後遺障害認定が非該当の場合の慰謝料|認められない理由は通知書に…

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この記事のポイントは以下の点です。

後遺症が残っていても、後遺障害の定義に当てはまらなければ、認定されず非該当となる

後遺障害の認定が非該当だった場合の対策としては、異議申し立て、紛争処理申請、民事裁判提起などがある

後遺障害の認定が非該当だった場合でも、傷害慰謝料、休業損害、交通費などの金銭は受け取れる

後遺障害認定非該当だった場合について知りたい方はぜひご一読下さい。

岡野武志弁護士
交通事故と刑事事件を専門とするアトム法律事務所の代表弁護士。

交通事故により怪我の痛みや症状が残ってしまった場合には、後遺障害の等級認定の申請をすることになります。

もっとも、後遺障害は申請をしても必ず認定されるとは限らず、残念ながら非該当という結果が帰ってくることもあります。

実際に、交通事故による怪我の痛みや症状に苦しんでいるにもかかわらず、非該当という結果になることについては納得できない方が多いようです。

納得できないと思われる気持ちは当然ですが、後遺障害の認定が非該当になるのにも色々な理由が考えられます。

その理由が分からなければ、適切な対策を取ることもできません。

そこで、まずは、後遺障害の認定が非該当になる理由についてお伝えしていきたいと思います!

後遺障害の認定が非該当になる理由とは?

後遺障害の認定が非該当になる理由とは?

後遺障害の定義や認定基準に該当しないと非該当

後遺障害認定結果が非該当なことに納得できない理由の一つとしては、医師の診断が否定されていると感じられる点にあると思われます。

しかし、一般的に医師等が診断する後遺症と交通事故における後遺障害とは必ずしも一致しません

交通事故の後遺障害等級の認定において準用されている労災の障害認定基準では、後遺障害は以下のように定義されています。

交通事故(労災)の後遺障害の定義

症状固定時に残存する精神的又は身体的な障害が

交通事故と相当因果関係を有し

将来においても回復が困難と見込まれるものであって

その存在が医学的に認められ

労働能力の喪失を伴うもので

その程度が自賠法施行令(労働者災害補償保険法施行規則)の等級に該当するもの

後遺障害の認定は、怪我の治療後の後遺症が後遺障害の定義に当てはまるかどうかにより判断されます。

つまり、交通事故により一般的な意味での「後遺症」が残ったとしても、上記の定義に当てはまらない場合には非該当という結果になってしまいます。

では、後遺障害の定義に当てはまらないとして等級認定されず、非該当という結果になってしまう具体的な理由にはどんなものが考えられるでしょうか?

事故と症状・経過に整合性がない

後遺障害が認定されるかどうかは、交通事故と症状や治療経過の整合性がまずは大事になります。

例えば、交通事故の規模や衝撃が軽微な場合は、将来においても回復が困難と見込まれる症状が残るとは考えにくいため、非該当になりやすいです。

また、交通事故の状況と受傷内容が一致していない場合は、事故との因果関係や症状の存在自体が疑われ、非該当になりやすいといえます。

そして、症状に一貫性がない場合も、事故との因果関係や症状の存在自体が疑われ、非該当になりやすいといえます。

さらに、通院頻度が少ない場合も、将来においても回復が困難と見込まれる深刻な症状ではなかったものと判断され、非該当になりやすいです。

症状の医学的な証明・説明がない

また、上記の後遺障害の定義にもあるとおり、症状の存在が医学的に認められなければ、非該当になってしまいます。

そして、症状の存在が医学的に認められるかどうかは画像などの他覚的所見による証明がなされているかどうかが重視されます。

ただし、医学的な証明ができなくても、交通事故と症状や治療経過の整合性等から医学的に説明可能と判断されれば、後遺障害認定の可能性はあります。

事故との因果関係が証明できない

たとえ深刻な症状が残っていたとしても、それが交通事故によるものであるという因果関係が証明できなければ非該当になってしまいます。

因果関係が争われる主なケースとしては

① 被害者に交通事故にあう前から一定の症状(既往症)がある場合

② 交通事故が発生した後、時間が経ってから骨折などの器質的損傷が発覚した場合

などが考えられます。

症状が認定基準にあてはまらない

さらに、交通事故により深刻な症状が残った場合でも、症状の程度が自賠法施行令に定められた等級に該当しなければ、非該当になってしまいます。

例えば、上肢の短縮は深刻な症状ともいえますが、下肢の短縮とは異なり、自賠法施行令には後遺障害等級と定められておらず非該当になります。

なお、自賠法施行令に定められた等級表は抽象的な記載が多く、これだけでは後遺障害認定されるかどうかの判断は困難です。

そのため、実務的には、交通事故の後遺障害認定において準用されている労災の後遺障害の認定基準を満たすかどうかにより認定が行われます。

そして、労災の後遺障害の認定基準は、部位・障害の内容・等級ごとに詳細に認定基準を定めています。

つまり、後遺障害が認定されるか非該当かは、どの部位のどんな障害が、後遺障害等級の何級何号の認定基準を満たすかにより判断されます。

後遺障害認定の基準については、以下の記事により詳しく記載されていますので、ぜひご覧になってみて下さい!

そして、具体的な後遺障害認定の等級別の認定基準については、以下のリンク先もぜひご覧になってみて下さい。

↓↓数字をクリックすれば等級別の後遺障害認定の基準を見れます!
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お伝えしてきた後遺障害の認定が非該当となる主な理由とその具体例について、表にまとめてみましたので、参考にしてみて下さい。

後遺障害認定が非該当となる理由
理由 具体例
事故と症状・経過に整合性がない ・交通事故の規模や衝撃が軽微
・事故状況と受傷内容が一致しない
・症状に一貫性がない
・通院頻度が少ない
症状の医学的な証明・説明がない ・画像等の他覚所見がない
事故との因果関係が証明できない ・既往症
・時間が経過してからの発覚
症状が認定基準にあてはまらない ・上肢の短縮

後遺障害が認定されるか非該当かは診断書が重要

そして、後遺障害認定されるか非該当かは診断書書き方が大きな影響を与えます。

後遺障害の認定は原則として書面審査となっており、書面の記載内容のみによって判断されるからです。

そして、審査の対象となる書面の中でも特に、後遺障害診断書の書き方が特に重視されます。

具体的には、仮に同じ症状でも、後遺障害診断書などの自覚症状の書き方によって非該当になってしまう可能性もあります。

また、仮にある検査を行ったとしても、その検査結果が記載されていなければ、検査は行われていないものとして判断されてしまいます。

逆に、「症状の改善の余地あり」などの不要な記載がされることにより、認定されるべき症状の事案で非該当になってしまう可能性もあります。

なお、後遺障害診断書の書き方については、以下の記事により詳しく記載されていますので、ぜひご覧になってみて下さい!

後遺障害の認定が非該当となる確率を下げる方法

では、後遺障害が適切に認定され、非該当となる確率を下げるにはどうしたらいいのでしょうか?

有効な方法としては、後遺障害等級認定の申請を弁護士に依頼することが考えられます。

弁護士に依頼した場合、具体的には以下のようなメリットが考えられます。

①適切な後遺障害診断書の作成

まず、後遺障害等級認定の申請を弁護士に依頼することは、適切な後遺障害診断書を作成してもらえる可能性が高まるのがメリットといえます。

先ほどお伝えしたとおり、後遺障害が認定されるか非該当かは、診断書の書き方が大きな影響を与えます。

この点、後遺障害等級認定の申請に強い弁護士に依頼すれば、弁護士が主治医の先生に

診断書作成要領を提出

追加検査を依頼

修正点がある場合は修正の依頼

するなどにより、適切な後遺障害診断書を作成してもらえる可能性が高めることができます。

②後遺障害の認定に有利な資料添付

また、後遺障害等級認定の申請に強い弁護士に依頼すれば、後遺障害の等級認定に有利な資料を添付して申請をしてもらうことができます。

具体的には

主治医の意見書

被害者本人の陳述書

などが考えられます。

③申請手続きや認定後のメリット

さらに、後遺障害等級認定の申請を弁護士に依頼するメリットには、被害者自身で申請する場合の資料収集の負担が大幅に軽減される点があります。

後遺障害の認定の申請を被害者自身が行う場合、必要書類を自分で収集する必要があるところ、必要書類は多岐にわたり収集の負担は大きくなります。

しかし、弁護士に依頼した場合、基本的には弁護士が被害者の代理人として資料を収集するので、被害者自身の資料収集の負担は大幅に軽減されます。

さらに、後遺障害の認定後における、相手方との示談交渉の負担がなくなるだけでなく、示談金の大幅な増額が見込めるというメリットもあります。

具体的に弁護士に依頼した場合の示談金の金額相場は、以下の慰謝料計算機で確認することができます。

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回答者:アトム法律事務所の岡野弁護士

後遺障害の認定が非該当になってしまう理由には、色々なものが考えられます。

適切な後遺障害の認定を受けるには、まず後遺障害の定義や認定基準を正確に理解する必要があります。

その上で、診断書の書き方にも十分気を付けなければ、非該当とされる可能性が高くなってしまいます。

もっとも、後遺障害の定義・認定基準を正確に理解し、適切な後遺障害診断書の作成を被害者ご自身で行うのは困難な面もあります。

そのため、後遺障害等級認定の申請を検討されている方は、一度交通事故に強い弁護士に相談だけでもしてみることをおすすめします。

最後に、後遺障害等級認定の申請を弁護士に依頼する場合としない場合を比較したものを表にまとめてみましたので、参考にしてみて下さい。

後遺障害等級認定の申請の弁護士依頼の有無の比較
弁護士依頼あり 弁護士依頼なし
必要書類の収集 弁護士が代行し、被害者自身の負担は大幅に軽減 自分で収集しなければならず負担大きい
後遺障害診断書の作成 ・作成要領の提出
・追加検査の依頼
・修正の依頼
・依頼すべきことがわからない
・心理的に主治医に依頼しにくい
申請後の賠償交渉 ・交渉の負担なくなる
・大幅な増額の可能性
・交渉の負担
・低額での示談

後遺障害の認定が非該当だった場合の対策

後遺障害の認定が非該当だった場合の対策

では、後遺障害認定非該当の結果で帰ってきてしまった場合、その結果を変えるにはどんな対策が考えられるでしょうか?

後ほどお伝えするとおり、いくつかの対策が考えられますが、まずはじめにすべきことがあります。

それは、後遺障害の認定結果が非該当であった理由を見極めることです。

そして、理由を見極めるためには、自賠責保険の後遺障害認定結果の通知書の理由書を確認する必要があります。

さらに、保険会社に事案の概要がまとめられた後遺障害事案整理票の送付を請求するとよりよいでしょう。

①異議申し立て

後遺障害認定非該当であった理由を見極めた上で、認定結果に不合理な点があると判断した場合はさらなる対策が必要になります。

まずは、自賠責保険に対して後遺障害等級認定の再判断を求める不服申立ての方法である異議申立という対策を取ることが考えられます。

後遺障害は初回の申請の場合、損害保険料率算出機構という機関が認定しますが、具体的な審査は原則として

損害保険料率算出機構内の自賠責損害調査事務所

という機関が行います。

一方、異議申立の場合も、損害保険料率算出機構という機関が認定するという点は初回の申請と同様になります。

しかし、異議申立の場合、具体的な審査は審査の客観性・専門性を確保するため、弁護士・専門医・学識経験者など外部の専門家で構成される

損害保険料率算出機構内の自賠責保険審査会

という機関が行います。

異議申立も、原則書面審査のため、異議申立書書き方が重要になりますが、より詳しいことは以下の記事に記載されています。

なお、異議申立は、自賠責保険が一度判断を下したものに対する再判断であることから、判断が初回の申請より厳しい傾向にあります。

具体的には、少し前のデータですが、後遺障害認定に対する異議申立が認められる確率5%程度という統計が以下のとおりあります。

後遺障害認定への異議申立の結果
平成25年度 平成24年度
等級変更あり 4.88 6.06
等級変更なし 92.93 91.76
再調査・時効等 2.18 2.18

※損害保険料算出機構平成25年度の事業概況参照

②紛争処理申請

また、自賠法に基づく指定紛争処理機関である自賠責保険・共済紛争処理機構紛争処理申請の申立をするという対策が考えられます。

紛争処理申請の申立を受けた自賠責保険・共済紛争処理機構は、

弁護士

医師

学識経験者

が紛争処理委員を務める紛争処理委員会が提出された書面などで審査を行い、調停結果を通知します。

費用は無料であり、原則として書面のみで判断され、当事者の出席は不要です。

なお、自賠法に基づく指定紛争処理機関である紛争処理機構の調停は、自賠責保険の枠組みの中での最終の不服申立て方法として位置づけられます。

そのため、紛争処理申請は、異議申立と異なり、1回のみしか申請できず、2回目の申請ができない点に注意する必要があります。

紛争処理機構への申請は異議申立を1回ないし複数回行った後で、慎重に検討した上で行う必要があります。

③民事裁判提起

さらに、加害者を被告とする民事裁判を提起するという対策も考えられます。

裁判所では、自賠責保険の後遺障害等級認定結果に拘束されず、判決などにおいて、後遺障害の認定をすることになります。

とはいえ、裁判所は自賠責保険の後遺障害等級認定結果を事実上尊重していると考えられます。

そのため、自賠責保険の申請時とは異なる新たな有力資料を提出しないと、自賠責保険の認定結果と変わらない認定になることがほとんどです。

費用は有料であり、当事者の出席が必要となります。

判決内容に不服がある場合には、上訴という制度が設けられています。

なお、ご紹介した後遺障害等級認定が非該当だった場合の異議申立等の対策は、以下の記事により詳しく記載されていますので、ぜひご覧下さい!

回答者:アトム法律事務所の岡野弁護士

ご覧頂いたとおり、後遺障害等級認定結果が非該当だった場合には、認定結果を争うためのいくつかの対策が考えられます。

もっとも、上記の方法により、実際に後遺障害等級認定が非該当という結果から変更される確率はかなり低いというのが実情です。

そんな中で、少しでも後遺障害認定結果が変更される確率を高めるには、弁護士などの専門家に依頼するのが有効な方法といえます。

なお、後遺障害認定に対する異議申立の弁護士への依頼については、以下の記事により詳しく記載されていますので、ぜひご覧になってみて下さい!

最後に、ご紹介してきた後遺障害等級認定の結果が非該当だった場合の対策を表にまとめてみましたので、参考にしてみて下さい。

後遺障害等級認定の結果が非該当だった場合の対策
異議申立 紛争処理申請 民事裁判提起
判断機関 損害保険料率算出機構 紛争処理委員会 裁判所
費用 無料 無料 有料
当事者の出席 不要※ 不要※ 必要
不服申立 何度でも可能 上訴

※醜状障害などでは面談行われる場合あり

後遺障害の認定が非該当だった場合でも受け取れる金銭

後遺障害の認定が非該当だった場合でも受け取れる金銭

お伝えしたとおり、上記のような対策をしても、後遺障害等級認定結果が非該当のままである可能性も残念ながら十分考えられます。

後遺障害の認定が非該当の場合、後遺症に対する補償は残念ながら原則受け取れませんが、それ以外に受け取れる金銭があります。

そこで、最後に後遺障害の認定が非該当だった場合でも受け取れる金銭のうち、代表的なものをいくつかご紹介したいと思います。

①入通院慰謝料

まず、交通事故で傷害を負った場合、たとえ後遺障害の認定結果が非該当でも、被害者は精神的苦痛を負い、それに対する慰謝料の支払を受けられます。

具体的には、事故による傷害の検査や治療のため、入通院を余儀なくされ、時間が取られ行動の自由が制限される等の精神的苦痛を負うことになります。

そこで、交通事故の傷害分の慰謝料の金額は、原則として入通院期間を基礎に定められることになります。

もっとも、たとえ同じ入通院期間であっても、具体的な傷害分の慰謝料の相場は用いられる基準によって大きく変わってくるんです!

そこで、ここからは、代表的な3つの傷害分の慰謝料基準の種類及びその相場をお伝えしていきたいと思います。

ⅰ自賠責基準

自賠責基準とは、その名のとおり、加入が義務付けられている自賠責保険から支払われる保険金額を算出する際に用いる基準のことをいいます。

自賠責保険は、被害者の損害を最低限度保障するための保険のため、法令上限度額が定められています。

具体的には、傷害分については、120万という限度額が定められています。

責任保険の保険金額は、政令で定める。

法第13条第1項 の保険金額は、死亡した者又は傷害を受けた者一人につき、次のとおりとする。

(略)

イ 傷害による損害(ロからヘまでに掲げる損害を除く。)につき

百二十万円

(以下略)

回答者:アトム法律事務所の岡野弁護士

この限度額は慰謝料だけでなく、治療費や休業損害など傷害による全ての損害を合わせた金額であるという点には十分注意が必要です。

そして、具体的な自賠責基準での傷害分の慰謝料は、次のように支払基準が定められています。

3.慰謝料

(1) 慰謝料は、1日につき4,200円とする。

(2) 慰謝料の対象となる日数は、被害者の傷害の態様、実治療日数その他を勘案して、治療期間の範囲内とする。

(以下略)

日額が4,200円というのは明確ですが、対象となる日数は基準を読んだだけではよくわかりませんね・・・。

実は通院分の慰謝料

入院日数と実際の通院日数の2倍の合計

総治療期間

いずれか少ない方を対象日数として計算するといわれています。

回答者:アトム法律事務所の岡野弁護士

この自賠責の支払基準による慰謝料が全額払われるのは、傷害による損害の総額が限度額の120万円の範囲内の場合に限られる点は注意しましょう。

ⅱ任意保険基準

任意保険基準とは、その名のとおり、各任意保険会社が慰謝料などの損害賠償の金額の提示額を計算する際に用いる基準のことをいいます。

任意保険基準は、保険会社ごとに基準が異なり、かつ非公開とされているので、詳細はわかりません。

もっとも、かつては各任意保険会社共通の基準が存在し、現在もその基準が基礎になっていると考えられています。

そして、旧統一任意保険基準での傷害分の慰謝料は、入通院期間に応じ、以下のような相場が定められています。

旧任意保険支払基準による入通院慰謝料

旧任意保険支払基準による入通院慰謝料

ただし、実通院日数が少ない場合には、上記の基準から減額補正がされます。

一方で、傷害の部位・程度によっては、上記の基準から増額補正されることもあります。

具体的な増減額の補正の基準やその割合については、以下の記事に詳しく記載されていますのでぜひご覧になってみて下さい!、

ⅲ裁判(赤本)基準

裁判基準とは、その名のとおり、交通事故の民事裁判において裁判所が用いる基準のことをいいます。

この裁判基準は、通称赤い本(赤本)と呼ばれている本に掲載されているため。「赤本基準」と呼ばれることもあります。

交通事故の赤本については、以下の記事に詳しく記載されていますので、興味のある方はぜひご覧になってみて下さい!

そして、裁判基準での傷害分の慰謝料は、入通院期間に応じ、以下のような相場が定められています。

重傷の慰謝料算定表

重傷の慰謝料算定表

ただし、通院が長期にわたる場合には、実通院日数の3.5倍程度を慰謝料計算のための通院期間の目安とする場合もあります。

一方で、傷害の部位・程度によっては、上記の基準から20~30%程度増額されることもあります。

また、症状の客観的な証拠がないむちうちや打撲等の場合には、以下のような相場が定められています。

軽症・むちうちの慰謝料算定表

軽症・むちうちの慰謝料算定表

ただし、通院が長期にわたる場合には、実通院日数の3倍程度を慰謝料計算のための通院期間の目安とする場合もあります。

回答者:アトム法律事務所の岡野弁護士

なお、この裁判(赤本)基準は、弁護士が任意保険会社と示談交渉する場合にも用いられる基準のため、弁護士基準と呼ばれることもあります。

弁護士が任意保険会社と示談交渉する場合には、民事裁判をせずとも裁判基準と同等の慰謝料を受け取れる可能性があります。

早期に高額の慰謝料を受け取りたいと考えている方は、弁護士への依頼をご検討されることをおすすめします。

後遺障害の認定が非該当の場合の慰謝料については、以下の記事により詳しく記載されていますので、ぜひご覧になってみて下さい!

また、お伝えしてきた各基準ごとの傷害分の慰謝料を比較したものを表にまとめてみましたので、こちらも参考にしてみて下さい。

各基準毎の傷害分の慰謝料の比較
基準 自賠責基準 任意保険基準 裁判基準
(弁護士基準)
計算方法 4200円×
・入院日数+実通院日数×2

・総治療期間

のいずれか少ない方

原則:入通院期間
・通院日数少ない場合は減額
・障害の部位・程度により増額
原則:入通院期間
・長期通院では実通院日数の33.5倍の場合も
・障害の部位・程度で2030%増額の場合も
限度額 120万円※ 基本的になし なし
過失相殺 被害者の過失7割以上の場合2割相殺 被害者の過失割合どおり相殺

※治療費等慰謝料以外の傷害による損害含めた総額

②休業損害

また、後遺障害認定非該当であっても、事故の影響で仕事等を休み、減給が生じたような場合、休業損害の支払いを受けられます。

そして、交通事故では、自賠責保険の場合と任意保険や裁判の場合とで、休業損害の計算方法に違いがあります。

ここからは、それぞれの計算方法についてお伝えしていきたいと思います。

自賠責保険の場合

まず、自賠責保険での休業損害の計算式は原則として以下のとおりになります。

自賠責保険での休業損害の計算式

5,700円×休業日数

ただし、1日の休業損害額が5,700円を超えることを資料などで証明できれば、最大で19,000円まで日額の増額が認められることになります。

上限がある一方、

日額が5,700円以下の方でも、休業による収入の減収さえあれば日額5,700円で計算される

ため、収入の低い人にとっては有利な場合もあります。

ただし、後ほどお伝えするとおり、自賠責保険の場合には限度額がある点に注意する必要があります。

任意保険・裁判の場合

一方、任意保険や裁判の場合の休業損害の計算式は以下のとおりになります。

任意保険・裁判の休業損害の計算式

1日あたりの基礎収入×休業日数

1日あたりの基礎収入をどうやって割り出すかは、職業別によって異なり、この後詳しくお伝えします。

日額5,700円未満の人は実際の日額で計算される反面、証明できれば、19,000円を超える日額も認められるので、収入の高い人にとっては有利です。

さらに、自賠責保険と異なり、任意保険の場合には限度額がないことが多いです。

休業損害の日額
自賠責保険 任意保険・裁判
原則 5,700 1日あたりの基礎収入
上限 19,000

なお、自賠責保険は、被害者の損害に対する最低限の補償をするものといわれます。

そのため、休業損害に関し、

日額が5,700円以下の場合でも、休業による収入の減収さえあれば自賠責基準の日額5,700円で計算される

と思われている方がいるようです。

しかし、他の項目では任意保険基準を用い、休業損害の項目だけ自賠責保険の基準を用いるいいとこ取りはできない点には注意が必要です。

また、自賠責保険の基準が用いられるのは、治療費や慰謝料などを合わせた損害賠償の総額が120万円以内の場合のみとなります。

損害賠償の総額が120万円を超えた場合には自賠責保険の基準は用いられなくなり、任意保険基準や裁判基準が用いられることになります。

職業別の基礎収入日額の計算方法

休業損害の計算の基礎となる基礎収入日額の計算方法は、職業別に以下の表のようになっています。

職業別の基礎収入日額の計算方法
給与所得者(サラリーマン)・アルバイト・パートの場合
・休業により給料がいくら減らされたか
・何日仕事を休んだり、有給を使ったり、遅刻/早退をしたか
・事故前3ヶ月の給与
などが記載された休業損害証明書という書類をもとに、事故前の収入を基礎として受傷によって休業したことによる現実の収入減が支給される。
自営業(個人事業主)の場合
事故前年の確定申告所得を基礎として受傷によって就労できなかった期間の収入源や休業中の固定費(家賃や従業員給料)が支給される。
自営業の方の場合は、実際に仕事を休んだ日数を証明してくれる人がいないため、休業日数は、
・実通院日数
・怪我の状況
などをもとに判断される。
主婦(家事従事者)の場合
賃金センサスの産業計・企業規模計・学歴計の女子労働者全年齢平均の賃金を基礎として、受傷のため家事を行えなかった期間について支給される。※
実際に家事を休んだ日数を証明してくれる人がいないため、休業日数は、
・実通院日数
・怪我の状況
などをもとに判断される。

※ 有職者で家事労働にも従事している場合には、実収入額が学歴計・女性全年令平均賃金を上回っている場合は実収入額による。

上記の表のとおり主婦(家事従事者)の休業損害は認められる一方で、

学生

年金受給者

生活保護受給者

不動産オーナー

の方は、交通事故がなくても元々収入がない、もしくは事故にあっても収入や利益が減らないため、休業損害はもらえません。

その他、有給との二重取りができるのかなど、交通事故の休業損害についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください。

③通院交通費

さらに、比較的少額のため忘れがちですが、後遺障害認定非該当でも通院交通費の支払いも受けられます。

通院の交通費の請求や計算方法は、通院の手段により違いがあります。

ここからは、各通院手段ごとにお伝えしていきたいと思います。

バス・電車の場合

まず、通院の手段がバス電車などの公共交通機関の場合です。

この場合の計算方法は、原則として

自宅の近くの最寄り駅から通院先の最寄り駅までの電車やバスの往復の料金×電車やバスによる通院日数

になります。

電車やバスについて、複数のルートがある場合、金額及び所要時間の点から最も合理的なルートの金額が原則となります。

もっとも、金額及び所要時間の点で極端に不合理でなければ、実際に用いた経路での金額を支払ってもらえることがほとんどのようです。

また、徒歩圏内の場合は必要性が問題になりえますが、金額や所要時間の点で極端に不合理でなければ徒歩圏内でも支払ってもらえるようです。

なお、通院の交通費をバスや電車の経路の金額で請求する場合には、領収書は不要になります。

バスや電車の場合、金額が定額であり、交通費として必要かつ妥当な実費と考えられるからです。

ただし、実際に請求するには通院日数を把握しておく必要があるので、ICカードの利用明細を発行・保管しておくとその後の請求がスムーズです。

自家用車の場合

続いて、通院の手段が自家用車の場合です。

この場合の交通費は、自家用車のガソリン代になりますが、具体的な計算方法は、原則として

自宅から通院先までの往復の距離×1kmあたり15円×自家用車による通院日数

になります。

自家用車が何かによって、燃費は違いますが、車種による燃費の違いは考慮されず、ガソリン代は一律に1kmあたり15円として計算されます。

このように一律に計算されるため、通院の交通費を自家用車のガソリン代として請求する場合、ガソリン代の領収書は不要になります。

ただし、自家用車で通院した際、有料駐車場を利用し、その駐車場代を請求する場合には、駐車場の領収書が必要になるので、注意が必要です。

徒歩通院の場合

続いて、通院の手段が徒歩の場合です。

この場合、被害者は交通事故による交通費を支出していないことになります。

そのため、徒歩の場合、交通事故の通院の交通費は請求できないことになります。

なお、徒歩で通院し交通費を節約し、代わりにその分を交通費として請求しても、実際の支出がない以上はその請求は認められないことになります。

ただし、相手方保険会社から示談案が提示される場合、通院手段を被害者に確認せず、バスや電車での交通費として計算されている場合があります。

タクシーの場合

交通事故の通院の交通費が一番争われるのは、タクシーを利用した場合です。

交通事故の通院交通費としては、通常、バスや電車などの公共交通機関や自家用車の利用を想定しています。

そのため、タクシー代が交通事故の通院交通費として認められるには、利用の必要性・相当性を被害者が証明する必要があります。

タクシー利用の必要性・相当性については、

傷害の部位・程度

年齢

公共交通機関の便

などから総合的に判断されます。

具体的には、足を骨折している、高齢である、通院先が遠方で公共交通機関だと1日数本しかない等は必要性・相当性が認められやすい事情といえます。

そして、通院の交通費をタクシー代として請求する場合、タクシー代の領収書は必要になりますので、必ず保管するようにしましょう。

回答者:アトム法律事務所の岡野弁護士

このように、後遺障害の認定が非該当だった場合にも、様々な損害項目に関する支払いを受けられるので、漏れなく請求する必要があります。

そして、後遺障害の認定が非該当だった場合でも、弁護士に依頼することで支払いを受けられる金額が増額する可能性があります。

後遺障害の認定が非該当だった場合でも、示談してしまう前に、一度弁護士に相談だけでもしてみることをおすすめします。

通院手段別交通費請求・計算方法
通院手段 計算方法 領収書の要否
バス・電車等 自宅から通院先の最寄りの往復料金 不要
自家用車 ガソリン代1kmあたり15 不要※
徒歩 請求できない
タクシー 必要性・相当性ある場合の実費 必要

※有料駐車場の駐車場代を請求する場合には必要

後遺障害認定が非該当の場合を弁護士に相談したい方へ

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ここまで、後遺障害の認定が非該当だった場合についてお伝えしてきましたが、読んだだけではわからないことがあった方もいるのではないでしょうか?

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最後に一言アドバイス

それでは、最後になりますが、後遺障害の認定が非該当だった場合についてお悩みの方に一言アドバイスをお願いします。

回答者:アトム法律事務所の岡野弁護士

まず、たとえ交通事故による後遺症が残っていても、後遺障害の定義に当てはまらなければ、認定されず非該当となる点には注意する必要があります。

また、後遺障害の認定が非該当と判断されても、異議申立・紛争処理申請・民事裁判提起などの方法により、非該当の結果が覆る可能性もあります。

さらに、結果的に後遺障害の認定が非該当の場合でも、傷害慰謝料・休業損害・交通費などの金銭は受け取れるので、忘れずに全て請求しましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。

このページを最後までお読みの方は、

後遺障害認定非該当だった場合

について理解を深めていただけたのではないかと思います。

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また、このホームページでは、交通事故に関する関連記事も多数掲載していますので、ぜひ参考にしてください!

皆さまのお悩みが早く解決するよう、お祈りしています。

後遺障害非該当の慰謝料Q&A

後遺障害の認定が非該当にならないためには?

弁護士に依頼をすることをおすすめします。弁護士に依頼することで①適切な後遺障害診断書の作成、②後遺障害の認定に有利な資料添付、③弁護士が被害者に代わって資料を収集するので負担が軽くなる、などがあげられます。また、弁護士は賠償金の交渉もおこなってくれるので増額が見込める可能性も高くなります。 後遺障害非該当の確率を下げる方法

後遺障害非該当の結果に不満ならどうする?

なぜ後遺障害の認定結果が非該当となったのか、自賠責保険の後遺障害認定結果の通知書の理由書をまずは確認しましょう。理由を見極めた上で後遺障害認定非該当への対策としてあげられるのは①異議申し立て、②指定の紛争処理機関に紛争処理の申し立て、③民事裁判の提起です。 後遺障害の認定が非該当だった場合の対策

後遺障害認定非該当でも後遺症の補償はもらえる?

残念ながら後遺障害認定結果が非該当の場合、後遺症に対する補償である後遺障害慰謝料・逸失利益は原則として受け取ることができません。しかし、①入院慰謝料、②休業損害、③通院交通費など傷害に対する損害項目に関しては支払いを受けることができます。漏れなく請求するためにも、一度弁護士に相談してみることをおすすめします。 後遺障害が非該当でも受け取れる金銭

この記事の監修弁護士

岡野武志弁護士

アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階

第二東京弁護士会所属弁護士。登録番号37890。大阪府生。高校卒業後渡米。ニューヨークから帰国後、司法試験に合格し、アトム東京法律事務所を設立。誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応するために、全国体制の弁護士法人を構築。年中無休24時間体制で活動を続けている。

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