交通事故により膝の打撲をしたら後遺症は残る?膝の後遺障害の種類は?
膝・下腿は自分の体重を支えるとても大切な部分です。
交通事故では、膝や下腿をコンクリートや車のダッシュボードにぶつけ、打撲してしまうことがよくあります。
その怪我や障害の影響で、膝の痛みが取れなかったり、膝の曲げ伸ばしが思う様にいかず、歩行やスポーツするのが困難になってしまうことがあります。
ここでは、膝や下腿部の後遺障害の種類や等級と慰謝料の関係について解説していきたいと思います。
目次
膝・下腿の障害の基礎知識
膝・下腿の骨の種類
・膝蓋骨≪しつがいこつ≫
いわゆる膝のお皿のことです。
・脛骨≪けいこつ≫
膝と足首の間に2本ある長い骨のうち、内側に位置する太いほうの骨です。この骨が膝上の全体重を支えるうえで重要な働きをしています。
・腓骨≪ひこつ≫
脛骨と対になって膝から足首までを構成している、とても細い骨です。主に、足首の細やかな動きを可能にし、着地の際に衝撃を吸収する動きを助ける働きもあります。
右側の太いほうが脛骨、左側の細いほうが腓骨です。
脛骨・腓骨の骨折
骨折による怪我では、大きく分けて5種類の後遺症が残ることがあります。欠損障害・短縮障害・機能障害・変形障害・神経障害です。
これらの後遺障害の原因となる脛骨・腓骨の骨折で代表的なものをまとめてみました。
脛骨高原骨折≪けいこつこうげんこっせつ≫
脛骨高原という、脛骨の上端(膝に近い場所)の平面状の関節面が折れてしまうことです。
脛骨高原は膝関節の一部であり、体重を支える部分なので、膝の動きに制限が出てくる(可動域制限)、また体重を支えることが出来ない(歩行障害)といった障害が残ることがあります。
脛骨・腓骨骨幹部骨折≪けいこつ・ひこつこっかんぶこっせつ≫
骨幹部という骨の中央部付近が折れてしまうことで、骨折の仕方によっては数ある骨折の中でも治療が難しいものの一つといわれています。
脛骨はいわゆる弁慶の泣き所と言われている所にあり、手で触っても骨がわかるように筋肉などの皮下組織が少ない部分です。
そのため、脛骨が骨折すると、折れた骨の先が皮膚を突き破ってしまうことがよくあります。この状態を開放骨折といいます。開放骨折は、骨折した部分が感染を起こして骨髄炎を生じることや、骨の癒合がうまくいかなくなることもあります。
他方、腓骨は、骨折するとずれやすい骨です。腓骨が骨折し、ずれてしまうと神経を圧迫し、麻痺や感覚異常を引き起こすことがあります。
これらの脛骨・腓骨骨幹部の骨折により生じやすい後遺障害として、膝下から脚を失う欠損障害や骨の癒合がうまくいかず脚が短くなる短縮障害、その他変形障害が代表的なものといえます。
膝のじん帯損傷
膝には、前十字じん帯、後十字じん帯、内側側副じん帯、外側側副じん帯という4つのじん帯があります。
赤部分が前十字じん帯
緑部分が後十字じん帯
前後十字じん帯の右側に内側側副じん帯、左側に外側側副じん帯となります。
前十字じん帯損傷
は、二輪車運転中の事故に多く発生します。膝を伸ばして踏ん張っているときに捻ってしまうと、前十字じん帯損傷を引き起こします。
後十字じん帯損傷
は、自動車のダッシュボードに膝を曲げたままの状態で打ち付けて発症することが多く、膝蓋骨や脛骨高原の骨折を伴うことがほとんどです。
内外側側副じん帯損傷
は、じん帯損傷の中で最も多く発生するものです。側副じん帯は内側と外側にありますが、圧倒的に多いのが内側側副じん帯損傷です。膝の外側から大きな衝撃が加わると、この内側側副じん帯が損傷してしまいます。
膝のじん帯は骨がずれるのを防ぎ、膝を固定する役割を果たしています。そのため、膝のじん帯を損傷すると関節がぐらぐらする(動揺性)、とっさの時に踏ん張れない、膝に痛みを生じるといった症状が出ることがあります。
半月板の損傷
半月板とは、太ももとすねの骨の間にある軟骨状の板でクッションの役割をし、膝関節の動きを滑らかにしているものです。
膝を上から見た図です。
内外側半月板が合わさって、8の字のように見えています。
交通事故では、膝を曲げた状態で捻った際に太ももとすねの骨に挟まれて損傷します。じん帯損傷との合併がほとんどで、じん帯損傷に伴う動揺性が後遺障害の対象となります。
傷病名 | 主な症状 | 主な後遺障害 |
---|---|---|
高原骨折 | 体重を支えることが出来ない。 膝の動きに制限が出る。 |
機能障害 (可動域制限) |
骨幹部骨折 | 骨の癒合がうまくいかない。 麻痺や感覚異常が起こる。 |
変形障害 (偽関節、癒合不全) 神経障害 (感覚障害) |
じん帯損傷 | 膝関節に動揺性が生じる。 膝に痛みがでる。 |
機能障害 (動揺関節) 神経障害 (損傷部位の痛み) |
半月板損傷 | じん帯損傷に伴う、膝関節の動揺性が生じる。 | 機能障害 (動揺関節) |
膝・下腿の後遺障害ガイド
膝の可動域制限
膝が動かしづらくなったという症状がある場合、機能障害として後遺障害を認定されるケースがあります。
その際、ポイントとなるのが、可動域制限の程度です。障害のある関節の可動域を測定し、正常な方の関節の可動域と検証をして評価をします。
障害の残る部位が膝関節のみの場合、
・関節が強直したもの
⇒8級7号
・関節の可動域が2分の1以下に制限されている
⇒10級11号
・関節の可動域が4分の3以下に制限されている
⇒12級7号
といった基準が原則となります。
測定方法は、定められた方法にのっとって行われる必要がありますので、医師に依頼し正確に測ってもらうようにしましょう。
なお、測定方法としては、他動運動(他人に動かしてもらう方法)による可動範囲を、角度計を使って測定するのが原則となります。
脛骨・腓骨の変形障害
脛骨や腓骨の骨折により、これらの骨に変形が生じた場合、後遺障害の認定を受けることが出来ます。
変形障害とは、骨の偽関節化または長管骨(脛骨・腓骨が該当)に癒合不全を残すことをいいます。偽関節とは、骨折による骨癒合が停止し、関節でない所に異常な可動性がみられる状態のことです。
変形障害は認定基準が具体的に定められており、以下の基準にあたるか否かが判断されることになります。
・1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
⇒7級10号
・1下肢に偽関節を残すもの
⇒8級9号
・長管骨に変形を残すもの
⇒12級8号なお、偽関節が7級10号か8級9号のいずれかを判断する際の「著しい運動障害を残すもの」とは、常に硬性補装具を必要とするものをいいます。
脛骨・腓骨の短縮障害
事故でのすね部分の骨折により、骨がくっついた後も負傷した側の脚の長さが短くなってしまうことがあります。この場合、脚の短縮障害として認定されることがあります。
この場合、何センチメートル短くなったかにより3つの認定基準があります。
・1下肢を5センチメートル以上短縮したもの
⇒8級5号
・1下肢を3センチメートル以上短縮したもの
⇒10級8号
・1下肢を1センチメートル以上短縮したもの
⇒13級8号
なお、脚の長さは、上前腸骨棘(じょうぜんちょうこつきょく)から下腿内果下端(かたいないかかたん)までを測定することになります。
※「上前腸骨棘」とは、両脇腹のヘソの高さ位の場所にある骨盤骨上側の突起のことを指し外からも目立っている部分で、「下腿内果下端」とは足内側のくるぶしの骨の一番下の部分のことをいいます。
膝・下腿の後遺障害の慰謝料は?
後遺障害の慰謝料は、後遺障害の等級によって変わってきます。後遺障害には1級から14級までの等級があり、この等級に応じて慰謝料相場が決められています。
膝や下腿の後遺障害は先のように基準が具体的に定められています。認定等級によって慰謝料相場も変わってきますので、どの等級に認定される可能性があるのか、あらかじめ弁護士に相談しておくとより良い解決への見通しが立つでしょう。。
等級 | 慰謝料相場 |
---|---|
1級 | 2800万円 |
2級 | 2370万円 |
3級 | 1990万円 |
4級 | 1670万円 |
5級 | 1400万円 |
6級 | 1180万円 |
7級 | 1000万円 |
8級 | 830万円 |
9級 | 690万円 |
10級 | 550万円 |
11級 | 420万円 |
12級 | 290万円 |
13級 | 180万円 |
14級 | 110万円 |
膝・下腿の後遺障害を弁護士に相談するメリット
保険会社との煩雑なやりとりから解放
後遺障害の認定に限らず、最終的に示談が成立するまでには保険会社と様々な交渉が必要になります。病院で治療を受けるだけでも、あらかじめ保険会社への連絡が必要となるのです。
保険会社は基本的に加害者に代わり治療費を支払う立場ですので、まだ症状があるのに治療費が打ち切られることもあり、提示してくる示談金も弁護士による交渉がなければ低額にとどまるのがほとんどです。。
弁護士は、煩わしい保険会社との交渉はもちろん、その後の後遺障害の認定に向けたアドバイスやサポートも可能ですから、先を見据えた手続きまで安心して任せることができます。
後遺障害の申請サポート
後遺障害の申請は、どの等級に認定されるかがその後の生活や慰謝料、示談金を請求するうえでのポイントとなります。
等級認定は、主治医が作成する後遺障害診断書が主な判断材料となります。この診断書に記載漏れや曖昧な表現があると、適切な認定がされなくなってしまいます。
特に膝・下腿の怪我には明確な認定基準がありますので、弁護士がサポートをすると、この認定基準を踏まえたうえで、適切な申請をすることが出来ます。
示談金の増額
交通事故の示談金は、治療費・休業損害・入通院慰謝料が主なものです。後遺症が残る場合、逸失利益・後遺障害慰謝料といった後遺障害に関する損害が加算されます。
この中でも、慰謝料の算定には基準があり、最も高いのが弁護士基準とも呼ばれる裁判所基準です。過去の裁判の判例を元にしているため、最も高い慰謝料支払い基準となっています。
弁護士が交渉すると、当初の保険会社の提示額に比べて、2倍の支払いを受けることも場合によっては可能です。保険会社相手に、ご自身で弁護士基準を用いて慰謝料交渉をしても増額は見込めませんが、弁護士に任せると、当初の提示額より高い弁護士基準を根拠に請求をすることが出来ます。
デメリット | メリット | |
---|---|---|
保険会社とのやり取り | 様々な交渉をしなければならない。 | 怪我の治療に専念できる。 |
後遺障害 | 適切な等級に認定されない。 | 適切な等級に認定される。 |
示談金 | 金額が抑えられてしまう。 | より高い請求額を期待できる。 |
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この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
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〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階
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