交通事故の死亡慰謝料・保険金|相続税など税金はかかる?受取人は誰?

  • 死亡事故,慰謝料,相続税

交通事故の死亡慰謝料・保険金|相続税など税金はかかる?受取人は誰?

死亡事故では、遺族にも慰謝料が支払われることになります。

もし、交通事故で家族や親戚の方が亡くなってしまった場合、

  • 死亡事故の慰謝料相続税の対象になるのか?
  • 死亡事故の保険金は課税されるのか?
  • そもそも誰が相続人になるのか?

など、さまざまな疑問が出てきますよね。

相続や税など、たまに耳にはするけれどイマイチどういうものか分からない・・・という方も多いのではないでしょうか。

そこで、我々編集部が、死亡事故で支払われる慰謝料や保険金について調査してみました。

なお、専門的な解説は、テレビや雑誌でお馴染みの岡野武志弁護士にお願いしています。

よろしくお願いいたします。

死亡事故が発生すると、ご遺族の方は、悲しみが癒えない中で保険会社とのやり取りや葬儀の準備などに追われてしまいます。

その中で、相続や税金に関する専門的な知識が無い中、手続きを進めるのはご遺族にとっても大きな負担となってしまうでしょう。

ここでは、ご遺族の抱えるさまざまな疑問を解決できるよう、しっかりと解説をしていきます。

死亡事故の慰謝料に相続税はかかるの?

死亡事故の慰謝料に相続税はかかるの?

死亡事故と慰謝料

慰謝料はだれに支払われる?

まず、家族や親戚が交通事故に遭って亡くなってしまった場合の慰謝料について解説していきましょう。

死亡事故の場合、支払われる慰謝料は死亡慰謝料と呼ばれ、被害者本人と被害者の近親者に支払われます。

近親者とは、父母・配偶者・子であることが民法の条文で明記されています。

他人の生命を侵害したものは、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない。

よって、近親者への慰謝料は、基本的に父母・配偶者・子に支払われることになります。

しかし、判例では被害者との関係の深さによって祖父母内縁の妻兄弟姉妹への慰謝料も認められるケースもあるようです。

慰謝料の金額とは

死亡慰謝料には、ある程度金額の相場の基準が決められています。

その基準というのが自賠責保険基準・任意保険基準・弁護士基準の3つです。

通常、この3つの基準を慰謝料の相場として金額が算定されます。

自賠責基準

自賠責保険会社が定めている慰謝料の相場基準のこと。

任意保険基準

各任意保険会社独自で定めている基準であり、詳しい金額は非公開とされている。

かつては任意保険支払基準と呼ばれる各任意保険会社共通の基準があり、現在もその基準が基礎になっていると考えられている。

弁護士基準

弁護士が保険会社と交渉する際に用いる基準のこと。過去の裁判例をもとに金額が設定されている。

慰謝料算定における3つの基準については、以下のページで詳しく解説しているので、気になる方はぜひ読んでみてください。

それでは、死亡慰謝料で支払われる相場金額について3つの基準で検証しながら見てみましょう。

自賠責基準による死亡慰謝料の金額
一律 請求権者の人数 追加金額
350万円+ 1人 550万円
2人 650万円
3人以上 750万円

※請求権者とは、被害者の慰謝料を請求できる遺族のことをいいます。

任意保険基準による死亡慰謝料の金額
被害者の立場 任意保険基準
一家の支柱 1700万円
母親、配偶者 1250~1450万円
その他(独身男女、子供、幼児等)
弁護士基準による死亡慰謝料の金額
被害者の立場 弁護士基準
一家の支柱 2800万円
母親、配偶者 2500万円
その他(独身男女、子供、幼児等) 2000~2500万円

金額を見てみると、自賠責基準では一律350万円に加え、慰謝料を請求できる遺族の人数に伴った追加金額が支払われます。

任意保険基準と弁護士基準では被害者の立場によって慰謝料金額が変わり、この金額の中に近親者に対する慰謝料も含まれているようです。

3つの基準で検証すると、弁護士基準による慰謝料金額の相場が最も高いことが分かります。

慰謝料と相続税

それでは本題です。

死亡事故の慰謝料に相続税はかかるのでしょうか?

死亡事故の場合、相続税は課税されません。

慰謝料も含めた損害賠償金が非課税となっており、これは国税庁のホームページにも明記されています。

交通事故の加害者から遺族が損害賠償金を受けたときの相続税の取扱いは次のとおりです。

被害者が死亡したことに対して支払われる損害賠償金は相続税の対象とはなりません。

この損害賠償金は遺族の所得になりますが、所得税法上非課税規定がありますので、原則として税金はかかりません(略)

なお、被相続人が損害賠償金を受け取ることに生存中決まっていたが、受け取らないうちに死亡してしまった場合には、その損害賠償金を受け取る権利すなわち債権が相続財産となり、相続税の対象となります。

死亡事故が発生した際の損害賠償金

  • 葬儀代
  • 被害者本人に対する死亡慰謝料
  • 近親者に対する死亡慰謝料
  • 死亡逸失利益

などであり、これらが非課税となります。

まとめ

慰謝料の贈与税

通常 慰謝料も含めた死亡事故の損害賠償金の相続税はかからない!
例外 被害者が、損害賠償金を受け取ることに生存中決まっていたが、受け取らないうちに死亡してしまった場合は、相続税がかかる!

保険金で非課税となるもの・課税となるものとは?

保険金で非課税となるもの・課税となるものとは?

税に関する基礎知識

保険金の課税・非課税の前に、保険金に関係する税の種類について、上記の相続税も含めて簡単に説明していきます。

相続税

相続税とは、財産を相続する際にかかる税金のことです。

亡くなった方から、各相続人等が相続遺贈などによって相続財産を受け取った際に、その金額が大きい場合にかかります。

税金がかからない範囲いわゆる基礎控除額の計算方法は、

3000万円 + 600 万円 × 法定相続人の数 = 相続税の基礎控除額

となっています。

所得税

所得税とは、個人の所得に対して課される税金のことです。

所得税はその年の1/1~12/31までの1年間に得た所得から所得控除額を差し引いて計算します。

この所得控除額は、収入金額に応じて異なります。

贈与税

贈与税とは、個人から財産をもらったときにかかる税金のことです。

1/1~12/31までの1年間の贈与の合計が110万円以下の場合、贈与税はかかりません。

まとめ

税の種類

相続税 財産を相続する際にかかる税金。
基礎控除額は法定相続人の人数により異なる。
所得税 個人の所得に対して課される税金。
所得控除額は、収入金額に応じて異なる。
贈与税 個人から財産をもらったときにかかる税金。
1年間の贈与額が110万円以下ならば贈与税はかからない。

それでは、保険金で非課税となるもの・課税となるものを見ていきましょう。

非課税となるもの

通常、死亡事故において、被害者の遺族は加害者本人ではなく、保険会社から保険金を受け取ることがほとんどですよね。

保険金の中で、非課税になるものは何なのでしょうか?

保険金の中で非課税となるものは、交通事故の損害賠償と同様の性質があるものです。

たとえば、

  • 加害者の自賠責保険から支払われる保険金
  • 加害者の任意保険会社から支払われる賠償保険金
  • 人身傷害保険金のうち加害者の過失部分の保険金
  • 加害者が無保険であった場合に利用できる無保険車傷害保険の死亡保険金

非課税となっています。

課税となるもの

次に、課税対象となるものどのような保険金なのでしょうか?

非課税となるものとは逆で、損害賠償としての性質がない保険金は、課税されます。

具体的には、

  • 搭乗者傷害保険
  • 自損事故保険で被保険者が死亡してしまった場合の死亡保険金
  • 人身傷害保険金のうち被害者の過失部分

課税されることになります。

課税される場合、どのような税金を払うことになるのでしょうか?

課税される税の種類は、保険料を支払っていた人が誰なのかによって異なります。

被害者本人が保険料を負担していた場合、相続または遺贈として扱われ、相続税の課税対象となります。

保険金を受け取った人が保険料を負担していた場合、一時所得として扱われ、所得税の課税対象となります。

第三者が保険料を負担していた場合、第三者からの贈与として扱われるので、贈与税の課税対象となります。

まとめ
保険料の負担 課税方法
被害者本人 相続税
保険金受取人 所得税
第三者 贈与税

相続権があるのはだれ?

相続権があるのはだれ?

相続権のある遺族とは

では、そもそも相続権があるのは誰なのか解説していきましょう。

相続人の範囲や相続分については、民法で定められており、亡くなった被害者の配偶者は常に相続人になることができます。

また、配偶者のほかに、子・直系尊属(父母や祖父母など)・兄妹姉妹の順番で相続人となります。

それでは、ケースごとに遺族の相続分を見ていきましょう。

①遺族が配偶者・子・直系尊属・兄弟姉妹の場合

被害者の遺族に、配偶者・子・直系尊属・兄弟姉妹がいた場合、配偶者と子に2分の1ずつ相続されます。

直系尊属と兄弟姉妹には相続されません。

遺族の相続分
配偶者 2分の1
直系尊属 なし
兄弟姉妹

②遺族が配偶者・直系尊属・兄弟姉妹の場合

被害者には子どもがおらず、遺族が配偶者・直系尊属・兄弟姉妹であった場合、配偶者に3分の2直系尊属に3分の1相続されます。

兄弟姉妹には相続されません。

遺族の相続分
配偶者 3分の2
直系尊属 3分の1
兄弟姉妹 なし

③遺族が配偶者・兄弟姉妹の場合

被害者に子どもと直系尊属がおらず、遺族が配偶者・兄弟姉妹であった場合、配偶者に4分の3兄弟姉妹に4分の1相続されます。

遺族の相続分
配偶者 4分の3
兄弟姉妹 4分の1

まずは弁護士に相談しよう

死亡事故においては、通常の保険会社との交渉等に加え、相続や税に関する知識も必要になります。

また、実際の事故においては保険金のどこまでが課税対象になるのか、確定申告が必要なのかどうかなど、さまざまな問題に直面してしまいます。

より早い解決のためにも、まずは一度弁護士または税理士に相談してみることをおすすめします。

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岡野弁護士、読者の方に、最後にアドバイスをお願いします。

死亡事故となると、慰謝料や示談金に関する法律的な知識だけでなく、相続に関する税の知識も必須です。

より複雑な問題となるので、迅速かつ納得できる解決のためにも、弁護士などの専門家に早い段階で相談しましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。

このページを最後までお読みの方は、

  • 死亡事故の慰謝料相続税の対象になるのか
  • 死亡事故の保険金は課税されるのか
  • そもそも誰が相続人になるのか

という点について、理解が深まったのではないでしょうか。

交通事故に遭って悩み事がある方は、是非、上のスマホで無料相談全国弁護士検索を使ってみてください。

下にまとめてある関連記事も参考になさってください。

皆さまのお悩みが早く解決するよう、お祈りしています。

この記事の監修弁護士

岡野武志弁護士

アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。

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