後遺障害8級の交通事故慰謝料|8857万円の判例を弁護士が解説
このページでは、後遺障害8級の判例についてご紹介します。
交通事故に遭ってしまうと、身体的にも精神的にもつらい思いをすることになりますよね。
それに、長期間にわたる入院や通院は、仕事や日常生活にも支障が出てしまいます。
慰謝料などの示談金はどのくらい支払われるのか気になる方は多いのではないでしょうか。
ここでは、実際の裁判例ではどのようにして損害賠償金が算定されているのか、弁護士の先生の解説とともに見ていきましょう。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見てみましょう。
障害等級8級(男・症状固定時39歳)損害額8857万8454円の判例
こちらは、大阪地方裁判所の判決、平成16年(ワ)第5755号事件です。
この事故での主な怪我の内容は、左肩挫傷となります。
(ちなみに、傷害部分については示談が成立しており、後遺障害に関して訴訟になったものです。)
交通事故の基本情報
事故の内容は「東から北に向かって右折した加害車両と交差点の北詰横断歩道上を西から東に直進した被害自転車が衝突した。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 有限会社代表取締役 |
---|---|
性別 | 男 |
年齢 | 症状固定時39歳 |
事故の内容 | 東から北に向かって右折した加害車両と交差点の北詰横断歩道上を西から東に直進した被害自転車が衝突した。 |
傷害の内容 | 左膝関節内脛骨外顆粉砕陥没骨折、左肩挫傷 |
後遺障害等級 | 8級7号 |
入院 | 133日 |
被害者は、事故により左膝の関節に大きな障害が残ってしまったようです。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 8857万8454円 |
---|---|
うち慰謝料 | 800万円 |
うち企業損害 | 0円 |
うち逸失利益 | 8044万9740円 |
損害総額は8857万8454円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額8857万8454円になりました。
- 慰謝料としては、後遺障害の慰謝料が800万円認められました。
- 逸失利益としては、労働能力喪失率は後遺障害8級に相当する45%とし、被害者が事故前に得ていた月額100万円の役員報酬は、実質的に被害者がすべての業務を行っていたことが認められるため、月額100万円全額を基礎収入として算定されました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの男性は8級の後遺障害が残ってしまったようです。
この判例のポイントはどのような点になりますか?
本件の被害者は、左ひざに重度の障害を残し、慰謝料額と労働能力喪失率ともに8級の相場通り認定されました。
被害者はいわゆる個人企業の経営者であり、従前の役員報酬全額が逸失利益として認められるかが問題の一つとなりましたが、本件では認められております。
被害者が経営者の場合、このように役員報酬全額が逸失利益として認められるか否かが問題となることも多いですが、認められるか否かは個別に判断されることになります。
したがって、逸失利益を計算する基礎となる収入の計算は時として複雑なので、弁護士に相談するのが良いでしょう。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
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- 保険会社から提示されている金額が、法律的に正しいかどうか知りたい
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といった人たちです。
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代表岡野武志(第二東京弁護士会)
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後遺障害8級の慰謝料計算の特徴は?
8級の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
一口に8級と言っても各号ごとに症状は様々ですが、原則として慰謝料は等級に応じて定められ、8級の場合、裁判基準では830万円となっております。
特に争いになりやすいのは逸失利益の項目であり、8級の場合、自賠責基準では計算の基礎となる労働能力喪失率を45%としています。
しかし、実際にはそこまでの仕事への支障がないとして、保険会社が自賠責基準よりも低く主張してくることも多いです。
そのような場合には、職務内容や職務にどのような支障が出ているかを具体的に主張する必要があることがポイントです。
ただし、今申し上げたポイントは一般的・総論的なお話であり、上に挙げられている裁判例のように、事故に遭われた方のご事情は様々ですので、まずは弁護士等の専門家に相談してみるのが良いかと思います。