交通事故の被害者の方へ|保険会社との示談から裁判までの流れを解説!

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交通事故の被害者の方へ|保険会社との示談から裁判までの流れを解説!

交通事故の被害に遭われ、治療などがすべて完了した後は、相手側の保険会社と示談交渉をすることになります。

しかし、どのように示談を進めれば良いのかわからない…。

という方がほとんどだと思います。

多くの方にとって、交通事故は初めての経験でしょうから、交通事故の示談の流れを把握されていないのも当然のことかと思います。

このページでは、そんな方と一緒に、

  • 交通事故の示談の流れ
  • 示談内容に納得できなかった場合の裁判の流れ

などについて、一緒に見ていきたいと思っています!

なお、専門的な解説は、テレビや雑誌でお馴染みの岡野武志弁護士にお願いしています。

よろしくお願いします。

交通事故の被害に遭われた場合、保険会社との煩雑なやり取りや面倒な書類作成にストレスを感じてしまう方も多くいらっしゃいます。

これまでに多くの相談を受けてきた経験も踏まえ、わかりやすく解説していきたいと思います。

繰り返しになりますが、交通事故の示談の流れについて、知らない方がほとんどのはずです。

周りに詳しい人がいることも稀でしょうし、誰に聞けば良いのかも、どうすれば良いのかもわからず困ってしまいますよね。

そんなとき、交通事故の示談から解決までの流れを理解していれば、今後の不安も少しは減らすことができるのではないでしょうか?

まずは、交通事故の示談について詳しく見ていきましょう!

「物損事故」の場合の交通事故示談の流れ

「物損事故」の場合の交通事故示談の流れ

ケガ人のいない物損事故の場合には、車の修理などがすべて終わり、損害額が確定した時点で示談交渉を開始することになります。

また、ケガ人のいる人身事故の場合でも、車の修理費など物的損害も生じていることが多く、その場合は、人身に先行して示談することが多いです。

修理費などの損害や過失割合に争いがない場合には、事故後1~2ヶ月くらいで示談できることも多いとのことです。

物損事故から示談までの流れについては、こちらの記事で詳しく解説されていますので、ご覧になってみてください。

「人身事故」の場合の交通事故示談の流れ

「人身事故」の場合の交通事故示談の流れ

一方、ケガ人がいる人身事故の場合はもう少し時間がかかります。

というのも、ケガが生じた事故のような場合には、治療が終わってから示談交渉を開始する必要があります。

入通院治療中の治療費や、後遺障害の有無などが確定しないと、損害額が計算できないからですね。

よって、人身事故の場合には、事故後1~2年経ってから、ようやく示談交渉が開始できるということもあるそうです。

症状固定となった時点(治療が終了した時点)、または後遺障害の等級認定の結果が出た時点(結果に納得した時点)で示談交渉を始める流れになります。

具体的には、以下のような流れになるそうです。

交通事故の示談までの流れ

①損害額の計算

損害額を計算するためには、病院から症状固定時(治療終了時)までの診断書診療報酬明細書を取り付ける必要があるとのこと。

これらの書類は、「治療費の確定」に必要なだけでなく、

  • 付添看護費
  • 入院雑費
  • 通院交通費
  • 休業損害
  • 入通院慰謝料

などの算定にも必要となるそうです。

加害者側の任意保険会社が一括対応をしている場合には、任意保険会社から診断書・診療報酬明細書の写しを受け取ることが可能です。

②相手側の保険会社への請求

損害額の計算が終わった段階で、相手側の保険会社へ請求をする流れになります。

具体的には、

  1. 計算書
  2. 裏付資料

を送付することになるそうです。

具体的には…

計算書には、損害額から既払額、過失割合が認められる場合には過失割合相当額を差し引いて請求することになります。

また、裏付資料としては、

  • 治療費の領収証
  • 通院交通費明細書
  • タクシーの領収証
  • 休業損害証明書
  • 源泉徴収票/確定申告書
  • 後遺障害等級認定票

などが挙げられるそうです。

加害者側の任意保険会社が対応している場合、既払額は、保険会社に確認すれば教えてもらえることが多いです。

また、相手側の保険会社の方から損害額を計算して提案書を送ってくることもあります。

③示談交渉

相手側の方保険会社へ計算書を送付すると、一定期間経過後、保険会社から回答が来るそうです。

しかし、その保険会社からの回答は、被害者の方の望み通りとは限らないかもしれません。

というのも、慰謝料などには3つの基準があるそうなのです。

慰謝料には、

  • 自賠責保険に請求する場合
  • 任意保険会社が提示する場合
  • 弁護士が相手側や保険会社に請求する場合

の3つの基準が存在しています。

(1)自賠責基準

まず、自賠責保険会社の慰謝料とは、自賠法に基づく省令により設定されているものです。

自賠法は、交通事故の被害者が最低限の補償を受けるためのものであり、その金額は低く設定されています。

(2)任意保険基準

保険会社でも、任意保険会社による慰謝料基準も存在しています。

ただし、任意保険会社は営利企業のため、加入者を増やすために保険料を安く設定しています。

その分、被害者の方に支払う慰謝料も少ない金額で済ませたいと考えているはずですよね…。

よって、自賠責の基準よりは高いものの、慰謝料の金額は低いことが多いということです。

(3)弁護士基準

保険会社の基準と検証して、最も高い基準となっているのが、裁判所や弁護士の基準です。

これは、弁護士をつけて裁判を行った場合や相手側と示談をする場合に用いられる基準のこと。

ただし、自分ひとりで裁判を起こし、相手側と争うのは、どう考えても難しいですよね…。

よって、高額の慰謝料を獲得するためには、弁護士に依頼をして示談や裁判を行うことが必要ということになるのです。

慰謝料金額の3つの基準
自賠責基準 任意保険基準 弁護士基準
内容 交通事故被害者が最低限の補償を受けるためのもの 営利企業の保険会社が支払うもの 弁護士をつけて裁判や相手側との示談をする場合に用いられるもの
金額 最も低い 自賠責基準よりは高いが、金額は低め 自賠責基準や任意保険基準よりも高い

被害者ご本人だけで請求した場合には、任意保険基準に従った損害額での回答になることが多いようです。

これに対して、弁護士が請求した場合には、弁護士基準を基礎に、そこから多少減額された損害額での回答になることが多いとのこと。

どれくらい減額するかは、弁護士と保険会社の交渉次第であり、双方が内容に合意すれば示談という流れになります。

適正な慰謝料の獲得に向けては、弁護士に相談することも検討してみた方が良さそうですね!

④示談

内容が合意に至ると、相手側の保険会社から免責証書(示談書)という書類が送付されてくるようです。

この書類に署名・捺印し、相手側の保険会社に返送します。

すると、金額にもよりますが、通常1~2週間で示談金が指定の口座に振り込まれることになるそうです。

示談金が振り込まれると、交通事故の紛争は解決ということになります。

まとめ

示談までの流れと注意点

流れ 注意点
損害額の計算 計算には診断書などが必要
相手方保険会社への請求 裏付資料の送付も必要
示談交渉 弁護士が入らないと弁護士基準が使われない
示談 入金まで1〜2週間掛かる

示談が不成立だった場合|交通事故の裁判の流れとは

示談が不成立だった場合|交通事故の裁判の流れとは

以上、示談の流れについては理解を深めることができました。

しかし、損害額や過失割合などに争いがあって、相手側の保険会社との示談交渉がまとまらないケースもあるかと思います。

その場合には、裁判を起こすことになりますね。

なお、通常は示談交渉を先行させることが多いですが、明らかに示談ができなそうな場合には、示談交渉を経ずに裁判することも可能です。

そして、交通事故の裁判の流れは、大まかに以下のようになるそうです。

交通事故の裁判の流れ

ここからは、それぞれの流れを個別に見ていきたいと思います。

①裁判所に訴状を提出

裁判を起こす場合には、訴状という書類を裁判所に提出する必要があります。

書類の提出先

書類の提出先は、

  • 被害者の住所
  • 被告となる人の住所
  • 交通事故の発生場所

管轄するいずれかの裁判所ということです。

また、請求をする金額が、

  • 140万円以下の場合には簡易裁判所
  • 140万円を超える場合には地方裁判所

に提出するようです。

訴状に記載する内容

訴状には、

  • 当事者の住所氏名
  • 請求する金額
  • 事故の内容
  • 請求金額の内訳(内容)

などを記載する必要があるとのことです。

なお、訴状を提出する際には、同時に所定の印紙・郵便切手も提出する必要があるようです。

②第1回口頭弁論期日の指定

訴状を提出した後は、どのようなスケジュールになるのでしょうか?

心の準備も必要なので、知っておきたいところですよね。

民事訴訟でで地裁に訴状を提出してから裁判までどれくらいの日数が掛りますか!?

訴状を提出すると、1〜2ヶ月後第1回口頭弁論期日が裁判所から指定されるそうです。

そして、その指定された期日に裁判所に行くことになります。

被告(=交通事故の加害者)は、第1回口頭弁論期日は、訴状に対する回答書面(答弁書)を裁判所に提出しておけば、出席する必要はありません。

被告が、第1回口頭弁論期日までに争う意思を示さなかった場合、裁判は終了し、請求した内容どおりの判決が出される流れになります。

一方、被告が争う意思を示した場合には、次の手続きに進む流れになるようです。

③争点整理・証拠の提出

その後は、月に1回程度のペースで裁判所での期日が開かれ、お互いが主張をし、何が争いになっているのかを整理していくそうです。

同時に、争いになっている部分を中心に、お互いが自分の主張を裏付ける証拠を提出します。

証拠の収集は当事者が行わなければならないとのこと。

しかし、裁判の場合には、送付嘱託などの方法により、裁判所を通じて病院にカルテの送付を依頼することなどもあるそうです。

④和解協議

争点が整理され、証拠が出揃うと、裁判所から和解案が提示されます。

この和解案を元に、当事者双方が和解できるかどうかを協議します。

和解が成立すれば、和解調書が作成され、裁判は終了という流れになりますね。

そして、和解で定められた金銭が支払われれば、紛争は解決となります。

一方、和解が成立しなければ、次の手続きに進むことになります。

交通事故の和解案は、裁判官の現時点での考えを示しながら、損害項目ごとに金額と根拠を示されることが多いです。

そのため、判決になった場合の見通しが立ち、かつ当事者の納得も得られやすいので、和解で解決することが多いです。

⑤尋問

和解が成立しなかった場合、通常、判決を出す前に尋問が行われるようです。

尋問とは簡単に言うと、法廷の場で当事者や裁判官からの質問に回答することです。

交通事故の場合、当事者尋問以外に、過失割合や因果関係などに争いがある場合、

  • 事故の目撃者
  • 医師

などに証人尋問をすることがあります。

なお、尋問の手続きが終わった後、判決を出す前に改めて和解協議をすることも多いようです。

⑥判決

ここまでの手続きで和解に至らなかった場合には弁論が終結し、1〜2ヶ月後に判決期日が言い渡されることになるようです。

そして、判決期日において判決が言い渡されますが、判決期日は当事者が出席しなくても良いことになっているそうです。

判決に不服がある場合

判決内容に不服がある場合には、2週間以内控訴状という書類を裁判所に提出する必要があるとのこと。

控訴状が提出された場合には、次の手続きに進む流れになります。

判決に納得した場合

一方、2週間以内に控訴状が提出されない場合には判決が確定し、裁判は終了となります。

判決が確定すると、加害者が任意保険会社に加入している場合、任意保険会社から判決で定められた賠償額が支払われ、紛争は解決となります。

加害者が任意保険に加入していない場合、判決が確定しても、判決で定められた賠償額を支払ってこない可能性があります。

その場合には、判決に基づいた強制執行手続に進み、賠償額の回収を目指す流れになります。

⑦控訴・上告

控訴状が受理されると、50日以内に控訴理由書という書面の提出が求められるそうです。

その後は、最初(一審)の裁判所同様、当事者が主張立証したうえで、和解協議をし、和解できなければ判決という流れになるとのこと。

なお、制度上は控訴審での判決に不服がある場合、上告という不服申立制度がありますが、交通事故において上告が認められるのは稀なようです。

まとめ

交通事故の裁判の流れと注意点

流れ 注意点
裁判所に訴状を提出 管轄がどこか要確認
第1回口頭弁論期日の指定 期日は1〜2ヶ月後
争点整理・証拠提出 裁判所を通じた証拠収集も
和解協議 裁判官ある程度考え固まっている
尋問 尋問後に和解することも
判決 判決出ても支払われない場合も
控訴・上告 2週間以内に控訴状

ここまで、裁判の流れを見てきました。

ところで、裁判になった場合、長い時間がかかるというイメージがあります…。

実際に裁判となった場合、解決までにはどれくらいの時間が掛かるのでしょうか?

争点の量などによっても変わってきますが、和解になるケースであれば半年〜1年程度で解決することが多いようです。

一方で、尋問まで行い、判決となる場合には1年以上掛かることも珍しくないようです。

裁判をすれば、自分の納得のいく賠償を受け取れる可能性は高まりますが、結論までには時間がかかるという点は覚えておいた方が良さそうですね。

裁判だけじゃない!?紛争処理センターや調停の流れ

裁判だけじゃない!?紛争処理センターや調停の流れ

以上、裁判の流れについても理解を深めることができました。

とはいえ、裁判や弁護士に依頼するのは、なんだかハードルが高い…と思っていらっしゃる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

実は、当事者間での示談交渉がまとまらなかった場合の解決手段は裁判だけではないようなのです!

交通事故の場合、具体的には、

  • 交通事故紛争処理センター
  • 交通調停

などの手段があるということです。

こういった裁判以外の紛争解決手続は、ADR(裁判外紛争解決)と呼ばれているとのこと。

裁判とADRとの違いは以下の表のようになります。

重要

裁判とADRの検証

裁判 ADR
手続 厳密 簡易
費用 高額 低額
期間 長期 短期
公開・非公開 公開 非公開

ではここからは、2つのADRの手続の流れをそれぞれ見ていきたいと思います。

紛争処理センターの流れ

紛争処理センターについては、こちらの記事で詳しく解説されていますので、良ければご覧になってみてください。

紛争処理センターでは、以下のような流れで手続きが行われるようです。

紛争処理センターの流れ
  1. ① 電話予約
  2. ② 法律相談
  3. ③ 和解のあっ旋
  4. ④ 審査会の裁定

相談担当弁護士は、当事者双方から話を聞き、中立公正な立場で争点・賠償額など、和解のための斡旋案をまとめ、当事者双方に提示します。

和解で解決できない場合には、審査手続に移行します。

保険会社は、審査会の裁定を尊重することになっているので、申立人が同意した場合は、裁定の内容に基づき、紛争が解決される流れになります。

交通調停の流れ

一方の交通調停では、以下のような流れで手続きが行われるようです。

交通調停の流れ
  1. ① 申立て
  2. ② 事情聴取
  3. ③ 調停案の提示
  4. ④ 調停の終了

調停委員は、当事者双方から話を聞き、中立公正な立場で争点・賠償額など、調停案をまとめ、当事者双方に提示します。

「調停の終了」としては、

  • 調停の成立
  • 調停の不成立
  • 調停に代わる決定

などが挙げられるそうです。

「調停に代わる決定」とは

さらに、「調停に代わる決定」とは、裁判所が、

調停が成立する見込みがない場合において相当であると認めるとき、職権で当事者双方の申立てに反しない限度で事件の解決のために必要な決定をすること

だそうです。

ただし、2週間以内に異議の申立てがあった場合、決定は効力を失い、調停の不成立と同様の結果となります。

交通事故紛争処理センターの利用は、交通事故紛争を解決するうえで、有効な選択肢の1つです。

交通事故の解決にはこのようなADR機関の利用も検討してみても良いでしょう。

とはいえ、弁護士に相談した場合と比べて、手厚い援助を受けられるわけではありません。

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弁護士費用特約の内容は、以下の動画で弁護士が分かりやすく解説しています。

交通事故の示談交渉についてお悩みの方は、ぜひ一度、弁護士に相談することも検討してみてください。

交通事故の示談の流れに関するお悩みは弁護士に相談を!

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ここまで、交通事故における示談交渉の流れについて一緒に見てきました。

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最後に一言アドバイス

それでは、最後になりますが、交通事故の示談交渉の流れについてお悩みの方に一言アドバイスをお願いします。

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まとめ

いかがだったでしょうか?

このページを最後までご覧になってくださった方は、

  • 交通事故示談流れ
  • 示談内容に納得できなかった場合の裁判の流れ

について、理解が深まったのではないかと思います。

しかし、まだ不安や疑問が残っているという方もいらっしゃるかもしれません。

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このページが、少しでも交通事故に遭われた方のお役に立てれば何よりです。

この記事の監修弁護士

岡野武志弁護士

アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。

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