交通事故による身体障害でも障害者手帳は申請できる?交付されれば慰謝料が変わる?

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交通事故による身体障害でも障害者手帳は申請できる?交付されれば慰謝料が変わる?

さっそく身体障害の等級表が気になる方はコチラの障害名をクリック↓↓
視覚障害
聴覚又は平衡機能の障害
音声機能、言語機能又はそしゃく機能障害
上肢不自由障害
下肢不自由障害
体幹不自由障害
脳原性運動機能障害
心臓機能障害
じん臓機能障害
呼吸器機能障害
ぼうこう又は直腸の機能障害
小腸機能障害
免疫機能障害
肝臓機能障害

交通事故の被害に遭い、脳挫傷脊髄損傷などの大怪我をしてしまったら…。

骨折などにより、人工関節への置換を余儀なくされたら…。

眼に大怪我を負い、視覚障害が残ってしまったら…。

怪我が完治すれば良いですが、身体が元の機能を失ってしまう身体障害が残ってしまう可能性もあります。

その障害が、後遺障害として認定されるとその分の損害賠償を加害者や相手側の保険会社から受けとることができます。

それ以外に、身体障害者手帳という言葉も聞いたことがありませんか?

身体に障害が残ってしまったのであれば、身体障害申請を行い、支援を受けるのも1つの手ではないかと思います。

しかし、

交通事故による身体障害では障害者手帳申請できる?

その申請はどうすれば良いの?

障害者手帳が交付されるのはどんな身体障害が残ったとき?

など、わからないことだらけだと思います。

そこで今回このページでは、交通事故による身体障害者の等級申請や慰謝料との関係について一緒に勉強していきたいと思います。

なお、専門的な解説は、テレビや雑誌でお馴染みの岡野武志弁護士にお願いしています。

回答者:アトム法律事務所の岡野弁護士

よろしくお願いします。

交通事故の被害に遭われ、心身ともにお辛い日々を送られているとお察しします。

また、何かしらの身体障害が残ってしまった場合、日常生活への影響も大きく、ご本人やご家族への負担は非常に大きいものです。

実際に、交通事故で残った後遺障害でお悩みの方から、これまでに相談を受けてきた経験があります。

今回はその経験も踏まえ、具体的な事例も紹介しながら、わかりやすく解説していきたいと思います。

「身体障害者手帳」という言葉などを聞いたことはあっても、非常に詳しいという方は少ないのではないででしょうか。

よって、まずは身体障害に関する基礎知識から見ていきたいと思います。

身体障害者手帳の申請方法や交付対象について解説

身体障害者手帳の申請方法や交付対象について解説

身体障害者手帳とは?

身体障害者手帳は、事故や病気により身体障害を負った場合に、身体障害者福祉法に基づいて都道府県知事が交付する全国共通のものです。

身体障害者福祉法

身体障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するため、身体障害者を援助、及び必要に応じて保護し、身体障害者の福祉の増進を図ることを目的とした法律。

身体障害者福祉法では、「身体障害者」が以下のように定められています。

第四条 この法律において、「身体障害者」とは、別表に掲げる身体上の障害がある十八歳以上の者であつて、都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けたものをいう。

つまり、身体障害者手帳を持っている人だけが、法律で認められた身体障害者となり、割引や補助金などの様々な支援を受けられるようになります。

身体障害者手帳取得により受けられるサービス(一例)
医療費などの助成
・医療費の助成
・車椅子や補聴器などの補装具の助成
・リフォーム費用の助成
税金の軽減
・所得税
・住民税
・自動車税など
公共料金の割引サービス
・公共交通機関の運賃割引
・高速道路の利用料金割引
・NHKの放送受信料割引
・携帯電話会社の料金割引
・美術館や博物館、動物園など公共施設の入場料割引
障害者雇用での就職
一般採用だけでなく、障害者雇用での募集にも応募可能

逆に、手帳を持っていなければ、いくら身体に障害が残っていても、法律で認められた身体障害者ではありません。

ちなみに、18歳未満で身体に障害がある方のための法律は、児童福祉法になるそうです。

ところで、身体に障害を持っている方でも、「身体障害者」になることを躊躇う方もいらっしゃるかもしれません。

手帳を持つことが嫌なのであれば、申請しなくても問題ないということです。

第十五条 身体に障害のある者は、都道府県知事の定める医師の診断書を添えて、その居住地(居住地を有しないときは、その現在地)の都道府県知事に身体障害者手帳の交付を申請することができる。

身体障害者福祉法にも、「申請することができる」と書かれているので、無理に申請する必要はありません。

ただし、手帳がなければ行政からの支援を受けることはできません。

身体障害者手帳の交付対象は「1級~6級」まで

身体障害者手帳では、その障害の程度に応じて、1級~7級までの等級が定められているそうです。

障害の程度は、等級の数字が小さいほど重く、大きくなるほど障害の程度は軽くなります。

回答者:アトム法律事務所の岡野弁護士

身体障害者手帳の等級が1級、2級だと、重度の障害となります。

ただし、3級でも内部障害の場合は重度の障害と扱われる場合もあります。

7級の等級もありますが、7級では法律上の障害者とは認定されず、身体障害者手帳は交付されません。

1級~6級の方が、身体障害者福祉法での障害者として認定され、障害者手帳が交付されるのですね。

7級の認定であっても、7級の障害が2つ以上重複してある場合は6級となり、身体障害者手帳がもらえることになるそうです。

詳しくは後ほど説明したいと思います。

身体障害者手帳の申請方法

では、身体障害者手帳の交付を望む場合、どのように申請すれば良いのでしょうか。

調べてみたところ、提出先は、住んでいる市区町村の障害福祉の担当窓口 (福祉事務所福祉担当課になるそうです。

申請の際には、基本的に以下の4つが必要となります。

必要書類

① 交付申請書

② 身体障害者診断書・意見書

③ 印鑑

④ マイナンバー

(代理人が申請する場合)

⑤ 代理権の確認書類(委任状や申請者本人の健康保険証など)

⑥代理人の身元確認書類

15歳未満の児童の場合は、保護者が申請することになります。

交付申請書や身体障害者診断書の名称や書式は、市区町村によって異なる可能性があります。

また、必ずしも①~⑥が必要とも限りませんので、詳しくはお住まいの市区町村の障害福祉担当窓口に確認してみてください。

申請取得の流れ

大まかな申請と取得の流れは以下の通りだそうです。

身体障害者手帳の取得の流れ
障害福祉担当窓口で「身体障害者診断書・意見書」の用紙を入手
指定医に「身体障害者診断書・意見書」を記入してもらう
市区町村の障害福祉担当窓口に、「交付申請書」、「身体障害者診断書・意見書」、写真を提出し申請
審査され、障害等級が決定

申請してから障害者手帳が交付されるまで、通常でも1ヶ月~1ヶ月半かかることがほとんどだそうです。

また、次に説明しますが、診断書や意見書の内容によっては、指定医に照会が必要となります。

そうなれば、さらに日数がかかりますし、障害が手帳の交付に該当しないと判断された場合や等級認定に専門審査が必要となった場合などもさらに日数がかかります。

結果、場合によっては3~4ヶ月かかってしまうこともあるそうです。

申請で気を付けるべき点

①身体障害者手帳は障害が永続することを前提とした制度

身体障害者手帳は、実は一度発行されると基本的には更新がなく、生涯使用できるそうです。

つまり、障害が永続することを前提とした制度となっているのですね。

よって、

身体障害の原因となる疾病や外傷を負って間もない時期

発育過程にある乳幼児期

疾病や外傷の治療による一時的な障害である場合

加齢などで日常生活動作が不能となった場合

など、障害が永続しないと考えられる場合については交付が認められないこともあるということです。

②再認定で等級が変わるケースもある

とはいえ、近年は医療技術の進歩やリハビリテーションの効果が向上したことで、障害の程度が軽くなり、将来的に等級に変更が出るケースが多くなってきたそうです。

そのため、再認定の制度を導入する地方自治体も増えてきたそうです。

逆に、進行性の病気の場合など、将来症状が重くなる可能性がある場合にも、再認定制度を導入している自治体もあるようです。

たとえば東京都の場合、障害の程度が変化すると予測される障害者の方は、再認定制度の対象者となっているそうです。

その場合、交付から1~5年後の期日までに、再度医師の診断書を提出するように求められ、等級に変更がないかが改めて審査されることになります。

③指定医による診断書・意見書が必要

また、前に少し話が挙がっていましたが、診断書や意見書は、指定医に記入してもらうことが必須となっているのです。

指定医とは、身体障害者用の診断書を作成できる県知事が指定した医師のことです。

よって、医師なら誰でも診断書が出せるわけではありません。

回答者:アトム法律事務所の岡野弁護士

一方、交通事故の後遺障害の診断書は、通常、自分の担当医師に記入してもらうことになります。

そのため、後遺障害と身体障害者のどちらも申請する場合には、診断書を記載してもらう医師が異なる場合があります。

なお、手間を省くため、後遺障害の診断書を身体障害の指定医師に記入してもらうことも、その医師が同意すれば不可能ではありません。

もっとも、適正な後遺障害等級を認定してもらうには、これまでの経過などを詳しく記入してもらう必要があり、それにはやはり担当医に記載してもらった方が良いでしょう。

これまでの治療を担当してくれた医師が、身体障害の指定医でない場合には、その病院で診断書を作成してくれる医師を聞くか、お住まいの地域の障害福祉担当窓口に教えてもらってください。

④申請の時期は早めに

また、診断書があまりにも古い日付のものだと、手帳の申請時に受け付けてもらえないこともあるそうです。

市区町村にもよりますが、基本的には申請書の提出日から遡り、3ヶ月~1年以内の診断書が必要となるそうです。

診断書を作成してもらった後は、可能な限り早く申請するようにしてください!!

ただし、障害者手帳は申請したからといって、必ず取得できるものではありません。

都道府県によって障害認定基準が違うこともあるようなので、申請にあたってはお住まいの市区町村に確認してみた方が良いでしょう。

交通事故で身体障害の申請はできる?慰謝料への影響は?

交通事故で身体障害の申請はできる?慰謝料への影響は?

身体障害者の申請と交通事故の後遺障害の等級認定の関係は

ところで、身体障害の申請と、交通事故の後遺障害の等級認定にはどのような関係があるのでしょうか。

気になっている方も多いはずです。

医師の判断により、まだ症状固定せず治療は継続する方針ですが、周囲より不便な日常生活を見かねて、身体障害者の申請をしてはどうかと提案を受けました。

治療継続中の状況で、身体障害者の認定を受けた場合、今後、保険会社と後遺障害の等級を認定する際に、身体障害者の等級が影響を受けないかが不明なので、手続きを躊躇しています。

(略)

症状固定まで身障者の申請は控えておいたほうが良いのか(控えたほうが良い場合は、その理由も知りたいです)

それとも症状固定を気にせず、身障者の申請をしても問題ないのか

もしも何か影響するのであれば、どちらかの申請を控えておいた方が良いのか…。

逆に身体障害者手帳の申請はしたくないけれど、それが無いと相手側の保険会社から慰謝料がもらえないのか…。

回答者:アトム法律事務所の岡野弁護士

行政が判断する身体障害の等級認定と交通事故の後遺障害の等級認定は全く別物です。

身体障害の等級認定は、様々な法律によって行政から受けることができるサービスや支援の内容を判断するためのものです。

一方、交通事故の等級認定は、将来得られたはずの利益の損失額や後遺障害慰謝料を決定するためのものになります。

つまり、身体障害者の認定がなくても、後遺障害の慰謝料は受け取れる可能性があるということですね。

逆に交通事故の後遺障害が認められなくても、身体障害は認定され、行政の支援は受けられる可能性があるということになります。

身体障害と後遺障害申請の違い
身体障害 後遺障害
判断権者 行政 自賠責保険
有無による影響 行政から受けられるサービスや支援の内容に影響 後遺障害に対する慰謝料や将来得られたはずの逸失利益の金額に影響

申請する時期についても、お互いに関係ないため、それぞれベストなタイミングで行うようにしてください。

というのも、交通事故による怪我の治療では、相手側の保険会社から治療費を払ってもらえる間に、できるだけ回復するのがベストだからです。

一方の身体障害については、手帳が交付されなければ支援を受けることができないため、早いタイミングで申請を行った方が良いこともあります。

実際に、行政の障害者認定を受けた後も、後遺障害の治療を継続されている方もいらっしゃるそうです。

慰謝料への影響は

また、もうおわかりかと思いますが、身体障害の等級と後遺障害の等級は全く別物なので、身体障害の等級が保険会社による損害賠償に影響することはありません。

後遺障害の慰謝料は、自賠責により認定された後遺障害の等級によって決まるものです。

身体障害者の等級は関係ありません。

身体障害者が交通事故にあった場合の慰謝料は?

ただし、身体障害者の方が交通事故にあった場合には、影響があるかもしれません。

後遺障害の「加重」

では、どのような影響があるのか教えてもらいましょう。

回答者:アトム法律事務所の岡野弁護士

既に身体障害(後遺障害)のある方が、同一部位に傷害を負い、後遺障害の程度が重くなることを「後遺障害の加重」と言います。

基本的には、もともと存在する障害と「同一部位」に「同一系列(神経症状/機能障害などの区分)」の後遺障害が認定されれば、その障害は加重障害として扱われます。

もともと存在する障害は、交通事故が原因だったのか、別の理由で身体障害認定等を受けていたのかどうかを問いません。

そして、加重障害に対する賠償金は、新たな後遺障害に対する賠償金から、もともと存在する後遺障害に対する賠償金が差し引かれることになるのだそうです。

ここで、具体例を見てみましょう。

具体例

① 以前、眼の病気で左眼の視力が0.06となっていた(後遺障害9級に該当)。

② 今回、交通事故に遭い、左眼が失明し、右眼の視力も0.08となり、5級の後遺障害認定がされた。

この場合、今回の事故の慰謝料や逸失利益については、5級を前提とした賠償金から、9級を前提とした賠償金が差し引かれることになります。

弁護士基準での慰謝料を例にすると、賠償されるのは「1400万円(5級)-690万円(9級)=710万円」となってしまいます。

今回の事故で、左眼は変わらず、右眼の視力が0.5に落ちただけの場合は、同じく9級が認定され、後遺障害の程度が①より重くなっているとは言えないので、後遺障害等級申請の結果は「非該当」となってしまいます。

回答者:アトム法律事務所の岡野弁護士

一方、同じ9級であっても、今回の事故で眼の周辺に5cm以上の線状痕が残った場合には、その障害は加重障害とはならず併合され8級となります。

等級併合のルール

ケース 等級併合の方法 具体例
13級以上の後遺障害が2つ以上ある場合 重い方の後遺障害を1級繰り上げる 11級と12級の後遺障害
⇒併合10
8級以上の後遺障害が2つ以上ある場合 重い方の後遺障害を2級繰り上げる 8級と7級の後遺障害
⇒併合5
5級以上の後遺障害が2つ以上ある場合 重い方の後遺障害を3級繰り上げる 5級と4級の後遺障害
⇒併合1

ちなみに、1つが14級の認定であった場合には、等級は繰り上がらず、重い方の等級のまま認定されるということです。

たとえば、14級11級の後遺障害を負った場合には、併合11級の認定を受けることになります。

身体障害者手帳の後遺障害等級表について解説

身体障害者手帳の後遺障害等級表について解説

では、ここからは身体障害の後遺障害等級表について見ていきましょう。

以下で紹介するのは、厚生労働省の等級表になります。

ただし、繰り返しになりますが、自治体ごとに障害認定基準が異なることもあり得ます。

最終的には、住んでいる市区町村の障害福祉担当窓口で確認してみてください!

身体障害者手帳の交付に関する「後遺障害等級表」

以下に、身体障害者手帳の交付に関する後遺障害等級表を示しました。

それぞれの「障害名」をクリックすると、詳しい認定の等級表を見ることができます。

等級表は、旅客運賃割引の対象となるかどうかによって、第一種(対象)と第二種(対象外)に分けられているそうです。

身体障害者障害程度等級表(第一種)
視覚障害
1級、2級①~②、3級①~②、4級①
聴覚又は平衡機能の障害
聴覚障害 平衡機能障害
2級、3
肢体不自由
上肢 下肢 体幹 乳幼児期以前の非進行性の脳病変による脳原性運動機能障害
上肢機能 移動移動
1級①~②
2級①~②
1級①~②
2級①~②
3級①
1
2級①~②
3
1
2
1
2
3
心臓機能障害
1級、3級、4
じん臓機能障害
1級、3級、4
呼吸器機能障害
1級、3級、4
ぼうこう又は直腸の機能障害
1級、3
小腸機能障害
1級、3級、4
ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害
1級、2級、3級、4
肝臓機能障害
1級、2級、3級、4
身体障害者障害程度等級表(第二種)
視覚障害
4級②、5級①~②、6
聴覚又は平衡機能の障害
聴覚障害 平衡機能障害
4級①、4級②、6級①、6級② 3級、5
音声機能、言語機能又はそしゃく機能障害
3級、4
肢体不自由
上肢 下肢 体幹 乳幼児期以前の非進行性の脳病変による脳原性運動機能障害
上肢機能 移動移動
2級③~④
3級①~⑤
4級①~⑧
5級①~⑥
6級①~③
7級①~⑥
3級②~③
4級①~⑥
5級①~③
6級①~②
7級①~⑥
5 3
4
5
6
7
4
5
6
7
ぼうこう又は直腸の機能障害
4

場合によっては7級まで認定されることがありますが、お伝えの通り、身体障害者手帳の交付は1~6級に該当する場合のみとなっています。

2つ以上の障害がある場合の等級認定

ところで、交通事故で身体障害が残るような大怪我を負った場合、怪我をしたのが1ヶ所だけとは考えにくいですよね。

よって、2つ以上の障害が残ってしまう可能性も考えられます。

2つ以上の障害がのこってしまった場合には、重複する障害の合計指数に応じて認定されるのだそうです。

ちなみに、各等級ごとの指数は以下の通りです。

各等級ごとの指数
等級 等級の指数
1 18
2 11
3 7
4 4
5 2
6 1
7 0.5

そして、等級を合計して以下のようになれば、等級が繰り上がることになります。

認定等級合計指数の関係
認定等級 合計指数
1 18以上
2 1117
3 710
4 46
5 23
6 1

つまり、同一の等級について、2つの重複する障害がある場合は、等級が1つ繰り上がることになります。

よって、肢体不自由に関して、7級に該当する障害が2つ以上重複すれば、0.5+0.5=1で6級が認定され、障害者手帳が交付されることになります。

また、異なる等級で2つ以上の重複する障害がある場合についても、障害の程度を考慮して、その等級より上位の等級が認定されることになりそうです。

ちなみに、同じ上肢、下肢の中での重複や、両上肢の重複の場合を除いて、重複障害で3級以上となったものについては、第一種に該当するようになるそうです。

等級繰り上がりの特例

ただし、たとえば同じ上肢に重複して障害が残った場合、その1上肢に関する合計指数は、

機能障害のある部位(機能障害が2ヶ所以上ある場合は上位の部位)~上肢を欠いた場合の等級に対応する指数の値を限度とする

という特例ルールがあるそうです。

具体例

たとえば、左手のすべての指を失い(3級:指数7)、さらに左手指の関節も全廃(4級:指数4)してしまったとします。

等級からもわかるように、手指の関節が全廃するよりも、手の指を失う方が重い障害となります。

よって、「左上肢のすべての指を欠くもの」の等級認定が限度となってしまうそうです。

つまり、この場合の合計指数は11(=2級)ではなく、7(=3級)となります。

等級繰り上がりの具体例
等級 指数
左手のすべての指を失った 3級④ 7
左手指の関節が全廃した 4級③ 4
合計指数 7
11

【具体例】それぞれの障害には障害者手帳が交付される?その等級は?

【具体例】それぞれの障害には障害者手帳が交付される?その等級は?

ここまで、身体障害の等級について見てきました。

では、具体的な診断名では、どのような障害者手帳が交付されるのでしょうか?

具体例①高次脳機能障害

交通事故などで頭を強く打った場合、脳挫傷などにより高次脳機能障害という後遺障害が残ってしまう可能性があるということです。

高次脳機能障害となった場合には、主に以下のような症状が現れます。

高次脳機能障害の症状例
症状 症状の例
失語症 ・相手の言葉を理解できない
・うまく言葉が出てこず、なめらかに話せない
記憶障害 ・自分が何者でどこにいるのかわからない
・今がいつなのかわからなくなる
病識欠如 ・以前の人格と違うことに気づかない
失行症 ・体を思うように動かせず、道具をうまく使えない
失認症 ・物の形や色、触っているものが何かわからない
意欲・発動性低下 ・以前と比べてやる気が沸かない
・すぐ眠ってしまう

その他、身体の麻痺として、片麻痺運動失調が現れるケースもあるということです。

麻痺や運動失調が現れた場合には、身体障害として認定される可能性がありそうですね。

では、高次脳機能障害を負った場合、どのような障害者手帳が交付されるのでしょうか?

身体障害者手帳

片麻痺や失語症などについて、身体障害の等級が認定され、身体障害者手帳交付の対象となる可能性があります。

片麻痺とは、左右どちらか片側の上肢と下肢の麻痺のことです。

もしもそうなった場合には、肢体不自由障害として、1~3級が認定される可能性があります。

また、失語症の場合には、その程度によって、音声機能障害3級4級が認定される可能性があります。

精神障害者保健福祉手帳・療育手帳

高次脳機能障害の場合、身体障害の他に、人格が変わってしまったり、記憶障害に陥ったりといった障害も現れる可能性があります。

そこで、知的障害発達障害についても認定の可能性があるそうです。

まず、高次脳機能障害は、器質性精神障害(ICD10のFコード)に分類され、精神障害者保健福祉手帳の対象となります。

この障害者手帳を取得することで、税の控除や各種減免の対象となるほか、障害者雇用の対象にもなります。

また、18歳未満の方が発症した場合、知的能力の低下がある(おおむねIQ70以下)場合は、療育手帳の対象にもなるそうです。

こちらの障害者手帳でも、公共交通機関の割引や、保育・教育面での援助を受けることができるようになります。

また、すべての手帳を同時に持つことも可能なようです。

ご家族や市区町村の障害福祉担当窓口と相談しながら、取得を検討してみるのが良いのではないでしょうか。

具体例②遷延性意識障害

交通事故で脳挫傷など、頭部に外傷を負った場合、意識不明の状態から回復できないこともあります。

それが、遷延性意識障害です。

植物状態と言った方が分かりやすいかもしれません。

遷延性意識障害の場合、意識はないものの、呼吸機能や心臓機能など、内部機能については自力で行うことができます。

しかし、意識は戻らないため、自力で起き上がったり、話したりすることはできません。

よって、病院で遷延性意識障害となった場合の障害者手帳は、ほぼ身体障害者手帳の1級(場合によっては2級)のものが交付されるでしょう。

1~2級が認定されれば、ほとんどの医療機関で治療費が無料となったり、月500円などの大幅な負担減となるそうです。

障害者手帳を持つことに抵抗はあるかもしれませんが、症状固定により相手側の保険会社からの治療費の支払いがなくなった場合でも、治療費に悩まされることが少なくなります。

また、ひき逃げや事故の相手が無保険だった場合など、加害者から損害補償を受け取れない場合にも有効となるはずです。

申請のタイミング

ところで、被害者の方が遷延性意識障害となってしまった場合に困るのが、患者名義でないと行えない契約や手続きなどです。

被害者ご本人は意識がないため、意思表示を行うこともできません。

成年後見人の申し立て

そこで、家庭裁判所に対して成年後見人の申立てを行い、本人に代わって意思表示をする成年後見人を選任して貰うことになるそうです。

回答者:アトム法律事務所の岡野弁護士

成年後見人の申し立ての際に、被害者ご家族の方を成年後見人の候補者として申し立てすれば、多くの場合ご家族の方が成年後見人に選任されます。

その後、成年後見人に選任されたご家族が、被害者ご本人に代わって弁護士に委任するなどの手続きを行うことになります。

ちなみに、被害者が未成年の場合には、両親が法定代理人として損害賠償交渉を行う権利があるそうです。

よって、特に上記のような手続きを行わなくても問題ないということになります。

回答者:アトム法律事務所の岡野弁護士

一方、障害者手帳があれば、成年後見制度などを行わなくても、後遺障害の申請や相手側保険会社との交渉ができる可能性もあります。

成年後見人の申し立てを行わなくて良いのであれば、ご家族の方の負担もだいぶ減るのではないでしょうか。

よって、担当医師と相談して、なるべく早い段階で申請した方が良いと言えるでしょう。

とはいえ、遷延性意識障害はわずかですが、回復の可能性があります。

先ほど、障害者手帳では症状が永続する場合に認定されるという話が出ていました。

回復の可能性がある中で、なるべく早くとは…どのタイミングで身体障害の申請ができるのでしょうか。

回答者:アトム法律事務所の岡野弁護士

遷延性意識障害については、医師が常時の医学的管理が必要でないと診断できる時点で認定することとし、一般的には1月間に1~4回の往診により管理可能な程度をその目安とします。

また、入院中であっても、原疾患についての治療が終了し、医師が医学的、客観的な観点から機能障害が永続すると判断できるような場合には、その障害程度で認定することになります。

ご家族内や担当の医師と相談しながら、申請することを検討されてみてはいかがでしょうか。

具体例③脳挫傷

ここまでで紹介した高次脳機能障害や遷延性意識障害の原因となる脳挫傷ですが、脳挫傷の後遺症としてはそれ以外にも外傷性てんかん視力障害などが考えられます。

脳挫傷で考えられる後遺障害
後遺障害名 概要
遷延性意識障害 ・重度の昏睡状態が継続
・植物状態とも呼ばれる
高次脳機能障害 ・人格変化、記憶保持などの知的側面に異常が生じる
外傷性てんかん ・反復性の発作を伴う脳疾患
・意識障害や転倒、状況にそぐわない行動を示す
視力障害 ・視力が最低でも0.6まで低下
・失明

てんかんについては、身体障害というよりも、精神疾患として精神障害者保健福祉手帳が交付される可能性があります。

一方、視力障害については、視力の低下度合いによって、視覚障害1級~6級の身体障害が認定され、障害者手帳が交付されることになります。

具体例④脊髄損傷

ここまでは脳関係による障害でしたが、交通事故で打ちどころが悪い場合、脊髄損傷を負ってしまう可能性もあります。

脊髄が損傷してしまった場合、脊髄は元に戻ることはありません。

また、人工的に再生させる方法もないというのが現実ということです…。

よって、根本的な治療が無いため、脊髄損傷の後遺症である身体の麻痺が、そのまま後遺障害として残ってしまう可能性が高いということになります。

麻痺の程度は以下のように定められており、脊髄損傷の場合、軽度~高度な麻痺すべてが残る可能性があります。

厚生労働省の通達による「麻痺の程度」
麻痺の程度 具体例
高度 障害のある部位の運動性・支持性がほぼ失われ、その部位の基本動作ができない ・完全硬直
・物を持ち上げられない
・歩けない
・その他上記のものに準ずる場合 など
中等度 障害のある部位の運動性・支持性が相当程度失われ、基本動作にかなりの制限がある ・約500gの物を持ち上げられない
・字が書けない
・足の片方に障害が残り、杖や歩行具なしでは階段を上れない又は両足に障害が残り、杖や歩行具なしでは歩行が困難
軽度 障害のある部位の運動性・持続性が多少失われ、基本動作に制限がある ・文字を書くことが困難
・足の片方に障害が残り、歩行速度が遅く、不安定又は両足に障害が残り、杖や歩行具なしでは階段を上れない

脊髄損傷を負った場合の障害者手帳は、肢体不自由障害の認定基準に照らして交付されることになります。

たとえば、高度の四肢麻痺が残った場合には1級、片方の足に高度の単麻痺が残った場合には3級の認定の可能性があります。

一方、運動性や支持性、手先の器用さなどについての支障がほとんど認められない程度の軽微な麻痺の場合には、後遺障害は12級の可能性がありますが、身体障害の認定は下りない可能性もあります。

具体例⑤圧迫骨折

また、特に骨の密度が少なくなっているご高齢の方では、脊椎を圧迫骨折してしまうことも多いようです。

脊椎とは、頸椎(7椎、まれに8椎)、胸椎(12椎)、腰椎(5椎)、仙椎(5椎)および尾椎(3~6椎)で構成されるものです。

圧迫骨折とは、ポキッと折れるのではなく、グシャッと骨が押しつぶされるように変形してしまう状態のことです。

脊椎圧迫骨折の後遺症としては、主に脊柱の変形障害や脊柱の運動障害が考えられます。

また、圧迫骨折を負った部分に痛み痺れなどの神経症状が残ってしまうこともあるようです。

胸椎を圧迫骨折した場合では、骨折部位付近を通る膀胱の働きを司る神経を損傷することで、頻尿排尿障害などの膀胱の機能の障害が残る可能性もあるそうです。

また、胸椎圧迫骨折の影響で、腰部の保持に困難があり、常に硬性補装具を必要となるケースも考えられるそうです。

さらに、頸椎や胸椎の後ろには、脊髄が通っています。

圧迫され潰れた骨により、脊髄に傷が付けば、麻痺などの後遺障害が残ってしまうことも考えられるでしょう。

脊髄損傷による麻痺の場合の身体障害については、具体例④をご覧ください。

一方、脊椎圧迫骨折で交付される障害者手帳としては、脊柱の変形や運動障害の程度によって、体幹不自由障害の認定基準に照らし、1~3級、または5級認定の可能性があります。

一方、排尿障害については、

先天性疾患による神経障害

直腸の手術や自然排尿型代用ぼうこう(新ぼうこう)による神経因性ぼうこう

が要件となっているため、身体障害の基準に該当しない可能性もあります。

詳しくは、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口に相談してみてください。

また、痛みや痺れが残っているだけの場合にも、身体障害の障害者手帳は交付されないかもしれません。

具体例⑥人工関節

他に、交通事故の衝撃により、複雑骨折、骨壊死となってしまった場合には、関節を人工のものに置換する必要があります。

人工関節を入れた場合の後遺障害は可動域制限の程度により等級の差はあれど、必ず認定されます。

そして、2014年4月より前には、人工関節に置換した時点で、身体障害も必ず認定されていたそうです。

しかし、医療技術の進歩により、人工関節などへの置換を行っても、社会生活に大きな支障がない程度まで日常生活活動が改善される方が多くなりました。

よって、医学的見地から検討が行われ、2014年4月から認定される等級が以下のように見直されたそうです。

人工関節の身体障害等級の見直し
以前
①股関節・膝関節に人工関節等を置換している場合は一律4
②足関節に人工関節等を置換している場合は一律5
20144月以降
置換術後の障害の状態(関節可動域など)を評価し、術後の経過の安定した時点での関節可動域等に応じて認定
【股関節・膝関節】
4級、5級、7級、非該当のいずれかに認定
【足関節】
5級、6級、7級、非該当のいずれかに認定

その結果、人工関節を入れた場合に障害者手帳が交付されるためには一定の条件が必要となりました。

総括

以上、交通事故による怪我や後遺障害で障害者手帳が交付されるかどうかを見てきました。

ただし、すでにお伝えの通り、自治体などにより認定基準は異なるため、詳しくは市区町村の障害福祉担当窓口に問い合わせてみてください。

後遺障害の申請との兼ね合いに不安などがある場合には、弁護士に相談してみてくださいね。

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以上、交通事故により身体障害の後遺障害が残った場合の身体障害者への等級認定について理解を深めていただけたでしょうか。

身体障害者手帳を取得することで、行政から様々な支援を受けられる可能性があります。

しかし、交通事故で後遺障害が残ってしまったことについては、相手側の保険会社からも補償してもらうべきです!

しっかりと補償を受け取るためには、今すぐ弁護士に相談したい!と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、弁護士の知り合いなんていないし、全国に約4万人いる弁護士の中から、誰に相談すれば良いのかなんてわかりませんよね。

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最後に一言アドバイス

それでは、最後になりますが、身体障害の後遺障害や慰謝料についてお悩みの方に一言アドバイスをお願いします!

回答者:アトム法律事務所の岡野弁護士

交通事故で大怪我を負われた場合、まずは、医師の診断を受け、じっくり療養し、お大事になさってください。

それでも残念なことに身体のどこかに後遺障害が残ってしまった場合は、弁護士に相談することをお勧めします。

なぜなら、日常生活に支障が及ぶような後遺障害が残るような場合、適正な金額の補償を受けるべきだからです。

しかし、保険会社から示談金を提示され、書類にサインしてしまうと、あらためて慰謝料などを請求することは極めて困難になります。

そうなる前に、ぜひ弁護士無料相談を活用してみてください。

面倒な手続きや交渉などのお力にもなれるはずです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

最後までお読みいただけた方には、

交通事故による身体障害では障害者手帳申請できる

その場合の申請方法

障害者手帳が交付される身体障害の内容

などについて、理解を深めていただけたのではないかと思います。

また、交通事故の怪我による後遺障害について、弁護士に相談した方が良いと感じた方もいらっしゃるでしょう。

自宅から出られない方や、時間のない方は、便利なスマホで無料相談を利用するのがおすすめです!

そうではなく、やっぱり直接会って話がしたいという場合は、全国弁護士検索を使って弁護士を探してみてください。

また、このホームページでは、交通事故の後遺障害に関するその他関連記事も多数掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください!

この記事の監修弁護士

岡野武志弁護士

アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階

第二東京弁護士会所属弁護士。登録番号37890。大阪府生。高校卒業後渡米。ニューヨークから帰国後、司法試験に合格し、アトム東京法律事務所を設立。誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応するために、全国体制の弁護士法人を構築。年中無休24時間体制で活動を続けている。

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