交通事故のむちうちの3大疑問|症状・整形外科か整骨院か・慰謝料の相場

  • 交通事故,むちうち

この記事のポイントをまとめると
  • 交通事故で最も多いむちうちにはさまざまな症状があり、症状により治療法や治し方も異なる
  • 交通事故のむちうちは整形外科の医師しか診断できず、整骨院の併用も可能だが、後遺症診断書は整形外科でないと書いてもらえない
  • 交通事故の傷害慰謝料の相場はむちうちの治療期間次第だが、他の怪我よりも相場が低く、後遺症慰謝料の相場もむちうちの場合低めのことが多い

交通事故むちうちの症状や整形外科で治療すべきか、慰謝料相場はむちうちの場合どれ位かなどを知りたい方はご一読下さい。

author okano
岡野武志弁護士
交通事故と刑事事件を専門とするアトム法律事務所の代表弁護士。

交通事故にあった被害者怪我の中でもっとも多い診断と言われているのが、いわゆるむちうちです。

実際、twitter上などでも、ご自身や身近な方が交通事故によりむちうちと診断されたという声は数多く聞かれます。

このように交通事故の被害者の多くが診断されているむちうちだからこそ、それに関する疑問も数多く生じているようです。

また、幸い交通事故にあわれていない方も、いざ交通事故で怪我をされた場合、むち打ちとなる可能性が高い以上、その知識を抑えておくのは有益です。

そこで、こちらの記事では、交通事故にあった被害者がむちうちとなった場合に多くの方が疑問に思われる3つの点について、お伝えしたいと思います。

①交通事故のむちうちの症状や治療法は?

①交通事故のむちうちの症状や治療法は?

交通事故むちうちとなった場合にまず気になるのは、どんな症状が出るかやその治療法治し方かと思います。

もっとも、そもそもむちうちとは何かやどんな場合にむちうちとなるか、何となくは知っていても、詳しくはご存知でない方が多いかと思います。

そこで、まずは、前提としてむちうちの定義や発生原因について、簡単に確認していきたいと思います。

側面衝突でもむちうちになる!?

一般に、むちうちとは、以下のように定義されています。

むちうちとは

頭部への慣性外力による頸部の連続的な過伸展(後屈)と過屈曲(前屈)をともなう運動のために生じる頸部脊柱の軟部支持組織の損傷

かかる運動が頭部に働くと、むちがしなるように首が動くため、むちうちと呼ばれています。

交通事故においては、むちうちは、追突された場合に最も発症しやすいといわれています。

一方、正面・側面衝突の場合、予見して身構え、頸部の過伸展(後屈)と過屈曲(前屈)が抑えやすいため、追突に比べむちうちになりにくいです。

とはいえ、正面・側面衝突の場合でも、衝撃の度合いや、衝突を予見できたタイミング、衝突時の体制などによりむちうちが生じる場合もあります。

そして、側面衝突でむちうちになる場合、頸部が上下左右に揺さぶられるため、追突よりも複雑な損傷を受ける場合があります。

むちうちの症状は頭痛もある!?

むちうちの定義や発生原因を確認したところで、続いてはいよいよその症状についてお伝えしていきたいと思います。

実は、むちうちはいくつかの病型に分類でき、その分類ごとに症状はさまざまでいわゆる首の痛みだけとは必ずしも限りません。

そこで、ここからは、むちうちによる症状を病型の分類ごとにお伝えしていきたいと思います。

①頸椎捻挫型

頚椎捻挫型とは、頚椎(首の骨)の周りの筋肉や靭帯、あるいは軟部組織の損傷や炎症にとどまるものです。

交通事故によるむちうちとよばれるものの、約70~75%がこの病型に該当すると言われています。

この病型の主な症状としては、頸部痛及び頸部運動制限になります。

軟部組織の損傷や炎症は、初期治療を怠らなければ、症状は次第に軽快・消失すると言われています。

そのため、この病型のむちうちの場合には後遺症は残らないものと考えられています。

②神経根症状型

神経根症状型とは、むちうち外傷により、脊髄から枝分かれをした末梢神経である神経根に圧迫・負荷が掛かるものです。

頸椎の神経根は、上肢の動きに関わる神経の一部となっています。

そのため、この病型の主な症状としては、頸部痛及び頸部運動制限に加え、上肢の痛み、痺れ、脱力感、知覚異常などが挙げられます。

神経根が圧迫され、負荷が掛かった場合、それに伴う症状は長期間残存すると考えられています。

そのため、この病型のむちうちの場合には後遺症が残ってしまう可能性があります。

③バレー・リュー症状型

バレー・リュー症状型とは、むちうち外傷により、頸部を走行する交感神経が損傷し、それに伴う自律神経失調症状を示すものです。

頸部を走行する交感神経は、椎骨動脈の血流をコントロールする役目を担っており、そのバランスが崩れると全身の機能に支障をきたします。

それに伴う具体的な症状としては、頭痛、めまい、耳鳴、吐き気、視障害、聴力低下などが挙げられます。

なお、先ほどの②の神経根症状型との混合型という病型もあります。

この場合の主な症状は、当然、②と③の症状ということになります。

④脊髄症状型

脊髄症状型とは、むちうち外傷により、直接脊髄にまで損傷が及ぶ病型のものです。

脊髄とは、脳とからだの各部とを連絡し、知覚・運動の刺激伝達・反射機能をつかさどる中枢神経になります。

そのため、この病型の主な症状としては、下肢の痺れや知覚異常、歩行障害などが挙げられます。

この病型の場合には、後遺症が残ってしまう可能性が極めて高いといえます。

ただし、この病型の場合には、一般的にいわれるむちうちとしては扱われなくなることがほとんどです。

⑤脳髄液減少症

脳脊髄液減少症とは、むちうち外傷により、硬膜が損傷し、脳脊髄液腔から脳脊髄液が持続的・断続的に漏出することで、脳脊髄液が減少する症状です。

脳脊髄液の一番大きな役割は脳と脊髄を保護することです。

脳脊髄液減少症の主な症状としては、頭痛、頸部痛、めまい、耳鳴り、視機能障害、倦怠感などが挙げられます。

脳脊髄液減少症と診断された場合には、後遺症が残ってしまう可能性があります。

ただし、交通事故における後遺症認定においては、脳脊髄液減少症による後遺症が等級認定されるのはかなり困難になっています。

むちうちによる病型別の主な症状
病型 内容 主な症状
①頸椎捻挫型 頚椎周周囲の筋肉・靭帯・軟部組織の損傷や炎症 ・頸部痛
・頸部運動制限
②神経根症状型 末梢神経根の圧迫・負荷 ・頸部痛
・頸部運動制限
・上肢の痛み、痺れ
・脱力感
・知覚異常
③バレー・リュー症状型 頸部を走行する交感神経の損傷に伴う自律神経失調症状 ・頭痛
・めまい
・耳鳴
・吐き気
・視障害
・聴力低下
④脊髄症状型 直接脊髄にまで損傷が及ぶ ・下肢の痺れや知覚異常
・歩行障害
⑤脳脊髄液減少症 硬膜が損傷し、脳脊髄液が漏出・減少する症状 ・頭痛
・頸部痛
・めまい
・耳鳴り
・視機能障害
・倦怠感

※②と③との混合型の病型もある

むちうちは湿布以外にどんな治療法があるの?

交通事故むちうちと診断された場合には、湿布が処方されることも多いようです。

もっとも、先ほど確認したとおり、むちうちにはさまざまな症状があり、その症状によって効果的な治療法治し方は異なります。

そこで、交通事故でむちうちと診断された場合に考えられる治療法や治し方をいくつかご紹介したいと思います。

①安静にする

交通事故直後については、まず安静にすることこそが、何よりの治療法(効果的な治し方)になります。

安静にする際に、消炎鎮痛効果のある湿布を貼っておくことも効果的と考えられます。

もっとも、過度の安静はかえって機能低下や回復のおそれを招くとも考えられています。

具体的には、安静臥床(静かに動かずに横になっている状態)は1週間、長くても2週間程度が望ましいと考えられています。

その後は、日常生活に復帰し、少しずつ体を動かしながら治療をしていった方がいいと考えられています。

②頸椎固定

また、頸部痛が強く、頸部の保持ができない場合には、ソフトカラーやポリネックなどで頸椎固定するという治療法も考えられます。

ただし、頸椎固定をするとしても、1~2週間の短期間に制限した方が望ましいと考えられています。

患者自身の活動性の低下や頸部周囲筋の筋委縮、頸椎関節の拘縮を生じさせるおそれがあるからです。

③薬物療法

そして、むちうちにともなうさまざまな症状に対応して、以下のような薬物療法が治療法として採用される場合があります。

ⅰ 頸部痛:消炎鎮痛剤、麻薬性鎮痛剤

ⅱ 頸部運動制限:筋弛緩剤

ⅲ 自律神経失調症:向精神薬

ただし、薬物療法にはさまざまな副作用が生じる場合もあるので、できるだけ短期にとどめるのが望ましいとされています。

④ブロック療法

安静(・固定)後も痛みが引かない場合には、各種神経ブロックや痛みの強いポイントに局所麻酔をうつブロック療法という治療法も考えられます。

特に、バレー・リュー症状型のむちうちに対しては、星状神経節ブロックへの注射が効果的な場合があります。

むちうち後に頭痛がひどい場合、星状神経節ブロックへの注射を行うことで症状が改善する場合もあるようです。

⑤理学療法

理学療法とは、物理療法と運動療法を併せたものをいいます。

物理療法

物理療法とは、物理的刺激を体外から作用させる治療法のことをいいます。

むちうちの場合の物理療法としては

  • 頸椎牽引
  • 温熱療法

などが考えられます。

ただし、急性期(事故後1か月以内)の頸椎牽引は、かえって筋緊張を増し、痛みを悪化させる原因となり得るので、好ましくないとされています。

また、温熱療法には、体表から直接温熱を与えるホットパック体内の深部の過熱を図る超音波療法があります。

運動療法

痛みのため、体を動かさないでいると、体の関節の拘縮をきたし、さらに痛みが起こりやすい体になってしまうという悪循環が発生します。

そのような悪循環に陥らないためにも、運動療法は重要な治療法の一つと考えられています。

そのため、たとえ痛みが残っていても、安静を挟みつつ運動療法はなるべく早い段階から行うのが望ましいと考えられています。

交通事故の被害者の方が怪我をして、むちうちとなってしまった場合、何よりまずは、むちうちの症状をなくすようにできるのが一番です。

もっとも、そのためには、症状に応じた効果的な治療法・治し方を採用する必要があります。

まずは、主治医の先生とよく相談されるべきですが、一般的なお話であれば、弁護士に相談してみるというのも方法の一つといえます。

②交通事故のむちうちは整形外科と整骨院どちらで治療?

②交通事故のむちうちは整形外科と整骨院どちらで治療?

交通事故によりむちうちの治療をすることになった場合、多くの方が以下のような思いを抱かれるようです。

整形外科での治療法に疑問を抱き、整骨院治し方を相談しようとするというものです。

結論から申し上げますと、交通事故で整形外科と整骨院を併用することは可能です。

ただし、以下の点には注意する必要があります。

むちうちは整形外科の医師しか診断ができない

まず、交通事故によりむちうちとなったことを「診断」できるのは、整形外科などの医師だけであるという点です。

診断や治療といった医療行為は、医師法で医師のみが行えるものと規定されているからです。

医療行為においては診断と治療が行われますが(略)医師法で医療行為は医師のみが行える行為であると規定されています(以下略)

整骨院で施術を行うのは柔道整復師であり、医師ではないため、整骨院では「診断」を受けられません。

そのため、交通事故にあった場合、まずはむちうちが事故によるものであると整形外科で診断を受けた上で、整骨院に通う必要があります。

そして、先ほどもお伝えしたとおり、医療行為である治療は医師である整形外科だけしか行えません。

整骨院で柔道整復師が行う施術は、「医療類似行為」として、治療を補完するものと考えられています。

そのため、むちうちで整形外科と整骨院を併用するには、治療を行う整形外科などの医師の許可があることが原則となります。

むちうちの後遺症申請は整形外科の診断が必要

また、交通事故によるむちうち後遺症が残ってしまった場合、その点につき、慰謝料を受け取るには、後遺症申請の必要があります。

そして、むちうちで後遺症申請をするには、整形外科の診断を受けた上で、「後遺障害診断書」という書式の書類を作成してもらう必要があります。

この診断書は、整骨院では作成してもらうことができません。

そのため、交通事故によるむちうちで後遺症の申請を検討されている方は、整形外科で定期的に治療を受け、良好な関係を維持しておく必要があります。

なお、一般的にむちうちによる後遺症認定は難しく、認定のポイントは診断書になりますが、詳細については以下の記事をぜひご覧下さい!

後から出てきた症状が嘘と言われない方法は?

交通事故で、むちうちの症状が後から出てきた場合、相手方から慰謝料目的でをついているかのように言われることがあります。

むちうちは、画像上では異常が発見できないことも多く、症状を客観的に証明できる資料が乏しいことが多いからです。

そのような事態を避けるためには、交通事故の直後に、事故によるむちうちであるという整形外科での診断を受けておくことが重要です。

むちうちの治療法や治し方は、整形外科より整骨院の方が効果を感じられるという方もおられ、整骨院に通院するというのも選択肢の一つではあります。

もっとも、交通事故におけるむちうちの治療は、整形外科での治療を受けておかなければ、思わぬ不利益を被る可能性がある点には注意が必要です。

そのため、むちうちの治療で整骨院に通う場合でも、必ず整形外科でも並行して定期的に治療を受けておく必要があることは覚えておきましょう。

最後に、交通事故によるむちうちの治療を受ける上でのポイントとその理由を表にまとめてみましたので、参考にしてみてください。

交通事故のむちうちの治療を受ける上でのポイント
ポイント 理由
交通事故直後に整形外科に行く ・むちうちと診断できるのは医師のいる整形外科だけ
・後から症状が出てきても嘘と言われにくい
整骨院に通う場合も整形外科で継続的に治療を受ける ・整骨院への通院は原則医師の許可必要
・後遺症申請には医師が作成する診断書必要

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③交通事故の慰謝料の相場はむちうちの場合どれくらい?

③交通事故の慰謝料の相場はむちうちの場合どれくらい?

交通事故によりむちうちとなった場合、最終的には慰謝料を含む示談金を受け取ることにより解決(終了)となります。

では、その慰謝料や示談金の相場は、むちうちの場合どれくらいになっているのでしょうか?

最後は、そんな疑問点に対する回答をお伝えしたいと思います。

傷害慰謝料の相場はむちうちの治療期間次第!?

交通事故被害者怪我をしてむちうちとなった場合、まず傷害慰謝料を受け取ることができます。

そして、その相場は、請求先や請求方法によって異なりますが、いずれの場合も治療期間が影響してきます。

ここからは、各請求先や請求方法(基準)ごとの具体的な相場をお伝えしたいと思います。

①自賠責基準

まずは、加入が義務付けられている自賠責保険に請求する場合(自賠責基準)の傷害慰謝料の相場は、以下の計算式で算出された金額です。

自賠責基準の傷害慰謝料の相場

4200円×(治療期間or実治療日数の2倍のいずれか少ない方)

自賠責保険は、交通事故の被害者が最低限度の保障を受けれるよう加入が義務付けられたもののため、

  • 相場が低めに設定されている
  • 傷害分の損害は120万円までしか支払われないという限度額がある

という特徴があります。

そのため、治療費など傷害分の総額が120万円を超える場合には、上記の計算式で算出された傷害慰謝料の金額がそのまま受け取れない場合もあります。

②任意保険基準

お伝えしたとおり、自賠責保険では最低限度の保障額しか支払われないため、自賠責保険分を超える支払いに備え、多くの方は任意保険に加入します。

そして、交通事故の被害者が任意保険に請求する場合(任意保険基準)の傷害慰謝料の相場は、治療期間を基礎に、以下の表に基づき計算されます。

旧任意保険支払基準による入通院慰謝料

旧任意保険支払基準による入通院慰謝料

ただし、治療期間中の実治療日数が少ない(月平均10日未満)場合には、上記の表から減額補正して、傷害慰謝料が計算される点には注意が必要です。

③裁判基準(弁護士基準)

交通事故の慰謝料は、裁判の場においても請求することができます。

そして、交通事故の被害者が裁判で請求する場合(裁判基準)の傷害慰謝料の相場は、治療期間を基礎に、原則的に以下の表に基づき計算されます。

重傷の慰謝料算定表

重傷の慰謝料算定表

ただし、交通事故の傷害慰謝料の相場を裁判基準での計算は、他覚的所見のないむちうちの場合、以下の表が用いられます。

軽症・むちうちの慰謝料算定表

軽症・むちうちの慰謝料算定表

先ほどの表と比較して頂ければわかるとおり、裁判基準での傷害慰謝料の相場は、むちうちの場合、骨折などの怪我よりも低く設定されています。

また、むちうちの場合、傷害慰謝料に影響してくる治療期間も骨折などの怪我よりも短めなことが多く、通院3か月ほどで終了する場合も多いです。

そのような通院3か月の場合の慰謝料については、以下の記事に詳しく記載されていますので、ぜひご覧になってみて下さい!

なお、交通事故の示談交渉を弁護士に依頼した場合、裁判をせず示談の段階でも、上記の裁判基準での慰謝料請求が可能になります。

そのため、上記の裁判基準は、弁護士基準と呼ばれることもあります。

慰謝料の相場は裁判基準(弁護士基準)で計算した場合が一番高額な場合が多いので、慰謝料を多く受け取りたい方は弁護士に相談しましょう。

後遺症慰謝料の相場はむちうちの認定等級次第

交通事故によりむちうちとなった場合、後遺症が残ってしまう場合もあります。

後遺症が残ってしまえば、その後の生活において辛い思いをすることになるため、それに対する補償としての慰謝料を別途請求する余地があります。

もっとも、交通事故では、後遺症慰謝料の迅速・公平な支払のため、一定の後遺障害認定基準を満たす後遺症のみを慰謝料支払いの対象としました。

そして、具体的な後遺症慰謝料の相場は、症状の重さに応じて定められた後遺障害の等級ごとに定められています。

むちうちの後遺症で認定される可能性のある等級としては

  • 14級9号
  • 12級13号
  • 9級や7級

がありますが、ほとんどは14級9号という後遺障害の等級の中では一番低い(慰謝料の相場が安い)認定にとどまります。

なお、12級13号が認定されるには、画像所見が不可欠であり、9級や7級が認定されるのは、先ほどお伝えした脊髄症状型の病型の場合です。

具体的なむちうちで認定される可能性のある等級の後遺症慰謝料の各基準ごとの相場は、以下の表のとおりになります。

むちうちで認定可能性のある等級の各基準ごとの後遺症慰謝料の相場
等級 自賠責基準 任意保険基準※ 弁護士基準
(裁判基準)
14 32万円 40万円 110万円
12 93万円 100万円 290万円
9 245万円 300万円 690万円
7 409万円 500万円 1000万円

※旧統一任意保険基準を参照した

表をご覧頂ければ一目瞭然ですが、弁護士基準(裁判基準)の慰謝料の相場が他の基準の相場より2倍以上高額になっています。

慰謝料以外の示談金の相場|むちうちのケース

交通事故むちうちになった場合、慰謝料以外にも以下のような項目の示談金を受け取ることができます。

  • 治療費
  • 入院雑費
  • 通院交通費
  • 休業損害
  • 後遺症逸失利益

このうち、治療費については、任意保険会社が整形外科や整骨院に直接支払っているケースが多く、実際に示談金として受け取るケースは少ないです。

治療費を立て替えている場合、相場は当然実費全額になりますが、治療の必要性が争われる場合は、全額が示談金として認められない可能性もあります。

また、入院雑費については、相場が低額化されており、一番高額な裁判基準(弁護士基準)では日額1500円となっています。

それ以外の項目の示談金の相場については以下のとおりです。

通院費

通院交通費の示談金についても、相場は実費全額になりますが、タクシーを利用した場合には、その必要性が争われる場合があります。

特にむちうちの場合には、必要性が争われる可能性が高いと考えられます。

なお、交通事故の通院交通費については、以下の記事に詳しく記載されていますので、ぜひご覧になってみて下さい!

休業損害

むちうちになった直後は、安静にしていなければならず、働けなくなってしまうことがあります。

また、むちうちの治療のため、整形外科や整骨院などに通院する際、仕事を休まないといけないこともあります。

そのような場合、休業損害の請求が可能であり、専業主婦などの家事従事者も、家事労働を休まざるを得なくなった場合は休業損害を請求できます。

ただし、むちうちの場合は、休業が必要とされる期間が争いになることが多いといえます。

具体的な計算方法は、職種によって異なり、詳細については、以下の記事に記載されていますので、興味のある方はぜひご覧になってみて下さい!

後遺症逸失利益

むちうちの後遺症が残ると、以前と同じようには身体を動かせなくなるため、労働能力が低下するといえます。

そして、労働能力が低下すると、本来よりも収入が下がると考えられます。

そこで、こうした失われた利益を「逸失利益」として相手に請求することができます。

ただし、交通事故では、後遺症慰謝料同様、原則として後遺障害の等級が認定された場合にしか逸失利益を請求することができません。

後遺症逸失利益の計算方法は以下のようになっています。

(基礎収入)×(労働能力喪失率)×(労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数)

上記の項目のうち、「労働力喪失率」は、後遺障害等級ごとに定められています。

むちうちで最も多い14級ならば5%、12級ならば14%となっています。

また、むちうちの場合の労働能力喪失期間は、一般的に、14級であれば5年、14級であれば10年と考えられています。

休業損害同様、現実収入のない専業主婦などの家事従事者でも、後遺障害等級が認定されれば、後遺症逸失利益を請求できます。

なお、後遺障害の逸失利益の計算方法については、以下の記事に詳しく記載されていますので、興味のある方はぜひご覧になってみて下さい!

また、交通事故の示談金総額の相場がむちうちの場合、一番高額な裁判基準(弁護士基準)でいくらになるかは以下の慰謝料計算機で確認できます。

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最後に一言アドバイス

それでは、最後になりますが、交通事故でむちうちになった場合についてお悩みの方に一言アドバイスをお願いします。

交通事故で最も多いむちうちにはさまざまな症状があり、症状により治療法や治し方も異なるため、しっかり治すには、十分な知識が必要です。

治療にあたっては、整骨院の併用も可能ですが、むちうちであるとの診断や後遺症診断書の作成は整形外科の医師しかできない点には注意が必要です。

また、慰謝料は治療期間や認定等級次第ですが、同じ治療期間や等級でも弁護士に依頼すれば増額が見込めるので、弁護士への相談をお勧めします。

まとめ

いかがだったでしょうか。

このページを最後までお読みの方は、

交通事故むちうちの症状や整形外科で治療すべきか、慰謝料相場

などについて理解を深めていただけたのではないかと思います。

これを読んで弁護士に相談した方が良いと思った方も多いハズです。

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そうではなく、やっぱり直接会って話がしたいという場合は、全国弁護士検索を使って弁護士を探してみてください。

また、このホームページでは、交通事故に関する関連記事も多数掲載していますので、ぜひ参考にしてください。

皆さまのお悩みが早く解決するよう、お祈りしています。

この記事の監修弁護士

岡野武志弁護士

アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。

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