後遺障害の慰謝料基準|「赤い本」ってナニ!?緑本もあるの?各基準との関係は?

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後遺障害の慰謝料基準|「赤い本」ってナニ!?緑本もあるの?各基準との関係は?

交通事故でケガを負い、後遺障害が残ってしまった場合…。

仕事ができなくなるのではないかという不安や、日常生活に不便が生じることによる精神的苦痛は非常に大きいものと思います。

その分の補償はしっかりと受け取らなければいけません!

しかし、保険会社から提示される後遺障害の慰謝料は本当に適正なものなのでしょうか?

実は、本当に受け取るべき慰謝料の相場として、赤い本というものがあるらしいのです。

交通事故の処理にあたっては需要らしい「赤い本」…。

しかし、

  • そもそも「赤い本」ってなに?
  • 「赤い本」に記載されている慰謝料の相場はどれくらいなの?
  • 「赤い本」に記載されている内容って?

と、わからない方がほとんどだと思います。

そこで今回このページでは、交通事故の慰謝料についてお悩みの皆様に向けて!

交通事故の後遺障害の慰謝料と赤い本との関係について一緒に見ていきたいと思います。

なお、専門的な解説は、テレビや雑誌でお馴染みの岡野武志弁護士にお願いしています。

よろしくお願いします。

交通事故により後遺障害が残ってしまった場合、ご本人はもちろん、ご家族の方への負担も非常に大きいものと考えられます。

実際に、後遺障害に悩むご本人やご家族の方から多くの相談を受けてきました。

その経験に基づき、具体例を挙げながら、わかりやすく解説していきたいと思います。

では、まずは「赤い本」の基礎知識から見ていきましょう。

後遺障害の慰謝料の基準に利用される「赤い本」ってナニ!?

後遺障害の慰謝料の基準に利用される「赤い本」ってナニ!?

「赤い本」の正式名称

交通事故の処理にあたって、弁護士や裁判官がよく利用しているものに、通称「赤い本」というものがあるそうなのです。

正式名称は、民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準といって、日弁連交通事故相談センター東京支部の委員が毎年の裁判例の傾向をまとめたものとなっています。

表面のカバー全体が赤色のため、通称「赤い本」と呼ばれているそうです。

「赤い本」に掲載されている内容

赤い本には、交通事故の損害項目ごとに、金額の相場が掲載されています。

解説部分は非常にシンプルなものですが、裁判例が多く紹介されているのが特徴ということです。

赤い本は、東京地裁をはじめとする全国の裁判所における判決の基準として位置づけられており、実務上、非常に重要な書籍なのだそうです。

まとめ

赤い本とは

正式名称 民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準
発行 日弁連交通事故相談センター東京支部
内容 東京地裁の交通部が裁判例の傾向を踏まえてまとめたもの。
特徴 損害項目ごとに、相場が明確に掲載されている。
解説はシンプルで、裁判例が多く掲載されている。
発行頻度 年1回

【参考】青本?緑本?黄色本?「赤い本」以外の慰謝料相場とは

【参考】青本?緑本?黄色本?「赤い本」以外の慰謝料相場とは

「赤い本」が交通事故分野で非常に重要であるということがわかりました。

ところで参考までに、交通事故の慰謝料の相場が掲載されている本には、他にも青本緑本黄色本というものがあるそうです。

有名なのは、「赤い本」と「青本」のようですね!?

では、それぞれについて詳しく見ていきましょう。

交通事故の慰謝料相場①青本

「青本」は、赤い本と検証すると解説が詳しめなようです。

また、慰謝料相場としては、謝料額にを持たせ、後遺障害の内容や被害者の個別事情によって、その範囲内で金額を調整するという方法をとっているそうです。

「赤い本」と「青本」に掲載されている慰謝料の金額は、以下のようになっています。

「赤い本」と「青本」における後遺障害慰謝料相場
(単位:万円)
後遺障害等級※ 赤い本 青本
1級 2800 2700~3100
2級 2370 2300~2700
3級 1990 1800~2200
4級 1670 1500~1800
5級 1400 1300~1500
6級 1180 1100~1300
7級 1000 900~1100
8級 830 750~870
9級 690 600~700
10級 550 480~570
11級 420 360~430
12級 290 250~300
13級 180 160~190
14級 110 90~120

※ 後遺障害は、その内容や症状の重さにより、等級が1級~14級まで定められている。

交通事故の慰謝料相場②緑本・黄色本

一方、「緑本」と「黄色本」は、大阪名古屋の地域限定における損害賠償の相場が掲載された本ということです。

交通事故で、大阪地裁もしくは名古屋地裁で裁判になる可能性が高い場合には、これらの本を参考にする必要があるかもしれません。

まとめ

後遺障害の慰謝料相場について書かれた本

通称 適用地域 特徴
赤い本 東京・全国の裁判所 解説はシンプルで、裁判例が多く掲載されている。
青本 全国の裁判所 相場に幅をもたせている。
解説は詳しめ。
緑本 大阪 大阪の地域限定。
黄色本 名古屋 名古屋の地域限定。

以上、相場を示した本にはいくつかありますが、最も汎用性が高く、全国の裁判官や弁護士に参照されているのは、赤い本なのだそうです。

確かに、緑本や黄色本は地域限定のものなので、全国その他の地域ではあまり参考にならないかもしれませんね。

青本は、全国的にも利用されているようですが、幅をもった金額が掲載されており、基準の上限や下限の金額が裁判所で認められることは少ないとのことです。

「赤い本」の基準とその他の基準との関係について徹底解説

「赤い本」の基準とその他の基準との関係について徹底解説

「赤い本」が、後遺障害慰謝料の相場として全国で浸透していることはわかりました。

では、交通事故で後遺障害が残り、慰謝料を請求した場合には、赤い本に掲載されている慰謝料が支払われることになるのでしょうか?

実は、そうではない可能性があるようなのです…。

適正な慰謝料獲得に向けて知っておきたい慰謝料の基準

というのも、実は慰謝料には、3つの基準があるらしいのです。

慰謝料には、

  • 自賠責保険に請求する場合
  • 任意保険会社が提示する場合
  • 弁護士が相手側や保険会社に請求する場合

3つの基準が存在しています。

自賠責基準

まず、自賠責保険会社の慰謝料とは、自賠法に基づく省令により設定されているものです。

自賠法は、交通事故の被害者が最低限の補償を受けるためのものであり、その金額は低く設定されています。

自賠責基準における後遺障害慰謝料はこちらの記事で詳しく説明されていますので、良ければご覧になってみてください。

任意保険基準

保険会社でも、任意保険会社による慰謝料基準も存在しています。

ただし、任意保険会社は営利企業のため、加入者を増やすために保険料を安く設定しています。

その分、被害者の方に支払う慰謝料も少ない金額で済ませたいと考えているはずですよね…。

よって、自賠責の基準よりは高いものの、慰謝料の金額は低いことが多いということです。

任意保険基準における後遺障害慰謝料はこちらの記事で詳しく説明されていますので、良ければご覧になってみてください。

弁護士基準

保険会社の基準と検証して、最も高い基準となっているのが、裁判所や弁護士の基準です。

これは、弁護士をつけて裁判を行った場合や相手側と示談をする場合に用いられる基準のこと。

ただし、自分ひとりで裁判を起こし、相手側と争うのは、どう考えても難しいですよね…。

よって、高額の慰謝料を獲得するためには、弁護士に依頼をして示談や裁判を行うことが必要ということになるのです。

ここで、「赤い本」は、東京地裁をはじめとする全国の裁判所における判決の基準として位置づけられているということでしたね。

よって、赤い本の基準が、弁護士基準と同じ基準ということになります。

慰謝料金額の基準
自賠責基準 任意保険基準 弁護士基準(赤い本)
内容 交通事故被害者が最低限の補償を受けるためのもの 営利企業の保険会社が支払うもの 弁護士をつけて裁判や相手側との示談をする場合に用いられるもの
金額 金額は低め 自賠責基準よりは高いが、金額は低め 自賠責基準や任意保険基準よりも高い

「赤い本」と各基準の慰謝料の相場はどれほど違う?

自賠責基準

自賠責保険は、被害者の方への最低限の補償であるため、自賠責保険金は、赤い本の基準の3~4割程度にすぎないそうです。

任意保険基準

任意保険会社が提示する後遺障害慰謝料は、赤い本の水準の約4~6割にすぎないそうです。

しかし、被害者ご本人だけで保険会社と交渉した場合、この金額しか支払ってもらえないそうです。

間違っても、この金額で示談することだけは、避けたいですよね。

「赤い本」の慰謝料を獲得するためには…

では、赤い本の水準の慰謝料を払ってもらうためにはどうすれば良いのでしょうか?

弁護士に依頼

先ほども述べましたが、赤い本の水準の慰謝料を回収するためには、弁護士に交渉を依頼するか、裁判をするかいずれかを選ぶことになります。

弁護士を通じて保険会社と交渉した場合、赤い本の基準の9~10割の後遺障害慰謝料を払ってもらえることがほとんどということです。

交通事故紛争処理センターに申し立て

弁護士に依頼するのはなんだかハードルが高い…。

そうお悩みの方には、交通事故紛争処理センターというものがあります。

交通事故紛争処理センターへの申立てをした場合、赤い本の基準の約8~9割で解決することが多いそうです。

ただし、交通事故紛争処理センターでは、後遺障害等級が争いになる場合については、取り扱ってもらえないため注意が必要です。

また、

  • 過失割合
  • 因果関係

が争いになる場合についても、訴訟での解決が適当であるとして、和解あっ旋・審査手続きが中断(終了)することがあります。

裁判を起こす

最終的に裁判をした場合には、赤い本の水準を満額回収できることがほとんどということです。

また、交通事故の裁判は被害者に対する適正な補償を目指すものです。

よって、被害者の方が適正な補償を受けられるように、弁護士に依頼することを前提としたものでなければならないはずです。

そこで、交通事故の損害賠償請求においては、その裁判のための弁護士費用も損害として認められる場合があるということです。

その場合、基本的には、総損害額(実際には、既払額や過失割合相当額を控除した請求額)の1割程度の弁護士費用が損害として認めてもらえるそうです。

ただし、裁判では長期間を要し、裁判所への出頭という負担もかかるというデメリットもあるので、注意が必要です。

重要

赤い本と各基準の関係

赤い本の相場との比較
自賠責基準 3~4割
任意保険基準 4~6割
交通事故紛争処理センター 8~9割
弁護士が保険会社と交渉 9~10割
裁判 10割+弁護士費用の1割前後

結論としては、効率良く赤い本の基準の後遺障害慰謝料を満額に近い水準で回収するには、弁護士に交渉を依頼するということになりそうですね。

適正な示談金の相場を自分で計算するなら

ここまでお読みになって、自分の事故ではどれほどの慰謝料が受け取れるものなのか…。

今すぐに知りたいと思った方も多いのではないでしょうか。

そのような場合、「赤い本」の基準での示談金保険金の目安がわかる、こちらの計算機を使ってみてください。

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【注目】赤い本に掲載されている「慰謝料の増額理由」

【注目】赤い本に掲載されている「慰謝料の増額理由」

ところで、「赤い本」には、慰謝料の相場だけでなく、過去の裁判例から、慰謝料の特別な増額理由も掲載されているということです。

色々な事件や事案に当てはめて参考にできるため、本当に便利な本ということになります。

慰謝料の増額理由

では、実際にはどのような場合に慰謝料が増額されるのでしょうか??

たとえば、事故について、加害者の故意または重過失がある場合には、後遺障害慰謝料の増額理由となります。

無免許運転、ひき逃げ、飲酒運転、信号無視などがこれに当たります。

他には、事故後に証拠を隠滅したり、謝罪を拒否した場合など、加害者の不誠実も慰謝料の増額理由になるということです。

さらに、被害者のご家族が、事故のショックなどで精神疾患にかかった場合には、家族に対しても慰謝料が支払われることになるそうです。

まとめ

慰謝料の増額理由

①加害者の故意または重過失 ・無免許運転
・ひき逃げ
・飲酒運転
・信号無視
・著しいスピード違反
など
②加害者の著しく不誠実な態度 ・証拠隠滅
・謝罪拒否
・裁判で不合理に否認または争う
③被害者の家族が精神疾患にかかった場合 ・事故後にうつ症状により心療内科で定期的なカウンセリングを受診
・事故現場を目撃しPTSDを発症

慰謝料の増額に向けては弁護士に相談を!

これらの個別事情は、「赤い本」に明確に増額理由として掲載されているということです。

しかし、これらは裁判を起こして初めて認められるものなのだそうです。

増額を希望する場合には、弁護士に依頼して裁判を起こし、これらの事情を主張してもらう必要があります。

弁護士相談のススメ

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弁護士費用特約の詳しい内容を知りたい方は、以下の動画をぜひご覧ください。

交通事故の後遺障害慰謝料についてお悩みの方は、ぜひ一度、弁護士に相談することを検討してみてください。

とはいえ、やはり弁護士費用が心配でなかなか踏み出せないという方は、こちらの記事もぜひご覧になってみてください。

後遺障害の慰謝料について弁護士に無料相談したい方はコチラ!

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ここまでで、赤い本の詳細や、後遺障害の慰謝料との関係について理解いただけましたでしょうか。

また、より適正な慰謝料=赤い本での慰謝料、もしくはそれ以上を獲得するために、今すぐ弁護士に相談したいと思われた方もいらっしゃるはずです。

しかし、弁護士の知り合いがいるわけでもないし、相談と言っても誰にすれば良いのかなんてわかりませんよね。

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最後に一言アドバイス

それでは、最後になりますが、後遺障害の慰謝料についてお悩みの方に一言アドバイスをお願いします。

まずは、医師の診断を受け、きちんと療養し、お大事になさってください。

それでも残念なことに交通事故による後遺障害が残ってしまった場合や残ってしまいそうな場合には、弁護士に相談することをおすすめします。

なぜなら、日常生活にも支障が出るような後遺障害が残るようなケースでは、適正な金額の補償を受けるべきだからです。

しかし、保険会社から示談金を提示され、書類にサインしてしまうと、あらためて慰謝料などを請求することは極めて困難になります。

そうなる前に、ぜひ弁護士無料相談を活用してみてください。

面倒な手続きや交渉などのお力にもなれるはずです。

まとめ

いかがだったでしょうか。

このページを最後までお読みの方は、

  • 赤い本についての基礎知識
  • 赤い本における後遺障害慰謝料の相場
  • 赤い本に記載されている慰謝料の増額理由

などについて、理解を深めていただけたのではないかと思います。

しっかりとした補償を受け取るためには、弁護士に相談した方が良いと感じた方もいらっしゃるはずです。

自宅から出られない方や、時間のない方は、便利なスマホで無料相談を利用するのがおすすめです!

そうではなく、やっぱり直接会って話がしたいという場合は、全国弁護士検索を使って弁護士を探してみてください。

また、このホームページでは、交通事故の慰謝料に関する関連記事も多数掲載していますので、ぜひ参考にしてください!

皆さまのお悩みが早く解決するよう、お祈りしています。

この記事の監修弁護士

岡野武志弁護士

アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。

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