交通事故の死亡慰謝料|子供の相場は大人と異なる?ご両親への補償は?
交通事故で子供を失ってしまったとしたら…そんなこと考えたくもありません。
しかし、子供の交通事故件数は年々減少傾向にあるものの、残念なことに死亡事故は毎年発生してしまっているようです。
では、お子様を失った悲しみはどうすれば良いのか…。
お金ですべてが解決できるワケではありませんが、保険会社には十分な死亡慰謝料を補償してもらう必要があります。
しかし、
- 子供の死亡慰謝料の相場は大人の場合と違うのだろうか…
- 保険会社から提示された示談金は適正なのだろうか…
- 自分たちだけで保険会社と交渉して良いのだろうか…弁護士に相談した方が良いのだろうか…
など、わからないことも多く、保険会社との交渉でも精神的に追い詰められてしまうかもしれません。
そこでこのページでは、交通事故でお子様が亡くなってしまった場合の死亡慰謝料に関して、詳しく見ていきたいと思います。
目次
なお、専門的な解説は、テレビや雑誌でお馴染みの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
お子様がお亡くなりになり、非常にお辛いことと存じます。
また、保険会社と連絡を取ることによる精神的な負担も非常に大きいものとお察しします。
そのような負担を少しでも軽減できるよう、具体例も交えながら、わかりやすく解説していきたいと思います。
子供の死亡慰謝料について弁護士が解説
子供の死亡慰謝料相場は大人と同じ?
毎年発生してしまっているお子様の死亡事故…。
長野県富士見町富士見の国道20号で、近くに住む保育園児(略)が同じく近くの富士見町職員(略)運転の乗用車にはねられ、頭を強く打って約1時間40分後に死亡が確認された。
県警茅野署によると、(略)祖母と自宅にいたが1人で外に出たとみられる。
同署が事故の原因を調べている。
出典:毎日新聞2017年7月7日 11時00分(最終更新 7月7日 11時26分)
お子様を失ったご両親は死を受け入れられないはずです。
これ以上ない苦悩を感じるに違いありません。
その分と言えるかはわかりませんが、しっかりと補償=死亡慰謝料を受け取らないといけませんよね。
では、子供の死亡慰謝料は、通常のケースと検証して、どのように考えるべきなのでしょうか。
子供の死亡慰謝料は、独身の男女と同程度の相場となっています。
ただし、その金額が妥当かどうかについては、事故の内容ごとに検討する必要があります。
死亡慰謝料については、年齢だけではなく、家族に対する扶養など、家庭の中で担っている役割に応じて金額が変わってくるということです。
子供の場合、ご両親の精神的苦痛は計り知れないものに違いありません。
しかし、子供自身は扶養の役割などを果たしていないので、慰謝料の相場は一般の独身の方と同程度になっているということでした。
子供 | (一家の支柱) |
---|---|
2000~2200 | 2800 |
※ 単位:万円
保険会社と示談する前に知っておきたい慰謝料計算の基準
ところで、慰謝料の相場と言っても、3つの基準があることをご存知でしたでしょうか?
慰謝料には、
- 自賠責保険に請求する場合
- 任意保険会社が提示する場合
- 弁護士が相手側や保険会社に請求する場合
の3つの基準が存在しています。
自賠責基準
自賠責保険会社の慰謝料とは、自賠法に基づく省令により設定されているものです。
自賠法は、交通事故の被害者が最低限の補償を受けるためのものであり、その金額は低く設定されています。
任意保険基準
保険会社でも、任意保険会社による慰謝料基準も存在しています。
ただし、任意保険会社は営利企業のため、加入者を増やすために保険料を安く設定しています。
その分、被害者の方に支払う慰謝料も少ない金額で済ませたいと考えているはずですよね…。
よって、自賠責の基準よりは高いものの、慰謝料の金額は少ないことが多いということです。
弁護士基準
保険会社の基準と検証して、最も高い基準となっているのが、裁判所や弁護士の基準です。
これは、裁判を行った場合や相手側と示談をする場合に用いられる基準のこと。
ただし、自分ひとりで裁判を起こし、相手側と争うのは、どう考えても難しいですよね…。
よって、高額の慰謝料を獲得するためには、弁護士に依頼をして示談や裁判を行うことが必要ということになるのです。
自賠責基準 | 任意保険基準 | 弁護士基準 | |
---|---|---|---|
内容 | 交通事故被害者が最低限の補償を受けるためのもの | 営利企業の保険会社が支払うもの | 裁判や相手側との示談をする場合に用いられるもの |
金額 | 金額は低め | 自賠責基準よりは高いが、金額は低め | 自賠責基準や任意保険基準よりも高い |
自賠責、任意保険基準と弁護士基準の慰謝料の差
3つの基準が存在していることがわかったところで、再び死亡慰謝料について見てみましょう。
先ほど、慰謝料の相場として示した金額は、弁護士基準における慰謝料でした。
自賠責と任意保険基準ではどのようになっているのでしょうか。
以下の表にまとめてみましたので、ご覧ください。
被害者本人一律 | 遺族※ | |
---|---|---|
350万円+ | 1人 | 550万円 |
2人 | 650万円 |
※ 被害者の両親、配偶者、子のみ
任意保険基準 | 弁護士基準からの差額 | |
---|---|---|
子供 | 1250~1450 | -550~-950 |
(一家の支柱) | 1700 | -1100 |
※1 単位:万円
※2 旧任意保険支払基準による
一目瞭然ですが、保険会社の慰謝料は、弁護士基準から考えると、非常に大きな差があります。
しかし、ご遺族だけで保険会社と交渉した場合、弁護士基準の慰謝料を支払ってもらえることはないのだそうです…。
弁護士に依頼すれば、弁護士基準の死亡慰謝料を受け取れ、慰謝料の金額が大幅にアップすることになります。
適切な慰謝料獲得に向けては、ぜひ弁護士に相談してみてください。
子供のご遺族は固有慰謝料をどれくらい請求できる?
ところで、お子様が亡くなられた場合、残されたご遺族の悲しみは相当深いはずです。
それを補償するための、ご遺族の方への慰謝料はどうなっているのでしょうか?
子供の死亡事故の場合、慰謝料の内訳としてはお子様自身の慰謝料が大半を占めるものの、ご遺族への固有慰謝料も含まれています。
その金額は、お子様との関係性によって変わってきます。
子供の死亡事故でのご遺族としては、両親、兄弟姉妹、祖父母などが考えられます。
裁判の傾向としては、以下のような慰謝料が認められることが多いということです。
子供の家族に対する慰謝料
- 両親:200~300万円
- 兄弟姉妹:100~200万円
- 同居の祖父母:50~100万円
- 非同居の祖父母:0~50万円
なお、兄弟姉妹の人数によっては、一人当たりの金額が変わってくることもあるそうです。
つまり、実際の慰謝料の金額は、裁判官の裁量によって決まるところが大きいということなんですね。
適正な示談金の相場を自分で計算するなら
ここまでお読みになって、自分の家族の死亡事故ではどれほどの慰謝料が受け取れるものなのか…。
今すぐに知りたいと思った方も多いのではないでしょうか。
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死亡慰謝料の裁判例から学ぶ、子供に対する慰謝料の実際とは
実際の慰謝料は相場以上のことが多い?
一般に子供の死亡慰謝料相場は、残されたご遺族に対する慰謝料も合計して2000~2200万円程度ということでした。
しかし、子供の死亡事故の場合、ご両親のお子様の成長に対する楽しみや生きがいが奪われるものであり、その苦しみには凄まじいもののはずです。
実際の裁判では、ご両親の苦悩を大きく考慮し、慰謝料相場よりも大幅に増額される例が存在しています。
実際の裁判では、もちろん相場に近い2200万円のケースもありますが、多くは2500万円を超える慰謝料が認められているそうなのです。
中には3100万円の慰謝料が認められた裁判例もあったようです。
裁判官としても、お子様を失ったご両親、ご遺族の極度の苦悩を慰謝料に反映させる必要性を感じているということなんですね。
注目
過去の死亡慰謝料増額事例
被害者 | 慰謝料 | 増額の理由 |
---|---|---|
8歳男児 | 本人:2300 両親:各200 兄弟:100 合計:2800 |
・加害者が最高速度の2倍の速度を出していた ・被害者の兄が事故被害を目の当たりにした |
3歳女児 | 本人:2200 両親:各300 合計:2800 |
・まだ死の意味すら分からない幼少の身で死を余儀なくされ、両親が死を受容しかねている |
11ヶ月男児 | 本人:2200 母親:300 祖父母:各50 合計:2600 |
・1つの事故で父親と同時に死亡した |
5歳女児 | 本人:2400 両親:各300 兄弟:100 合計:3100 |
・制限速度超過で交差点に進入した加害者が、被害者の過失0の事案で、45%の過失相殺を主張した |
裁判では弁護士への依頼が必要不可欠
実際の裁判では、相場よりも高い慰謝料が認められることが多いということがわかりました。
ただし、ご遺族だけで保険会社と交渉した場合には、任意保険基準の1400万円程度しか支払われないということでしたね。
よって、子供の死亡事故に関しては、弁護士への依頼が必要不可欠ということになりそうです。
現実には、非常に辛い気持ちで、保険会社と争う気力がないという方も多いようです。
しかし、弁護士に相談して粘り強く交渉し、場合によっては裁判を起こすことも選択肢の1つとして考えてみてはいかがでしょうか。
深い悲しみに対しては、適正な補償を受け取るべきです!
子供の死亡慰謝料について弁護士に依頼するメリット
ここまでで、お子様の死亡事故に関しては、弁護士に相談した方が良いという話がたくさん出てきました。
それ以外にも、弁護士に依頼するメリットはあるのでしょうか?
ここで、弁護士相談のメリットをまとめてみたいと思います。
メリット①受け取れる金額が大幅に増額
まずは、繰り返しになりますが、慰謝料が大幅にアップする点が考えられます。
ご遺族の方だけで保険会社と熱心に交渉しても、相場を大幅に下回る慰謝料しか提示されず、更なる憤りを感じてしまうかもしれません。
お子様を失った悲しみに加え、そんな気持ちは味わいたくありませんよね。
メリット②心理的負担からの解放
金銭面以外にも多くのメリットが考えられます。
お子様が交通事故で無くなられた場合、葬儀や加害者の刑事裁判、保険金請求や保険会社との示談交渉、民事裁判など、多くの面倒な手続きが発生します。
お子様を失われたご両親は、その事実だけで憔悴しきってしまうはずなのに、それ以上に大変な手続きに悩まされ、その心理的負担は想像以上です。
さらには、加害者や保険会社による不誠実な態度や心ない言動に悩まされることも少なくないようです…。
弁護士に保険会社との交渉や手続きを一任できれば、そういった心理的負担から解放されることになります。
メリット③刑事裁判への積極的な関与
死亡事故を起こした加害者は刑事裁判を受けることになります。
しかし、加害者の刑事裁判では、検察官と加害者の対立構造にあり、ご遺族の方があまり関与できないのが現実なのだそうです。
弁護士に依頼すれば、刑事被害者参加制度の代理人として、刑事裁判への積極的関与が可能になるというメリットも考えられます。
まとめ
弁護士相談のメリット
遺族のみ | 弁護士に依頼 | |
---|---|---|
慰謝料 | 相場よりも低い | 大幅にアップ |
心理的負担 | 加害者や保険会社との直接対応による負担大 | 交渉に関する心理的負担を軽減 |
刑事手続への関与 | 十分関与できない | 弁護士が被害者参加制度の代理人として活動できる |
各種手続の負担 | 煩雑な手続による負担大 | 煩雑な手続から解放される |
ご両親は大切なお子様を失い、精神的に追い詰められ、冷静な事故対応は難しいことが多いでしょう。
難しい事故対応は専門家に任せ、お子様を失った悲しみや過去の思い出と向き合う時間を大切にしてもらえればと思うばかりです。
最近では、無料相談を行っている法律事務所も多いです。
また、任意保険で弁護士費用特約に加入していれば、着手金・報酬を保険会社が負担してくれることも多いです。
得られるメリットは非常に大きなものなので、弁護士に相談することも検討してみてはいかがでしょうか。
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ここまでで、交通事故による子供の死亡慰謝料について理解いただけましたでしょうか。
また、より適正な慰謝料獲得や精神的負担の軽減のためには、弁護士に相談するのが良いということもおわかりいただけたと思います。
しかし、弁護士の知り合いがいるワケでもないし、相談と言っても誰にすれば良いのかなんてわかりませんよね。
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最後に一言アドバイス
それでは、最後になりますが、子供の死亡事故慰謝料についてお悩みの方に一言アドバイスをお願いします。
交通事故で大切なお子様を亡くされ、さらに保険会社との交渉で辛い思いをされていることと思います。
そんなときは、迷わず弁護士に相談することをお勧めします。
なぜなら、非常に辛い思いをした分、適正な金額の補償を受けるべきだからです。
しかし、保険会社から示談金を提示され、書類にサインしてしまうと、あらためて慰謝料などを請求することは極めて困難になります。
そうなる前に、ぜひ弁護士無料相談を活用してみてください。
精神的負担の大きい面倒な手続きや交渉などのお力にもなれるはずです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
このページを最後までお読みの方は、
- 子供の死亡慰謝料の適正な相場
- 子供の死亡事故における過去の裁判例
などについて、理解を深めていただけたのではないかと思います。
また、弁護士相談のメリットも、おわかりいただけたはずです。
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皆さまのお悩みが早く解決するよう、お祈りしています。
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。