むちうちの治療費|相場はいくら?打ち切りにどう対応?保険は使える?
この記事のポイント
- 交通事故によるむちうち治療費の平均は20万円程度だが、具体的な金額は治療期間・通院頻度・通院先により大きく異なる
- 交通事故でむちうちとなった際に相手任意保険会社が行う病院等への治療費の支払いは、いつ打ち切りになるかわからない
- 交通事故が原因で生じたむちうち治療費は、健康保険を利用して支払いをしたり、様々な保険に請求したりすることができる
交通事故によるケガの症状で最も多いと言われる首のむちうちの治療費が気になる交通事故被害者の方は、ご覧ください。
目次
交通事故が原因でむちうちの症状が出たら、当然、その治療をするために通院しなければいけません。
しかし、治療費の金額がどれくらいになるかの相場を知らないと、安心して通院できないという被害者の方もおられるかと思います。
そこで、まずこの記事では交通事故が原因のむちうち治療費の相場がいくらかについて、ポイントを絞ってお伝えしていきます。
【交通事故】むちうち治療費の相場は?
むちうちの治療費金額・治療期間平均
一般社団法人日本損害保険協会の自動車保険データによると、受傷部位別の治療関係費・治療期間の平均は以下の表のとおりです。
受傷部位 | 平均治療関係費 (傷害者※のみ) |
平均治療期間 (傷害者※のみ) |
---|---|---|
頸部 | 214,000円 | 77.6日 |
全部位平均 | 263,000円 | 80.3日 |
※死亡者・後遺傷害者を除いた者
交通事故で受傷部位が頸部の多くはむちうち症と考えられるため、むちうち治療費の相場は平均20万円程度と考えられます。
もっとも、具体的なむちうち治療費は
- ① 治療期間
- ② 通院頻度
- ③ 通院先
によっても大きく変わります。
ここでは、③のむちうち治療の通院先を整形外科(病院)にするか整骨院にするかによる治療費の違いを中心にお伝えしていきます。
整形外科におけるむちうち治療費は?
整形外科(病院)における治療費の計算方法は以下のとおりです。
診療報酬点数×一定の単価
医療行為にはそれぞれ診療報酬点数が定められており、その点数に一定の単価を掛けたものの合計が治療費となります。
具体的な医療行為ごとの診療報酬点数は以下から確認できます。
上記のうち、むちうちの治療に関わる医療行為の点数につき、その一部を抜粋したものが以下の表になります。
医療行為 | 診療報酬点数 |
---|---|
初診料 | 282点 |
再診料 | 72点 |
レントゲン写真診断 (脊椎の単純撮影) |
85点 |
MRI撮影 | 900~1620点 |
神経学的検査 | 500点 |
消炎鎮痛等処置 ・マッサージ ・電気療法 ・ホットパック ・湿布処置など |
35点 |
上記のような診療報酬点数に掛ける単価は、
- 自由診療
- 健康保険診療
- 労災保険診療
のいずれかにより、以下のように変わります。
自由診療 |
---|
自由 (20円程度が一般的) |
健康保険診療 |
10円 |
労災保険診療 |
12円 |
例えば、むちうちの治療として整形外科でのマッサージなどの処置を自由診療で受ける場合、1回あたりの治療費は
- ① 再診料72点×20円=1440円
- ② 消炎鎮痛等処置35点×20円=700円
- ① +②=2140円
程度という計算になります。
【コラム】交通事故では毎日通院した方がいいの?
交通事故慰謝料を多く受け取るためには、毎日通院した方がいいという噂が世間では流れているようです。
交通事故で怪我をしてしまった場合。相手が100%悪い事故であれば、慰謝料が出ます。
この慰謝料自賠責基準で考えると4,200円×通院日数が基本の考え方です
(入院や、後遺障害等がないムチウチなどを想定)痛みがある場合我慢せず出来るだけ毎日病院に行く方がお得です👍
なので私も毎日通ってます💦
— みっしー@相続・離婚アドバイザー (@mishima_fp) 2019年7月30日
しかし、通院慰謝料との関係では、むちうち治療の通院頻度が毎日でも1日おきでも受け取れる金額に差はありません。
ただし、実通院日数が少なすぎる(平均で週1回以下)場合には、同じ通院期間でも受け取れる金額が減る可能性があります。
詳しい以下の3つの慰謝料相場
- 自賠責基準(自賠責保険から受け取れる慰謝料を計算する基準)
- 任意保険基準(任意保険会社が示談交渉の際に用いる基準)
- 弁護士基準・裁判基準(弁護が示談交渉の際に用いる基準)
によるむちうちの慰謝料計算方法は、「入通院慰謝料の計算方法|自賠責保険の計算式及び任意保険・赤本の算定表」の記事に記載されてます。
整骨院におけるむちうち治療費は?
一方、整骨院でむちうちの治療(施術)を自由診療で受ける場合の治療費(施術費)は、各整骨院が設定した金額になります。
ただし、交通事故の損害賠償金として支払いの対象になる金額は、社会通念上、必要かつ妥当な範囲に限られます。
その相場として自賠責保険施術料金目安表が参考にされています。
この表は、労災保険柔道整復師施術料金算定基準の1.2~2倍が目安になっています。
具体的な自賠責保険施術料金目安表は、以下から確認できます。
整形外科では療法の種類や部位数にかかわらず治療費は一律に計算されます。
一方、整骨院では両方の種類や部位ごとに治療費(施術費)が計算(加算)されます。
そのため、複数の部位に複数の治療を受ける場合、同じような治療方法でも
整形外科に通院するより整骨院に通院する方が治療費が高額
になる傾向にあります。
【コラム】むちうち治療を整骨院で受けるポイント
交通事故が原因で生じたむちうちの治療を整骨院で受ける際には、
- ① なるべく医師の許可をもらう
- ② 通院日数を稼ぐため必要以上に通院しない
- ③ 整形外科にも通院する
のがポイントになります。
- ① は、交通事故によるケガかどうかやケガの治療が必要かどうかを診断できるのは、病院の医師だけだからです。
- ② は、先ほどお伝えのとおり、交通事故の損害賠償金として支払い対象になるのは社会通念上、必要かつ妥当な範囲だからです。
- ③ は、症状固定は医師の判断が重視され、後遺障害等級認定の申請に必要な後遺障害診断書は医師しか作成できないからです。
このポイントを守らないと、治療費を自分で払う可能性や痛み等の後遺症が残っても後遺障害慰謝料請求できない可能性があります。
より詳しく知りたい方は、「交通事故の治療を整骨院で行う際の注意点|医師の許可・病院と整骨院の違い」の記事をご覧下さい。
むちうち治療費の打ち切り|弁護士解説
任意保険会社の治療費打ち切りとは?
交通事故における病院などへの治療費の支払いは、加害者側の任意保険会社が直接してくれるケースが多いです。
この任意保険会社の対応を一括対応といいます。
しかし、治療継続中にもかかわらず、任意保険会社から一括対応の終了を言い渡されることがあり、このことを
✔治療費の打ち切り
といいます。
任意保険会社の一括対応は、あくまでサービスとして行われているものであり、義務ではありません。
そのため、治療費の打ち切りは任意保険会社の判断で行えることになっています。
あくまで治療「費」の打ち切りであり、被害者が病院などの受付で治療費を自分で支払い、治療を受けることは問題ありません。
では、むちうちで治療費が打ち切りになりやすいケースとしては、どんなものが考えられるのでしょうか?
治療費が打ち切りになりやすいケース
①自覚症状のみで治療期間が3ヶ月を経過したケース
任意保険会社による治療費打ち切りの時期は、症状に応じた相場があるといわれています。
むちうちの場合、自覚症状のみでMRI画像や神経学的検査で特に異常が認められない場合は
✔交通事故から3ヶ月
を治療費打ち切り時期の相場と定めているようです。
そのため、たとえ被害者に首の痛みなどの後遺症が残っていても、この時期になると治療費打ち切りを告げられる可能性があります。
②自由診療で通院頻度が多いケース
後遺障害による損害を除く、自賠責保険からの損害賠償金の支払いには120万円という限度額があります。
この損害賠償金の内容(内訳)には治療関係費だけでなく
- 休業損害
- 入通院慰謝料
も含まれます。
自由診療で通院頻度が多いケースでは、その分治療費も高額になるため、限度額である120万円に達する時期が早くなります。
任意保険会社の治療費打ち切りは120万円に達する頃に告げられることが多いため、治療費打ち切りになりやすいケースといえます。
③通院頻度が少ないケース
任意保険会社は、むちうち治療の必要がなくなったと判断した時点で、治療費打ち切りを行います。
交通事故では、治療期間が1月空いてしまうと、治ったものと判断される可能性が高いです。
そうでなくても、通院頻度が少なくなってくると、治療により症状が改善したものと判断される可能性が高まります。
そのため、通院頻度が少ないケースも治療費打ち切りになりやすいケースの一つといえます。
治療費打ち切りとの関係では、通院頻度は多すぎも少なすぎもない適切な頻度が望ましいといえます。
任意保険会社が治療費打ち切りの通告をする理由としては、大きく
ⅰ任意保険会社が自分で負担する治療費や損害賠償金を減らしたい
ⅱ早期に示談をして案件を終了させたい
といったことが考えられます。
① 及び②のケースは主にⅰの理由から、③のケースはⅱの理由から任意保険会社が治療費打ち切りを宣告してきていると思われます。
治療費打ち切りにはどう対応すべき?
任意保険会社から治療費打ち切りを宣告された場合の対応の流れは以下の図のようになります。
出典:https://atomfirm.com/wp-content/uploads/jiko_uchikiri.png
後遺障害等級認定の申請をするかどうかにかかわらず、まず治療費を立て替えて治療を継続すべきかどうかの対応が求められます。
むちうちで後遺障害等級認定されるためには、最低でも6か月以上の通院期間が必要になります。
治療費を立て替えて治療を継続する場合は、この後お伝えする健康保険を利用すべきです。
また、上記の表には記載されていませんが、弁護士に依頼すれば、保険会社との交渉で打ち切りを延長できる可能性もあります。
詳しく知りたい方は、「交通事故の通院治療費打ち切り対策|弁護士なら延長できる?むちうちの場合は…」の記事をご覧下さい。
事故によるむちうち治療費に使える保険
①被害者の健康保険を利用した支払い
交通事故によるむちうちなどのケガの治療費の支払いには健康保険を利用できないと思われている方もいるようです。
そうそう、交通事故で、
怪我しても、健康保険使えないから、100%
自腹か、自動車の、任意保険、
強制保険で、— Suzuki…hide (@try05255tyrgut) August 13, 2019
しかし、交通事故による怪我の治療費の支払いに被害者の健康保険が使えることは、全国健康保険協会のHPにも明記されています。
治療費打ち切り後に通院する場合、健康保険を利用すれば、病院の受付で自分が立替えて支払いをする金額を抑えることができます。
また、被害者にも過失割合が認められるケースでは、過失割合分の治療費を最終的に自分で負担しなければいけません。
この点、健康保険を利用すれば、被害者が負担する治療費の金額を抑えられることになります。
より詳しく知りたい方は、「交通事故で健康保険は使える!切り替え手続や使用のメリット・デメリットを紹介!」の記事をどうぞ。
②加害者側の自賠責保険に被害者請求
交通事故によるむちうちなどのケガの治療費を被害者が立て替えた場合、その治療費は加害者に請求するのが原則です。
もっとも、交通事故では、加害者側の自賠責保険に直接治療費などを請求する
被害者請求
という方法が認められています。
具体的な方法や流れについては「交通事故の被害者請求とは|必要書類・流れ・やり方からメリットまでご紹介!」の記事をどうぞ。
むちうちなどのケガの治療費を被害者が立て替えるケースは、治療費打ち切り後だけでなく
- 加害者が任意保険に未加入のケース
- 被害者の過失割合が大きいケース
なども考えられます。
なお、追突事故など被害者の過失割合が認められないケースでも、健康保険を利用し、むちうち治療費を抑えておくことにより、
自賠責保険から受け取れる通院慰謝料や休業損害の金額を増やす
ことができます。
③被害者の任意保険(人身傷害保険)
治療費について、加害者側任意保険会社による支払いが行われない場合、被害者は自分の加入している任意保険を確認すべきです。
その保険に人身傷害保険が付いている場合、治療費の病院への支払いは、自分の任意保険会社がしてくれます。
人身傷害保険の場合、被害者に過失割合が認められるケースでも、治療費を全額保険会社が負担してくれます。
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最後に一言アドバイス
それでは、最後になりますが、むちうち被害者の方へのアドバイスをお願いします。
むちうち治療費には一定の相場がありますが、一番大事なのは適切な治療を受けるということです。
そのためには、任意保険会社の治療費打ち切りにどう対応するかや何の保険を利用するかについて、検討しなければいけません。
自分一人では検討が難しいという被害者の方は、弁護士に相談することで適切な解決につながる可能性を高めることができます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
このページを最後までお読みの方は、
- むちうち治療費の相場はいくら位か
- むちうち治療費の打ち切り
- むちうち治療費の支払いに使える保険
などについて理解を深めていただけたのではないかと思います。
これを読んで弁護士に相談した方が良いと思った方も多いハズです。
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皆さまのお悩みが早く解決するよう、お祈りしています。
むちうちの治療費についてのQ&A
交通事故が原因のむちうち治療費の相場は?
むちうち治療費の相場は平均20万円程度と考えられます。①治療期間、②通院頻度、③通院先によって具体的なむちうち治療費は変動します。通院先を整形外科(病院)か、整骨院にするかによって、治療費の計算方法に違いがあります。整形外科では療法の種類や部位数にかかわらず治療費は一律に計算されるのが特徴です。一方、整骨院では両方の種類や部位ごとに治療費(施術費)が計算(加算)されるのが特徴です。 むちうち治療費|整形外科と整骨院のちがい
任意保険会社のむちうち治療費の打ち切りとは?
被害者が治療継続中にもかかわらず、加害者側の任意保険会社から病院などへの治療費の直接支払い対応(一括対応)の終了を言い渡されることを治療費の打ち切りといいます。治療費の打ち切りを宣告されやすい3つのケースがあります。①自覚症状のみで治療期間が3ヶ月を経過したケース、②自由診療で通院頻度が多いケース、③通院頻度が少ないケースの以上の3つです。 治療費が打ち切られやすい3つのケース
事故によるむちうち治療費に使える保険とは?
「①被害者の健康保険」、「②加害者側の自賠責保険に被害者請求する」、「③被害者の任意保険(人身傷害保険)」の以上3つの方法があります。「①被害者の健康保険」は交通事故が原因の怪我の治療にも利用可能です。「②加害者側の自賠責保険に被害者請求する」は、被害者の立替治療費を加害者側の自賠責保険に請求する方法です。「③被害者の任意保険」は、契約している人身傷害保険で被害者自身の治療費を払う方法を指します。 事故原因のむちうち治療費に使える保険