後遺障害13級の交通事故慰謝料|865万円の判例を弁護士が解説
このページでは、後遺障害13級の判例についてご紹介します。
交通事故によって後遺障害が残ってしまった場合、被害者には後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益が支払われることになります。
慰謝料や逸失利益には相場基準や計算方法が決められていますが、それぞれの被害者の状況も考慮されることもあります。
こちらの判例では、およそ865万円の損害賠償金が認められましたが、計算のポイントはどのような点だったのでしょうか。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見ていきましょう。
障害等級13級(男・56歳)損害額865万4091円の判例
こちらは、大阪地方裁判所の第15民事部の判決、平成23年(ワ)3676号事件です。
この事故での主な怪我の内容は、右足関節の脱臼骨折となります。
交通事故の基本情報
事故の内容は「被害者がセンター敷地内でトラックを誘導中、後退したフォークリフトが衝突した。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 会社員 |
---|---|
性別 | 男 |
年齢 | 56歳 |
事故の内容 | 被害者がセンター敷地内でトラックを誘導中、後退したフォークリフトが衝突した。 |
傷害の内容 | 右足関節の脱臼骨折、右第2、3、4中足骨骨折、右第2、3楔状骨骨折など |
後遺障害等級 | 13級10号 |
入院 | 0日 |
事故現場は、道路交通法の適用がない作業場で発生したようです。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 865万4091円 |
---|---|
うち慰謝料 | 300万円 |
うち休業損害 | 201万8472円 |
うち逸失利益 | 340万9845円 |
損害総額は865万4091円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額865万4091円になりました。
- 慰謝料としては、通院に対する慰謝料が120万円、後遺障害の慰謝料が180万円認められました。
- 休業損害としては、基礎収入は日額1万5632円、休業日数は121日、賞与減額分は12万7000円が認められました。
- 逸失利益としては、当初5年間については基礎収入を実収入536万7232円とし、労働能力喪失率は9%として209万1127円が認められ、後半5年間については、基礎収入を年齢別(60~64歳)の学歴計男性の431万9700円とし、喪失率9%として131万8718円が認められ、合計340万9845円となりました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの男性は事故によって足指の関節に後遺障害が残ってしまったようですが、この判例のポイントはどのような点になりますか?
足指の機能に障害が残ると、歩行に支障が生じたり、痛みなどの神経症状が残ったりする現実的な支障が生じることが多いです。
この男性は、事故後に4か月程度の休業を行い給料が減額された上、ボーナスも減額される不利益を被りました。
判決では、13級の標準的な喪失率である9%を前提にして逸失利益が計算されました。
裁判所は、後遺障害の等級を基準にして損害額を計算することがよく分かる例といえますね。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
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後遺障害13級の慰謝料計算の特徴は?
13級の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
一口に13級と言っても各号ごとに症状は様々ですが、原則として慰謝料は等級に応じて定められ、13級の場合、裁判基準では180万円となっております。
特に争いになりやすいのは逸失利益の項目であり、13級5号の歯科補綴の場合、仕事には支障がないとして、逸失利益を保険会社が否定してくることも多いです。
そのような場合には、職務内容や職務にどのような支障が出ているかを具体的に主張する必要があることがポイントです。
ただし、これらのポイントは一般的・総論的なお話ですので、より具体的なアドバイスがお聞きになりたい場合は、まずは一度弁護士等の専門家に相談してみることをおすすめします。