後遺障害4級の交通事故慰謝料|1億3257万円の判例を弁護士が解説
このページでは、後遺障害4級の判例についてご紹介します。
こちらの判例の被害者は、交通事故によって左足を失ってしまいました。
今まで自由に動かせていた足を失ってしまったつらさは、ご本人にしか分かりません。
慰謝料や示談金は、被害者にとって十分に支払われるのか気になりますよね。
この判例では、約1億3257万円の損害賠償金が認められたようですが、どのような点がポイントになったのでしょうか?
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見ていきましょう。
障害等級4級(男・症状固定時43歳)損害額1億3257万1483円の判例
こちらは、さいたま地方裁判所の第4民事部の判決、平成22年(ワ)2231号事件です。
この事故での主な怪我の内容は、左下腿挫創、脳震盪症となります。
交通事故の基本情報
事故の内容は「道路左側端を歩行していた被害者に、後方から大型貨物自動車が衝突した。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 社団法人勤務 業務課長 |
---|---|
性別 | 男 |
年齢 | 症状固定時43歳 |
事故の内容 | 道路左側端を歩行していた被害者に、後方から大型貨物自動車が衝突した。 |
傷害の内容 | 診断名不明 |
後遺障害等級 | 併合4級(左下腿挫創による左下腿部欠損:5級5号および左下腿部欠損に伴う左膝関節の機能障害:10級11号により5級相当、左下腿挫創による左下腿の瘢痕:12級相当、左背部の線状痕および左臀部の瘢痕:14級相当) |
入院 | 383日 |
左足の欠損や機能障害などによって併合4級が認定されたようです。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 1億3257万1483円 |
---|---|
うち慰謝料 | 2120万円 |
うち休業損害 | 2245万7688円 |
うち逸失利益 | 6748万5088円 |
損害総額は1億3257万1483円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額1億3257万1483円になりました。
- 慰謝料としては、傷害慰謝料が450万円、後遺障害の慰謝料が1670万円が認められました。
- 休業損害としては、休業日数1542日につき日額1万4564円が認められました。
- 逸失利益としては、基礎収入は前年の年収531万6000円、労働能力喪失割合は92%、喪失期間は症状固定時の43歳から67歳までの24年として算定されました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの男性は事故によって左足に大きな後遺障害が残ってしまったようですが、この判例のポイントはどのような点になりますか?
本件での問題となった事項の一つに、家屋改造費用があげられますが、判決では結論として、バリアフリーその他家屋改造費用を生活に必要な限度で損害として認めました。
そこでは、被害者が義足での生活を余儀なくされ将来的に車椅子へ移行することが考えられること、一人暮らしで他に身寄りがいないという事情を考慮しています。
障害が重篤になればなるほど当然一人での日常生活が困難になりますので、5級以上の障害では、将来付添費や家屋改造費が認められるケースもあるといえます。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
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後遺障害4級の慰謝料計算の特徴は?
4級の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
一口に4級と言っても各号ごとに症状は様々ですが、原則として慰謝料は等級に応じて定められ、4級の場合、裁判基準では1,670万円となっております。
特に争いになりやすいのは逸失利益の項目であり、4級の場合、自賠責基準では計算の基礎となる労働能力喪失率を92%としていますが、実際にはそこまでの仕事への支障がないとして、保険会社が自賠責基準よりも低く主張してくることもあります。
上に挙げられている裁判例のように、職務内容により、片腕や片脚を失った(4級4号及び5号)としても、仕事がほとんどできなくなったとまでは言えない場合がある反面、運転手の両目の視力が0.06以下(4級1号)になれば、運転手は続けられないなど、職務内容や職務にどのような支障が出ているかを具体的に主張することが必要となります。
ただし、今申し上げたポイントは一般的・総論的なお話ですので、被害者の方々の事情によって異なることもあります。
また、後遺障害に関しては、医学的・法律的な知識が必要となってくるので、もし後遺障害でお悩みの場合は、まずは一度弁護士等の専門家に相談してみるとよいでしょう。