後遺障害5級の交通事故慰謝料|1億26万円の判例を弁護士が解説
このページでは、後遺障害5級の判例についてご紹介します。
もし5級の後遺障害が残ってしまった場合、労働に大きな支障が出てしまいます。
重い後遺症が残ってしまうと、今後の生活への影響についても心配になりますよね。
この判例では、 総額1億0026万円の損害賠償金が認められましたが、どのような点がポイントになったのでしょうか。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見ていきましょう。
障害等級5級(女・症状固定時31歳)損害額1億0026万6726円の判例
こちらは、神戸地方裁判所の判決、平成11年(ワ)第1291号事件です。
この事故での主な怪我の内容は、頸髄損傷となります。
交通事故の基本情報
事故の内容は「左側車線の駐車車両と右側車線の赤信号による停車車両との間を走行中の被害原付自転車が、突然開かれた加害普通乗用車の左側ドアに衝突した。 」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 看護助手 |
---|---|
性別 | 女 |
年齢 | 症状固定時31歳 |
事故の内容 | 左側車線の駐車車両と右側車線の赤信号による停車車両との間を走行中の被害原付自転車が、突然開かれた加害普通乗用車の左側ドアに衝突した。 |
傷害の内容 | 頸髄損傷、全身打撲、痙性四肢麻痺 |
後遺障害等級 | 5級2号 |
入院 | 928日 |
後遺障害について、自賠責保険では非該当とされたようです。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 1億0026万6726円 |
---|---|
うち慰謝料 | 1633万円 |
うち将来の介護料 | 1563万6535円 |
うち逸失利益 | 4265万6769円 |
損害総額は1億0026万6726円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額1億0026万6726円になりました。
- 慰謝料としては、入院に対する慰謝料が383万円、後遺障害の慰謝料が1250万円認められました。
- 将来の介護料としては、公的介護が週4日あるので、残りの週3日(年間156日)は親族の介護によることが認められ、1日当たりの介護料としては6000円が相当であるとされました。
- 逸失利益は、症状固定時31歳の女子学歴計年収357万3900円を用い、労働能力喪失率を79%、事故時から67歳までの38年間として算定されました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの女性は事故によって後遺障害5級2号が認定されたようですね。
この判例のポイントはどのような点になりますか?
本件では、頸髄損傷による両手両足の麻痺が残ったか否かが争われ、自賠責では非該当と判断されています。
しかし、本判決では、頸髄損傷は否定したものの、結論として交通事故により両手両足の障害が発生したと認めこれを5級2号の障害と認定しました。
このように、裁判所は自賠責の認定に必ずしも拘束されませんので、本件の様に非該当だったものが裁判で認められることもあります。
このような見通しを立てる上でも、専門の弁護士の意見を聞くことは有用といえるでしょう。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
慰謝料自動計算機(計算ソフト)を使うと便利
また、慰謝料自動計算機(計算ソフト)を使うと、慰謝料の計算が5秒で完了して便利です。
計算ソフトの利用をおすすめするのは、
- 保険会社と話し合う前に、自分の慰謝料の概算を知りたい
- 保険会社から提示されている金額が、法律的に正しいかどうか知りたい
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といった人たちです。
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保険会社から低い金額を提示されている場合は、素人の知識不足に漬け込んで騙されている可能性があります。
弁護士に無料相談してみてはどうでしょう?
こちらの弁護士事務所は、交通事故の無料電話相談を24時間365日受け付ける窓口を設置しています。
いつでも専属のスタッフから電話相談の案内を受けることができるので、使い勝手がいいです。
電話相談・LINE相談には、夜間や土日も、弁護士が順次対応しているとのことです。
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代表岡野武志(第二東京弁護士会)
仕事が終わった後や休日にも、交通事故に注力する弁護士に相談できて、便利ですね。
後遺障害5級の慰謝料計算の特徴は?
5級の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
一口に5級と言っても各号ごとに症状は様々ですが、原則として慰謝料は等級に応じて定められ、5級の場合、裁判基準では1,400万円となっております。
特に争いになりやすいのは逸失利益の項目であり、5級の場合、自賠責基準では計算の基礎となる労働能力喪失率を79%としていますが、実際にはそこまでの仕事への支障がないとして、保険会社が自賠責基準よりも低く主張してくることもあります。
そのような場合には、職務内容や職務にどのような支障が出ているかを具体的に主張する必要があることがポイントです。
なお、5級2号の高次脳機能障害については、後遺障害申請の際に提出する書類の記載内容によっては、実際に残存する障害に見合った等級よりも低い等級として認定されている可能性があるので、注意が必要です。
また、5級2号の高次脳機能障害であっても、症状により、家族等による看視が必要な場合には、看視費用を請求する余地があります。
ただし、これらのポイントはあくまで一般論であり、以上の裁判例のように、事故に遭われた方の事情により妥当な金額は違ってきます。
詳しい金額を聞きたい方は、まず弁護士等の専門家に相談してみることをおススメします。
まとめ
いかがでしたか?
後遺障害5級の交通事故慰謝料について、弁護士の岡野先生と一緒にお送りしました。
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