人身事故の損害賠償入門~交通事故で後遺症を負ったときの手引き~
慰謝料,損害賠償という言葉をよく聞くけど,これらは同じ意味?
後遺症の慰謝料・示談金が妥当かどうか知りたい!
交通事故での損害にはどういうものがある?
このページをご覧のあなたは、このようなことでお悩みではありませんか?
人身事故で怪我をすると、相手側へ損害賠償を求めることになります。でも、どのような損害が賠償の対象に?慰謝料、示談金など様々な言葉が出てきて混乱しそう・・・。交通事故で後遺症を負った場合の損害賠償について分かりやすく説明します。
目次
交通事故・人身事故での損害賠償
慰謝料は様々な損害のうちの一つ!!
交通事故・人身事故にあってしまうと,様々な費用がかかりますよね。人身事故の被害者は,慰謝料という言葉を良く聞くかもしれません。しばしば混同されますが,慰謝料≠損害賠償となります。
分かり易いものでいうと,車の修理代や被害者が怪我をした場合の治療費があります。また,本来得られたはずの収入が減ってしまうこともあるでしょう。
しかし,交通事故・人身事故の被害者はこうした財産的な損害を被る他,事故での怪我やその後の後遺症で,本来味わわなくていいはずだった辛い思いをすることになります。この被害者の精神的苦痛に対して慰謝料が支払われることになります。
このように,物理的な損害の他,精神的な損害,その他様々なものが交通事故・人身事故による損害に含まれることになります。つまり,交通事故・人身事故での様々な損害のうちの一つが慰謝料ということになります。
そして,これらの損害を相手に支払ってもらうよう請求することを損害賠償の請求といいます。
慰謝料の計算方法
後遺症の慰謝料の計算方法
慰謝料とは,そもそも精神的苦痛という主観的なものを内容としております。交通事故・人身事故の場合,死亡事故を除けば,多くは入通院慰謝料と後遺障害慰謝料に分けることができます。
そして,これらは被害者個々の事情や感受性に大きく影響を受け得る性質のもので,厳密に言うと金銭化が難しいのは想像がつくと思います(同じケガや事故であってもそれによって感じる苦痛はその人の仕事や日常生活,趣味,性格によって違ってきますよね)。
しかし,交通事故・人身事故は多数発生しており,明確な基準をもとに素早く被害者が補償を受ける必要性があることと,そうしないと被害者ごとに不平等になりかねない(明らかに重症の被害者に支払われる慰謝料がより軽傷の被害者へのそれより低い等)ことから,後遺症の程度ごとに明確な相場が存在しています。
なお,入通院慰謝料については,総治療期間や実入通院日数をもとにして,客観的に慰謝料が計算されることになりますが,以下では後遺症の慰謝料について説明することとします。
後遺症の慰謝料相場を決めるのが,後遺症の認定(後遺障害等級認定制度)です。この等級は,1級~14級まで存在しており,1級が最も重症となります。これで何級に認定されたかによって慰謝料の相場が決まってきます。逆に言うと,後遺症(特に自覚症状)が残っても等級が認定されないと補償が受けられないのが通常となります。
慰謝料が増額するとはどういうこと?
後遺症として等級が認定されると,通常保険会社から示談金額の提示があります。そもそも示談とは,当事者双方の話し合いや交渉によってある争いを解決し,その後はお互いに相手に一切請求しないことを内容とする契約です。この契約で,一方が他方に支払うことを約束したお金が,示談金です。
通常,治療が終了したり,後遺障害の認定結果がでて損害が確定した段階で,保険会社から提示があります。これに応じると,その段階でその交通事故・人身事故での賠償に関する紛争は基本的に終了となり,特別の取り決めがない限りその後に示談金を増額してもらうことは難しいです。
ここで問題なのが,弁護士に依頼しない段階では,等級にみあった相場に近い金額で慰謝料を提示してくれる保険会社はほとんどいません。
その理由は簡単で,被害者に支払う示談金が低額になれば,その分保険会社の利益になるからです。この結果,最終的に裁判となった場合に認められる相場に比べ,保険会社の提示金額は低額となるのが常になります。
弁護士に依頼することで,示談の交渉段階から,裁判を前提として交渉できます。その結果,多くの場合,妥当な相場に近い金額まで慰謝料を増額することができるのです。
慰謝料を決める3つの基準
上で簡単にご説明しましたように,弁護士がいう慰謝料の相場とは,過去の裁判例で認められてきた金額をまとめたものであり,弁護士基準(裁判所基準)のことをいいます。
このほかに,自賠責基準,任意保険基準というものがありますが,いずれも相場である弁護士基準よりも低額です。
このうち,自賠責基準が低額であるのは,そもそも自賠責保険の加入は義務づけられていて,被害者に必要最小限の補償をするものであるからです。支払金額も法定されており,一律に運用されています。そもそも自賠責保険で,全損害を補償する仕組みにはなっていないのです。
そこで,自賠責保険でカバーできない損害に備える為,多くの人は任意保険に加入するわけです。この任意保険における支払基準が,いわゆる任意保険基準です。弁護士基準よりも支払を低く抑えようというものですので,自賠責基準と弁護士基準の中間の基準と言えますが,各保険会社の内部基準にとどまり公開はされていません。
以下,等級ごとに慰謝料の基準をまとめましたので参考にしてください。
自賠責基準 | 強制加入である自賠責保険の基準。法定された最低限の金額 |
任意保険基準 | 任意保険の示談交渉における支払基準。各保険会社の内部基準で非公開。 |
弁護士基準(裁判所基準) | 裁判した際に認められる基準。慰謝料の相場であり最も高額。 |
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
1級 | 1100万円 | 2800万円 |
2級 | 958万円 | 2370万円 |
3級 | 829万円 | 1990万円 |
4級 | 712万円 | 1670万円 |
5級 | 599万円 | 1400万円 |
6級 | 498万円 | 1180万円 |
7級 | 409万円 | 1000万円 |
8級 | 324万円 | 830万円 |
9級 | 245万円 | 690万円 |
10級 | 187万円 | 550万円 |
11級 | 135万円 | 420万円 |
12級 | 93万円 | 290万円 |
13級 | 57万円 | 180万円 |
14級 | 32万円 | 110万円 |
損害の項目(分類)
交通事故・人身事故の怪我で生じる代表的な損害を分類ごとに以下,簡単にご紹介いたします。
怪我の治療に関する損害
治療費(入・通院費)
怪我の治療のために支出した費用のことです。
入院雑費
入院中にかかった入院雑貨費(寝具や衣類,スリッパ等)や通信費,その他もろもろの費用(テレビカード代,新聞代等)のことをいいます。
これらの費用は,比較的額も小さく,それぞれが入院雑費として必要かつ相当かを判断するのが煩雑となるため,裁判の場合,通常1日あたり1500円と定額で認められる事がほとんどです。なお,自賠責の基準では1100円となりますが,裁判までなった場合にはそのまま1500円と認定されることが多いようですね。
通院交通費
通院に必要な交通費のことです。
実際にかかった費用を請求することになりますが,実際に支払う保険会社との関係では,電車やバスといった公共交通機関が利用できる場合には,基本的にその運賃が交通費としてしはられることになります。
ただし,被害者の症状が重度で移動が困難なケースや,遠隔地のため公共交通機関での通院が困難な場合にはタクシーでの通院の必要性や相当性が認められることになります。その判断はあくまでケースバイケースになりますが,タクシーを利用する場合はレシートや記録を取っておくようにするといいでしょう。
休業損害
休業損害とは,被害者が怪我やその治療により働けず減ってしまった利益(収入)の事を言います。
これは適切な治療をするなかで,通常医師の指示に従うことが必要となります。
自賠責保険での支払金額は,休業1日当たり5700円となりますが,収入がこれを超えることが証明できれば,最高19,000円の限度で実際の収入額が支払われることになります。
裁判となる場合には,基礎収入(実際の収入や平均賃金をもとに決定)を基準として計算することになります。
注意が必要な点としては,主婦(夫)といった家事従事者や学生といった実収入がない方等でも,休業損害が認められるということです。実際に収入がある方であれば減収分を損害ととらえやすいのですが,上記のような無収入の方は,休業損害を請求し忘れることも考えられますので,しっかり覚えておきましょう。
入通院慰謝料(傷害慰謝料)
入通院慰謝料とは,ケガやその治療によって被害者がうけた精神的な苦痛や負担に対して支払われるお金のことです。
交通事故・人身事故の場合,その計算は,治療期間や実入通院日数によって計算されることになります。
後遺症の慰謝料同様,金額算定の基準が3つ存在しており,こちらも弁護士に依頼した場合の弁護士基準が最も高額になります。
なお,任意保険基準と弁護士基準の場合,怪我が軽傷や自覚症状のみのむちうちの場合と,それ以外の場合で,慰謝料の計算方法は別になります。
例えば,骨折で入院1ヶ月・通院6ヶ月の場合,任意保険基準では83万円程度ですが,弁護士基準だと149万円とかなり高額になります。
怪我に関する損害 | 内容 |
---|---|
治療費(入通院費) | 怪我の治療のために入通院してかかった医療費等 |
入院雑費 | 入院した場合に必要となった寝具や衣類,その他の雑費 |
通院交通費 | 通院にかかった交通費 |
休業損害 | けがやその治療のため,仕事を休まざるを得なかったことによる収入の減額分 |
入通院慰謝料(傷害慰謝料) | けがやその治療のため被った精神的苦痛に対する賠償 |
後遺症に関する損害
逸失利益
治療の効果が認められないような後遺症が残ったとして症状固定と判断された場合,残った傷害が原因で収入や本来得られた利益が減少することがあります。
この場合の,後遺症によって将来得られたはずの収入等の減額分が逸失利益であり,後遺症の損害として認められます。
収入がどれくらい減少したかの割合を示す数値(労働能力喪失率といいます。)は,基本的には認定された後遺症の等級によりある程度決まってきます。
しかし,被害者の方の具体的な事情や後遺症の内容によっては基準通りの喪失率が認められないケースもあります。
また,弁護士に依頼せず保険会社と交渉をされる場合,妥当な相場より計算の基礎にする収入や労働能力喪失率が低く見積もられていることもあります。
後遺障害慰謝料
後遺症の慰謝料(後遺障害慰謝料)とは,治療によっても完治しない後遺症が残ったことで,被害者がうけた精神的な苦痛や負担に対して支払われるお金のことです。
こちらは上でも説明しましたが,後遺症の認定を受けたことを前提として,その等級ごとにある程度定型的にその金額が決定されます。
後遺症に関する損害 | 内容 |
---|---|
逸失利益 | 治療によって完治しない後遺症が残ったことで,将来得られたはずの収入が減少した場合の収入の減額分 |
後遺症の慰謝料(後遺障害慰謝料) | 治療によって完治しない後遺症が残ったことで被った精神的苦痛に対する賠償 |
後遺症の損害は専門の弁護士に相談しよう!
このように一口で損害賠償を求めるといっても,実際には様々な損害の項目があり,それらは内容が異なりその計算方法も当然違ってきます。
弁護士に依頼しないで相手保険会社と交渉する場合,妥当な相場から低く見積もられていることが非常に多いです。保険会社の示談金提示を鵜呑みにすると知らないところで大幅に損する可能性が高いです。
そうならないためにもまずは,専門の弁護士に相談してご不明点や増額の可能性を聴いてみることをおススメします。
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この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
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