高次脳機能障害とは?症状・治療から後遺障害認定まですべてを網羅
交通事故や弁護士の情報を検索中の方へ。このページでは、「高次脳機能障害」について徹底調査した結果を報告しています。
目次
交通事故で高次脳機能障害になってしまった場合、怪我が治っても今までどおりに生活することができなくなり、大変ですよね。
外部からわかりやすい症状とはいえないため、周囲から理解されない苦しみもあると思います。
このページでは、高次脳機能障害の症状や慰謝料の相場などについて、簡単にご紹介します。
高次脳機能障害とは
そもそも、高次脳機能障害って、どんなものなんですか?
病気や事故により、知覚、記憶、学習、思考、判断などの高次脳機能に障害が起こってしまうことを、高次脳機能障害といいます。
そうなんですね。症状がぱっと見て分かるものではないんですね。
高次脳機能障害の原因
高次脳機能障害の原因として最も多いのは、脳梗塞や、くも膜下出血などの脳血管障害 です。脳に血液が行き渡らず、酸素不足になることや、脳内の血管から出血が起こることなどにより、脳機能に障害が出るといわれています。
次に多い原因が、外傷性脳損傷です。これは、交通事故などの衝撃により、脳が損傷を受け、脳機能に障害がでるものです。
他にも、脳炎や低酸素症などにより発症することもあります。
高次脳機能障害の症状
高次脳機能障害は、
高次脳機能と呼ばれる知覚、記憶、学習、思考、判断などの認知機能に障害がでることをいい、その症状は多岐にわたります。代表的な症状は、以下の4つです。
記憶障害 | 物事を新たに覚えたり、過去の出来事を思い出せなくなったりする症状 |
注意障害 | 集中力や注意力に障害がでてしまう症状 |
遂行機能障害 | 物事を論理的に考えたり、解決のための計画をたてたり、計画に基づいて行動をすると言ったことができなくなる症状 |
社会的行動障害 | 状況に合わせて感情をコントロールするなど、社会生活を送るうえで必要な能力に障害が出てしまう症状 |
高次脳機能障害の診断基準
高次脳機能障害の診断基準は、平成16年2月20日に、国立障害者リハビリテーションセンターにより定められています。
要約すると、高次脳機能障害に認定されるためには、脳に損傷が生じるような事情があったこと、 現に認知機能の障害が生じていること、画像等で脳に異常 が認められること、などが重要になってきます。
I 主要症状等 | 1 脳の器質的病変の原因となる事故による受傷や疾病の発症の事実が確認されている。
2 現在、日常生活または社会生活に制約があり、その主たる原因が記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの 認知障害である。 |
II 検査所見 | MRI、CT、脳波などにより認知障害の原因と考えられる脳の器質的病変の存在が確認 されているか、あるいは診断書により脳の器質的病変が存在したと確認できる。 |
III 除外項目 | 1 脳の器質的病変に基づく認知障害のうち、身体障害として認定可能である症状を有するが上記主要症状(I-2)を欠く者は除外する。 2 診断にあたり、受傷または発症以前から有する症状と検査所見は除外する。 3 先天性疾患、周産期における脳損傷、発達障害、進行性疾患を原因とする者は除外する。 |
IV 診断 | 1 I〜III をすべて満たした場合に高次脳機能障害と診断する。
2 高次脳機能障害の診断は脳の器質的病変の原因となった外傷や疾病の急性期症状を脱した後において行う。 3 神経心理学的検査の所見を参考にすることができる。 |
高次脳機能障害の等級
高次脳機能障害について、後遺障害等級認定はされるんでしょうか。
されることもあります。具体的な症状により、1番高い1級から1番低い14級まで様々です。
その症状が何級相当なのか、弁護士に相談するといいですね。
高次脳機能障害で認定される症状と等級
高次脳機能障害の後遺障害等級認定は、その症状により大きく異なります。
まず、高次脳機能障害の程度が重く、介護を要する場合には、その介護を要する程度に応じて 1級か2級 の認定がなされます。
それ以外の等級については、特に就労について必要とされる、意思疎通能力、問題解決能力、作業負荷に対する持続力・持久力、社会行動能力の4つの能力のうち、 どの能力をどれだけ失ったかによって、異なる等級が認定されます。
能力の喪失の程度については更に細かい分類がありますが、その症状がどの程度の喪失とみなされるのか、弁護士に相談してみると良いでしょう。
まとめ表
等級 |
4つの能力の喪失の程度 | |
1つ以上の能力の | 2つ以上の能力の | |
第1級 | 常時介護を要するもの | |
第2級 | 随時介護を要するもの | |
第3級 | 全部喪失 | 大部分喪失 |
第5級 | 大部分喪失 | 半分程度喪失 |
第7級 | 半分程度喪失 | 相当程度喪失 |
第9級 | 相当程度喪失 | |
第12級 | 多少喪失 | |
第14級 | わずかな能力喪失 |
後遺障害等級認定のための提出書類
後遺障害等級認定の申請をする場合、提出する書類としては、以下のようなものがあります。
後遺障害診断書 | 高次脳機能障害が後遺障害として残ってしまったということを、主治医が記載した書面 |
頭部外傷後の意識障害についての所見 | 交通事故後の意識障害について、主治医の診断内容を記載する書面 |
神経系統の障害に関する医学的意見 | 高次脳機能障害の症状の詳細について、主治医が意見を記載する書面(高次脳機能障害特有の書面) |
日常生活状況報告 | 被害者本人の生活の実情について、家族が記載する書面 |
後遺障害等級の申請のポイント
高次脳機能障害の申請のポイントは、申請書類の内容を充実させるという点にあります。
高次脳機能障害が後遺障害として等級認定されるか否かは、主に主治医が作成する各書類の記載にかかっている といっても過言ではありません。
主治医に充実した内容の書面を作成してもらうためには、主治医との信頼関係を構築 し、書面の作成を促していくことが重要です。
弁護士相談のメリット
交通事故で高次脳機能障害になってしまった場合、弁護士に相談したほうがいいですか?
相談したほうがいいと思います。場合によっては、 慰謝料の増額のアドバイスをすることもできます。
それは大きいですね。高次脳機能障害になると何かとお金もかかるでしょうしね。
高次脳機能障害の後遺障害慰謝料の相場
高次脳機能障害の後遺障害慰謝料については、以下の表のような相場があります。
認定された等級 |
慰謝料の相場 |
1級 | 2800万円 |
2級 | 2370万円 |
3級 | 1990万円 |
5級 | 1400万円 |
7級 | 1000万円 |
9級 | 690万円 |
12級 | 290万円 |
14級 | 110万円 |
もっとも、この表の金額はあくまで相場に過ぎず、具体的な事情により金額が上下することも多いことには注意が必要です。
弁護士相談のメリット
交通事故による高次脳機能障害を弁護士に相談するメリットとして大きいのは、慰謝料の増額が見込める 場合があるということでしょう。
高次脳機能障害の後遺障害慰謝料には相場がありますが、その金額は具体的な事情により前後します。
弁護士であれば、交通事故の事情や具体的な症状を吟味したうえで、 加害者側保険会社との交渉や裁判において主張するべき事情を的確にアドバイスすることができます。
また、弁護士に依頼をすれば、法律の専門家である弁護士が、慰謝料増額のために必要十分な活動 をすることができるため、より一層慰謝料の増額の可能性を高めることができます。
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まとめ
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
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第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。