後遺障害8級の交通事故慰謝料|6038万円の判例を弁護士が解説
このページでは、後遺障害8級の判例についてご紹介します。
後遺障害によって今までのような生活が送れなくなってしまうことは、とてもつらいことです。
将来や仕事への影響を考えると、被害者にとって納得できる慰謝料が十分に支払われるのか心配になりますよね。
ここでは、後遺障害8級が認定された実際の裁判では、どのようにして損害賠償金が算定されたのか、弁護士の先生の解説とともに見ていきましょう。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見てみましょう。
障害等級8級(女・症状固定時7歳)損害額6038万1684円の判例
こちらは、大阪地方裁判所の判決、平成12年(ワ)第14174号事件です。
この事故による主な怪我の内容は、小学1年生の女の子が右足第4、第5趾切断となります。
交通事故の基本情報
事故の内容は「歩道上を歩行中の被害者が車道上に出たところ、加害車両によって右足を轢かれた。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 小学1年生 |
---|---|
性別 | 女 |
年齢 | 症状固定時7歳 |
事故の内容 | 歩道上を歩行中の被害者が車道上に出たところ、加害車両によって右足を轢かれた。 |
傷害の内容 | 右足第4、第5趾切断、右足関節部および右足裏部皮膚消失、右足第1趾脱臼など |
後遺障害等級 | 8級(右足第4、第5趾喪失、右足第1ないし第3趾機能障害、右足指痛、右足底部痛、右足荷重困難、歩行時疼痛等) |
入院 | 98日 |
小学生にとって足指の切断とは、非常に衝撃的でつらいものです。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 6038万1684円 |
---|---|
うち慰謝料 | 1120万円 |
うち付添看護費 | 175万5180円 |
うち逸失利益 | 2374万4029円 |
損害総額は6038万1684円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額6038万1684円になりました。
- 慰謝料としては、入院・通院に対する慰謝料が270万円、後遺障害の慰謝料が850万円認められました。
- 付添看護費としては、入院および通院に際しては親族による付添の必要性があったというべきであると認められました。
- 逸失利益としては、被害者は後遺障害によって、一般的に稼働可能と考えられる67歳までの期間を通じ、労働能力を45%喪失したものと認められました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの女の子は、事故によって足の指が切断されてしまったようです。
この判例のポイントはどのような点になりますか?
本件の被害者は、右足の指の欠損障害で8級に認定されました。
後遺障害慰謝料について、本件において8級の相場よりも増額が認められたのは、将来的に手術が予想されるといった事情等を考慮したことによります。
慰謝料は精神的苦痛に対し支払われますが、本件のように将来手術その他による苦痛が予想されるケースでは慰謝料が増額されることもあるのです。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
慰謝料自動計算機(計算ソフト)を使うと便利
また、慰謝料自動計算機(計算ソフト)を使うと、慰謝料の計算が5秒で完了して便利です。
計算ソフトの利用をおすすめするのは、
- 保険会社と話し合う前に、自分の慰謝料の概算を知りたい
- 保険会社から提示されている金額が、法律的に正しいかどうか知りたい
- 相手方に請求できる(または相手方から請求される)慰謝料の金額を知りたい
といった人たちです。
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思っていたよりも、慰謝料の金額って高くなりますよね。
保険会社から低い金額を提示されている場合は、素人の知識不足に漬け込んで騙されている可能性があります。
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代表岡野武志(第二東京弁護士会)
仕事が終わった後や休日にも、交通事故に注力する弁護士に相談できて、便利ですね。
後遺障害8級の慰謝料計算の特徴は?
8級の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
一口に8級と言っても各号ごとに症状は様々ですが、原則として慰謝料は等級に応じて定められ、8級の場合、裁判基準では830万円となっております。
特に争いになりやすいのは逸失利益の項目であり、8級の場合、自賠責基準では計算の基礎となる労働能力喪失率を45%としています。
しかし、実際にはそこまでの仕事への支障がないとして、保険会社が自賠責基準よりも低く主張してくることも多いです。
そのような場合には、職務内容や職務にどのような支障が出ているかを具体的に主張する必要があることがポイントです。
ただし、これらのポイントはあくまで一般論であり、事故に遭われた方の事情によって妥当な金額は異なる可能性が高いです。
そのため、まずは弁護士等の専門家に相談してみるとよいでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
後遺障害8級の交通事故慰謝料について、弁護士の岡野先生と一緒にお送りしました。
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