死亡事故を弁護士に無料相談や依頼したい方へ|窓口・弁護士費用の相場・必要性を紹介
「死亡事故で弁護士にわからないことを聞いてみたいけれど無料相談できる方法はないのかな・・・」
「死亡事故の件を弁護士に依頼したいけれど弁護士費用はどれ位掛かるのだろうか・・・」
「やっぱり死亡事故は弁護士に依頼したほうがいいのだろうか・・・」
死亡事故に直面され、専門家である弁護士への相談や依頼を検討されているご遺族の方は、費用や必要性が気になる方も多いかと思います。
このページでは、そんな方のために
- 死亡事故を弁護士に無料相談する方法
- 死亡事故の弁護士費用の相場や費用負担を減少させる方法
- 死亡事故を弁護士に依頼する必要性
といった事柄についてお伝えしていきたいと思います。
専門的な部分や実務的な部分は交通事故と刑事事件を数多く取り扱っている岡野弁護士に解説をお願いしております。
よろしくお願いします。
交通死亡事故で大切なご家族を失われた方に対しましては、心よりお悔やみ申し上げます。
突然ご家族を失われた悲しみは計り知れないものとお察しいたします。
そんな中、よくわからないことが多く弁護士に相談や依頼を検討されているご遺族の方もいらっしゃるかと思います。
こちらでは、そんな方のお役に立つかもしれない死亡事故の弁護士への相談や依頼に関する費用や必要性についての情報をお伝えしていきます。
目次
死亡事故に巻き込まれたご遺族の方は、わからないことが多く、専門家である弁護士に相談してみたいという方も多いかと思います。
そして、できればまずは無料相談できる方法はないかと考えている方もいらっしゃるかと思います。
そこで、まずは、死亡事故を専門家である弁護士に無料相談する方法をお伝えしていきたいと思います。
死亡事故を弁護士に無料相談されたい方へ
法テラスの無料法律相談の利用
まず、死亡事故を弁護士に無料相談するには、法テラスの無料法律相談を利用するという方法が考えられます。
法テラスとは、以下のような機関になります。
法テラス
全国において、法による紛争の解決に必要な情報やサービスの提供が受けられる社会の実現を目指す法務省所管の独立行政法人
この目標の実現のため、法テラスは経済的にお困りの方を対象に無料相談を実施しています。
無料相談をするためには、まず、お近くの法テラスに問い合わせをし、事前予約をする必要があります。
お近くの法テラスについては、以下のページからお調べすることができます。
法テラスに連絡すると、受付の方から、収入状況や資産、家族構成について質問があります。
法テラスでは、以下の二つの条件を満たす場合に無料相談を受けることができます。
- 収入などが一定額以下であること
- 民事法律扶助の趣旨に適すること
収入などが一定額以下であること
法テラスは、収入基準と資産基準という資力基準を満たしている場合に無料相談ができます。
収入基準
申込者及び配偶者の手取り月収額(賞与を含む)が下記表の基準を満たしていることが要件となります。
また、申込者等と同居している家族の収入は、家計の貢献の範囲で申込者の収入に合算します。
人数 | 手取月収額の基準 ※1 | 家賃又は住宅ローンを負担している場合に 加算できる限度額 ※2 |
---|---|---|
1人 | 18万2,000円以下 (20万200円以下) |
4万1,000円以下 (5万3,000円以下) |
2人 | 25万1,000円以下 (27万6,100円以下) |
5万3,000円以下 (6万8,000円以下) |
3人 | 27万2,000円以下 (29万9,200円以下) |
6万6,000円以下 (8万5,000円以下) |
4人 | 29万9,000円以下 (32万8,900円以下) |
7万1,000円以下 (9万2,000円以下) |
※1 東京、大阪など生活保護一級地の場合は()内の基準が適用される。
以下、同居家族が1名増加する毎に基準額に30,000円(33,000円)が加算される。
※2申込者の居住地が東京都特別区の場合、()内の基準が適用される。
資産基準
申込者及び配偶者の有する現金、預貯金の合計額が下記表の基準を満たしていることが要件となります。
人数 | 合計額の基準※1 |
---|---|
1人 | 180万円以下 |
2人 | 250万円以下 |
3人 | 270万円以下 |
4人 | 300万円以下 |
※3か月以内に医療費、教育費等の出費予定がある場合は、その額は控除される
なお、無料相談を受けるための資力基準を満たしているかどうかの目安は、以下のページで判定ができるようです。
民事法律扶助の趣旨に適すること
民事法律扶助の趣旨に適さないとは、報復的感情を満たすだけのための場合などをいうようです。
無料相談の方法
条件を満たしていると判断された場合、無料相談の日時が決められます。
無料相談の方法としては、面接相談のみで、電話相談は行っておりません。
相談時間は1回30分程度で、回数は3回までになります。
面接場所は、基本的には法テラス事務所になりますが、事情によっては出張相談が実施されることもあるようです。
お金に困っており、遠方に直接出向くのが難しい方に適した相談方法といえるかもしれませんね。
㈶日弁連交通事故相談センター
お伝えしたとおり、法テラスでの弁護士の無料相談は一定の資力要件を満たす必要があります。
法テラスの資力要件を満たさない人でも、死亡事故を弁護士に無料相談する方法として、日弁連交通事故相談センターへの相談があります。
日弁連交通事故相談センターとは、以下のような機関になります。
日弁連交通事故相談センター
日本弁護士連合会(日弁連)が自動車事故に関する損害賠償問題の適正かつ迅速な処理を促進等を目的に設立した公益財団法人
法テラスとは異なり、日弁連交通事故相談センターでは資力要件という条件は定められていないようです。
日弁連交通事故相談センターでは、全国159ヶ所(2017年10月時点)の相談所で相談を受け付けています。
お近くの相談所については下記のページからお調べすることができます。
相談できる内容
また、日弁連交通事故相談センターに相談できる内容としては、以下の表のようなものになります。
内容 | 具体例 | |
---|---|---|
① | 損害賠償額の算定 | ・損害の種類 ・損害額算定の具体的方法 など |
② | ・賠償責任の有無 ・過失の割合 |
・損害を賠償する義務の有無 ・事故当事者の過失割合 など |
③ | 賠償責任者の認定 | ・会社所有車の事故、マイカーで会社の仕事中の事故など勤務中の事故 ・下請け会社の起こした事故に対する元請け会社の責任 ・車の貸借中の事故 ・無断転貸や子名義の車の事故に対する親の責任 ・駐車車両の責任 ・盗難車の事故 など |
④ | 損害の請求方法 | 誰にどのように請求すべきか など |
⑤ | 自賠責や任意保険関係の問題 | ひき逃げや無保険車による事故 など |
⑥ | その他交通事故の民事上の法律問題 | ・示談の仕方 ・時効 など |
無料相談の方法
日弁連交通事故相談センターの無料相談には、面接相談と電話相談の二つの方法があります。
面接相談
こちらの方法は、直接相談所に出向いて弁護士と面接の方式で行われる相談です。
ただし、事前の予約が必要が必要なことが多いので、まずは最寄りの相談所に電話をしてみて下さい。
面接の相談時間は約30分となっているそうです。
時間内で有意義な相談を進めるために、
- 交通事故証明書
- 医師による診断書
- 治療費の明細
- 事故前の給与明細
- 自動車保険の証券
などを、可能な範囲で準備しておくと良いでしょう。
電話相談
こちらの方法は、電話で直接弁護士からアドバイスを受けられる方法です。
なお、弁護士への相談は無料ですが、通話料は別でかかるようです。
また、時間は約10分と決められているそうです。
そのため、電話での回答が困難な、損害賠償額の算定や過失割合の判断などの場合は、面接相談でなければいけないようです。
電話相談は、一般的な疑問や質問をしたい場合に適しているかもしれませんね。
また、どちらの方法でも、相談できる回数に制限(原則5回(相談所によっては3回)まで)がある点には注意が必要です。
なお、無料であることに加え、受付時間も平日日中の一定時間だけということから、電話がつながりにくい場合もあるようです。
日弁連交通事故相談センターさんよ、頼むから電話に出てくれ
— YOSUKE (@yo_sukeeeeei) September 6, 2013
一応、その対策として、毎月10日は「拡大電話相談日」とし、受付時間の延長や相談員の増員といった対応が行われているようです。
また、日弁連交通事故相談センターでは、無料相談だけでなく、示談のあっ旋なども行われています。
日弁連交通事故相談センターの示談あっ旋やメリット・デメリットなどより詳細な情報が知りたいという方は、以下のページを是非ご覧ください。
各弁護士事務所の無料法律相談
お伝えしたとおり、日弁連交通事故相談センターは、弁護士に無料相談できる便利な相談窓口ですが、
- 面接相談の受付・相談時間が平日日中の比較的短い期間のみ
- 電話相談できる時間も原則平日日中の比較的短い期間のみで、電話がつながりにくいこともある
- 相談時間に制限があり、事案によっては十分な相談ができない
というデメリットもあります。
そこで、さらに調査をしてみたところ、弁護士事務所が個別に無料相談に応じてくれるところがあるようです。
弁護士事務所への相談のメリット
各法律事務所によっても当然異なりますが、法テラスや日弁連交通事故相談センターに比べ
- 面接相談の受付・相談時間が長い
- 電話相談できる時間が長い
- 実際の相談時間も長くとってもらえる
ことが多いのがメリットといえます。
事務所によっては、夜間や休日の相談にも応じてくれるところもあるようです。
また、事案によっては出張相談に応じてくれる場合があるのも、日弁連交通事故相談センターにはないメリットといえます。
さらに、24時間法律相談予約を受け付けている法律事務所もあるようです。
ただし、ほとんどの事務所は24時間受け付けているのは相談予約で電話してすぐに弁護士に相談できるとは限らないので注意しましょう。
弁護士事務所への相談のデメリット
こちらも、法律事務所によっても当然異なりますが、日弁連交通事故相談センターと異なり
無料なのは初回だけで、2回目以降は有料となる法律事務所もある
ことがデメリットといえます。
スマホで無料相談できる法律事務所
最近ではスマホの普及率も増えましたが、電話相談だけでなく、スマホから
LINE
で弁護士に無料相談できる以下のようなサービスを行っている法律事務所もあるようです。
※無料相談の対象は人身事故のみです。
物損事故のご相談はお受けしておりません。
広告主:アトム法律事務所弁護士法人
代表岡野武志(第二東京弁護士会)
電話相談は24時間対応していないところもあり、連絡できる場所もある程度選びます。
それに対し、LINEからの相談は都合のいい時にいつでも連絡できるのがメリットといえます。
ただし、相談に対する返信が必ずしもすぐに帰ってくるとは限らないので、その点は注意しましょう。
相談をする弁護士探しに困ったら
せっかく弁護士に相談するのであれば、やはり交通事故に熱心な弁護士に相談してみたいですよね。
もっとも、どの弁護士が交通事故に熱心な弁護士かわからないという方も多いと思います。
そんな方におすすめなのが、以下の全国弁護士検索サービスです。
このサービスでは、
- ① 交通事故専門のサイトを設け交通事故解決に注力している
- ② 交通事故の無料相談のサービスを行っている
弁護士事務所のみが掲載されていますので、交通事故に熱心な弁護士を簡単に探すことができます。
ただし、事案の内容によっては、無料相談ができないこともあるので、詳しくは個別の法律事務所に確認していただく必要があります。
このように、お困りの状況に応じた様々な無料相談窓口があります。
死亡事故でお困りのご遺族の方にとっては、弁護士などに相談するだけでも心理的な負担がだいぶ軽減されるかと思います。
少しでもお困りのことがある方は、まずはご紹介したような弁護士への無料相談窓口をご利用してみることをおすすめします。
最後に、ここまでご紹介してきた各無料相談窓口のメリット・デメリットを表にまとめてみましたので、参考にしてみて下さい。
窓口 | 法テラス | 日弁連交通事故相談センター | 各法律事務所※ |
---|---|---|---|
メリット | ・場合により出張相談も可 | ・資力要件不要 ・電話相談もできる |
・受付・相談時間が長め ・実際に相談できる時間が長め ・場合により出張相談も可 |
デメリット | ・一定の資力要件を満たす必要 ・実際に相談できる時間が短い ・電話相談に応じていない |
・受付・相談時間が平日日中のみ ・実際に相談できる時間が短い ・出張相談は行っていない |
・2回目以降は有料の場合あり |
※大まかな傾向であり、各法律事務所によって詳細は異なる
死亡事故の弁護士費用の相場や負担減少法
死亡事故を弁護士に無料相談をし、弁護士への依頼を検討されるようになった方もいらっしゃるかと思います。
もっとも、依頼するかどうかにあたってはやはり弁護士費用がどれ位掛かることになるかはやはり気になるところかと思います。
そこで、ここからは死亡事故での弁護士費用の相場についてお伝えしていきたいと思います。
死亡事故での弁護士費用の相場
着手金
死亡事故の事案では、多くの弁護士事務所は、当初の着手金を無料で依頼を引き受けるところが多いようです。
それは、死亡事故の場合には、ある程度高額の損害賠償金を回収できる見込みが高いことが背景にあります。
もっとも、加害者が自転車の死亡事故の場合、
加害者が保険未加入の場合が多く、資力の問題から最終的に賠償金を回収できる見込みがたたない
ことも多いため、加害者が自転車の死亡事故の場合には、弁護士に依頼するのに着手金が発生する場合が通常の交通事故の場合よりも多いようです。
成功報酬
こちらは弁護士事務所によって様々ではありますが、回収額の10~15%程度を成功報酬としているところが比較的多いようです。
また、当初の着手金を無料としている弁護士事務所では上記の金額に加えて10~30万円程度の金額を成功報酬に加算するところも多いようです。
これは、当初無料としていた着手金の代わりとしての性質を有しているものと考えられます。
実費
実費とは、弁護士が依頼を受けた案件を処理するにあたって実際に支出が必要となった費用のことをいいます。
具体的には
- 裁判を起こす際の印紙・郵券
- 交通費
- 文書取得費用
などが考えられます。
死亡事故の裁判の損害賠償の請求額は高額になることが多く、その場合印紙代も高額になることが多いので、その点は注意が必要です。
また、死亡事故の場合、亡くなられた方とご遺族が離れて暮らしていた場合もあります。
そういった場合に、ご遺族の近くの弁護士事務所に依頼すると、弁護士が事故現場に赴く際の交通費が高額になる場合があります。
さらに、死亡事故の場合には相続関係を証明するために戸籍謄本などを取得しなければいけないことが多く、そのための取得費用も掛かります。
弁護士費用については、一定の相場はあるものの、実際の弁護士費用は弁護士によって様々です。
また、死亡事故の場合には、通常の交通事故の場合以上に実費がどれ位掛かりそうかもよく確認する必要があります。
そのため、死亡事故を弁護士に依頼するときには、弁護士費用がどうなるかよく確認してから依頼することが重要といえます。
負担減少法①弁護士特約の利用
お伝えしたとおり、弁護士費用は回収額に応じた一定額と定められることが多いです。
そして、死亡事故の場合には、回収額が高額になることが多いため、弁護士費用もその分高額になることが多いといえます。
もっとも、死亡事故の被害者遺族としてはできるだけ弁護士費用の負担を減らしたいというのが正直なところかと思います。
そこで、ここからは、弁護士費用の負担を減少させる二つの方法についてお伝えしたいと思います。
まず最初の方法は、被害者側のご家族が加入されている弁護士特約が利用できるかどうかの確認です。
弁護士特約の利用できるかの確認
弁護士特約の有無は、保険に加入した際に保険会社が発行した保険証券に記載されているので、そちらを確認する必要があります。
また、保険証券を紛失した場合や確認してもよくわからない場合には、ご自身の保険会社や代理店の担当者に問い合わせて確認することができます。
家族の弁護士特約を利用できるか
一般的な弁護士特約では、配偶者及び同居の親族の弁護士特約も使えるとされていることが多いです。
また、同居をしていなくても、未婚の子供は家族の弁護士特約を利用できるとされることが多いです。
ただし、保険契約の内容により適用範囲が限定されている場合もあるので、保険証券などからよく確認する必要があります。
弁護士特約の費用の負担の限度額
一般的な弁護士特約では、法律相談費用については10万円、具体的な弁護活動に対する費用については300万円を限度額としています。
ただし、保険契約の内容により限度額が異なる場合もあるので、保険証券などからよく確認する必要があります。
また、保険会社は自社の支払基準に従って弁護士費用を支払うため、限度額の範囲内でも自己負担分が生じることがあります。
さらに、先ほど説明のあったとおり、死亡事故の場合、回収額が高額になることが多いため、弁護士費用もその分高額になることが多いです。
そのため、死亡事故の場合には、弁護士費用が一般的な限度額である300万円を超える場合もあります。
このように、弁護士特約が利用できる場合でも、弁護士費用の自己負担分が生じる場合がある点には注意が必要です。
負担減少法②加害者に費用請求
死亡事故の弁護士費用の負担を減少させる方法として、弁護士特約は非常に有効な手段です。
もっとも、弁護士特約を使用するためには、死亡事故時に自動車の任意保険のオプションである弁護士特約に加入している必要があります。
しかし、残念ながら、死亡事故発生時には加入しておらず、発生後に重要性を実感して加入するということも多いようです。
取引先で死亡事故があってずいぶん揉めたみたい。相手は自賠責のみ加入の自動車。それを聞いた総務部長が通勤で自動車を使用する職員は全員任意保険と弁護士費用特約を義務付けました。
— びゅんびゅん丸 (@gakuenainosato) September 6, 2012
このように、弁護士特約が利用できない場合でも、弁護士費用の負担を減少させる方法として、加害者に費用を請求することが考えられます。
民事裁判の判決
まず、弁護士に依頼して民事裁判を起こす際には、請求額の10%程度の金額を弁護士費用として請求することが多いです。
それに対し、裁判所も判決において、認容した損害賠償額の10%程度の金額を弁護士費用として、支払いを命じることが多いです。
なお、裁判を起こしても、判決ではなく和解で終了する場合には弁護士費用は認められないことが多いようなので、注意が必要です。
示談で加害者に費用請求できる!?
原則として、加害者に弁護士費用を請求するには民事裁判を起こすしかありません。
もっとも、例外的に示談においても、加害者に弁護士費用を請求できる可能性がある場合があります。
それは、加害者の刑事事件の処分が問題となっている場合です。
死亡事故の場合には、通常の交通事故の場合以上に、加害者が刑事裁判において罪に問われる可能性が高いといえます。
そして、刑事裁判では任意保険以外に加害者自身の財産から被害者に賠償したかどうかが処分に影響を与えるようです。
そのため、加害者が自分の刑事処分を軽くするために、加害者自身の財産から弁護士費用相当額を支払う示談に応じることがあります。
例えば、被害者が寛大な処分を望むという嘆願書の作成に協力する代わりに、加害者から示談金名目で弁護士費用相当額を受けとることがあります。
このような交渉テクニックを利用することで、示談の段階でも弁護士費用を加害者に請求することが可能になる場合があります。
なお、弁護士費用を加害者に請求する方法については、以下の記事に詳しく記載されていますので、もっと知りたいという方は是非ご覧下さい。
ただし、弁護士費用の加害者からの回収は、加害者に十分な資力がないとできない点には注意が必要です。
また、必ずしも弁護士費用全額を加害者から回収できるとは限らない点にも注意が必要です。
そういった加害者の事情に左右されず、弁護士費用の負担を減少できる弁護士特約の存在はやはり重要といえます。
方法 | 弁護士特約 | 加害者への請求 |
---|---|---|
メリット | ・加害者の資力に左右されない | ・毎月の保険料負担不要 |
デメリット | ・死亡事故時の特約加入が条件 ・毎月の保険料 |
・加害者の資力に左右 |
死亡事故を弁護士に依頼する必要性とは?
死亡事故を依頼する場合の弁護士費用については、お分かりになっていただけてきたかと思います。
もっとも、決して安くない弁護士費用を支払い弁護士に依頼する必要性については、何となくは知ってても、詳しいことは知らないかもしれません。
そこで、ここからは死亡事故を弁護士に依頼する具体的な必要性について、お伝えしていきたいと思います。
弁護士基準での慰謝料等の請求
第一に、死亡事故を弁護士に依頼する必要性として挙げられるのは、弁護士基準で慰謝料等を請求できるようになることです。
損害賠償金の計算の基準には
- 自賠責保険から支払われる際に用いられる自賠責基準
- 任意保険会社が保険金(示談金)を提示する際に用いられる任意保険基準
- 弁護士が相手側や保険会社と示談交渉する際や裁判となった場合に用いられる弁護士基準(裁判基準)
という3つの基準の相場があります。
そして、死亡慰謝料についての3つの基準での金額は以下のようになっています。
自賠責基準の死亡慰謝料の金額
自賠責基準とは、その名のとおり、加入が義務付けられている自賠責保険から支払われる保険金額を算出する際に用いる基準のことをいいます。
自賠責保険は、被害者の損害を最低限度保障するための保険であることから、自賠責基準での賠償額は低額なものになっています。
そして、自賠責基準では、死亡した場合の慰謝料の金額について
- 死亡本人
- 遺族
の二つに分けて基準を設けています。
死亡本人の慰謝料
死亡本人の慰謝料の金額は、以下のとおり、350万円と定められています。
「死亡本人の慰謝料は、350万円とする。」
出典:http://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/04relief/resourse/data/kijyun.pdf
遺族の慰謝料
また、遺族の慰謝料の金額は、以下のとおり定められています。
これを整理すると、請求権者は被害者の父母、配偶者、子となります。
金額は、
- 1人の場合:550万円
- 2人の場合:650万円
- 3人の場合:750万円
- 被害者に被扶養者(被害者に養われていた人)がいるとき:+200万円
となります。
被害者本人一律 | 遺族※ | 被扶養者がいる場合 | |
---|---|---|---|
350万円+ | 1人 | 550万円 | +200万円 |
2人 | 650万円 | ||
3人以上 | 750万円 |
※ 被害者の両親、配偶者、子のみ
任意保険基準の死亡慰謝料の金額
任意保険基準とは、各任意保険会社が慰謝料などの損害賠償を提示する際に用いる基準のことをいいます。
自賠責保険は最低限度の保障であり、自賠責基準での賠償額では、実際に裁判などで支払を命じられる賠償額をカバーしきれないことも多くなります。
そういった、自賠責の基準を超える部分の支払に備えて、多くの方が自賠責保険とは別に任意保険に加入します。
お伝えしたとおり、任意保険は自賠責を超える部分をカバーするためのものですから、任意保険基準は自賠責基準よりも高くなります。
任意保険基準は、保険会社ごとに基準が異なり、かつ非公開とされているので、詳細はわかりません。
もっとも、かつては各任意保険会社共通の基準が存在し、現在もその基準が基礎になっていると考えられています。
そのかつての各任意保険会社共通の基準の死亡慰謝料の金額は以下の表のようになっています。
被害者の立場 | 金額 |
---|---|
一家の支柱 | 1500万〜2000万 |
母親、配偶者 | 1200万〜1500万 |
その他 | 1300万〜1600万 |
弁護士(裁判)基準の死亡慰謝料の金額
弁護士基準とは、その名のとおり、弁護士が慰謝料などの損害賠償を交渉する際に用いる基準のことをいいます。
弁護士基準は、三つの基準の中で最も高額な基準となっています。
裁判基準
弁護士基準は、過去の裁判を基礎に作成されたもののため、裁判基準とも呼ばれます。
同じ意味の言葉を二つ使うとややこしいので、この記事では、弁護士基準という言葉で説明を進めていきます。
具体的な弁護士基準の死亡慰謝料の金額は以下の表のとおりです。
被害者の立場 | 金額 |
---|---|
一家の支柱 | 2800万 |
母親、配偶者 | 2500万 |
その他 | 2000万〜2500万 |
このように、弁護士基準で死亡慰謝料を請求することにより、最大で1000万円以上もの増額の余地があります。
そして、裁判をすることなく、弁護士基準に近い金額の死亡慰謝料を受け取るためには弁護士に依頼する必要があります。
つまり、弁護士に依頼することは、弁護士基準で慰謝料などを請求することにより早期に高額の賠償金を受け取るために必要であるといえます。
過失割合や賠償金の的確な主張
過失割合の主張
死亡事故においては、過失割合が通常の交通事故以上に争われやすいといえます。
それは大きく
- 賠償金総額が高額のため、過失割合が少し違うだけでも、最終的な支払額が大きく変わる
- 加害者からしか直接話を聞けず、被害者の話を直接聞けない
- 被害者遺族の被害感情
といった理由が考えられます。
そして、過失割合につき、的確な主張を行い、適正な金額の損害賠償金を受け取るには
- 十分な証拠の収集
- 事故状況及び類似判例の分析
が必要であり、これらを行うには弁護士に依頼する必要性が大きいと考えれらます。
損害賠償金の主張
死亡事故の逸失利益につき、慰謝料とは異なり、計算式自体は先程の3つの基準のどれでも基本的には同じです。
もっとも、収入の額や生活費控除率、就労可能年数を何年と考えるかで実際の逸失利益の金額がいくらになるかは大きく異なります。
そして、逸失利益は死亡事故の損害賠償金において大きな割合を占める項目になります。
そのため、示談交渉や裁判においても、収入の額や生活費控除率、就労可能年数を何年と考えるかが争いになることも多いです。
争いになった場合に、適切な主張・立証を行い、適正な損害賠償金を受け取るには専門家である弁護士へ依頼する必要性が大きいといえます。
保険金請求・裁判手続等の援助
さらに、死亡事故を弁護士に依頼する必要性は損害賠償金の示談交渉や民事裁判の代理にとどまりません。
死亡事故の場合、保険金の請求先が複数考えられ、相続などの関係で手続きも煩雑であり、弁護士の援助の必要性が大きいといえます。
また、死亡事故の場合、刑事裁判の被害者参加制度の対象であり、勝手のわからない遺族にとっては弁護士によるサポートが必要であるといえます。
さらに、死亡事故に伴い、遺族は相続の手続をとる必要がありますが、こちらの手続も煩雑で弁護士によるアドバイスや援助の必要性があります。
このように、死亡事故の場合、損害賠償金の示談交渉や民事裁判の代理以外でも弁護士が援助すべき事柄が多く、依頼の必要性が高いといえます。
死亡事故によりご家族を失い、精神的に辛い状況の中、ご自身で加害者側との示談交渉や各種手続を行うことの心理的負担は大変大きいと考えられます。
そんなとき、弁護士に依頼することで、そういった心理的負担から解放されるというのも、上記の点に加え、弁護士に依頼する必要性の一つといえます。
それにより、今後の生活の準備に備えることができるという意味においても、弁護士に依頼する必要性は大きいといえるかと思われます。
死亡事故に関し弁護士に相談されたい方へ
ここまで死亡事故における弁護士に関し、様々な情報をお伝えしてきましたが、読んだだけではわからない疑問が浮かんできた方もいるかもしれません。
スマホで無料相談をしたい方へ
自宅から出られない方や、時間のない方には、便利なスマホで無料相談というものがございます。
24時間365日、専属スタッフが待機するフリーダイヤル窓口で受付しており、いつでも電話できるようになっています。
また、夜間・土日も、電話やLINEで弁護士が無料相談に順次対応しています。
※無料相談の対象は人身事故のみです。
物損事故のご相談はお受けしておりません。
広告主:アトム法律事務所弁護士法人
代表岡野武志(第二東京弁護士会)
また、諸事情により、弁護士事務所に訪問できない方には、無料出張相談も行っているそうです。
まずは、電話してみることから始まります。
きっと、ご遺族の方が取るべき対応について、適切なアドバイスをしてくれるはずです。
地元の弁護士に直接相談をしたい方に向けて
もっとも、大事なことなので直接弁護士と会って相談されたいという方も当然いらっしゃると思います。
また、既に弁護士へのご依頼を決めていて、交通事故に強い地元の弁護士をお探しの方もいらっしゃるかもしれません。
そんなときには、以下の全国弁護士検索サービスがおすすめです。
- ① 交通事故専門のサイトを設け交通事故解決に注力している
- ② 交通事故の無料相談のサービスを行っている
弁護士を特選して、47都道府県別にまとめています。
何人かの弁護士と無料相談したうえで、相性が良くて頼みやすい弁護士を選ぶ、というのもお勧めの利用法です。
最後に一言アドバイス
それでは、最後になりますが、死亡事故でご家族を失われた方に一言アドバイスをお願いします。
交通事故による死亡事故で大切なご家族を失われた方に対しましては、改めて心よりお悔やみ申し上げます。
突然ご家族を失われた悲しみは計り知れないものとお察しいたします。
残されたご家族の悲しみは決して癒えないことかと思いますが、今後の生活のためには、適正な損害賠償金を受け取る必要があります。
そして、死亡事故において適正な損害賠償金を受け取るには、弁護士に依頼するのがもっとも迅速かつ確実な方法といえます。
また、専門家である弁護士がお力を貸せるお悩みや問題もきっとあるかと思いますので、遠慮することなく弁護士に相談だけでもしてみて下さい。
まとめ
いかがだったでしょうか。
このページを最後までお読みの方は、
- 死亡事故を弁護士に無料相談する方法
- 死亡事故の弁護士費用の相場や費用負担を減少させる方法
- 死亡事故を弁護士に依頼する必要性
について理解を深めていただけたのではないかと思います。
これを読んで弁護士に相談してみたいと思われた方もいらっしゃるかと思います。
自宅から弁護士と相談されたい場合には、スマホで無料相談の機能を利用してみて下さい。
そうではなく、やはり直接会ってお話をされたいという場合は、全国弁護士検索を使って弁護士を探してみてください。
また、このホームページでは、交通事故に関する関連記事も多数掲載していますので、ぜひ参考にしてください。
皆さまのお悩みが早く解決するよう、お祈りしています。