく、やっぱり直接会って話がしたいという場合は、全国弁護士検索を使って弁護士を探してみてください。

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皆さまのお悩みが早く解決するよう、お祈りしています。

この記事の監修弁護士

岡野武志弁護士

アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。

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