【歯科用】後遺障害診断書の書き方|ひな形のダウンロードもご紹介!

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【歯科用】後遺障害診断書の書き方|ひな形のダウンロードもご紹介!

後遺障害交通事故で歯が折れた場合にも認められることはあるの?」

「交通事故の怪我の治療のために削った歯も後遺障害の対象になるの?」

後遺障害診断書歯科用の場合書き方注意点ポイントは?」

交通事故の被害者の方の中には、歯が折れたことなどを理由に、後遺障害の診断書を歯科医にお願いしようと考えている方がいらっしゃるかと思います。

交通事故に巻き込まれるというのは、はじめての方が多いでしょうから、後遺障害診断書の歯科用の注意点やポイントを知らなくても当然かと思います。

しかし、後遺障害診断書の歯科用の注意点やポイントを理解しておかないと、適切な後遺障害が認定されず、損をしてしまう可能性があるんです!

このページでは、そんな方のために

  • 後遺障害は歯が折れた場合にも認められるのか
  • どういった歯が後遺障害の対象となるのか
  • 後遺障害診断書の歯科用の書き方の注意点やポイント

について、徹底的に調査してきました!

専門的な部分や実務的な部分は交通事故と刑事事件を数多く取り扱っている岡野弁護士に解説をお願いしております。

弁護士の岡野です。よろしくお願いします。

適切な後遺障害等級が認定されるかどうかによって、受け取れる交通事故の損害賠償額は大きく変わることになります。

そして、適切な後遺障害の等級が認定されるかどうかは、後遺障害診断書書き方が極めて重要です。

もっとも、歯科の場合は書式も異なり、様々な注意点ポイントがあります。

適切な損害賠償額を受け取れるよう、歯科用の後遺障害診断書についてしっかり理解しておきましょう。

交通事故にあわれた方の中には、以下のツイートをされたような方もいらっしゃいます。

歯が折れてしまった場合、今後の生活に支障が出るかと思いますが、後遺障害は歯が折れた場合にも認められるのでしょうか?

まずは、歯が折れた場合の後遺障害について確認していきましょう。

後遺障害は歯が折れた場合にも認められる!?

後遺障害は歯が折れた場合にも認められる!?

歯が折れた場合の後遺障害等級

自賠責保険は、歯の後遺障害について、歯科補てつを加えた歯の本数に応じて、以下の表のとおり、後遺障害の等級・号数を定めています。

歯牙障害による等級認定基準
等級 号数 後遺障害
第10級 4号 14歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
第11級 4号 10歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
第12級 3号 7歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
第13級 5号 5歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
第14級 2号 3歯以上に対し歯科補てつを加えたもの

残念ながら、歯の本数が2本以下の場合には、自賠責保険の等級認定基準には該当しないんですね・・・。

歯が折れた場合の後遺障害慰謝料

そして、後遺障害が認定された場合の後遺障害慰謝料相場は以下の表のようになっています。

なお、検証のため、自賠責基準での慰謝料と弁護士基準での慰謝料を表に記載しています。

歯牙障害の後遺障害慰謝料
等級・号数 自賠責基準 弁護士基準
第10級4号 187万円 550万円
第11級4号 135万円 420万円
第12級3号 93万円 290万円
第13級5号 57万円 180万円
第14級2号 32万円 110万円

自賠責基準と弁護士基準とでは3倍位もの差があるんですね!

このように、弁護士に依頼した場合には、後遺障害慰謝料の大幅な増額が見込めるため、必ず弁護士に依頼すべきといえます。

後遺障害の対象となる歯科補てつとは?

後遺障害の対象となる歯科補てつとは?

歯科補てつとは

もっとも、後遺障害の等級認定基準である「歯科補てつを加えたもの」とは、どこまでのものを意味するのかはっきりわからないかと思います。

そこで、「歯科補てつを加えたもの」とは何を意味するかについて、詳しくご紹介していきたいと思います。

喪失したものは当然含まれる

交通事故により、歯が丸ごと吹き飛んでしまうことにより、歯を喪失してしまうことがあります。

このように、喪失してしまった歯については、当然後遺障害の対象となることになります。

欠損は歯冠部の3/4以上

また、交通事故により、歯が折れてしまうことにより、歯を欠損してしまうことがあります。

この場合、歯冠部体積の3/4以上を欠損した歯のみが後遺障害の対象となることになります。

なお、歯冠部とは、歯茎の上の外から見える部分のことをいいます。

治療による抜歯も含まれる

また、交通事故により、喪失・欠損しなかった歯についても治療の必要上、歯を抜歯することがあります。

このように、治療の必要上抜歯した歯も後遺障害の対象となることになります。

治療による切除は歯冠部の3/4以上

また、交通事故により、喪失・欠損しなかった歯についても治療の必要上、歯を切除することがあります。

具体例としては、

事故で歯を欠損・抜歯した後、無くなった歯の部分に人工歯を設置すべく、両サイドの歯を削り橋のように3本繋がった人工歯を被せるブリッジ

などが挙げられます。

この場合、歯冠部体積の3/4以上を切除した歯のみが後遺障害の対象となることになります。

なお、歯冠部とは、歯茎の上の外から見える部分のことをいいます。

後遺障害の対象となる歯
状態 後遺障害の対象 条件
喪失
欠損 歯冠部体積の3/4以上
抜歯 治療の必要性
切除 ・治療の必要性
・歯冠部体積の3/4以上

見ていただいたとおり、欠損・切除した歯が後遺障害の対象となるのは歯冠部体積の3/4以上の場合に限定されます。

そのため、

  • 事故により、歯(歯冠部体積)が半分折れた
  • 補てつのために歯の一部を削ったが、削ったのは歯(歯冠部体積)の半分

の場合、その歯は後遺障害の対象とはならないことになるので、注意しましょう。

ただし、

事故により欠損したのが歯冠部体積の3/4以下でも、その後の治療で削る(切除する)ことにより、歯冠部体積の3/4以上を失った

場合、その歯は後遺障害の対象となることになります。

後遺障害の対象でない歯もある

歯についての後遺障害等級は、ご覧頂いた認定基準の歯となった本数によって定まることになります。

もっとも、歯の中には後遺障害の認定上、対象とならない歯というものも存在します。

ここからは、後遺障害の対象とならない歯について個別に見ていきたいと思います。

親知らずは対象外

自賠責保険の後遺障害の認定上、第三大臼歯、いわゆる親知らずの歯については、認定の対象外となっています。

その理由は必ずしも明確ではありませんが、個人差があり、生え揃わないこともあるからではないかと考えられています。

乳歯も原則対象外

また、自賠責保険の後遺障害の認定上、いわゆる乳歯についても、原則認定の対象外となっています。

その理由は将来的にはいわゆる永久歯が生えてくるからではないかと考えられます。

ただし、事故により永久歯の萠出が見込めない場合には、上記の理由が当てはまらないので、例外的に後遺障害の対象となります。

補てつ済の歯は事故前から欠損扱い

さらに、自賠責保険の後遺障害の認定上、事故前から補てつ済みの歯は事故前から欠損していた歯として扱われます。

そのため、事故前から補てつしていた歯が事故により喪失したとしても、自賠責保険上は事故により喪失したとは扱われないことになります。

重い虫歯の歯も事故前から欠損扱い

最後に、自賠責保険の後遺障害の認定上、事故前から最も重い虫歯の状態であるC4の歯も事故前から欠損していた歯として扱われます。

そのため、事故前からC4の虫歯の状態であった歯が事故により喪失したとしても、自賠責保険上は事故により喪失したとは扱われないことになります。

注意点としては、補てつ済みの歯及びC4の虫歯の歯は、既存障害の歯として現存障害の歯にカウントされるということです。

このあたりはややこしいところですが、理解しておかないと実際に受け取れる後遺障害慰謝料の見込みが立てられないことになります。

後遺障害の対象とならない歯
既存障害 事故による後遺障害
親知らず 扱われない 扱われない
乳歯※ 扱われない 扱われない
補てつ済みの歯 扱われる 扱われない
C4の虫歯 扱われる 扱われない

※例外あり

後遺障害診断書の歯科用の書き方の注意点やポイント

後遺障害診断書の歯科用の書き方の注意点やポイント

後遺障害診断書は歯科だと書式が異なる

自賠責後遺障害診断書には所定の書式があり、その書式を用いるのが一般的となります。

そして、その後遺障害診断書は、歯科の場合、通常のものとは異なる書式が用いられます。

後遺障害診断書の歯科用のダウンロード

では、その自賠責後遺障害診断書歯科用の書式はどこで入手するのでしょうか?

実は、入手方法はいくつか考えられ、

  • 自賠責保険会社に請求する
  • 相手方任意保険会社に請求する
  • 病院に請求する

などが考えられます。

ただし、後遺障害診断書の書式を保有していない病院もあるので注意しましょう。

もっとも、わざわざどこかに連絡して請求するのは面倒くさいという方もいらっしゃるかと思います。

そこで、以下のページから自賠責保険の後遺障害診断書の歯科用の書式をダウンロードできるようにしておきましたので、ご利用してみて下さい。

歯科用の書き方の注意点やポイント

後遺障害診断書歯科用の書き方は、通常の後遺障害診断書にも増して重要といえます。

冒頭で見たとおり、歯の後遺障害の認定や等級は本数によって定まるところ、後遺障害診断書にはその本数が記載されるからです。

歯科用の書き方の注意点

しかし、後遺障害診断書の歯科用の書き方はわかりにくいところがあり、間違いやすい注意点があります。

それは、同一の歯を複数の欄に記載しないことです。

先ほどご紹介した、後遺障害診断書の歯科用の書式をご覧いただくと、

  • 「事故前」
  • 「事故後・補てつ前」
  • 「事故後・補てつ後」

という3つの欄があります。

そして、よくある間違いとしては、事故前から補てつ済みであった歯を、事故後に再度治療を行った場合に、

  • 「事故前」の欄
  • 「事故後・補てつ後」の欄

両方の欄に、同一の歯を記載してしまうというものがあります。

このような間違いがあると、事故による後遺障害の対象となる歯かどうかが判断できず、適正な後遺障害認定がされないおそれがあります。

歯の後遺障害の判断のポイント

そして、間違いなく歯科用の後遺障害診断書を記載できれば、受領できる後遺障害の保険金の見込みを立てられることができます。

ここでは、その見込みを立てるためのポイントをご紹介していきたいと思います。

まずは、3つの欄の該当歯の合計を現存障害として後遺障害等級を判断します。

次に、事故前の欄の該当歯を既存障害として後遺障害等級を判断します。

そして、現存障害の後遺障害等級の保険金から既存障害の後遺障害等級の保険金を差し引いた金額が受領できる後遺障害の保険金となります。

例えば、「事故前」の欄の該当歯が3本、「事故後・補てつ前」の欄の該当歯が2本、「事故後・補てつ後」の欄の該当歯が2本の場合、

3つの欄の該当歯の合計は7本で、現存障害の後遺障害等級は第12級3号になります。

次に、事故前の欄の該当歯は3本で、既存障害の後遺障害等級は第14級2号になります。

そして、現存障害の12級の保険金224万円から既存障害の14級の保険金75万円を差し引いた149万円が受領できる後遺障害の保険金となります。

この場合に、間違いやすい注意点としては

  • 「事故後・補てつ前」の欄の該当歯2本のみで考え、非該当と判断
  • 「事故後・補てつ前」の欄の該当歯2本と「事故後・補てつ後」の欄の該当歯2本のみを合計した4本で考え、第14級2号と判断
  • 先に現存障害の本数7本から既存障害の本数3本を差し引いた4本で考え、第14級2号と判断

してしまうことが挙げられます。

このように、歯の後遺障害の判断は複雑ですが、間違えてしまうと、受領できる後遺障害の保険金の見込みを立てられないので注意しましょう。

歯の後遺障害の判断のポイント
ポイント 設例
3つの欄の該当歯の合計を現存障害として後遺障害等級を判断 7本で第12級3号
事故前の欄の該当歯を既存障害として後遺障害等級を判断 3本で第14級2号
現存障害の後遺障害等級の保険金から既存障害の後遺障害等級の保険金を差引 12級の保険金224万円から14級の保険金75万円を差し引いた149万円

事故前の該当歯3本、事故後・補てつ前の該当歯2本、事故後・補てつ後の該当歯2本の場合

歯科用の後遺障害の診断書について弁護士に詳しく尋ねるなら

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最後に一言アドバイス

岡野弁護士、読者の方に、最後にアドバイスをお願いします。

適切な後遺障害等級が認定されるかどうかによって、受け取れる交通事故の損害賠償額は大きく変わることになります。

そして、適切な後遺障害の等級が認定されるかどうかは、後遺障害診断書書き方が極めて重要です。

もっとも、歯科の場合は書式も異なり、様々な注意点ポイントがあるため、中々判断が難しいこともあるかと思います。

ご自身では判断が難しい場合には、専門家である弁護士に相談してみましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。

このページを最後までお読みの方は、

  • 後遺障害は歯が折れた場合にも認められることがある
  • 後遺障害の対象となる歯は細かく定められている
  • 後遺障害診断書の歯科用の書き方の注意点やポイント

という点について、理解が深まったのではないでしょうか。

交通事故に遭って悩み事がある方は、是非、上のスマホで無料相談全国弁護士検索を使ってみてください。

下にまとめてある関連記事も参考になさってください。

皆さまのお悩みが早く解決するよう、お祈りしています。

この記事の監修弁護士

岡野武志弁護士

アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。

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