後遺障害13級の交通事故慰謝料|1035万円の判例を弁護士が解説
このページでは、後遺障害13級の判例についてご紹介します。
13級に認定される例はまれであり、平成25年度の統計では全認定件数のうち0.93%しか認定された例がないようです。
もし、後遺障害13級が認定された場合、慰謝料や示談金はどのようにして計算されるのか気になりますよね。
こちらの判例では、総額1035万円の損害総額金が認められたようですが、どのような点がポイントになったのでしょうか。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見ていきましょう。
障害等級13級(男・症状固定時50歳)損害額1035万2793円の判例
こちらは、さいたま地方裁判所の第4民事部の判決、平成22年(ワ)3834号事件です。
この事故での主な怪我の内容は、頭部外傷となります。
交通事故の基本情報は
事故の内容は「被害自転車が道路を横断し始めたところ、被害者右方から道路を進行してきた加害車両と衝突した。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 会社経営・団体職員 |
---|---|
性別 | 男 |
年齢 | 症状固定時50歳 |
事故の内容 | 被害自転車が道路を横断し始めたところ、被害者右方から道路を進行してきた加害車両と衝突した。 |
傷害の内容 | 頭部外傷、頭蓋骨骨折、眼球運動障害 |
後遺障害等級 | 13級2号 |
入院 | 9日 |
事故発生が夜間であること、被害者が一時停止等の安全確認を怠り、脇見運転に準じる著しい過失があったことから、被害者の過失割合は50%とされたようです。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 1035万2793円 |
---|---|
うち慰謝料 | 260万円 |
うち休業損害 | 60万円 |
うち逸失利益 | 683万8869円 |
損害総額は1035万2793円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額1035万2793円になりました。
- 慰謝料としては、入院・通院に対する慰謝料が80万円、後遺障害の慰謝料が180万円認められました。
- 休業損害としては、60万円が認められました。
- 逸失利益としては、事故前年の年収674万円を基礎収入とし、労働能力喪失率は9%、労働能力喪失期間は67歳までの17年間として算定されました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの男性は眼球運動障害に伴う複視によって13級2号が認定されたようですが、この判例のポイントはどのような点になりますか?
この被害男性は、正面以外を見たときに複視の症状を残すものとして13級の後遺障害が認定されました。
複視の症状が正面視では現れないとはいえ、目の機能に障害が生じているため労働能力に大きな影響を与えるものといえます。
裁判所は、13級の標準的な労働能力喪失率である9%を前提にして逸失利益を計算しました。
オーソドックスな算定方法がとられた判決であるといえるでしょう。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
慰謝料自動計算機(計算ソフト)を使うと便利
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- 保険会社から提示されている金額が、法律的に正しいかどうか知りたい
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後遺障害13級の慰謝料計算の特徴は?
13級の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
一口に13級と言っても各号ごとに症状は様々ですが、原則として慰謝料は等級に応じて定められ、13級の場合、裁判基準では180万円となっております。
特に争いになりやすいのは逸失利益の項目であり、13級5号の歯科補綴の場合、仕事には支障がないとして、逸失利益を保険会社が否定してくることも多いです。
そのような場合には、職務内容や職務にどのような支障が出ているかを具体的に主張する必要があることがポイントです。
ただし、今申し上げたポイントは一般的・総論的なお話であり、事故に遭われた方のご事情は様々ですので、まずは弁護士等の専門家に相談してみるのが良いかと思います。