交通事故で健康保険への切り替えは可能?使用のメリット・デメリットをご紹介!

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弁護士事務所の掲載順と弁護士の力量とは無関係です。相性を考慮して、ご自身に合った弁護士をお探しください。

交通事故で健康保険への切り替えは可能?使用のメリット・デメリットをご紹介!

交通事故の怪我で健康保険使用するよう言われたけど、加害者自賠責保険に請求するんじゃないの?」

「最初のうちの治療は健康保険を使っていなかったけど、途中で切り替えってできるの?」

「結局、交通事故で健康保険を使用するメリットって?」

「交通事故で被害者が健康保険を使わない方がいいようなデメリットがある場合はないの?」

交通事故の怪我治療費は、色々な保険が使われる場合があり、病院や保険会社から色々なことを言われて混乱されてはいないでしょうか?

怪我の賠償をしっかりしてほしいだけなのに、知識がなかったために、賠償をしっかり受けられなくなってしまっては困りますよね。

このページでは、そんな方のために、

交通事故で健康保険を使用することや切り替えはできるの?

健康保険の使用を請求するための必要書類は?

交通事故で健康保険を使用するメリットは?

交通事故で健康保険を使用するデメリットは?

といった疑問を解消すべく、徹底的に調査してきました!

専門的な部分や実務的な部分は、交通事故と刑事事件を数多く取り扱っている岡野弁護士に解説をお願いしております。

回答者:アトム法律事務所の岡野弁護士

弁護士の岡野です。よろしくお願いします。

交通事故の怪我で健康保険を使用するかどうかというのは重要なポイントになります。

健康保険を使用するかどうかの判断を誤ってしまうと、しっかりした賠償を受けられなくなってしまう可能性もあります。

ここでは、交通事故での健康保険に関する正しい知識を学んで、しっかりした賠償を受けられるようにしましょう!

目次

交通事故での健康保険の使用について、以下のようなツイートをされている方がいらっしゃいます。

この方のように、交通事故では健康保険を使用できないと思っていらっしゃる方も多いようです。

ツイートをされた方の言うように、健康保険を使えないとなると、後に請求できるとしても、高額な治療費を立替しなければならないかもしれません。

そこで、そもそも交通事故で健康保険を使用できるのかどうかについて、まずは調査してきました!

交通事故でも健康保険は使用できる!切り替えの可否や請求方法もご紹介!

交通事故でも健康保険は使用できる!切り替えの可否や請求方法もご紹介!

交通事故の怪我は自賠責保険だけでなく健康保険も使用できる

まず、全国健康保険協会のホームページを確認したところ、以下のような記載がありました。

交通事故(略)によってケガや病気をした場合でも、仕事中または通勤途上のもの以外であれば、健康保険を使って治療を受けることができます。

全国健康保険協会のホームページにはっきりと、交通事故でも健康保険を使用できると記載されていますね。

このように、はっきりと使用できるとされているにもかかわらず、昔から交通事故では健康保険を使用できないと誤解されている方が多いようです。

そのため、旧厚生労働省は以下のような通達(通知)を出しています。

最近、自動車による保険事故については、保険給付が行われないとの誤解が被保険者の一部にあるようであるが、いうまでもなく、自動車による保険事故も一般の保険事故と何ら変わりなく、保険給付の対象となるものであるので、この点について誤解のないよう住民、医療機関等に周知を図るとともに、保険者が被保険者に対して十分理解させるよう指導されたい。

半世紀近く前にこのような通達(通知)が出されているにもかかわらず、今でも誤解されている方が多いようです。

そのため、最近も、厚生労働省が以下のような通達(通知)を改めて出しています。

犯罪や自動車事故等の被害を受けたことにより生じた傷病は、医療保険各法(健康保険法、船員保険法、国民健康保険法及び高齢者の医療の確保に関する法律)において、一般の保険事故と同様に、医療保険の給付の対象とされています

なお、裁判例でも、交通事故において健康保険を使用できることは当然であると、判決文中で述べられています。

国保法は、(略)偶発的、不可測的な事故にあった国民が医療費等の調達のため経済生活の均衡が破れ、経済生活の向上と発展を阻害されることがないようにするため、共同貯蓄制度としての国民健康保険制度をその目的としていることに鑑みれば、交通事故により負傷、疾病した被保険者に対し、療養保険給付が行なわれなければならないことは当然であつて、これを排斥すべき理由はない。

回答者:アトム法律事務所の岡野弁護士

このように、交通事故で健康保険を使用できることは明らかであるにもかかわらず、健康保険の使用を拒否する治療機関があるようです。

そんな場合には、上記のホームページの記載や通達、裁判例などの存在を指摘してみましょう。

それでも、治療機関が健康保険の使用を拒否する場合には、一度弁護士に相談してみましょう。

交通事故で途中から健康保険に切り替えることも可能

交通事故で健康保険を使用できることは、お分かりいただけたと思います。

しかし、交通事故で健康保険を使用できないと誤解するなどして、健康保険を使用せずに既に怪我の治療を受けられている方もいるかと思います。

では、そういった方が途中から健康保険に切り替えをすることは出来るのでしょうか?

交通事故にあい7対3で被害者で今リハビリ中です。リハビリの途中からでも健康保険扱いにすることはできますか?

結論からいうと、知恵袋の回答にもあるとおり、途中から健康保険に切り替えをすることは可能です。

ちなみに、健康保険に切り替えをすることを保険会社内部ではケンキリなどと呼ぶこともあるようです。

過去の分まで遡れる?

もっとも、知恵袋の質問にもありますが、既に治療を受けた分まで遡って健康保険での治療扱いに出来るかは治療機関との交渉次第のようです。

交渉により、既に治療を受けた分まで遡って健康保険での治療扱いに出来た場合、窓口で、

窓口で自由診療として支払った金額

健康保険での治療扱いとなった場合の本人負担分

との差額が払い戻し返金されることになります。

回答者:アトム法律事務所の岡野弁護士

治療機関の経理などの手続上、一旦自由診療として手続を完了してしまった後ですと、遡って健康保険での治療扱いにする交渉は難しいようです。

通常、治療費の請求などは、一月ごとにまとめて処理することが多いようなので、切り替えが早いほど、交渉が成功する確率は高まるようです。

交通事故で健康保険の使用を請求する手続|第三者への求償に必要な書類が!

では、具体的に交通事故で健康保険の使用を請求するには、どのような手続を取ればいいのでしょうか?

大きく分けると

治療機関への申し入れ

加入している健康保険の機関への届出

という二つの機関への連絡が必要となります。

治療機関への申し入れ

まず、治療機関への申し入れは健康保険証の呈示だけでなく、健康保険を使用する意思をはっきりと伝えることが大事です。

後ほど詳しく説明しますが、治療機関は交通事故での健康保険の使用をさせたがらない傾向にありますので、明確に使用の意思を伝える必要があります。

加入している健康保険機関への届出

そして、交通事故で健康保険の使用を請求する場合、

第三者行為による傷病届

の提出が必要になります。

本来、交通事故の怪我の治療費は加害者が負担するのが原則です。

交通事故で健康保険が使えないという誤解は、この加害者が負担するのが原則ということからきていると考えられます。

回答者:アトム法律事務所の岡野弁護士

お伝えしたとおり、交通事故でも健康保険は使えますが、健康保険を使用した場合、保険機関は、本来負担すべき加害者に立替えた治療費を請求します。

このことを法律的には、第三者への求償といいます。

そして、この求償を行うためには、保険機関は、交通事故の状況や第三者である加害者の情報を把握しておかなければいけません。

そのために、提出が必要になるのが第三者行為による傷病届です。

第三者行為による傷病届とは、具体的には下記のような書類になります。

第三者行為による傷病届以外の必要書類としては

負傷原因報告書

事故発生状況報告書

念書

損害賠償金納付確約書・念書

同意書

交通事故証明書(人身事故証明書入手不能理由書)

などがあります。

回答者:アトム法律事務所の岡野弁護士

なお、加害者に記入してもらう損害賠償金納付確約書・念書は、加害者が協力してくれない場合、その書類がなくても健康保険は使用できます。

このことは先ほど紹介した厚生労働省の通達でも述べられています。

交通事故で健康保険を使えない理由とは?適用の範囲に迫る!

お伝えしてきたとおり、交通事故での怪我にも健康保険を使用して治療をすることは可能です。

もっとも、法律は健康保険の適用の範囲を定めており、以下の場合には健康保険を使用できません。

健康保険使用不可のケース

① 無免許運転や飲酒運転中の交通事故

② 仕事中や通勤中の交通事故

① の交通事故の場合に健康保険を使えない理由は、法令違反を犯した者は別の法による保護を受けられなくても仕方がないからだと考えられています。

被保険者又は被保険者であった者が、自己の故意の犯罪行為により、又は故意に給付事由を生じさせたときは、当該給付事由に係る保険給付は、行わない。

被保険者が闘争、泥酔又は著しい不行跡によって給付事由を生じさせたときは、当該給付事由に係る保険給付は、その全部又は一部を行わないことができる。

② の交通事故の場合に健康保険を使えない理由は、労災保険の給付が優先されるからです。

つまり、通勤災害としての交通事故は、使用者が負担を負うべきと考えられているということです。

被保険者に係る療養の給付(略)の支給は、同一の疾病、負傷又は死亡について、労働者災害補償保険法 (略)の規定によりこれらに相当する給付を受けることができる場合には、行わない。

回答者:アトム法律事務所の岡野弁護士

通勤災害の場合には、健康保険と労災保険のどちらかを選択できるのではなく、労災保険を使用しなければいけない点には注意しておきましょう。

交通事故で健康保険は整骨院でも使えるの?

交通事故での健康保険の適用の範囲はお分かりいただけたかと思います。

しかし、交通事故の怪我について整骨院に通いたい又は通っているという方もいらっしゃるかと思います。

そういった方は、健康保険は整骨院の通院にも使用できるのかどうかを知りたいのではないでしょうか?

結論からいうと、交通事故で健康保険は整骨院でも使えますが、対象とならない場合もあります。

全国健康保険協会のホームページでは、整骨院で健康保険の対象となる場合とならない場合を記載しています。

交通事故の場合において、特に注意すべきなのは

過去の交通事故等による後遺症

症状の改善の見られない長期の治療

医師の同意のない骨折や脱臼の治療(応急処置を除く)

仕事中や通勤途上におきた負傷

が挙げられます。

過去に交通事故にあった部位と同じ部位の場合、前の事故による影響(既往症)を疑われ、治療費の一部が健康保険から支払われない可能性があります。

また、慢性期の治療は対象とならないため、治療が長期に渡る場合には、一部の期間の治療費の支払いが争いになる可能性があります。

さらに、法律上、整骨院では、応急処置を除き、意思の同意がなければ骨折や脱臼の治療は認められていないので注意しましょう。

柔道整復師は、医師の同意を得た場合のほか、脱臼又は骨折の患部に施術をしてはならない。ただし、応急手当をする場合は、この限りでない。

なお、通勤中や仕事中の交通事故に関しても、当然病院の場合と同様に健康保険の対象にはなりません。

病院と整骨院で健康保険を使用できる場合の検証を簡単に表にまとめてみましたので、参考にしてみて下さい。

病院と整骨院で健康保険を使用できる場合の検証
病院 整骨院
急性の外傷性打撲・捻挫・座礁
急性の外傷性骨折・脱臼
通勤中や仕事中の負傷 × ×

※医師の同意があれば整骨院でも骨折・脱臼に健康保険使用可

回答者:アトム法律事務所の岡野弁護士

大半の整骨院は、適切な請求をされていますが、一部の整骨院では健康保険の対象とならないものも含めて請求しているケースがあるようです。

そういった疑いがある場合、保険機関の調査が入り、保険機関から質問(照会)をされることがあります。

そのような質問(照会)があった場合は、事実を包み隠さず回答しましょう。

また、もし、整骨院から不正請求の協力を求められたとしても絶対に断りましょう。

交通事故で健康保険使用のメリット|自賠責のみの方や加害者は特に注目!

交通事故で健康保険使用のメリット|自賠責のみの方や加害者は特に注目!

交通事故でも健康保険を使用できることはわかりました。

でも、交通事故で健康保険を使用するメリットはどこにあるのでしょう?

そもそも、健康保険を使用する場合としない場合の一番の違いは何でしょうか?

それは、健康保険を使用した場合、治療費の自己負担分が多くの場合3割(一部は2割)となることです。

このことは、ご存じの方も多いかと思います。

そして、このことが、交通事故で健康保険を使用するメリットと関わってきます。

それでは、詳しく見ていきましょう!

加害者の治療費は健康保険を使用するメリットが大きい

過失割合の大きい加害者であっても、100%自身に過失がある場合でなければ、相手方の保険に治療費を請求することはできます。

しかし、当然、自身の過失割合分は、自身の負担になるところ、3割負担の健康保険を使用すれば、自身の負担を減らせるのが大きなメリットです。

また、100%自身に過失がある加害者の場合、そもそも相手方の保険に請求自体できないので、健康保険を使用する必要性が高いです。

さらに、単独事故の場合も、請求できる相手方がいないため、3割負担の健康保険を使用して、自身の負担を減らす必要性が高いです。

参考

また、被害者の方であっても、相手方が無保険の場合、相手方への請求が困難なことが多いため、健康保険を使用するメリットが大きいです。

回答者:アトム法律事務所の岡野弁護士

10対0の加害者であっても、3割負担の健康保険を使用して、自己の負担を減らせるのは大きなメリットといえますね。

ただし、適用範囲のところでお伝えしたとおり、無免許運転や飲酒運転の場合には健康保険は使用できませんので注意しましょう。

健康保険は自賠責のみの場合被害者でもメリットがある?

では、追突事故などの10対0の交通事故の被害者で、相手方が、保険に加入している場合、健康保険を使用するメリットはないのでしょうか?

実は、相手方が保険に加入していても、それが自賠責のみの場合、大きく健康保険を使用する二つのメリットがあります。

①立替の負担軽減

自賠責のみの場合、保険から直接治療期間に治療費を支払ってくれる対応(一括対応)はしてくれないので、一旦治療費を立替する必要があります。

よって、後に返ってくるとしても、高額の治療費の立替はそれ自体が負担となります。

そこで、健康保険を使用すれば、立替をすべき治療費が抑えられるので、立替の負担を軽減することができます。

②受け取れる慰謝料が高くなる場合がある

自賠責保険は、保険から支払われる保険金額の上限が法令で定められており、傷害分は、上限が120万円となっております。

責任保険の保険金額は、政令で定める。

法第13条第1項 の保険金額は、死亡した者又は傷害を受けた者一人につき、次のとおりとする。

(略)

三  傷害を受けた者(前号に掲げる者を除く。)

イ 傷害による損害(ロからヘまでに掲げる損害を除く。)につき百二十万円

(以下略)

この上限額は、治療費や慰謝料など損害の総額についてとなっております。

この上限額がある関係で、治療費がいくら掛かるかによって受け取れる慰謝料の金額が変わってくる可能性があります。

そして、健康保険を使用するかどうかで、自賠責保険から支払われる治療費の金額が変わってくることになります。

治療費保険の適用となる治療は、点数が細かく定められており、その点数に一定の単価を掛けて治療費が算出されています。

そして、健康保険の場合、1点の単価が10円と定められています。

1人の患者について療養の給付に要する費用は、第1章基本診療料及び第2章特掲診療料又は第3章介護老人保健施設入所者に係る診療料の規定に基づき算定された点数の総計に10円を乗じて得た額とする。

これに対し、健康保険を使用しない自由診療の場合、その名のとおり、1点の単価が定められているわけではありません。

その場合、各治療機関の裁量に委ねられますが、1点の単価が20円程度のことが多くなっています。

そのため、健康保険を使用する場合と使用しない場合とでは、同じ治療行為でも治療費自体が倍程度変わってきます。

さらに、先ほど触れたとおり、健康保険を使用した場合、負担割合は3割ですが、自由診療の場合、負担割合は10割となります。

そのため、健康保険を使用するかどうかで、自賠責保険から支払われる治療費が大きく変わってきます。

ここで、交通事故の被害者が月10,000点の治療通院4ヶ月(120日)した場合を想定してみましょう。

自由診療の場合

治療費:10,000点×20円×4ヶ月=800,000円

慰謝料:4,200円×120日=504,000円

となります。

すると、総額は130万4,000円ですが、自賠責保険の傷害分の限度額は120万円ですので、自賠責保険から受け取れる金額は120万円となります。

そして、治療費が優先して支払われることになりますので、受け取れる慰謝料は、

1,200,000円−800,000円=400,000円

となります。

健康保険を使用した場合

治療費:10,000点×10円×4ヶ月×3割=120,000円

慰謝料:4,200円×120日=504,000円

となります。

すると、総額は62万4,000円ですが、治療費が優先して支払われることになりますので、受け取れる慰謝料は、

624,000円−120,000円=504,000円

となります。

このように、10対0の交通事故の被害者でも健康保険を使用したほうが自賠責保険から受け取れる慰謝料が高い場合があることになります。

健康保険を使用した方が受け取れる慰謝料が高い場合
自由診療 健康保険使用
治療費 800000 120000
慰謝料4ヶ月分 504000 504000
総額 1304000 624000
限度額 1200000
病院へ支払われる金額 ▲800,000 ▲120,000
受け取れる慰謝料 400000 504000

なお、相手方が任意保険に入っている場合でも、以下の様なことを相手方保険会社に言われる場合があるようです。

これはどういうことなのでしょうか?

この点は岡野弁護士にお尋ねしてみましょう。

回答者:アトム法律事務所の岡野弁護士

任意保険はあくまで、自賠責保険を超えた部分を支払うものです。

仮に任意保険から支払われる自賠責を超えた分の支払金額が変わらないとします。

すると、任意保険が入っている場合でも健康保険を使用し、自賠責から受け取れる慰謝料が高いほうが、トータルで受け取れる金額も高いことになります。

つまり、ご自身に過失がなく、相手方が任意保険に入っている場合でも、健康保険を使用したほうがいい場合があるということです。

健康保険を使用すれば過失割合がある場合受け取れる慰謝料が…

さらに、交通事故での健康保険の使用は、相手方が任意保険に入っている被害者であっても過失割合のある場合、メリットが大きいといえます。

具体的には、過失割合が10%の骨折事故で、月10,000点の治療通院6ヶ月だった場合を想定してみましょう。

自由診療の場合

治療費:10,000点×20円×6ヶ月=1,200,000円

慰謝料:いわゆる裁判基準(赤本別表Ⅰの基準)で、1,160,000円

となります。

そうすると、総額は2,360,000円となりますが、過失割合が10%あるので、2,360,000円×10%=236,000円が過失相殺されます。

さらに、治療費が優先して支払われることになりますので、受け取れる慰謝料は、

2,360,000円−236,000円−1,200,000円=824,000円

となります。

健康保険を使用した場合

治療費:10,000点×10円×6ヶ月×3割=180,000円

慰謝料:いわゆる裁判基準(赤本別表Ⅰの基準)で、1,160,000円

となります。

そうすると、総額は1,340,000円となりますが、過失割合が10%あるので、1,340,000円×10%=134,000円が過失相殺されます。

さらに、治療費が優先して支払われることになりますので、受け取れる慰謝料は、

1,340,000円−134,000円−180,000円=1,026,000円

となります。

このように、相手方が任意保険に入っている被害者であっても過失割合のある場合、健康保険を使用した方が受け取れる慰謝料が高くなる場合があります。

健康保険を使用した方が受け取れる慰謝料が高い場合
自由診療 健康保険使用
治療費 1200000 180000
慰謝料6ヶ月分 1160000 1160000
総額 2360000 1340000
過失相殺 ▲336,000 ▲134,000
病院へ支払われる金額 ▲1,200,000 ▲180,000
受け取れる慰謝料 824000 1026000

※過失割合が10%の骨折事故を想定

回答者:アトム法律事務所の岡野弁護士

被害者であっても、過失割合がある場合、過失割合分の治療費は自己負担となりますから、基本的には健康保険を使用した方がいいといえるでしょう。

治療費の打ち切りの問題で健康保険を使用するメリットとは?

交通事故の怪我の治療をしているとこのような問題に直面する場合があります。

このように、ご自身では痛みが残っており、治療が必要だと思っていても、相手方保険会社から治療費打ち切りをされてしまうことがあります。

こういった場合に、健康保険を使用して治療を継続するメリットが大きく分けて二つあります。

①自身で負担する治療費を抑えられる

治療費の打ち切りを宣告された場合、少なくとも一度治療費を立替する必要があります。

健康保険を使用すれば、立替をすべき治療費が抑えられるので、立替の負担を軽減することができます。

また、立替えた治療費は後に、相手方に請求しますが、打ち切り宣告後の治療費は、治療の必要性が争われることになります。

そのため、裁判などで治療の必要性が認められれば、立替えた治療費を回収できますが、治療の必要性が認められなかった場合はご自身の負担になります。

このような、最終的に治療費が自身の負担となるリスクがある以上、健康保険を使用して、負担する治療費を抑えることは大きなメリットといえます。

②最終的な慰謝料が増額する可能性がある

通院の慰謝料は、基本的に通院期間によって定まるため、打ち切り宣告後、通院をしなければ、打ち切りまでの通院期間をもとに慰謝料が算出されます。

しかし、健康保険を使用して治療を継続すれば、その期間も慰謝料計算の基礎に含まれ、最終的な慰謝料が増額する可能性があります。

ただし、慰謝料計算の基礎に含まれるためには、治療の必要性が認められることが必要ですので、その点は注意が必要です。

岡野弁護士、これ以外に治療費の打ち切りの問題で健康保険を使用するメリットはありますか?

回答者:アトム法律事務所の岡野弁護士

はっきりしたメリットではないですが、保険会社との治療費の支払期間との交渉で、健康保険の使用を条件に治療期間が延長できるケースがあります。

保険会社は、最終的な治療費の総額を気にしているので、健康保険を使用して、治療費を抑えれば、治療期間の延長を認めてくれる可能性もあります。

交通事故で健康保険を使わない方がいい場合もある?使用のデメリットもご紹介!

交通事故で健康保険を使わない方がいい場合もある?使用のデメリットもご紹介!

交通事故で被害者が健康保険を使用するデメリットは一切ないの?

交通事故で健康保険を使用するメリットについてはよくわかりました。

ここまでの話を聞いていると、とりあえず、交通事故の治療はすべて健康保険を使用しておいたほうが良さそうにも思えます。

実際、こんなご意見もありました。

この方の断言するように、交通事故で被害者が健康保険を使用するデメリットは一切ないのでしょうか?

調査してみたところ、やはり、交通事故で健康保険を使わない方がいい場合もあるようです。

ここからは、交通事故で健康保険を使用するデメリットをご紹介していきたいと思います!

デメリット①健康保険には適用される治療の範囲がある

健康保険には適用される治療の範囲があり、健康保険を使用すると、自己の希望する方法での治療ができない可能性があります。

健康保険が適用される治療法や材料はあらかじめ決められていて、高度な技術や高価な材料を用いるとき、また、見た目を美しくする目的で行う治療などを希望するときは自費診療となります。

例えば、交通事故で歯が折れた場合、健康保険を使用するとインプラント治療は行えず、入れ歯もあまり見た目のいいものは使えないようです。

デメリット②健康保険を使うとレセプト開示の手間が掛かる場合も

健康保険を使用する場合、まず、上でご紹介した必要書類の収集・作成・届出という手間が掛かるデメリットがあります。

さらに、交通事故の怪我で後遺障害の申請をする場合、治療中の診療報酬明細書(レセプト)を提出する必要があります。

健康保険を使用しない自由診療の場合、診療報酬明細書は治療費を支払う被害者又は相手方保険会社に直接渡してもらえます。

しかし、健康保険を使用する場合、治療機関は治療費を支払ってもらうため、レセプトを保険機関に提出します。

そのため、診療報酬明細書(レセプト)を取得するためには、原則として保険機関にレセプトの開示請求をしなければいけないという手間が掛かります。

レセプトの開示には時間がかかることも…

レセプトの開示請求は、治療機関から直接診療報酬明細書を取得するよりも時間がかかることが多く、その分後遺障害の申請が遅れるのもデメリットです。

具体的には、次のような時間と手間が掛かるようです。

開示(不開示)決定の通知は、開示請求書類を受理し、手数料の納付が確認できてから、おおよそ1か月程度で行います。

開示決定通知とともに、「開示の実施方法等申出書」を送付しますので、ご希望の開示実施方法(協会窓口での受取 または 郵送での受取)を記載しご返送ください。

郵送での開示を希望する場合は、送付先住所(開示請求書に記載してある住所)の確認のために住民票の写し(原本)をご提出いただきます。

また、郵送代金は請求される方のご負担となりますのでご了承ください。

デメリット③健康保険を使うと治療費を立替しなければいけない場合も

交通事故の加害者が任意保険会社に入っている場合、治療費は保険会社から直接支払われ(一括対応)、被害者は窓口で支払する必要がない事が多いです。

しかし、健康保険を使用すると、加害者が任意保険会社に入っていても、一度本人負担分の窓口での支払を求められることが多くなります。

これは、健康保険の本人負担分を保険会社が治療期間に直接支払う(健保一括)内容の診療報酬明細書の作成が煩雑という理由に基づくようです。

ただし、下のツイートのように、病院によっては、健康保険を使用しても窓口での支払なく治療を受けられるところもあるようです。

デメリット④点数が関係?目に見えないデメリットとは…

先ほど、交通事故で健康保険を使用するメリットとして、点数に掛けられる1点単価が決まっており、治療費を抑えられるという説明をしました。

このことを治療機関の側から見ると、交通事故で健康保険を使用されると、受け取れる治療費が減ってしまうということになります。

未だに交通事故で健康保険を使用できないと誤解されている方が多いのも、治療機関でそのように言われたことを信じてしまうことが原因のようです。

冒頭でお伝えしたとおり、実際は交通事故でも健康保険は使用できるのですが、事実上、健康保険での治療を拒否する治療期間も存在するようです。

また、本来あってはならないのですが、受け取れる治療費の少ない健康保険での治療だと対応がおざなりになる治療期間も存在するようです。

このように、交通事故で健康保険を使用すると、目に見えない事実上のデメリットが生じる可能性があることには注意が必要です。

最後に、交通事故で使用される保険に関する負担割合と1点単価の検証を表にまとめてみましたので、参考にしてみて下さい。

まとめ

交通事故で使用される保険の検証

自己の負担割合 1点単価
自賠責保険 10割 自由
(平均20円程度)
健康保険 3割 10円
労災保険 0 12円

※自賠責保険にも診療報酬基準はあるが拘束力はない

回答者:アトム法律事務所の岡野弁護士

金銭面のことだけ考えるのであれば、健康保険を使用した方がいい場合であっても、お体のことを考えれば、自由診療の方がいいという場合もあります。

また、②〜④のデメリットについては弁護士に相談・依頼することで解決できる可能性もあります。

交通事故の怪我の治療に健康保険を使用するかどうかお悩みの方は、一度弁護士に相談してみるとよいでしょう。

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最後に一言アドバイス

では、岡野先生、最後にまとめの一言をお願いします。

回答者:アトム法律事務所の岡野弁護士

交通事故の怪我で健康保険を使用するかどうかをメリット・デメリットを考慮した上で判断するのはお一人では難しい部分もあるかもしれません。

誤った判断をしてしまうと、適正な賠償を受けられなくなってしまい、時間が経つほど修正が困難になっていきます。

交通事故の怪我で健康保険を使用するかどうか少しでもお悩みの方は、まず弁護士に相談してみることからはじめてみましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか?

このページを最後までご覧になってくださった方は

交通事故で健康保険を使用することや切り替えは可能

健康保険の使用を請求するには第三者行為による傷病届などが必要

交通事故で健康保険を使用すると治療費が抑えられ、受け取れる慰謝料が増える可能性があるなどのメリットがある

交通事故で健康保険を使用すると治療の範囲が制限されたり手間が掛かるなどのデメリットもある

ことについて、理解が深まったのではないかと思います。

このページだけではわからなかったことがあるという方もいらっしゃるかもしれません。

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