42歳会社員の交通事故による骨折の慰謝料|1億2018万円の判例を弁護士が解説
このページでは、42歳会社員が骨折した事故の判例についてご紹介します。
交通事故の代表的なケガの1つとして骨折があげられます。
骨折にもさまざまな種類がありますが、こちらの判例の被害者は重い後遺症が残ってしまうような骨折をされたようです。
損害総額としては1億2018万円が認められたようですが、金額算定のポイントや争点について弁護士の先生の解説とともに見ていきましょう。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見てみましょう。
会社員(男・症状固定時42歳)損害額1億2018万6162円の判例
こちらは、東京地方裁判所の判決、平成19年(ワ)第20442号、平成20年(ワ)第22072号事件です。
この事故での主な怪我の内容は、骨盤骨折、右股関節脱臼骨折となっています。
交通事故の基本情報
事故の内容は「駐車車両を避けるため、道路中央に進路変更した加害清掃車に、右折の方向指示器を点灯させたまま対向直進してきた被害者の運転する自動二輪車が衝突した。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 会社員 |
---|---|
性別 | 男 |
年齢 | 症状固定時42歳 |
事故の内容 | 駐車車両を避けるため、道路中央に進路変更した加害清掃車に、右折の方向指示器を点灯させたまま対向直進してきた被害者の運転する自動二輪車が衝突した。 |
傷害の内容 | 骨盤骨折、右股関節脱臼骨折、頭部外傷、急性呼吸不全など |
後遺障害等級 | 併合4級(1下肢の用を全廃したものとして5級7号、右下肢の短縮・1下肢を3cm以上短縮したものとして10級8号) |
入院 | 434日 |
事故状況から、被害者の過失割合として50%となったようです。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 1億2018万6162円 |
---|---|
うち慰謝料 | 2073万円 |
うち休業損害 | 2157万9240円 |
うち逸失利益 | 7202万3098円 |
損害総額は1億2018万6162円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額1億2018万6162円になりました。
- 慰謝料としては、傷害慰謝料が403万円、後遺障害の慰謝料が1670万円認められました。
- 休業損害としては、被害者の職歴などから男性労働者全年齢平均賃金である555万4600円を得られていただろうとし、症状固定日までの1418日間の休業を認め、2157万9240円が認められました。
- 逸失利益としては、後遺障害が併合4級認められているため、労働能力喪失率は92%、基礎収入は男性労働者全年齢平均賃金である555万4600円、就労可能年数は25年として7202万3098円が認められました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの会社員の男性は、足や股関節の骨折によって併合4級の後遺障害が残ってしまったようです。
この判例のポイントはどのような点になりますか?
本件では、被害者の骨盤と右股関節が脱臼骨折したことにより、右足の3つの関節がすべて動かなくなる5級相当の後遺症が残りました。さらに、右足の短縮の後遺症と合わせて併合4級が認定されました。
被害者側は、歩合給と賞与を合わせて少なくとも700万円の年収があったと主張しました。
しかし、裁判所は証拠がないことを理由に、男性の平均賃金である555万円を前提にして将来の逸失利益を算定しました。
本件事故は、被害者の運転するバイクと清掃車が正面衝突した事故でしたが、双方に過失を認め、過失相殺の割合を50%と判断されました。
そのため、判決で最終的に認められた金額は、約5700万円にとどまりました。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
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骨折の慰謝料計算の特徴は?
骨折の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
骨折を伴うケガを負った場合、骨が癒合するまでに数ヶ月以上の期間がかかることが多いです。
ケースによっては、1年以上の治療を要することもあります。
交通事故の慰謝料は、治療期間によって比例的に増えていく傾向にありますが、実際の通院日数が少ないと、慰謝料の減額を主張されることがあります。
そのため、お医者様とよく話し合った上で、定期的に通院し、お医者様の指示があれば、リハビリもしっかりと行う必要があります。
なお、骨折の治療期間中にギプスで骨を固定し、自宅で安静にしていた期間は、入院と同視できる期間として慰謝料の算定の際に考慮されます。
ただし、今申し上げたポイントは一般的・総論的なお話であり、上に挙げられている裁判例のように、事故に遭われた方のご事情は様々ですので、まずは弁護士等の専門家に相談してみるのが良いかと思います。
まとめ
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。