45歳主婦の交通事故慰謝料|2億4497万円の判例を弁護士が解説
このページでは、45歳主婦の事故の判例についてご紹介します。
こちらの主婦には2人の子どもがいらっしゃったようですが、突然の事故によって母親が大怪我を負ったとなると、子どもたちにとっても精神的にかなり大きなショックを受けることになります。
被害者本人はもちろん、夫や子どもの将来のことも考えると十分な慰謝料を受け取れるのか不安になってしまうでしょう。
こちらの判例では、総額2億4497万円以上の損害賠償金が認められたようですが、どのような点が考慮されたのでしょうか。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見ていきましょう。
兼業主婦(女・症状固定時45歳)損害額2億4497万2004円の判例
こちらは、東京地方裁判所の判決、平成15年(ワ)第13195号事件です。
この事故での主な怪我の内容は、脳挫傷や頭蓋骨骨折となります。
交通事故の基本情報
事故の内容は「加害者は、加害車両を飲酒運転して暴走させ、事故現場に停止していた被害車両の右側後部に加害車前部を衝突させ、衝突の反動で押し出された被害車両を、さらに前方に停止していた第三車両に衝突させた。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 兼業主婦 |
---|---|
性別 | 女 |
年齢 | 症状固定時45歳 |
事故の内容 | 加害者は、加害車両を飲酒運転して暴走させ、事故現場に停止していた被害車両の右側後部に加害車前部を衝突させ、衝突の反動で押し出された被害車両を、さらに前方に停止していた第三車両に衝突させた。 |
傷害の内容 | 脳挫傷、急性硬膜外血腫、頭蓋骨骨折など |
後遺障害等級 | 併合1級(頭部外傷に伴う躯幹失調、四肢不全麻痺、言語障害、頻尿等により1級3号、複視の症状等により12級相当) |
入院 | 481日 |
兼業主婦の被害者は、事故によって1級の後遺障害を負ってしまい、介護が不可欠な状態になってしまったとのことです。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 2億4497万2004円 |
---|---|
うち慰謝料 | 4160万円 |
うち将来介護費・雑費 | 1億2510万5522円 |
うち逸失利益 | 4631万0066円 |
損害総額は2億4497万2004円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額2億4497万2004円になりました。
- 慰謝料としては、傷害慰謝料が360万円、後遺障害の慰謝料が2800万円、夫の慰謝料が400万円、子2名の慰謝料が各200万円、両親の慰謝料が各100万円認められました。
- 将来介護費・雑費としては、将来の付添介護費が1億1362万3551円、将来の雑費が合計1148万1971円認められました。
- 逸失利益は、症状が固定した年の女子の学歴計全年齢平均年収351万8200円を基礎とし、労働能力喪失期間は症状固定時から67歳まで22年間として計算し、4631万0066円が計算されました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの兼業主婦の方は事故により、併合1級の後遺障害認定されたようです。
この判例のポイントはどのような点になりますか?
この判例では、後遺症1級に対応する慰謝料として、本人分と家族分を合わせて合計3800万円の慰謝料が認められたことが特徴的です。
主婦は、家計を支える大黒柱ではないものの、家庭生活においては父親以上に中心的で重要な役割を果たしています。
本件は、家族にとっての精神的苦痛や悲しみが十分に考慮された判例であるといえそうです。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
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主婦の慰謝料計算の特徴は?
主婦の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
主婦が交通事故の被害者になった場合には、家事に支障が出て家族全体が影響を受けます。
慰謝料の計算方法については、他の被害者の方とほとんど変わりませんが、休業損害と後遺症逸失利益の計算方法が特徴的です。
というのは、家事労働には賃金が発生していませんが、家政婦というお仕事があることからも分かるとおり、家事労働は社会的にみて経済的価値のあるものとみられています。
もっとも、その家事労働の価値を幾らと考えるかが問題となり、保険会社は自賠責保険の基準である日額5,700円で計算してくることが多いですが、裁判では、賃金の統計を取っている賃金センサスというものを用いており、年によって金額は変動しますが、日額9,000円〜10,000円前後となります。
また、パートに出られている主婦の方でも、週に30時間未満の方で、パートの収入が賃金センサスの女性の平均賃金よりも少ない場合には、金額の大きい賃金センサスを基礎に休業損害を請求できることが多いです。
もっとも、実際にお仕事を休まれて収入が減った場合と異なり、家事労働の場合は、どれ位の期間、どの程度支障が出たかが分かりにくいため、このことをどれだけ具体的に主張できるかがポイントとなります。
ただし、今申し上げたポイントは一般的・総論的なお話であり、上に挙げられている裁判例のように、事故に遭われた方のご事情は様々ですので、まずは弁護士等の専門家に相談してみるのが良いかと思います。
まとめ
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。