後遺障害11級の交通事故慰謝料|3061万円の判例を弁護士が解説
このページでは、後遺障害11級の判例についてご紹介します。
もし交通事故により後遺障害が残ってしまった場合、被害者は長い間苦しむことになってしまいます。
11級の後遺障害が残ってしまったとき、慰謝料や示談金はどのようにして算定されるのか気になりますよね。
この判例では、総額3061万円の損害賠償金が認められましたが、どのような点がポイントになったのか、弁護士の先生の解説とともに見ていきましょう。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見てみましょう。
障害等級11級(男・40歳)損害額3061万0442円の判例
こちらは、大阪地方裁判所の判決、平成16年(ワ)第7196号・平成16年(ワ)第8761号事件です。
この事故での主な怪我の内容は、左頸部捻挫となります。
交通事故の基本情報
事故の内容は「道路歩行中の被害者に自動車のドアミラーが接触し、被害者が転倒した。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 会社代表取締役 |
---|---|
性別 | 男 |
年齢 | 40歳 |
事故の内容 | 道路歩行中の被害者に自動車のドアミラーが接触し、被害者が転倒した。 |
傷害の内容 | 頸部捻挫、腰部臀部打撲・挫傷・捻挫、外傷後閉塞性動脈硬化症、末梢神経性障害、腰椎椎間関節骨折、頸髄不全損傷、神経因性膀胱など |
後遺障害等級 | 11級相当(左上肢麻痺:12級12号、神経因性膀胱:11級11号) |
入院 | 34日 |
この事故の加害者は被害者の救護義務を怠り、引き逃げとなったようです。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 3061万0442円 |
---|---|
うち慰謝料 | 680万円 |
うち休業損害 | 387万1481円 |
うち逸失利益 | 1773万2084円 |
損害総額は3061万0442円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額3061万0442円になりました。
- 慰謝料としては、入院・通院に対する慰謝料が210万円、後遺障害の慰謝料が470万円認められました。
- 休業損害としては、事故前3年間の経営実績をもとに基礎収入を算定し、休業期間は症状固定日までの296日間として387万1481円が認められました。
- 逸失利益としては、基礎収入は605万4799円とし、労働能力喪失割合20%、就労可能年数27年として算定されました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの男性は麻痺や神経因性膀胱として11級相当の後遺障害が残ってしまったようですが、この判例のポイントはどのような点になりますか?
本件の被害者は、事故により中枢神経を一部損傷し、体の一部に麻痺が残るとともに、神経因性膀胱の症状が残りました。
裁判所は、これらを全体として11級に相当する後遺障害であると認定しました。
被害者側は1億円を超える介護費用も請求していましたが、この請求は認められませんでした。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
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- 保険会社から提示されている金額が、法律的に正しいかどうか知りたい
- 相手方に請求できる(または相手方から請求される)慰謝料の金額を知りたい
といった人たちです。
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後遺障害11級の慰謝料計算の特徴は?
11級の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
一口に11級と言っても各号ごとに症状は様々ですが、原則として慰謝料は等級に応じて定められ、11級の場合、裁判基準では420万円となっております。
特に争いになりやすいのは逸失利益の項目であり、11級4号の歯科補綴や11級7号の変形障害の場合、仕事には支障がないとして、逸失利益を保険会社が否定してくることも多いです。
また、11級の場合、自賠責基準では計算の基礎となる労働能力喪失率を20%としていますが、実際にはそこまでの仕事への支障がないとして、保険会社が自賠責基準よりも低く主張してくることもあります。
そのような場合には、職務内容や職務にどのような支障が出ているかを具体的に主張する必要があることがポイントです。
ただし、これらのポイントはあくまで一般論であり、上でご紹介した裁判例のように、事故に遭われた方のご事情によって妥当な慰謝料額等も変わってきます。
妥当な金額を詳しくお知りになりたい場合には、まず弁護士等の専門家に相談してみるのがよいでしょう。