後遺障害申請(症状固定)はいつすべき?労災を先行させた方が認定には有利!?

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後遺障害申請(症状固定)はいつすべき?労災を先行させた方が認定には有利!?

後遺障害申請はいつからできるか時期は決まってるの?」

「後遺障害の申請のベストな時期やタイミングはあるの?」

労災にも後遺障害の申請をする場合、どちらの申請の時期を先にした方がいいとかはあるの?」

交通事故にあわれて後遺症が残ってしまい、後遺障害の申請を検討されている方は後遺障害の申請の時期が気になるのではないでしょうか?

交通事故に巻き込まれるというのは、はじめての方が多いでしょうから、後遺障害の申請の時期について知らなくても当然かと思います。

しかし、後遺障害の申請の時期についてしっかり理解しておかないと、損をしてしまう可能性があるんです!

このページでは、そんな方のために

  • 後遺障害の申請可能な時期
  • 後遺障害の申請のベストな時期・タイミング
  • 労災にも後遺障害の申請をする場合のベストな時期

といった事柄について、徹底的に調査してきました!

専門的な部分や実務的な部分は交通事故と刑事事件を数多く取り扱っている岡野弁護士に解説をお願いしております。

弁護士の岡野です。よろしくお願いします。

適切な後遺障害等級が認定されるかどうかによって、受け取れる交通事故の損害賠償額は大きく変わることになります。

そして、適切な後遺障害の等級が認定されるためには、後遺障害の申請時期をしっかりと理解しておくことが必要です。

適切な損害賠償額を受け取れるよう、後遺障害の申請の時期をしっかり理解しておきましょう。

実は、後遺障害申請が可能となる時期症状固定となったあとになります。

でも、症状固定って一体何のことかわからない方も多いかと思います。

そこで、まずは、症状固定とは何かということから確認していきたいと思います!

後遺障害の申請の時期は症状固定後

後遺障害の申請の時期は症状固定後

症状固定とは?

症状固定とは

傷病に対して行われる医学上一般に認められた治療方法を行っても、その医療効果が期待できなくなった状態

をいいます。

簡単に言うと治療を続けてもこれ以上症状が良くならない状態のことです。

後遺障害とは将来においても回復が困難と見込まれる症状のことのため、上記の症状固定後の時期が、後遺障害の申請の時期となります。

この症状固定の時期は、主治医の判断が重視されますが、主治医の判断と裁判所や相手方保険会社の判断が異なる場合もあります。

なお、症状固定の時期は傷害分の損害賠償の終期という意味も有しているので、その点にも注意しましょう。

症状固定時にMRI等を撮影すべき!

次は、後遺障害申請との関係で、症状固定時期にやっておくべきことについてご紹介したいと思います。

症状固定の時期にやっておくべきこととして、レントゲンやMRIなどの画像を撮影しておくことが挙げられます。

先程見たとおり、後遺障害とは将来においても回復が困難と見込まれる症状のことであり、上記の症状固定の時期の症状が判断の対象となります。

そのため、症状固定の時期の画像を撮影しておくことは、後遺障害の等級認定を正確にしてもらう上で重要といえます。

医師は通常、治療の方針を決定する目的で画像を撮影しています。

そのため、残存している症状を証明する目的で画像を撮影するという発想がなく、症状固定時には画像を撮影しないことも多いです。

医師には、後遺障害の適切な等級認定には、残存している症状の証明が必要であり、それには画像の撮影が必要であることを説明する必要があります。

ベストな症状固定の時期とは?

ここまで色々なことをお伝えしてきましたが、被害者が一番気になるのは後遺障害申請のベストな時期タイミング、すなわち

ベストな症状固定の時期・タイミング

はいつなのかということかと思います。

実は、症状や障害の種類によってベストな症状固定の時期・タイミングは異なるんです!

ここからは、症状や傷害の種類ごとにベストな症状固定の時期・タイミングを検討していきたいと思います。

神経症状など

神経症状の場合には、自然経過による症状の改善が見込めるため、症状固定最低でも受傷から半年以上経過した後である必要があります。

反対にいうと、神経症状で受傷から半年以内に症状固定した場合には、後遺障害の等級認定がされる見込みはまずないことになります。

そして、神経症状は画像所見が認められないことも多いため、後遺障害の等級認定の判断には治療期間や日数が重視されます。

そのため、痛みが残っており、医師が治療の必要性があるというのであれば、できるだけ通院を継続すべきといえます。

したがって、神経症状の症状固定のベストな時期受傷から半年以上経過後に医師が症状固定と判断した時期といえます。

機能障害など

機能障害の場合には、自然経過による症状の改善が見込めるため、症状固定最低でも受傷から半年以上経過した後である必要があります。

反対にいうと、機能障害で受傷から半年以内に症状固定した場合には、後遺障害の等級認定がされる見込みはまずないことになります。

他方、機能障害は症状固定時の可動域の測定結果が後遺障害の等級認定において極めて重要といえます。

そのため、半年経過後、治療以外での可動域改善により、後遺障害が認定されないのを防ぐ必要があるといえます。

したがって、機能障害の症状固定のベストな時期受傷から半年以上経過後、できるだけ早い時期といえます。

欠損障害など

欠損障害など、自然経過による症状の改善が見込めない場合には、症状固定受傷から半年以上経過した後に限られないことになります。

したがって、欠損障害の症状固定のベストな時期医師が症状固定と判断した時期といえます。

このように、症状固定のベストな時期は症状や障害の種類によって異なり、個々の事情によっても異なることになります。

症状固定の時期は賠償に大きな影響を与えるため、症状固定の時期の判断にお悩みの場合には弁護士に相談してみることをおすすめします。

最後にここまでお伝えしてきた症状や傷害の種類ごとのベストな症状固定の時期・タイミングを表にまとめてみましたので、参考にしてみて下さい。

ベストな症状固定の時期
症状・障害 時期 理由
神経症状 受傷から半年以上経過後に医師が症状固定と判断 ・自然経過による症状改善が見込める
・後遺障害認定に通院期間重視される
機能障害 受傷から半年以上経過後、できるだけ早く ・自然経過による症状改善が見込める
・治療以外での可動域改善防ぐ
欠損障害 医師が症状固定と判断 ・自然経過による症状改善見込めない

後遺障害の申請と自賠責保険金請求の時期の関係

後遺障害の申請と自賠責保険金請求の時期の関係

後遺障害の申請方法には二つある

後遺障害申請方法には

  • 事前認定
  • 被害者請求

という二つの方法があります。

事前認定とは

事前認定とは、簡単に言うと相手方任意保険会社が窓口となって、被害者の後遺障害の等級認定を事前に確認する方法のことです。

交通事故の加害者が、自賠責保険だけではなく任意保険にも加入している場合、被害者は、任意保険会社から

  • 自賠責保険金分
  • 自賠責保険金分を超える任意保険会社負担分

を一括して支払ってもらうことになります。

この制度のことを一括払制度といいます。

相手方任意保険会社は、被害者に一括払いをした後、自賠責保険から、自賠責保険金分を回収します。

この制度のことを加害者請求といいます。

この制度が自賠法15条を根拠としていることから15条請求とも呼ばれています。

被保険者は、被害者に対する損害賠償額について自己が支払をした限度においてのみ、保険会社に対して保険金の支払を請求することができる。

この加害者請求の前提として、一括払いをする相手方任意保険会社は、自賠責から支払われる保険金分をあらかじめ確認する必要があります。

その一環として、被害者の後遺障害の等級認定を事前に確認する事前認定という方法があります。

被害者請求とは

それに対し、被害者請求とは、簡単に言うと

被害者が自分で直接相手の自賠責保険に後遺障害の等級認定を請求する

方法のことです。

そして、申請方法により、後遺障害の申請の時期と自賠責への保険金請求の時期とのタイミングが変わってくることになります。

事前認定の場合自賠責保険金請求時期に先行

先ほどお伝えしたとおり、事前認定は、相手方任意保険会社が一括払いをした後、自賠責保険から、自賠責保険金分を回収する前提で行われます。

そのため、事前認定の申請時期は、自賠責への保険金請求の時期に先行するタイミングということになります。

被害者請求の場合自賠責保険金請求時期と同時

一方、被害者請求は、被害者が自分で自賠責に保険金相当額を請求する手続の中で、後遺障害の等級認定が行われます。

そのため、被害者請求の申請時期は、自賠責への保険金請求の時期と同時のタイミングということになります。

このような違いがあるため、被害者請求の場合、後遺障害の等級が認定されると同時に、自賠責から保険金相当額が支払われることになります。

最後に、後遺障害の申請時期と、それに関連する事項との先後関係を申請方法ごとに表にまとめてみました。

後遺障害の申請時期と関連事項との先後関係
症状・障害 事前認定 被害者請求
症状固定 以後に申請
後遺障害診断書作成
自賠責への保険金請求 以前に申請 同時に申請

労災にも後遺障害を申請する場合のベストな時期

労災にも後遺障害を申請する場合のベストな時期

労災は書類が異なる

業務中や通勤途中の交通事故の場合、労災にも後遺障害申請をすることが可能です。

もっとも、労災に後遺障害を申請する場合、自賠責に申請する場合と書類が異なります。

具体的には、労災の後遺障害診断書は、自賠責のものと書式が異なり、自賠責のものと検証して簡易な書式になっています。

労災は認定基準が同じ

労災保険では、後遺障害の認定基準が詳細に規定されています。

そして、自賠責保険では、その労災の認定基準を準用して、後遺障害の認定が行われています。

つまり、労災と自賠責とは認定基準については同じであるといえます。

労災の後遺障害の申請を先行させたほうが有利!?

では、交通事故で、労災にも後遺障害申請する場合のベストな時期はいつになるのでしょうか?

実は、労災と自賠責とでは審査方法について違う部分があります。

具体的には、労災保険の場合、顧問医が直接被害者と面談した上で、後遺障害の等級認定を判断します。

それに対し、自賠責保険の場合、醜状障害等一部の例外を除き、原則書面審査であり、提出された資料から後遺障害の等級認定を判断します。

そして、労災保険の場合、面談を行うことの影響があるのか、実務上労災保険のほうが後遺障害が認定されやすい傾向にあるようです。

このような傾向があるため、

労災の後遺障害の申請を先行

する方が、労災の認定結果を添付して自賠責に後遺障害を申請できる結果、適切な等級認定の可能性が高まり有利といえます。

かつては、この労災の後遺障害の申請を先行させることにより、自賠責も労災の申請結果と同様の後遺障害等級を認定していました。

もっとも、現在は独自認定を理由に異なる判断をすることもあるので、その点は注意が必要です。

労災と自賠責との後遺障害認定の検証
労災保険 自賠責保険
認定基準 労災の認定基準 労災の認定基準を準用
審査方法 顧問医の面談 書面審査※
認定の傾向 自賠責より認定されやすい 労災より認定されにくい

※醜状障害等の場合には面談する場合あり

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最後に一言アドバイス

岡野弁護士、読者の方に、最後にアドバイスをお願いします。

冒頭でお伝えしたとおり、適切な後遺障害の等級が認定されるには、後遺障害の申請時期をしっかりと理解しておくことが必要です。

逆にいうと、後遺障害の申請の時期を誤ると、適切な後遺障害が認定されず、本来受け取れるはずだった賠償金が受け取れなくなる可能性があります。

このように重要な後遺障害の申請の時期についてお悩みがある方は、すぐに弁護士に相談だけでもしてみましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。

このページを最後までお読みの方は、

  • 後遺障害の申請の時期は症状固定後
  • 後遺障害の申請のベストな時期・タイミングは症状や障害の内容によって異なる
  • 労災の後遺障害の申請を先行させたほうが有利なことが多い

という点について、理解が深まったのではないでしょうか。

交通事故に遭って悩み事がある方は、是非、上のスマホで無料相談全国弁護士検索を使ってみてください。

下にまとめてある関連記事も参考になさってください。

皆さまのお悩みが早く解決するよう、お祈りしています。

この記事の監修弁護士

岡野武志弁護士

アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。

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